コーポレート部門横断、9部署へAIヘルプデスクを導入。ナレッジを蓄積し業務プロセス見直しへ
日本化薬株式会社
PKSHA AI Helpdesk(AI ヘルプデスク)
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社員からの問い合わせ
従業員満足度向上, ナレッジマネジメント, 業務効率化, DX
齊藤 麻紀子 様 情報システム部 デジタル推進担当 コミュニケーション推進チーム リーダー
古川 秀一 様 情報システム部 デジタル推進担当 コミュニケーション推進チーム サブリーダー
上薗 知宜 様 情報システム部 デジタル推進担当 コミュニケーション推進チーム
徳永 保之 様 経理部 経理担当 参事
・対応は特定の担当者に集中し、ナレッジの蓄積ができていませんでした。
・PKSHA AIヘルプデスクのAI回答率は40%台で安定し、コーポレート9部署の属人化対応を軽減。
・質問・回答をナレッジとして蓄積し、蓄積したログをもとに業務プロセスの見直しにも着手。
Index
会社・ご担当者様の紹介
まず、みなさまのお役回りについて教えてください。

齊藤様:私と古川、上薗が所属するデジタル推進担当のコミュニケーション推進チームは、全社のデジタルトランスフォーメーションを進めるため、ITの立場から業務改善やデジタル活用を支援しています。現場の課題を聞き、業務に合ったITツールの提案から導入、定着までを支えるほか、メールやチャット、生成AI、Web会議など、社内のコミュニケーションツールの企画・導入・運用も担っています。こうしたツールの活用を通じて、従業員や組織の業務改善を支援する取り組みを「RIKATSU」として進めています。
徳永様:私は経理部に所属しており、財務業務や経費精算システムをはじめ、経理部に寄せられる各種問い合わせ対応を幅広く担当しています。
属人化と窓口の分散が生んでいた、コーポレート部門共通の課題
導入前、コーポレート全体の問い合わせ対応にはどのような課題があったのでしょうか。
齊藤様:同じような質問が繰り返し来て、そのたびに同じ回答をする負担がありました。問い合わせの窓口も、メールやMicrosoft Teams(以下Teams)のチャット機能、担当者への直接の口頭連絡など複数の経路に分かれていました。これにより、過去の回答内容を確認しづらく、担当者が不在のときには対応できないという問題もありました。
また、問い合わせ対応が属人化することで、経験のある特定の担当者に問い合わせが集中し、本来の業務に手が回らなくなるだけでなく、ナレッジがほかの担当者に広がらず、回答品質のばらつきや対応の遅れにもつながっていました。
問い合わせする側にとっても、誰にどう聞けばいいのか分かりづらく、簡単な質問ほど聞きづらいという心理的なハードルがありました。コーポレート部門が忙しそうに見えて質問しづらい、という声もありましたし、担当者が異動すると次に誰に聞けばいいのか分からなくなることも課題でした。
徳永様:経理部では顔見知りの担当者が質問を受けたり、直接の来訪が特に多かった印象です。情報システム部に届いた質問が、実は経理部宛のものだったというケースもありました。よくある問い合わせとしては、経費精算の申請方法や申請内容の修正、支払いに関する手続きなど、幅広い問い合わせが寄せられていました。
全社DX推進の一環として位置づけたPKSHA AIヘルプデスクの導入
PKSHA AIヘルプデスクの導入は、どのような経営戦略の中で位置づけられていたのでしょうか。
齊藤様:当社では、2025年度まで実施した全社重要課題への組織横断的な取り組みにおいて、DX推進を重要課題の一つに位置づけていました。本プロジェクトもその一環として進めたものです。
PKSHA AIヘルプデスクを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

上薗様:一番の決め手は「有人連携」です。FAQを案内するだけのチャットボットでは、解決しなかった場合に、利用者が別のフォームやメールから問い合わせ直さなければならないことがあります。PKSHA AIヘルプデスクでは、AIで解決しない場合も、それまでのやり取りを引き継いだまま、Teams上で担当部門による対応へ切り替えられます。AIによる自動回答と人による対応を一つの窓口で完結できることが、当社にとって大きな違いでした。

PKSHA AIヘルプデスクは3STEP構造で社内問合せを確実に対応
比較検討では、価格だけでなく、担当者による確認や作業が必要な問い合わせも想定し、AIから人への引き継ぎを重視しました。別の窓口へ移ることなく担当部門へつなぎ、一連のやり取りを履歴として蓄積できることが、最終的な選定理由となりました。
また、導入後に気づいたメリットですが、毎月の定例会での状況確認に加え、利用者・回答者向けの説明会やフォローアップも複数回実施してもらうなど、PKSHAのカスタマーサクセス支援が手厚く、多少ハードルの高い要望にもスピード感を持って対応してもらえた点は、選定して後悔のないポイントでした。
コーポレート全体を横断してPKSHA AIヘルプデスクを展開しようと考えたのはなぜでしょうか。
古川様:内容は違えど、問い合わせ対応の課題は、経理部だけでなく人事部や総務部、法務部、調達部など複数の部署に共通していました。そこで、各部署が個別に対応するのではなく、コーポレート部門全体で共通の仕組みを利用する方が効果的だと考え、複数部署への展開を進めました。
9部署に1年足らずで導入するのは大変だったかと思います。どのような順序・体制で展開を進めたのでしょうか。
上薗様:2023年12月から検討を始めました。人事部が展示会を通じて類似製品を検討していたことをきっかけに具体的な検討を進め、2024年5月には経理部・総務部・法務部・調達部なども含む6部署でスタートしています。導入当初はAIのハルシネーション(※)への懸念もありましたが、FAQに登録された情報のみから回答する仕組みや、ドキュメント検索時に注意書きを表示する機能があったため理解を得られました。
各部署への説明では、役割分担を厳密に決めすぎず、各部署に過度な負担をかけないことを前提に、協力してくれそうな方に個別で相談しながら進め、説明の際には必ず、上席にも同席してもらうようにしました。既存のマニュアルや規定などのドキュメントをそのまま活用できることを伝え、事前準備の負担を減らす工夫もしています。
その後2024年11月に3部署が加わり、検討開始からおよそ1年足らずで、コーポレート全体の9部署展開を実現しました。ナレッジの蓄積による業務改善はコーポレート全体として重要だと考えており、だからこそ各部署が積極的に進めてくれたのだと思います。
※人工知能(AI)が事実とは異なる内容や文脈と無関係な内容など、もっともらしい誤情報を回答すること
展開を推進する中で、経営層との合意形成のハードルはなかったのでしょうか。
齊藤様:実は、初回の提案は経営層から2点の指摘を受けて差し戻されてしまいました。1つは費用対効果をより具体的かつ定量的に整理してほしいということ、もう1つはナレッジマネジメントの確立といった、持続的な業務改善につながるゴールを描いてほしいということでした。
そこで私たちは、目先のツール導入効果だけでなく、将来的な業務プロセスの改善効果まで含めて定量的に再定義しました。あわせて、他社の効果測定方法も参考にしながら裏付けとなるデータを集め、上申資料を作成しました。
この2点を踏まえた資料を経営視点で説明したことで、最終的に納得を得ることができました。
個別問い合わせの減少と、部署ごとに異なる定着状況
PKSHA AIヘルプデスクの導入によって、どのようなメリットが生まれていますか。

古川様:問い合わせ数以外の部分で言うと、質問と回答の履歴がすべて蓄積されることで、これまで特定の担当者に集中していた問い合わせが可視化されるようになりました。担当者が不在の時でも過去の回答を参照できますし、属人化していた対応が減ることで、その担当者本来の業務に使える時間も増えています。
例えば、コミュニケーション推進チームへの問い合わせ対応を主に担っていた担当者が長期休暇に入った際も、ログから過去の似た問い合わせや回答を検索して参照できるので問い合わせた方を待たせずに他の担当者が回答できた、などナレッジ蓄積による回答品質の標準化と対応の迅速化を実感できています。
もともとの狙いでもあったのですが、PKSHA AIヘルプデスクをきっかけにTeamsに触れる機会が増え、Teams全体の利活用も合わせて進んでいる実感があります。
コーポレート全体への導入によるメリットも教えてください。
上薗様:問い合わせる側にとっても、とりあえず「AIヘルプデスク」に投げればいいので、どの部署の、どの担当者に聞けばいいか分からず業務が滞る状況を減らせるようになりました。対応する側も、管轄外の質問をどこに回せばいいか考える負荷が減っています。
加えて、部署ごとに独立した窓口を設ける場合、管轄外の質問は別の窓口へ問い合わせ直してもらう必要があります。PKSHA AIヘルプデスクでは、部署をまたぐ質問でも、それまでのやり取りを残したまま適切な担当部門へ引き継げます。そのため、利用者が問い合わせ先を探したり、別の窓口で一から説明し直したりする手間を減らせました。これも、コーポレート全体で同じ窓口に揃えたからこそのメリットだと感じています。
そのほかにも、ユーザーが何を理解できていないかをログから洗い出せるようになったことで、マニュアル不足や申請方法の分かりにくさなど、ナレッジ蓄積による業務改善のヒントを得られるようになったことも大きな収穫です。蓄積されたログデータは各部署の業務プロセスそのものの見直しに活かしていきたいと考えています。実際にどこまで改善に踏み込むかは各部門の判断に委ねられていますが、こうしたログを起点に、少しずつ業務改善の材料が集まってきている段階です。
徳永様:経費精算についても、以前は特定の担当者に質問が集中していましたが、PKSHA AIヘルプデスクを使うことで、誰が担当かにかかわらず質問を受け付けて振り分けられるようになりました。緊急度を踏まえて対応の順序を整理でき、履歴からほかの担当者の対応状況も確認できるようになりました。さらに、月末に質問が集中する傾向もデータとして可視化されるようになり、業務の見通しが立てやすくなりました。
部署によって、PKSHA AIヘルプデスクの使われ方に違いはありますか。

上薗様:情報システム部や経理部のほか、人事部ではFAQが増えてきて、運用がうまく回っている印象です。個人ではなく「問い合わせ窓口(PKSHA AIヘルプデスク)」という組織的な窓口に切り替わったことで、特定の担当者に頼らない体制に変わったと聞いています。問い合わせが個人ではなく組織の窓口で受けられる仕組みに変わったことで、蓄積した回答を知識の共有や継承などナレッジマネジメントにも生かせるようになりました。
一方で、社外からの問い合わせがメインとなる一部の部署では、まだ定着が進みきっていない部分もあり、そこをどうするかが今後の課題だと思っています。
KPIの設計や利用者からの反応について教えてください。
古川様:KPIとしてはAIによる回答率を置いており、現在40%台は安定して出せるようになり、50%を超える月も出てきました。今年度中に50%以上を維持することが目標です。あわせて、ドキュメントやFAQ・QAの登録件数についても前年度比30%増を目標にしていて、こちらは既に達成できる見込みが立っています。
利用者からの反応としては、アンケートで問い合わせ時の心理的な負担が軽くなったと回答した方が約80%、時間短縮を実感できたという回答が50%以上、そして利用した方のほぼ全員が「今後も使いたい」と答えてくれています。
窓口を設けたことで、質問する際の心理的な負担が下がり、これまで表に出にくかった相談も寄せられるようになりました。一方で、AIの回答だけでは不安を感じる方や、対面での相談を希望する方も一定数いるため、電話やメールによる窓口も残し、相談内容や緊急度に応じて対応しています。
また、有人連携された時も担当者がAIの内容を参照して回答するケースが多く、回答の精度は一定程度確保できていると感じています。有人連携を希望する方の中には人が答えてくれる安心感を求めている方もいらっしゃいます。これからも既存の方法を否定するのではなく、AIが対応できる範囲を広げながら、必要に応じて人へつなぐという使い分けを大切にする方針でいます。
工場への展開と、業務プロセス改善に踏み込むための次の一手
今後、さらに広げていきたい部署や領域はありますか。
上薗様:弊社工場向けの運用も検討に挙がっています。工場については、拠点ごとにルールが異なり、同じ工場の中でも細かな違いがあるため、そのまま一つのボットに統合すると精度が落ちてしまう懸念があります。Microsoft Entra IDと連携することで属性にあわせたFAQの出し分けは可能ですが、ドキュメントの出し分けはまだ制限があるため、ボットを分けるかどうかを含めて、費用対効果を見ながら検討している段階です。
今後の定着に向けて、どのような取り組みを予定していますか。
古川様:下期は対面での説明会を増やし、より丁寧に使い方や導入効果を伝えていく予定です。これまでも、もともとは簡素な「?」マークだったTeams上のPKSHA AIヘルプデスクアイコンを、コーポレートキャラクターの「かやくーま」にカスタマイズしたり、10拠点以上を訪問して座談会形式で直接説明したり、eラーニングでの紹介動画配信やメール署名へのリンク掲載など、地道な定着施策を重ねてきました。
ハンズオン(体験)形式の研修もすでに複数回実施しており、これからも、利用者が問い合わせの背景や必要な情報を整理して伝えられるような環境を整備していきたいです。
PKSHAに期待することを教えてください。
齊藤様:今後も生成AIをはじめとする新しい技術を取り入れ、サービスが継続的に進化することを期待しています。また、本仕組みに蓄積された知見やデータを、ほかの領域でも活用できるデータ管理の仕組みにも期待しています。
加えて、利用者側の問い合わせ内容が抽象的で意図を読み取りにくい場合に、AIが不足している情報を提示して書き直しを促すような機能があると、対応する側の負担軽減とともに、利用者が質問を整理する助けにもなると考えています。
徳永様:税金関係やインボイス制度のように制度変更によって回答が変わってしまう質問や、上司の承認が必要でYES・NOだけでは答えられない質問は、AIだけで完結させるのではなく、有人連携につなぐことで正確に対応できていると考えているので、どこまでをPKSHA AIヘルプデスクに任せるのかを引き続き考えていきたいですね。
貴重なお話をありがとうございました。
2026年9月10日時点の情報です。
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