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「カスタマーサポート業務は、労働集約型の典型例」──。従来よく使われてきた表現です。ただ、様々なWebサポートチャネルが普及してきた今日、カスタマーサポートはまだ労働集約でなければいけないのでしょうか?
「サポート業務を労働集約型にするわけにはいかないのです。」
そう話すのは、フリーウェイジャパンの牛崎 遼 氏。
取締役としてバックオフィス業務全般を統括しており、営業と開発以外の業務効率化・コスト削減に取り組まれています。
FAQやAIチャットボットなどのWebサポートチャネルを活用した、カスタマーサポート「脱・労働集約」化の取り組みについて話を伺いました。
<スピーカー情報>
牛崎 遼 (うしざき・りょう) 氏
株式会社フリーウェイジャパン 取締役
「永久無料」を掲げるサービスのカスタマーサポートとは?
株式会社フリーウェイジャパンは、「財務会計」「税務」「給与計算」「勤怠管理」「販売管理」「顧客管理」など、企業や個人事業主、会計事務所の方々を対象にしたクラウド型の業務系システム「フリーウェイシリーズ」を開発・提供しています。
フリーウェイシリーズ製品の一番の特徴は、「永久無料」です。
他社の業務系システムにも「一部無償」で提供されている企業もありますが、無償期間が短かったり、無償期間後は使えなくなってしまうようなケースが多いと思います。
一方でフリーウェイシリーズは、無償サービスの範囲内であれば半永久的に無料で使い続けていただくことができます。
現在では、30万人以上のユーザーにご利用いただいており、そのうち約9割が無料版のユーザーになります。
弊社はポリシーとして今後も無料版の提供を続けたいと考えていますが、その場合、ユーザー数に応じてカスタマーサポートへ人的コストをかけていくのは現実的ではありません。
そのため、サポート業務を労働集約型にするわけにはいかないのです。
そうした背景もあり、現在では
● FAQシステム 『PKSHA FAQ』
● AIチャットボット 『PKSHA Chatbot』
などのWebサポートチャネルを導入・運用することで、サポート業務の「脱・労働集約」化を実現しています。
顧客ユーザーと従業員、どちらも自己解決が必要だった
(1) 個別サポートを提供しないユーザーへ、FAQを
フリーウェイシリーズ製品では、無料版ユーザーへは個別サポートを提供していないため、自己解決できるチャネルが必要でした。
当初は、マニュアルを用意することで自己解決の促進を図りました。しかし、詳細情報が網羅的に記載されているマニュアルは、検索性が悪かったり更新がしづらかったりと問題がありました。
そのため、検索性を見込めて更新もしやすいFAQシステム『PKSHA FAQ』を導入することになりました。かれこれもう7年ほど利用しています。
(2) 社内利用で課題が顕在化。AIチャットボットを導入
顧客ユーザー向けと併せて、FAQは従業員向けにも社内教育の目的で活用していました。
ただ、様々な種類のFAQコンテンツを大量に作り込んでいくうちに、FAQの検索性で課題に直面しました。1,2単語のキーワードでFAQの検索をかけると回答候補としてたくさんのコンテンツがリストに表示されてしまい、絞り込むには特定の検索キーワードをかけ合わせていく必要がありました。
また同時に、従業員が増えてきた中で、リテラシーギャップによる検索キーワードの揺れも課題になっていました。サポートスタッフの入れ替わりがあった際にFAQへのアクセス性が良くないと、サポート業務の立ち上がりに時間がかかり、応対品質へも影響が出てしまいます。
そこで、FAQへのアクセス性を向上させる目的で、AIチャットボットの導入を検討するようになりました。
当初はシナリオ型のチャットボットも比較検討していたのですが、シナリオ型だと設計をはじめとした事前の準備で工数がかかり面倒でした。
その点、現在利用している 『PKSHA Chatbot』では、これまで作り込んできたFAQをそのまま教師データとして活用できたので非常に楽でした。また、FAQシステム『PKSHA FAQ』と連携しているので、FAQコンテンツを修正・新規作成した際も、特別な作業なく反映できるため快適に利用できます。
「FAQ×AIチャットボット」のシステム連携で得た、2つの効果
FAQとAIチャットボットは密接にリンクしているため、両方を活用することで得られる効果を実感しています。
(1) FAQアクセス数が増加し、問い合わせ対応が楽になった
FAQシステムだけを利用していた頃も、お問い合わせ対応が効率化されて効果を感じていましたが、AIチャットボットの導入後に迎えた繁忙期ではさらに楽になったのを実感しました。
というのも、繁忙期はいつも忙殺されていましたし、ありがたいことにユーザー数も増加し続けていたので、お問い合わせ対応には従来以上にパワーがかかる覚悟をしていました。
ですが、AIチャットボット経由でFAQへのアクセス数が非常に伸びまして、結果的には例年と比べてずいぶんと楽に過ごすことができました。用意したFAQを使ってもらえている実感がすごくありますね。
また、AIチャットボットを導入したことで、在宅勤務されているユーザーからのお問い合わせも効率的に対応することができました。
在宅でのテレワークが一般化した影響で、電話でなくメールからお問い合わせを頂くケースが増えたのですが、電話に比べてメールでのテキストコミュニケーションは対応工数が増えてしまうことを懸念していました。電話でなら数分で済むようなお問い合わせも、メールとなると何回かやりとりをラリーする必要が出てくるでしょう。
ただ結果的には、そうしたお問い合わせの増加には繋がりませんでした。
ログを確認してみると、AIチャットボットが細かいお問い合わせの対応をカバーしてくれていたことが分かりました。『PKSHA Chatbot』の聞き返し機能が、ユーザーがどんな情報を求めているのかを絞り込んで候補となるFAQを提案してくれるので、ユーザーは自己解決ができていたのだと思います。
(2) FAQメンテナンスの精度向上
AIチャットボットを活用することによって、FAQメンテナンスの精度も向上したと感じています。
従来、FAQのメンテナンスは、「0件ヒット」のキーワードを定期的に確認し、不足しているFAQを新規作成ないし更新をしていました。ただ、FAQサイト上では1単語のみでキーワード検索が行われているケースも意外と多く、ログを確認しても具体的にどんな情報を求めていたのか把握できないことがありました。
しかし、AIによる聞き返しができる『PKSHA Chatbot』では、ログを確認することでユーザーが求めている情報まで辿ることができるため、FAQのメンテナンスも精度と効率が向上しています。
現在、限られたリソースはAIチャットボットへ注力し、自己解決率80%を目標としてFAQの新規作成や分かりやすい内容への更新など、メンテナンスをおこなっています。
「脱・労働集約」のカスタマーサポートで、「永久無料」を実現する
フリーウェイシリーズは今後もユーザー数を増やしていく見込みですし、無料版ユーザーもより増えていきます。
そのためには、やはりカスタマーサポートを労働集約にするわけにはいきません。
ただ、FAQシステム『PKSHA FAQ』やAIチャットボット『PKSHA Chatbot』を連携・活用することで、サポートの体制は既に整っています。
今後、Salesforceとの連携機能もより利便性を向上させていくとのことなので、これからはCRMと効率的に連携させていくことで、「脱・労働集約」化をより進めていこうと思います。
<補足>
「PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。
■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/
※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」
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