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コストを抑えながら顧客の問い合わせ内容に回答し、マーケティング支援も行えるツールとして注目されているのが「チャットボット」です。最近は導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
ただ、実際にゼロからチャットボットのシステムを構築し、メリットを最大限に活かした運用を実現するのは容易ではありません。導入コストを抑え手軽にチャットボットを導入する一つの方法がチャットボットの「API連携」です。ここでは、チャットボットのAPI連携の概要とメリット、連携できるAPI6選を紹介します。
チャットボットのAPI連携とは?
APIとは、「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」のことで、アプリケーションとプログラムをつなぐものです。さまざまな企業が提供しているAPIと連携することで、自社のサービスなどに簡単に実装することができるようになります。
例えば、自社Webサイトに地図を載せたいときには「GoogleマップAPI」を活用すれば、地図を表示させることができるため、自社で一から地図を作図する必要はありません。同様に、チャットボットについてもAPIの仕組みを使えば、チャットボットを外部ツールと連携させることができるのです。
チャットボットのAPI連携のメリット
ここでは、チャットボットのAPI連携のメリットを4つ紹介します。
(1)業務の効率化が期待できる
チャットボットAPI連携の1つ目のメリットは、業務の効率化が期待できることです。企業にとって、顧客からの問い合わせに対応する業務はとても大切です。なぜなら、顧客が知りたい情報を的確かつスピーディに伝えることは顧客体験向上につながるからです。結果的に、顧客の自社に対するロイヤリティを高めることができます。また、顧客の問い合わせをデータとして蓄積することで、ニーズを知り、サポート品質やサービスの改善・向上に活用することができます。
ただ、問い合わせ業務をすべてオペレーターによって行うと、膨大な人的リソースを割かなければならなくなります。カスタマーサポートの業務がひっぱくし、オペレーターの負担増加にもつながります。
そこで、チャットボットにユーザーとのタッチポイントの対応を任せることでオペレーターは別の業務に時間をあてることが可能になります。社員が本来行うべき業務に注力できるため、社内の業務効率を改善できるのです。
(2)コストや工数の削減につながる
チャットボットAPI連携の2つ目のメリットは、人的コストや工数の削減につながることです。API連携を行わない場合は、ゼロからチャットボットを開発、構築しなければなりません。その際は専門知識を持った人材や担当者が必要となります。社内に対応できる人材がいない場合は、アウトソーシングしたり、新規で担当者を採用したりする必要があり、人的なコストが発生します。多くの企業にとって重要なのは、チャットボットそのものの開発ではなく、チャットボットを開発してどうやって活用するかということでしょう。そのため、人的なコストや開発工数を削減してチャットボットの開発ができる点はAPI連携のメリットといえます。必要以上のコストと時間がかかってしまうようであれば、計画を見直す必要が出てきます。
現在、さまざまな企業が使いやすいチャットボットAPIを提供しており、中には無料で利用できるものもあります。API連携することでコストを抑えて、売上や利益アップにつなげることが可能です。
(3)顧客の利便性が高まる
チャットボットAPI連携の3つ目のメリットは、顧客の利便性が高まることです。API連携により、顧客が普段から使い慣れているツールでチャットボットを使えれば、利用頻度が高くなりやすいといえます。
例えば、多くの顧客はコミュニケーションツールでLINEやTeamsを使っています。そこで、チャットボットをLINEやTeamsと連携することで、利用のハードルが下がり、親しんで使ってもらえるはずです。
(4)すぐに利用開始できる
チャットボットAPI連携の4つ目のメリットは、すぐに利用開始できる点です。チャットボットAPIの中には、登録とダウンロードを行うだけで、すぐに利用開始できるものがあります。LINEやGoogleに至ってはアカウントを持っていれば、すでに持っているアカウントのデータを利用して導入できるため、新たに登録する必要もありません。
ここで一般的なチャットボットAPIの導入手順は以下のとおりです。
Step1.チャットボットAPIを提供するプラットフォームのアカウントを取得・作成
Step2.チャットボットAPIの利用を申請してダウンロード
Step3.ダウンロードしたチャットボットAPIに回答のデータやシナリオを登録
Step4.試験運用して回答をブラッシュアップ
Step5.運用開始
Step6.データの更新、修正を繰り返してメンテナンス
チャットボットと連携できるAPI6選
チャットボットと連携できるAPIはたくさんありますが、ここでは代表的なAPIを6つ紹介します。
(1)IBM Watson Assistant
IBM Watsonは、クイズ番組でクイズ王に勝利したことで有名なAIですが、IBM Watson AssistantはそのAIを搭載したチャットボットAPIです。
IBM Watson Assistantの特徴は、直感的な操作でわかりやすいことです。また、AI検索エンジンやテキスト変換などのチャットボット以外のツールも充実している点も魅力といえるでしょう。さらに、言語処理能力が高く、自ら学習して顧客に適切な回答を送信できます。多くの企業で使用されるSalesForceやZendeskなどの顧客管理システムとの連携もできるため、さまざまなシーンで使い勝手の良いAPIといえます。
(2)Google Dialogflow
Google Dialogflowは、Googleが有料サービスとして提供するチャットボットAPIです。誰でも簡単にチャットボットを作成できることをテーマに作られたサービスで、使いやすさが大きな特徴です。コードを使ったプログラミングを行わずにチャットボットを作成できます。また、Googleが提供しているサービスであり、同社が持つ膨大なデータを活用したテンプレートが用意されています。
(3)Microsoft Azure bot service
Microsoft Azure bot serviceは、Microsoft社の言語解析プログラムを用いたチャットボットAPIです。テキスト形式のシンプルなチャットボットから音声・言語処理などが可能なボイスボットまで作成可能です。チャネルと呼ばれる接続機能を使用して、SNSやMicrosoftの各サービスと接続して柔軟にチャットボットを作成できます。
(4)Amazon Lex
Amazon Lexは、Amazon EchoやAlexaと同様のAIアシスト機能を使用できるチャットボットAPIです。AIにはフルマネージド型人工知能サービスが使われているため、高度な自然言語理解と自動音声認識により自然な会話ができるチャットボットを開発できます。
(5)Messenger for Business
Messenger for Businessは、Facebookなどを運営するMeta社が公開するチャットボットAPIです。Facebook MessengerとInstagramにチャットボットを設置できます。
Messenger for Businessの特徴は、デベロッパーツールを使用したチャットボットの開発が可能な点です。デベロッパーツールとはGoogle Chromeに搭載される開発者用の検証ツールのことです。実名登録の制度を採用しているためビジネスユースの顧客が多く、BtoBの関係づくりにも使用できます。
(6)LINE Messaging API
LINE Messaging APIは、LINEのアカウントを通じて顧客との双方向コミュニケーションを実現するチャットボットAPIです。多くのメッセージテンプレートが用意されており、顧客にとって利用のハードルが低い点が魅力でしょう。メッセージの自動対応だけでなく、画像や動画、スタンプンの送信にも対応しています。
チャットボットでAPIを上手に活用するポイント
数多くあるサービスの中から自社にぴったり合うAPIを選択して、運用するコツは何でしょうか?ここでは、チャットボットでAPIをうまく活用する3つのポイントについて説明します。
(1)チャットボットAPIの利用目的を明確にする
チャットボットでAPIを上手に活用する1つ目のポイントは、利用目的を明確にすることです。
一口にチャットボット導入といっても、目的は「問い合わせ対応」なのか、「マーケティングに活用する」ためか、で大きく異なります。導入目的を決めることで適したチャットボットツールを選べるようになります。
例えば、業務効率化が目的であれば、社内のLINE WORKSにチャットボットツールをAPI連携すると良いでしょう。
(2)チャットボットの設置場所を明確にする
チャットボットでAPIを上手に活用する2つ目のポイントは、設置場所を明確にすることです。
チャットボットAPIはチャットボットを設置できるプラットフォームが限られている場合があります。そのため、Webサイト、LINE、Facebookなど、どこに設置したいのかをはっきりさせましょう。顧客により認知されやすく、活用されたすい場所に設置することが大切です。
(3)チャットボットAPIの操作性を確認する
チャットボットでAPIを上手に活用する3つ目のポイントは、チャットボットAPIの操作性を確認することです。なぜなら、操作性が悪ければ成果が出ない可能性があるからです。
操作性が悪いと運用に手間がかかったり、操作方法がわかりにくかったりと、顧客に使用してもらえないおそれがあります。せっかくチャットボットAPIを導入したにも関わらず、かえって工数を増やし、顧客満足に繋がらなければ役に立たないものになってしまいます。確認すべき主な事柄として、顧客の目線に立って問い合わせがしやすいUI(ユーザーインターフェース)であるかをチェックしておきましょう。そのためには、まず運用担当者自身が使いやすいかどうかが大事です。
チャットボットAPIによって業務を効率化し、顧客満足向上を目指そう
チャットボットのAPI連携にとって、自社の限りあるリソースを有効活用できます。もちろん、導入そのものが目的ではないため、APIを選ぶ際には顧客の目線に立って、使いやすいかどうかをチェックすることを忘れずにしましょう。
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