公開日/2022.8.10 最終更新日/2022.08.10
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ボイスボットとは?IVRとの違いや活用シーン、メリット・デメリット

ボイスボットってなに?

カスタマーサポート/コールセンター業界では、問い合わせたい顧客が電話をしても長時間待たされてしまうという課題が深刻化しています。
こうした課題を放置すると、顧客満足度が低下し、製品・サービスからの離脱に繋がります。
さらには、電話が繋がらないことで余計に苛立つ顧客からの問い合わせ対応に忙殺されるため、オペレーターの負担は増加し、離職率の増加にも繋がってしまうでしょう。

そこで注目を集めているのが、「ボイスボット」です。
当記事では、チャットボットやIVRとの違いや活用シーン、活用事例について解説します。

ボイスボットの基礎知識

(1) ボイスボットとは

ボイスボットとは、人工知能(AI)を実装した、自動音声応対システムのことを指します。
コールセンターでの顧客対応業務を、AIによる音声対話エンジンが代行してくれるというものです。音声合成技術を活用しているため、人と会話をしているような自然な発声が可能です。

主にボイスボットの種類には、AIが完全に自動応対する対話型や、お問い合わせ内容を解析して担当の有人対応へ転送するタイプがあります。

(2) ボイスボットの仕組み

ボイスボットには、あらかじめシナリオを設定するのですが、基本的な仕組みは以下の通りです。

①入電(音声を受信)

② 音声認識AIが音声を解析してテキスト化

③ テキスト化されたデータを自然言語処理システムが処理し、回答文を作成

④ 音声合成技術で回答文を読み上げて会話を進める

① 音声を受信 ……(繰り返し)

ボイスボットの仕組みを説明する画像

このように、音声認識から回答文読み上げまでを繰り返しながら会話を進めます。
また、会話量を重ねるほどAIの機械学習によって認識精度は向上していきます。

(3) IVRとボイスボットとの違い

IVR(Interactive Voice Response)とは、自動音声応答システムのことです。
IVRは、顧客が案内を聞いて該当するボタンをプッシュ操作することで、あらかじめ録音してある音声が自動再生されます。
宅急便の再配達、サービスの受付や解約の申し込みなどによく利用されます。

IVRでは企業が用意した限られた選択肢を顧客が選択するため、企業にとってはボイスボットよりもシナリオを把握・管理しやすいと感じるでしょう。

しかし顧客にとっては、必要の有無に関わらず流れる音声ガイダンスを最後まで聞く必要があり、良い顧客体験とは言えないでしょう。加えて、IVR上での操作を間違えると最初からやり直しになるという点は、分かりやすくストレスの原因となりえます。

一方のボイスボットは、顧客の発話内容に合わせて最適なシナリオで会話を進めていくため、相対的に見てユーザーフレンドリーといえるでしょう。

(4) チャットボットとボイスボットとの違い

チャットボットは、自動会話プログラムです。
ボイスボットと同様にAIを実装しているケースも多いですが、ボイスボットが発話音声のやりとりであるのに対し、チャットボットはテキストでやりとりを行います。

つまり、チャットボットとボイスボットとでは、顧客の利用チャネルが異なります。
PCやスマホを通してテキストで情報を求める顧客にとっては、チャットボットでのコミュニケーションが適していることが多いでしょう。
その一方で、電話で急いで問い合わせたい、ないしはPCやスマホでのテキスト入力が得意ではない、といった顧客にとっては、ボイスボットでの音声コミュニケーションが適しているといえるでしょう。

(5) ボイスボットが活用されているシーン

各業界のカスタマーサービスと呼ばれる領域で、Web接客やカスタマーサポートの有力ツールとして積極的に活用が進んでいます。

① 金融・保険、通信サービスでのコールセンターの各種受付

FAQやチャットボットといったノンボイスツールの活用が一般化している金融や通信サービスの領域ですが、未だに電話でのお問い合わせニーズは高く存在します。

そこで、「24時間365日稼働のコールセンター」を実現すべくボイスボットの導入も増えています。

② EC・通信販売での注文等の申し込み受付

EC・通信販売を運営するサービスでは、注文に関わるコミュニケーションはスピーディーに、解約に関わるコミュニケーションには丁寧に行うことが重要とされています。

そこで、スピーディーに行うべき注文手続きをボイスボットに任せ、丁寧に行うべき解約対応にコールセンタースタッフの有人対応リソースを割く、という形をとる企業が増えています。

③ 飲食店やホテルの予約・受付

飲食店やホテルの予約・受付でもボイスボットの導入が進んでいます。
昨今のボイスボットは精度が高く、顧客の音声を正確に聞き取れるうえ、ツールによっては多言語に対応するものもあります。
そのため、各方面から寄せられる予約や受付に関するお問い合わせ対応を自動でこなすことができるのです。

ボイスボットを導入する6つのメリット

(1) 「あふれ呼」・「放棄呼」による機会損失を回避できる

受電が集中し、有人対応に限界がくると、「あふれ呼」や「放棄呼」が起こってしまいます。
そこにボイスボットという新しいチャネルが加わると、「あふれ呼」「放棄呼」による機会損失を最小限に抑えることが可能になります。

電話が繋がるまでの待ち時間をなくし、顧客が直面している問題を最短で解決することが出来れば、顧客のストレスを最小限に抑えながら満足度の向上を図ることができます。

(2) 夜間や営業時間外の対応が可能になる

オペレーターによる有人対応では、対応できる時間に限界があります。そのため顧客が問い合わせしたい時間にいつでも応対できるわけではありません。

ある調査によると、50%以上もの顧客が「夜間や深夜」でのカスタマーサポート対応を第一に望んでいる、という結果が出ています。顧客ニーズが最も大きい時間帯に事業会社側がカスタマーサポートを提供できていない、というのは由々しき事態といえます。

50%以上もの顧客が「夜間や深夜」でのカスタマーサポート対応を第一に望んでいる

その点、ボイスボットであれば24時間365日いつでも電話でのお問い合わせに対応できるため、夜間や営業時間外でもカスタマーサポートを提供できるのです。

(3) オペレーターの負担軽減に繋がる

従来では、オペレーターはかかってくるすべての電話に対応する必要がありました。入電数が多く人材不足の現場では電話応対に手が回らずクレームに繋がってしまうことも少なくありませんでした。

しかし現在では、ボイスボットを活用することによりスタッフが対応する案件は一気に減少し、顧客とはコールリーズンに応じて適した通話時間を持つことができるようになってきています。。

(4) オペレーター業務の効率化に繋がる

ボイスボットは、電話をかけた顧客から自動でヒアリングを行います。その際に顧客へ適切な回答をして解決させる、または適切なお問合せ先に繋げることもできます。
頻繁に受ける質問への対応をボイスボット任せれば、オペレーターの業務効率向上に繋がります。

また、ボイスボットによっては既存のクラウドPBXとも連携できます。
チャットボットやクラウドPBXをボイスボットと連携させれば、テレワークにおけるお問い合わせ対応業務もかなりの効率化が見込めるでしょう。

(5) 人材の定着に貢献

顧客からのクレーム対応等も一手に引き受けるコールセンターのオペレーターは、精神的な負荷が非常に大きく、離職率の高さや人手不足が常に深刻な状態です。

そんな現場においてボイスボットは、
オペレーターに繋ぐ必要のない定型的なお問い合わせの自動対応(前さばきだけでなく対話完結まで)を担うことで、業務負荷を軽減するのと同時に、有人対応の必要のないお問い合わせに関する学習・育成コストも削減することが可能です。

(6) 顧客満足度の向上を図ることができる

ボイスボットを既存の社内ツールや顧客データと連携することで、顧客満足度の向上を図ることができます。

例えば、ECサイトを運営して顧客データを持っている場合、
ボイスボットと顧客データを連携させて、定期便の配送頻度の変更等をボイスボットで受け付けることが可能になります。

ボイスボットの3つのデメリット

(1) IVRに比べて精度が劣る場合がある

ボイスボットは、音声認識の精度が課題とされています。顧客自らが番号入力する従来のIVRと比較すると、誤認識が生じるリスクがあります。
しかしながら、対応回数を重ねれば機械学習により対話の精度は向上が見込めます。

(2) 複雑な問い合わせ内容が正確に把握できないことがある

ボイスボットは、音声認識の精度がある程度高くても、人間の複雑な心理や文章構造を読み取ることは苦手です。
ユーザーの通話環境によってはうまく聞き取れないこともありますし、ボイスボットにあらかじめ設定されていないシナリオの会話が発生した際は柔軟に対応できない場合があります。

そのため、顧客の発話内容を繰り返すように設定されるケースが多いです。
また、通話終了後に顧客のSMSなどへ通話内容の概要を送信し、内容に誤りがないか確認してもらうという対策が一般的です。

(3) 常に精度やシナリオ改善が必要

ボイスボットは、導入する段階でもある程度の性能はあるものの、人間の心理や複雑な会話構造が重なった音声情報の処理は困難です。
そのため、ボイスボットに何度も対応を繰り返して学習させ、お客様窓口としての精度を上げる必要があります。

ボイスボットの活用事例3選

事例1:三井住友海上あいおい生命保険株式会社

三井住友海上あいおい生命さまの事例紹介画像

▼企業概要
〔業種〕 金融(生命保険)
〔事業内容〕 生命保険業
〔導入目的〕 応答率向上とBCP対策強化

▼課題
● 受電件数の増加による応答率の低下
● 自然災害やコロナ禍に対するBCP対策

▼効果
● 応答率の改善
● 入電数の1割を自動応答化
● コロナ禍の電話急増の影響を抑制

事例2:株式会社バルクオム

バルクオムさまの事例紹介画像

▼企業概要
〔業種〕 化粧品
〔事業内容〕 化粧品の企画、販売
〔導入目的〕 定型的問い合わせの自動化、BCP対策

▼課題
● 災害時やコロナ禍におけるコールセンターのBCP対策
● 解約引き止めによるLTV向上

▼効果
● LTV向上に貢献しない定型的問い合わせを自動化
● オペレーターが解約希望顧客の「真のニーズ」を引き出し、契約継続に成功
● オペレーターの教育期間短縮やトークスキル向上にも貢献

事例3:株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズ

ハルメクビジネスソリューションズさまの事例紹介画像

▼企業概要
〔業種〕 通信販売
〔事業内容〕 コールセンター、フルフィルメントセンターの受託
〔導入目的〕 注文受付の放棄呼削減

▼課題
● 事業拡大に比例した入電数増により放棄率上昇
● 注文の電話を逃すことによる機会損失

▼効果
● 月間1万件を超える注文受付の自動応答化
● 放棄率を10〜20%改善
● 自動応答した注文のハンドリングタイムを25%削減

ボイスボット活用で、カスタマーサービスをアップデートしよう

ボイスボットの活用は、24時間365日の電話対応を可能にするだけでなく、オペレーターの心身の負荷を軽減し、“人ならでは”のおもてなし力を強化する作用も見込めます。

人手不足がより深刻化していくという潮流もありますが、人がより人らしいカスタマーサービスを提供していくためにも、ボイスボットという受け皿は今後いたるカスタマーサポート現場でスタンダードとなっていくでしょう。

この記事の執筆者

CXジャーナル編集部

「顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“」というタグラインのもと、顧客とのコミュニケーション・カスタマーサービスに関するあらゆる問いにお答えしていくことをミッションにしています。 (運営元:株式会社 PKSHA Communication)

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