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公開日/2025.9.9
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IVRとは?コールセンターでの仕組みと導入メリットを解説

IVRとは?コールセンターでの仕組みと導入メリットを解説

コールセンターの運営において、「オペレーターの負荷が高い」「顧客の待ち時間が長い」「人件費が増大している」といった課題を感じていませんか?これらの問題に対する有効な手段のひとつが、IVR(自動音声応答システム)です。現在、業務効率化を図るために多くのコールセンターがIVRを導入しています。
本記事では、IVRの基本的な仕組みから、コールセンターでの具体的な活用方法、導入時のメリット・デメリット、導入のポイントまで広く解説します。IVR導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

IVRとは?コールセンターでの基本的な仕組み

IVRの基本概念から具体的な機能、そして導入が進む背景まで、コールセンター業務に欠かせないこのシステムについて詳しく解説します。

 IVRの概要と注目される背景

IVR(Interactive Voice Response)とは、顧客からの電話に対して自動音声で応答し、プッシュボタン操作や音声認識によって適切な部署やオペレーターに振り分けるシステムです。
基本的な仕組みは、あらかじめ録音された音声ガイダンスを流し、顧客の選択に応じて通話を自動で振り分けます。近年では音声認識技術の進展により、より自然な会話にも対応できるIVRが登場しています。
コールセンター業界でIVRが注目される背景には、深刻な人手不足やコスト削減のニーズがあります。『コールセンター白書2024』(リックテレコム社)によると、71.0%のセンターがIVRを導入しており、業務効率化を支える仕組みとして重要性が高まっています

IVRの主な機能

 IVRには、コールセンター業務を効率化するさまざまな機能が搭載されています 。

自動音声ガイダンスと着信振り分け

IVRの基本機能で、問い合わせ内容に応じて適切な部署や専門のオペレーターに通話を自動で振り分けます。これにより、顧客の無駄な待ち時間を削減します。

データベース連携による情報提供・認証

 顧客情報や会員番号と連携し、本人確認や残高照会などを自動化できます。銀行のATMに近い仕組みで、セキュアな情報提供が可能です 。

データベース連携による情報提供・認証

 顧客情報や会員番号と連携し、本人確認や残高照会などを自動化できます。銀行のATMに近い仕組みで、セキュアな情報提供が可能です。

折り返し予約とSMS送信

 回線混雑時に顧客の連絡先を受け付けし、後から折り返したり、必要な情報をSMSで送信したりできます。

音声認識による自然な対話

 最新のAI技術により、プッシュボタン操作に加えて自然な会話での問い合わせ対応も可能になっています。

IVRの進化版として注目されるボイスボットについて、以下の記事で詳しく解説しています。

ボイスボットとは?IVRとの違いや活用シーン、メリット・デメリット

IVRの種類

IVRは技術的な特徴によって、主に3種類に分類されます。

プッシュボタン式IVR

 最も一般的なタイプで、音声案内に従い電話機のボタンで選択肢を操作する方式です。銀行の残高照会や通販サイトの注文受付など、定型的な手続きに適しています。年齢層を問わず使いやすいのが特徴です。

AI-IVR

 会話をAIが認識して分岐する、先進的な方式です。「解約について聞きたい」「料金を知りたい」といった自然な会話での問い合わせ分類が可能で、より直感的な操作ができます。プッシュボタン操作と併用できるため、顧客の好みに応じた対応が可能です 。

ビジュアルIVR

 従来の音声案内に加えて、スマートフォンの画面上にメニューを表示し、直接タップ操作が可能な形式です。長い音声ガイダンスを聞く必要がなく、直感的に目的の窓口へ到達できます。また、FAQやチャットボットなどの他のサポートチャネルにも誘導が可能です。

また、IVRの新しい形であるビジュアルIVRについては以下の記事で紹介しています。

ビジュアルIVRの導入事例│企業と顧客が得られるメリットと注意点

コールセンターにIVRを導入するメリット

 IVR導入により、オペレーターの業務効率化、顧客体験の改善、主要KPIの改善といった多様な効果が期待できます。

 オペレーター運用の効率化とコスト削減 

適切なスキルレベルでの対応実現

IVRの大きな利点のひとつは、問い合わせ内容に応じてオペレーターを適切に振り分けられる点です。IVRがない場合、すべてのオペレーターがあらゆる問い合わせに対応できる「フルスキル」である必要があります。しかし、IVRで事前に振り分けを行えば、契約に関する問い合わせは新規契約専門のオペレーターへ、解約手続きは解約専門のオペレーターへといったように、用件に応じて「シングルスキル」のオペレーターにも的確につなぐことができます。
これにより、新人オペレーターでも特定分野で早期に戦力化でき、各分野の専門性向上にもつながります。結果として、採用・育成コストの削減と対応品質の両立が実現します。

定型業務の自動化による工数削減

 荷物の再配達受付や住所変更、残高照会など、定型的な業務はIVRで自動処理が可能です。これにより、オペレーターの工数を大幅に削減でき、人的リソースをより付加価値の高い業務に集中させることができます。ただし、対応可能な範囲はあくまで定型的なものに限られるため、運用の見極めが重要です。

24時間対応の実現と機会損失の防止

 IVRを活用すれば、営業時間外でも基本的な案内や受付業務を継続できます。これにより、問い合わせ機会を逃さず、顧客対応の幅を広げつつ、オペレーターの時間外勤務の抑制にもつながります 。

 顧客満足度の向上

たらい回し防止による顧客ストレス軽減

 IVRによって問い合わせ内容に応じて初めから適切な担当部署につながるため、部署間のたらい回しを防げます。これにより、顧客のストレス軽減と満足度向上、企業イメージの改善が期待できます 。

専門性の高い対応による問題解決の質向上

 プッシュボタン式IVRでは、顧客の選択により問い合わせ内容があらかじめ分類されるため、該当分野に詳しいオペレーターが最初から応対可能です。さらにAI-IVRを活用すれば、顧客の発話内容から詳細なニーズを把握でき、オペレーターは顧客の状況をより深く理解したうえで応対を開始できます。これにより、スムーズかつ丁寧なサービス提供が実現し、顧客満足度の向上にも直結します 。

 AI技術を活用したより高度な自動音声応答システムのメリットや導入ポイントについては、以下の記事で解説しています 。

AI自動音声応答システムとは?メリットやデメリット、導入時のポイント

 コールセンターKPIの改善

平均処理時間(AHT)の短縮

 事前に問い合わせ内容が分かることで、オペレーターは顧客の状況を把握したうえで応対を開始できるため、効率的な問題解決が可能になります。また、適切なスキルを持つオペレーターが対応することで、解決までの時間も短縮され、対応全体のスピードと質が向上します。

サービスレベル(SL)の改善

 IVRによる適切な振り分けと負荷分散によって、目標応答時間内での対応率が向上し、全体的なサービス品質の安定化が図れます。とくに、問い合わせの波を平準化することで、繁忙時の対応品質低下を防ぎ、顧客満足度の維持に貢献します 。

一次解決率の向上
AI-IVRやプッシュボタン式IVRによる定型業務の自動化により、簡単な問い合わせはその場で完結できます。これにより、オペレーターが対応すべき複雑な案件に集中でき、全体の一次解決率も向上します 。

  IVR導入時のデメリットと注意点 

 IVRには多くのメリットがある一方で、適切に設計・運用しなければ顧客体験を損なうリスクもあります。ここでは導入前に理解しておくべき課題と対策について説明します 。

 顧客体験への影響 

IVRの操作が複雑だと顧客にストレスを与える可能性があり、とくにメニュー階層が深すぎたり選択肢が多すぎたりすると、目的の部署にたどり着くまでに時間がかかってしまいます。実際に、階層の深さや音声案内の長さは、顧客の離脱率と強く相関することが知られています。また、高齢者やデジタル操作に不慣れな層にとっては、プッシュボタン操作そのものが負担になるケースもあります。
こうした課題に対応するには、「0番でオペレーターに直接つながる」などの逃げ道を必ず設け、複雑な問い合わせや緊急性の高い案件には柔軟に対応できるルートを用意することが重要です。

設計・運用上の注意点

IVRの効果は、メニュー設計の質に大きく左右されます。問い合わせ内容を十分に分析し、利用頻度の高い選択肢から順に配置することが基本です。
また、IVRは設定後も定期的な見直しが不可欠です。顧客の問い合わせ傾向や事業環境は変化するため、運用データをもとに最適化を図ることが求められます。加えて、システムの保守・更新体制の整備や、通話ログの定期的な分析、コールセンターシステムとの連携設定の確認なども、継続的な運用効果を維持するために重要な管理項目です。

  IVR導入のポイント

 IVRをスムーズに導入するためには、単なるシステム導入にとどまらず、計画的な設計と継続的な運用改善が欠かせません 。

 適切なメニュー設計

 IVRは顧客視点でのメニュー設計が重要です。過去の問い合わせ内容をもとに、利用頻度の高い項目から優先的にメニューに配置します。階層数は1階層あたり34項目、階層は23層以内にとどめると操作性が向上します。

 継続的な導入アプローチ 

IVRは導入して終わりではなく、利用状況や問い合わせ傾向に応じて定期的な最適化が必要です。初期段階ではシンプルな構成からスタートし、運用データを分析しながら分岐や対応内容を段階的に拡充していくのが効果的です。
また、アンケートや通話後フィードバックなどから顧客の声を収集し、改善に反映することで、満足度と利便性の向上が見込めます。

 システム選定時の考慮事項 

 IVRシステム選定では、長期的な運用を見据えた複数の観点からの評価が求められます。 

既存システムとの連携性
PBXやCTI、CRMなど既存の社内システムとスムーズに連携できるかを確認します。連携性が低いと、データの二重入力といった業務効率の低下を招く可能性があります。

拡張性と柔軟性
将来的な機能追加や業務変更に対応できる柔軟なシステムを選ぶことで、長期的な運用コストを抑えられます。事業成長に合わせてスケールできるかも重要な判断基準です。

運用・保守のしやすさ
設定変更のしやすさやサポート体制の充実度を確認することが重要です。従来のPBX内蔵型IVRでは、音声案内や分岐の変更をベンダーに依頼する必要があり、緊急時やキャンペーン対応の迅速化が難しくなります。一方、SaaS型や自社で管理可能なシステムであれば、現場の担当者でも設定変更が可能となり、運用効率を大きく高めることができます。

AI連携機能の有無
音声認識や自然言語処理能力との連携により、より直観的かつ柔軟な対応が可能になります。
IVR導入における費用相場や具体的なシステム選定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

IVR費用相場と選び方:IVRからボイスボット(AI自動応答)まで徹底比較

まとめ

IVRは、コールセンターの業務効率化と顧客満足度向上を両立できる有力な手段です。プッシュボタン式から音声認識式まで様々なタイプがあり、適切に設計・運用すれば、オペレーター負荷軽減、コスト削減、KPI改善など多くの効果をもたらします。
PKSHAでは、AI技術を活用したボイスボットソリューションPKSHA Voicebot を提供しており、従来のIVRをさらに進化させた自然な音声対話を実現します。IVRやボイスボットの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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