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目次
コールセンターや企業の電話対応において、オペレーター不足による顧客の待ち時間増加は深刻な課題です。この問題を解決するために電話自動応答システム(IVR)の導入を検討される企業も多いようですが、「費用がどれくらいかかるのか」「IVRとボイスボットのどちらを選ぶべきか」と悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、IVRの費用相場、ボイスボットの費用対効果のほか、導入のポイントについて詳しく解説します。
IVRとは?基本的な仕組みと進化
IVRの意味と仕組み
IVRとは、コールセンターやコンタクトセンターに導入される音声自動応対システムのことで、Interactive Voice Responseの略称です。
電話回線に着信が入ると、IVRが音声ガイダンスにて自動応答を開始し、発信した相手が音声ガイダンスに従ってプッシュ操作をすることで、問い合わせ内容へ自動回答したり、担当部署や窓口へ繋いだりする仕組みです。
IVRにできること
主な機能や役割は、自動受付や営業時間外の対応、適切なオペレーターへの振り分けです。
その他にも、有人対応と無人対応の切り替え、折り返しの電話機能SMS(ショートメッセージサービス)の活用などの機能・役割もあるため、多くの顧客を正しい連絡先へ繋ぎたい場合に便利です。
IVRの種類とボイスボット(AI自動応答):4つの選択肢
IVR(3種類)
① オンプレミス型IVR
自社内にサーバーやCTIシステムと呼ばれる専用装置を設置し、システムを構築・運用・管理を行う大規模なIVRです。金融機関やコールセンターなど大規模な企業で採用されることが多く、自社で運用を完結させることができ、必要に応じてカスタマイズができる特徴があります。
② クラウド型IVR
サービス提供会社のシステムをインターネット経由で利用する形式のIVRです。自社でサーバーや専用装置を設置する必要がなく、インターネットに接続できる場所ならどこでも利用できます。
③ ビジュアルIVR
通常のIVRは音声のみでの案内ですが、ビジュアルIVRはスマートフォンやPCの画面上に選択肢や案内が表示され、顧客がタップやクリックで進んでいく形式です。たとえば、問い合わせ先に電話をかけた際にSMSでURLが送られ、そこからWeb画面で目的の操作を完結できるようになっています。
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次世代のボイスボット(AI自動応答システム)
ボイスボットとは、人工知能(AI)を実装した、自動音声応答システムのことを指します。
IVRは、顧客が案内を聞いて該当するボタンをプッシュ操作することで、あらかじめ録音してある音声が自動再生されます。
一方でボイスボットは、顧客の発話内容に合わせて最適なシナリオで会話を進めていきます。
IVRの限界とボイスボット(AI自動応答システム)による解決策
AIを活用したボイスボットは、IVRの根本的な課題を解決する次世代ソリューションです。まずIVRの限界を明確にした上で、ボイスボットがどのように革新をもたらすかを見ていきましょう。
IVRの根本的限界
- 正しい選択肢を選ぶのが困難で、顧客が迷いやすい
- ナレーションが長く、待ちきれずに適当な番号を入力してしまう
- プッシュ操作の煩雑さにより顧客離脱しやすい
- シナリオ変更に時間とコストがかかる
- 高齢者や急いでいる顧客には不向き
これらの限界により、せっかくIVRを導入しても期待したコスト削減効果が得られず、むしろ顧客満足度の低下というリスクを抱える可能性があります。
ボイスボット(AI自動応答システム)の優位性
- 長いナレーションを聞く必要がない
- 顧客は用件を発話するだけで、適切な窓口に案内
- シナリオ変更が簡単で追加費用が大幅削減
- 顧客離脱率が大幅改善することにより機会損失を防止
- オペレーター窓口の割り振りだけでなく、手続き的な対応まで自動で完結できる
- 高齢者や急いでいる顧客でも直感的に利用可能
ボイスボット(AI自動応答)は、従来のIVRでは解決できなかった根本的な課題を解決し、業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現できるソリューションといえるでしょう。
ボイスボットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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導入費用の比較
IVRやボイスボットの導入を検討する際に最も気になるのが費用ではないでしょうか。導入形態によって大きく異なる初期費用と月額費用の相場を解説します。
導入にかかる費用相場
導入形態別費用比較表
導入形態 |
初期費用 |
月額費用 |
向いてる企業 |
オンプレミス型 |
数百万円〜数千万円 |
数万円程度 |
大企業・大規模コールセンター |
クラウド型 |
3万円〜5万円程度 |
3,000円程度 |
中小企業・一般オフィス |
ビジュアル IVR |
50万円程度 |
2万円程度 |
顧客体験重視企業 |
ボイスボット (AI自動応答) |
5万円〜80万円程度 |
1万円〜35万円 |
問い合わせが多い企業 一定量以上の対応が見込まれる企業 |
※費用は一般的な相場の目安であり、企業の業種・導入範囲によって大きく変動します。
隠れコストと注意点
IVR導入時に見落としがちな追加費用について考慮する必要があります。特に注意すべき隠れコストには以下のようなものがあります。
- 音声ガイダンスの制作費: プロのナレーターによる収録が必要な場合は別途費用が発生します(1本あたり5,000円〜3万円程度)
- システム連携費用: 既存のCRMやコールセンターシステムとの連携には追加開発費用がかかることがあります
- カスタマイズ費用: 業務フローに合わせたシナリオ設計やフロー変更には追加費用が発生する場合があります
- 保守・サポート費用: 定期的なメンテナンスやトラブル時の緊急対応費用を考慮する必要があります
- 回線費用: 電話回線の増設や高品質化が必要になる場合があります
これらの隠れコストも含めて総合的な導入コストを検討することが重要です。特にクラウド型IVRは初期費用を抑えられますが、長期運用を考えると月額費用の積み重ねでトータルコストが高くなる可能性もあるため、運用期間も含めた費用比較が必要です。
IVRと比較した際のボイスボットの費用対効果
ボイスボットの導入は、従来のIVRと比較してコスト面・機能面ともに検討すべき要素が多くあります。ここでは、導入判断における着眼点や費用対効果について整理します。
IVRとボイスボットの比較
顧客体験と生産性の向上
お客様目線では、自分の困りごとを言うだけで正しい窓口に誘導してくれるためストレスがありません。お客様が誤った窓口に誘導されるケースが減るため、無駄な応対や再転送が減少し、コールセンターの生産性も向上します。
運用の柔軟性
分岐を増やしても、アナウンスやシナリオ全体を修正する必要がなく、お客様の発話の分類を一つ増やす設定をするだけで対応できます。
拡張性
FAQとの連携や有人チャットへのスムーズな引き継ぎなど、対応チャネルの統合も視野に入れやすくなります。
費用対効果をどう捉えるか
導入費用は一般的にIVRより高額になる傾向がありますが、「オペレーターの対応時間削減」「応答率の向上」「顧客満足度の改善」など、業務全体への波及効果を踏まえて判断することが重要です。
また、運用面での手間・外注費の軽減が実現できれば、中長期的には総コストを抑えられる可能性もあります。
このように、ボイスボットは単なる音声応答ツールの進化版ではなく、顧客対応のDXを支える中核的な存在となり得ます。
まとめ
コールセンター業務において、オペレーター不足と顧客満足度向上の両立は多くの企業が直面する課題です。IVRは一定の効果をもたらしましたが、プッシュ操作の煩雑さや対応範囲の限界により、期待したコスト削減効果が得られないケースも少なくありませんでした。
一方、AI技術の進歩により登場したボイスボット(AI自動応答システム)は、自然な会話による顧客対応、手続き的な問い合わせの自動処理、継続的な学習による品質向上など、IVRでは実現不可能だった価値を提供します。
IVR選択において重要なのは、長期的な費用対効果です。複雑な問い合わせが多い企業、顧客体験の差別化を図りたい企業、持続的なコスト削減を重視する企業にとって、ボイスボットは最適な選択肢となります。
「PKSHA Voicebot」は、AIによる自然な応対とオペレーターとの効率的な分業を両立し、呼量の削減・24時間対応・人件費削減を同時に実現します。専任サポートによる伴走体制で導入から運用まで安心してお任せいただけますので、電話業務の効率化をお考えの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。