「カスハラへの対応を現場に任せているが、このままでいいのか不安」
「対応フローを整備したいが、何から手をつければよいかわからない」
そんな悩みを抱えるコールセンター管理者の方は多いのではないでしょうか。
カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は、オペレーター個人の忍耐や経験に頼るだけでは限界があります。組織として仕組みを整えることが、オペレーターの定着率向上とセンター全体の品質維持につながります。
本記事では、カスハラの実態データをもとに、コールセンター管理者が取り組むべき対策とポイントを実務の視点で解説します。
コールセンターにおけるカスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先から受ける、業務の適正な範囲を超えた要求や言動のことを指します。暴言・脅迫・長時間の拘束・過度なクレームなどがその代表例です。
コールセンターはその性質上、顧客と直接対話する機会が多く、カスハラが発生しやすい環境といえます。顧客が不満や怒りを抱えた状態でかけてくることも多く、オペレーターは日常的にストレスにさらされています。
カスハラはコールセンターの最大の課題になっている
出典:PKSHA Technology調査(コールセンター従事者328名)
調査期間:2025年12月22日~2026年1月5日
コールセンター従事者328名を対象にした調査によると、業務上の不満として最も多く挙げられたのが「カスタマーハラスメント対策(32.6%)」でした。「オペレーターの育成(29.0%)」や「ツールの使いにくさ(26.2%)」を上回り、現場の最大の悩みとなっています。
また、改善したいこととして「カスタマーハラスメント対策(26.5%)」を挙げた人は、「オペレーターの育成(28.7%)」に次いで2番目に多い結果でした。
"カスハラは仕方ない"と受け流されがちな課題ですが、現場はその改善を強く望んでいます。
>> コールセンター関係者300人に聞いた!調査レポートDLはこちら
カスハラが離職につながるメカニズム
カスハラが深刻なのは、業務上の不満にとどまらず、オペレーターの離職に直結するからです。
理不尽な言動にさらされ続けると、感情的な消耗(感情労働の疲弊)が蓄積します。「自分の感情を抑え、明るく振る舞うことの疲労」も上記の調査で20.4%が挙げており、精神的な負担が日常化していることがわかります。
さらに、離職したオペレーターの補充には多くのコストと時間がかかります。採用難が続く現在、辞めたら替えがいないという状況もあり、残ったオペレーターへの負荷がさらに増すという悪循環に陥りがちです。
カスハラを放置することは、組織全体の持続性を脅かすリスクとなります。
カスハラ対策が難しい理由
「丁寧な対応」の追求がカスハラを生む側面がある
コールセンター業界は長年、応対品質の向上を競ってきました。その結果、顧客側の期待値が高まり、少し意に沿わないだけでクレームになるという状況が生まれています。
業界全体で高い品質水準に合わせようとするほど、わずかなズレが顧客の怒りを招きやすくなるという構造があります。
線引きの判断がオペレーター個人に委ねられている
カスタマーハラスメントというワードが広く使われるようになったのは、ここ数年のことです。それ以前のコールセンターには、お客様が電話を切るまで絶対に切らないという文化が根付いていました。
今はカスハラへの毅然とした対応が求められるようになりましたが、長年その文化の中で働いてきたオペレーターにとって、どこで線引きすべきかの判断は容易ではありません。恫喝されたら切っていいと言われても、実際の場面で判断するのは難しく、結果としてオペレーターが一人で抱え込む構造が続きます。
SVが介入するタイミングが遅れやすい
カスハラ対応において重要なのは、タイミングです。事後のフォローより、対応中に介入できるほうがオペレーターの精神的負荷を大きく下げられます。
しかし、多くのセンターではSVがオペレーション業務を兼務しているため、リアルタイムでのモニタリングに十分な時間を割くことが難しい状況です。実際、Quality Assurance活動の効果を実感しているセンターは31.1%にとどまるというデータもあります。
コールセンター管理者が取り組むべきカスハラ対策3つのポイント
1. カスハラの定義とエスカレーションフローを明文化する
カスハラ対策の第一歩は、"何をカスハラと見なすか"、"どのタイミングでSVや管理者に報告するか"を組織として定め、明文化することです。
判断基準があいまいなままでは、オペレーターは毎回一人で判断しなければならず、精神的な負担が増します。また、判断のばらつきによって対応の質も安定しません。
整備のポイント:
・暴言、脅迫、長時間拘束など、具体的な言動を定義する
・「〇回以上の暴言が続いた場合」「個人攻撃が始まった場合」など、エスカレーションのトリガーを設定する
・エスカレーション先(SV、管理者、法務など)と対応手順を明確にする
・フローをオペレーターに周知し、"助けを求めていい"という文化をつくる
フローが整備されていれば、オペレーターは基準に従って対応したという安心感を持てます。これが精神的な負担の軽減につながります。
2. SVがリアルタイムで気づける仕組みをつくる
カスハラへの介入は、早ければ早いほどオペレーターの負担を軽減できます。しかし、SVが常にリアルタイムでモニタリングするのは現実的ではありません。
ここで有効なのが、AIを活用したリアルタイムモニタリングです。通話内容を自動で文字起こしし、対話の流れをテキストで可視化することで、SVはすべての通話を聞き続けなくても、どのオペレーターがどのような状況にあるかを一覧で把握できるようになります。
さらに、感情分析とキーワード検知を組み合わせることで、"顧客の怒りが高まっている"、"リスクの高い発言が出ている"といった状況を自動で検出し、優先度の高いものからSVに通知することが可能です。SVがその通知を受けてオペレーターの画面を確認し、タイミングよく声をかけたり、対応を引き継いだりする流れをつくれれば、オペレーターが一人で抱え込む状況を大きく減らせます。
コールセンター向け音声認識AI「PKSHA Speech Insight」は、音声認識・感情分析・リスクキーワード検知を組み合わせたリアルタイムモニタリング機能を備えており、SVがタイムリーに動ける体制の構築を支援します。対話内容がテキストで可視化されるため、SVがオペレーターに状況を確認する際も、会話の流れを共有しながらスムーズに相談・サポートができます。
リアルタイムモニタリングの整備ポイント:
・対話内容をリアルタイムで文字起こしし、SVが状況を一覧で把握できるようにする
・感情分析とリスクキーワードの検知件数をもとに、対応が必要な通話を優先順位付けする
・SVへのアラート通知と対話の可視化を組み合わせ、相談・介入をスムーズに行える体制をつくる
3. カスハラ事例を組織の知見として蓄積・共有する
カスハラ対応の経験は、今のところ個人の中に蓄積されがちです。ベテランオペレーターが身につけている"あしらい方"や"会話の切り上げ方"のノウハウが、新人には引き継がれない状態では、センター全体の対応力は上がりません。
通話内容を自動で記録・要約する仕組みがあれば、カスハラ事例を組織として蓄積し、研修やフィードバックに活用できます。"こういう状況では、このように対応する"という具体的な事例共有が、新人の早期育成とセンター全体の対応品質の底上げにつながります。
知見の蓄積・共有のポイント:
・通話要約の自動生成により、事例収集の手間を減らす
・カスハラ事例を類型別に整理し、対応方針を標準化する
・定期的な事例共有の場を設け、全オペレーターに周知する
カスハラ対策における注意点
対策を「意識の問題」として片付けない
カスハラ対策で陥りがちな失敗は、オペレーターが強くなれば解決するという発想です。個人の耐性や精神力に頼る対策は、根本的な解決にならないだけでなく、オペレーターへのさらなる負荷になりかねません。
仕組みとして対処する視点が重要です。定義・フロー・ツールを整備することで、オペレーター個人の判断や我慢に依存しない体制をつくりましょう。
顧客対応の品質とのバランスを保つ
カスハラ対策を強化する一方で、通常のクレーム対応や顧客の感情に寄り添った対応も引き続き重要です。毅然とした対応と、丁寧な顧客対応のバランスをとるためにも、ケースごとの判断基準を明確にしておくことが求められます。
まとめ
コールセンターにおけるカスタマーハラスメント対策は、オペレーターの心身の負担を軽減し、離職を防ぐうえで欠かせない取り組みです。現場任せにせず、管理者として仕組みを整えることが、センター全体の持続性を高めることにつながります。
対策の要点を改めて整理すると、以下のとおりです。
・カスハラの定義とエスカレーションフローを明文化し、オペレーターが一人で抱え込まない体制をつくる
・AIを活用したリアルタイムモニタリングにより、SVが早期に介入できる仕組みを整える
・通話記録の自動化により、カスハラ事例を組織の知見として蓄積・共有する
リアルタイムモニタリングの整備にあたっては、ツールの活用も選択肢のひとつです。コールセンター向け音声認識AI「PKSHA Speech Insight」は、音声認識・感情分析・リスクキーワード検知を組み合わせ、SVが状況を把握しやすい形で対話内容を可視化します。通知を受けたSVがオペレーターの対話内容をテキストで確認しながらサポートできるため、介入のタイミングや相談のしやすさが改善されます。リアルタイムモニタリングの体制づくりを検討中の方は、ぜひチェックしてみてください。
まずは情報収集したい方へ
通話の文字起こし・解析とボイスボットの機能概要を製品ページでご確認いただけます。
→PKSHA Speech Insight 製品ページを見る
→PKSHA VoiceAgent 製品ページを見る
具体的な活用イメージを知りたい方へ
段階的な導入を実現した実例を、導入事例からご確認いただけます。
→ 導入事例を見る
導入を具体的に検討したい方へ
現状のセンター課題をヒアリングした上で、最適な導入ステップをご提案します。
→ 無料相談・デモを申し込む

そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?
利用者の声から分かるサポートコミュニティの新たな可能性
本資料の概要
- コンタクトセンターが取り巻く課題
- コンタクトセンターにおけるサポートコミュニティの活用
- 利用者アンケートからみるサポートコミュニティの効果
- サポートコミュニティを賢く利用するには
