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人事労務や財務経理を中心に、バックオフィス業務の“作業”を効率化するクラウドサービスやツールの活用は各社で進んできています。
一方で、バックオフィス業務の“コミュニケーション”については、どれほど効率化が進んでいるのでしょうか?
「従業員からのお問い合わせ対応に、2016年当初、年間1,700時間 もかかっていることがわかりました」
そう話すのは、株式会社森永乳業ビジネスサービスの樋山 明希 氏。
樋山氏が所属する同社のシェアードサービス部では、森永乳業株式会社の人事総務や経理、財務、営業事務といった基幹業務を集約・提供しています。
森永乳業株式会社からの問い合わせ対応という、バックオフィス業務のコミュニケーションについて、効率化の取り組みを伺いました。
<スピーカー情報>
株式会社森永乳業ビジネスサービス
シェアードサービス部
黒江 智子 氏 (課長)
樋山 明希 氏 (主任)
梅田 泰敬 氏 (副主任)
望月 学 氏
吉成 直樹 氏
従業員4,300名の労務関連業務を、シェアード部門で対応
黒江:
株式会社森永乳業ビジネスサービスは、森永乳業グループ各社に対して不動産売買や社宅管理、保険、リース、健康サービス等を提供している森永乳業株式会社100%出資の会社です。
その中で私たちシェアードサービス部は、4,300名を超える森永乳業株式会社従業員の、社会保険や給与、賞与、各事業所の就業情報システム管理、所得税、住民税、退職金、福利厚生、人材育成・採用等の事務など労務関連業務を一括対応しています。当部門は2014年に設立した比較的新しい部門で、人事労務や経理等の専門性の高い社員が在籍しており、森永乳業株式会社の間接事務の集約と効率化、専門性を活かした業務品質向上に力を入れています。
『OKBIZ. for FAQ』の活用推進は、システム運用の専任担当という関わり方ではなく、各々で業務担当を持ちながら、今回取材参加しているこの5名がプロジェクトメンバーとして動いています。
とくに樋山と梅田は、プロジェクトの初期から担当しているため、情報管理や対応業務について当初の課題や苦労は身をもって経験しています。私はプロジェクトリーダーの一人として2020年8月より着任し、実務担当者として望月と吉成も加わりました。
情報が集約されておらず、従業員はストレスを。担当部署でも対応に苦慮…。
樋山:
シェアードサービス部が発足した2014年当初、労務関連業務は、森永乳業株式会社各事業所の労務担当者が手続きや問い合わせ対応をおこなっていました。その後、労務関連業務の集約に着手したのは、2016年の話です。
労務情報や関連業務を集約した結果、当然ですが森永乳業株式会社全社のお問い合わせがシェアードサービス部へ一極集中するようになりました。部内で業務工数を分析してみたところ、部内業務のうち問い合わせ対応業務が約20%を占めていることが分かり、時間換算にすると年間で1,700時間もかかっていました。
問い合わせがくる大きな原因は、労務情報の点在にありました。
森永乳業株式会社内で従業員向けに用意されたFAQサイト等がなく、何かあればまず担当部署へ問い合わせる、というのが当たり前になっていたのです。
労務情報が点在しているとグループ各社の従業員にとって非常にストレスになりますし、
情報が均一化されていないと手続き不備が増えて、私たち担当部署の対応工数が増加してしまうことに繋がります。
システム上での労務情報集約は必須の課題でした。
33%の工数削減に成功。従業員の満足度も感じられる
樋山:
問い合わせ対応業務の工数削減に取り組むにあたり、PRAZNA社が開発・提供しているFAQシステム『OKBIZ. for FAQ』を導入しました。
FAQシステムを比較検討する際に、森永乳業株式会社の情報システム部へヒアリングをおこなったところ、『OKBIZ. for FAQ』の話を聞くことができまして、
●従業員が求める情報を迅速に提供できる
●点在している情報を一元管理できる
●ITリテラシーが高くない従業員でも利用しやすい
という点で納得できる製品であったため採用を決めました。
梅田:
2018年にFAQシステムを導入・運用開始したのですが、翌年の2019年には問い合わせ対応工数を年間1,300時間まで削減することができました。
また、2020年には当初の33%削減まで効果が出ています。
梅田:
また、工数削減に成功するのと同時に、問い合わせ対応の品質が向上していることも感じます。
以前は各業務の担当者でないと回答できなかったような問い合わせ内容も、現在はFAQコンテンツとして均一化されたものが存在するため、誰でも同じように対応が可能になりました。
最近では、“労務に関する疑問や困りごとを解決できる場所”として社内FAQサイトが確立されつつある手応えを感じています。
ユーザーである森永乳業株式会社の従業員に対してFAQサイト利用に関するアンケートをおこなったところ、役に立たない」という回答は0%でした。月間2,500アクセス以上利用されている中で「役に立たない」と感じている従業員が0%というのは、ストレスなく情報にアクセスできるようになった、ということであり非常に良い状況です。
黒江:
3年間のFAQシステム運用を通して、従業員のFAQサイト利用数は徐々に増えていき、「0件ヒット率」も15~20%程度と安定稼働に入ってきました。
これからは、次のステップに向けて新たなKPI設計を検討中です。
2つのメンテナンスで、従業員の自己解決を高めていく
望月:
ユーザー離れを防ぎながらFAQの利用数をより増やしていくために、大きく2つのメンテナンスを行っています。
(1) 「0件ヒット」の解消
ひとつは、「0件ヒット」の解消です。
0件ヒットのデータは毎月抽出していて、ユーザーである従業員がどのような検索ワードで情報を求めていたのか、求めていたコンテンツは用意できているのか、などを確認しています。
<補足>
「0件ヒット」とは、“ユーザーが検索を行っても、該当する情報が見つからない結果となること(検索結果なし)”を意味します。詳しくは下記の記事を併せてご覧ください。
▼参考記事
実際に、0件ヒットの検索ワードを確認してみた結果、従業員の検索ワードとFAQでの使用表現にギャップがあることが分かりました。社内の制度や申請手続きに関するFAQで、私たちは正式名称を使用してFAQを用意していたのですが、従業員は略称等の口語表現でキーワード検索をかけていたのです。
こうした検索ワードとFAQとのギャップが判明したら、FAQシステム(OKBIZ. for FAQ)の「類義語登録機能」を活用して、従業員が使用するキーワードでもFAQを検索ヒットさせるように追加登録しています。
(2) メール問い合わせからのFAQ化
もうひとつのメンテナンスは、メール問い合わせ内容のFAQ化です。
シェアードサービス部のグループメールアドレス宛に来る一般的な質問・問い合わせの内容を、FAQコンテンツ化しています。
また、既にFAQコンテンツが存在する内容の問い合わせがきた場合には、FAQのリンクと合わせて回答することで、FAQサイトの利用を促進するようにしています。
黒江:
これまでは、FAQの新規作成と更新、CSVの出力利用といった基本的な取り組みしかできておらず、ナレッジマネジメントのためのFAQデータ分析等はあまりできていませんでした。
<補足>
FAQを活用したナレッジマネジメントについては、下記の記事をご参考ください。
▼参考記事
ただ、先日参加したPRAZNAの「KPI運用」についてのトレーニングでは、分析に便利な機能や具体的な使い方を知ることができたので、これからは分析活動にももっと取り組んでいこうと思います。
<補足>
OKBIZ.で提供している、ユーザー向け無料トレーニングのラインナップは以下になります。毎月複数のトレーニングを開催しています。
FAQの認知をより広げて、より効果を上げる
吉成:
今後は、恒常的なメンテナンスとともに、森永乳業株式会社内での認知度向上にもっと取り組んでいきたいと考えています。
FAQサイトの認知率や利用数はまだ伸びしろがあると感じていますし、もっと利用されれば効果もより大きくなると思っています。
黒江:
認知向上の取り組みとして最近は、「異動」や「育休」といった閲覧の多いFAQカテゴリーを起点にターゲティングした告知を行っています。
内示が出た人への業務メールや、育休に入る人への連絡メールに、目立つ形でFAQについての案内を記載しているのですが、結果としてカテゴリー へのアクセス数は伸びているので、手応えを感じています。
こうした認知拡大の取り組みも、今後はより積極的におこなっていこうと思います。
<補足>
「PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。
■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/
※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」
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