PKSHA AISaaS TOP / CXジャーナル - 顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“ / ボイスボットの前にやること─AI導入の優先順位のつけ方【コールセンター 電話応対の業務改善:第1回】
公開日/2026.4.23
CXを知る

ボイスボットの前にやること─AI導入の優先順位のつけ方【コールセンター 電話応対の業務改善:第1回】

ボイスボットの前にやること─AI導入の優先順位のつけ方【コールセンター 電話応対の業務改善:第1回】

コールセンターの電話応対は、いま大きな転換期を迎えています。ボイスボットやFAQの整備が進み、定型的な問い合わせの自動化が広がる一方で、有人オペレーターが担う案件の難易度は上がり続けています。「自動化すれば解決する」という時代から、「自動化と有人対応をどう組み合わせるか」を設計する時代へ。

本シリーズでは、電話応対業務の最適化をテーマに、AI導入の優先順位から現場の稼働改善、受電フローの設計まで、3回にわたって解説します。


第1回は、コールセンターへのAI導入の「順序」について考えます。ボイスボットを入れる前に、自社の電話応対の実態を正確に把握できているでしょうか。センターの規模や現在の課題に応じた段階的なアプローチが、長期的な成果につながります。 


「ボイスボットを入れたいが、うちの呼量で費用対効果が合うのか自信がない」
「電話応対の自動化、まず何から手を付けるべきか判断できない」

コンタクトセンターの電話応対改善を検討しながらも、こうした迷いからなかなか一歩踏み出せずにいる方は少なくないのではないでしょうか。

電話応対へのAI導入に失敗するケースの多くは、自社の通話実態を把握しないまま「ボイスボットありき」で進めてしまうことにあります。本記事では、センターの規模や現在の課題に合わせた「段階的な導入モデル」を解説し、電話チャネルのAI活用を成功に導くための優先順位の考え方をご紹介します。

センター規模によって異なる「電話応対自動化の壁」

電話チャネルへのAI活用を検討するとき、センターの規模によって直面する課題はまったく異なります。

小規模センター(席数10席未満) が最初にぶつかるのは「ROIの壁」です。ボイスボットによる電話自動応答は、呼量が多いほど費用対効果が高まります。しかし席数が少なく月間呼量も限られる場合、導入コストに対して削減できる人件費が見合わないケースが出てきます。「電話の自動化は試したいが、投資を回収できる気がしない」という状況です。

中規模(席数10~100席未満)は、また別の難しさがあります。対応する用件の種類が多く、オペレーターに求められるスキルは複雑化している一方で、人手不足が常態化しているケースが少なくありません。管理側の業務も逼迫しており、「どこから自動化に着手すべきか」を分析・検討する時間が取れないまま、課題が積み上がっていく状況です。

大規模センター(席数100以上) では別の問題が顕在化しています。VoiceAgentによる自動化が進み、定型的な受電は着実に削減されています。一方で、自動化によって残った有人対応はより難易度が高い案件に集中する傾向があります。複雑な相談、感情的なケアを要するクレーム──これらの応対の中身が管理者の目に届きにくく、品質管理やリスク把握が困難になる「ブラックボックス化」という新たな課題が生じています。

どちらの規模においても共通しているのは、「ボイスボットを入れる前に、自社の電話応対の実態を正確に把握できているか」という問いです。


なぜ「可視化」が先なのか──通話の文字起こし・解析から始める理由

電話応対へのAI活用を段階的に進める上で、最初のステップとして有効なのが通話の文字起こし・音声認識ツールによる「通話実態の可視化」です。

音声認識・通話解析ツールを活用すると、以下のようなことが把握できるようになります。

  • コールリーズンの分布:どのような用件がどの程度の割合で入電しているか
  • 応対品質のばらつき:オペレーター間でどの程度の差が生じているか
  • 通話時間・後処理時間の傾向:業務効率化の余地はどこにあるか
  • 顧客感情・クレームの傾向:どのような応対がリスクになっているか


これらのデータがない状態でボイスボットを導入しても、「どのコールを自動化すべきか」の判断根拠がなく、設計の精度が下がります。また、導入後の効果測定もできません。

一方、通話を文字起こし・解析してデータを蓄積することで、自動化の対象と範囲を根拠を持って設計できるようになります。小規模センターにとっては、ボイスボットより低コストで即効性のある改善策(例:トップコールの対応フロー整備、オペレーター個別コーチング)を先に実行できる点も大きなメリットです。


段階的な導入モデル:3つのステップ

ステップ1:現状の可視化と「応対の正解」の定義

まず着手すべきは、自社の電話応対を「データで見える状態」にすることです。

音声認識ツールによって全通話を自動で文字起こし・解析することで、これまで感覚や個人ヒアリングに頼っていた品質評価を、客観的なデータに基づいて行えるようになります。

特に重要なのは、自社としての「良い応対」の定義です。上位オペレーターの通話を分析することで、解決率が高く顧客満足につながる応対パターンを抽出できます。これが後のトレーニング設計やスクリプト整備の基盤になります。

このフェーズで得られるもの

  • コールリーズン別の入電分布
  • 応対品質の定量評価と個人別フィードバック
  • 自動化候補となるコールの特定

ステップ2:人の力を最大化する──品質管理とナレッジ整備

可視化によって課題が明確になったら、次は「今いる人員の力を最大化する」フェーズです。

通話の文字起こし・自動要約機能を活用することで、通話後の後処理時間(ACW)を大幅に削減できます。この時間的余裕を、オペレーターが顧客との対話により集中するために使うことができます。

また、上位オペレーターの応対パターンを元にしたナレッジ整備・研修設計も進めましょう。「属人化していた応対の質」を組織の標準として定着させることで、センター全体のベースラインが上がります。

このフェーズをしっかり進めておくことで、後にボイスボットを導入した際の「有人転送後の品質」も担保できます。自動化で振り分けた後の有人応対がボトルネックになるケースを防ぐことができます。

このフェーズで得られるもの

  • ACW削減による応対余力の創出
  • ナレッジの標準化・属人化の解消
  • ボイスボット導入後を見据えた有人対応品質の底上げ

通話の文字起こし・解析による品質管理の具体的な活用イメージは、製品ページの導入事例もご参考にしてください。
PKSHA Speech Insight 製品ページを見る


ステップ3:自動化の導入──ボイスボットの導入

ステップ1・2を経ることで、次のことが明確になっています。

  • 自動化すべきコールの種類と量(コールリーズン分析より)
  • ボイスボットが完結できない案件の特徴(有人エスカレーションの設計に活用)
  • 有人応対の品質基準(転送後の対応品質の担保)

この状態でボイスボットを導入すると、設計精度が高まり、自動完結率も向上します。また、ボイスボットが対応する定型コールが削減されることで、有人オペレーターが担う案件はより高度・複雑なものに絞られます。通話の文字起こし・解析による可視化を継続することで、その「高難度応対」の品質も継続的に管理できます。

大規模センターで課題になりがちな「自動化によるブラックボックス化」を防ぐ手段としても、通話の文字起こし・解析とボイスボットの組み合わせは有効です。

このフェーズで得られるもの

  • 定型コールの自動化による呼量削減とコスト最適化
  • 有人対応の「高度化」への対応力
  • 自動化後も通話解析で品質を継続管理できる運用体制

自社の「今のフェーズ」を正しく見極める

上記の3ステップは、すべてのセンターが同じスピードで進む必要はありません。現状のフェーズによって、優先すべき取り組みは異なります。

センターの状況

優先すべき取り組み

通話内容が把握できていない

 ステップ1:まず通話の文字起こし・解析で可視化

応対品質にばらつきがある

 ステップ2:ナレッジ整備・コーチング強化

定型コールの比率が高い

 ステップ3:ボイスボット導入の検討

自動化済みだが品質管理が課題

 ステップ1〜2の強化(通話解析の活用)


「うちはまだ自動化は早い」と感じている場合でも、通話の文字起こし・解析による可視化は今すぐ始められる取り組みです。データが積み上がるほど、次の打ち手の判断精度が上がります。


まとめ

電話応対へのAI活用において、「いきなりボイスボット」という判断が必ずしも最適とは限りません。センターの規模・通話実態・課題に応じた段階的なアプローチが、長期的な成果につながります。

まずは通話の文字起こし・解析で実態を可視化し、「自社の応対の正解」を定義する。人の力を引き出した上で、ボイスボットの設計に移行する。このプロセスを経ることで、導入後の完結率・ROIが大きく改善します。

電話応対の改善にどこから手を付けるべきか迷っている場合は、PKSHAの製品・導入事例もご参考にしてください。


まずは情報収集したい方へ
通話の文字起こし・解析とボイスボットの機能概要を製品ページでご確認いただけます。
PKSHA Speech Insight 製品ページを見る
PKSHA VoiceAgent 製品ページを見る

具体的な活用イメージを知りたい方へ
段階的な導入を実現した実例を、導入事例からご確認いただけます。
導入事例を見る

導入を具体的に検討したい方へ 現状のセンター課題をヒアリングした上で、最適な導入ステップをご提案します。
無料相談・デモを申し込む

【ホワイトペーパー】そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?

そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?

利用者の声から分かるサポートコミュニティの新たな可能性

本資料の概要

  • コンタクトセンターが取り巻く課題
  • コンタクトセンターにおけるサポートコミュニティの活用
  • 利用者アンケートからみるサポートコミュニティの効果
  • サポートコミュニティを賢く利用するには

関連キーワード

おすすめ記事

TOPへ