公開日/2022.11.14 最終更新日/2022.11.22
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ネガティブチャーンとは?計算方法や発生させる方法、注意点

ネガティブチャーンとは?

サブスクリプション型サービスの提供により毎月安定した収益が得られることから、SaaS事業が注目を集めるようになりました。
そうしたSaaS事業を展開する企業にとって、非常に重要な役割を持っているのがネガティブチャーン。

SaaS事業はユーザー数が多いほど増収に繋がりますが、解約率と収益の関係について把握するのは困難です。そこでネガティブチャーンというKPIを用いて分析することで、SaaS事業における課題や取り組むべき戦略の手掛かりとなります。

本記事では、ネガティブチャーンの計算方法や発生させる方法、注意点などについて解説していきます。

ネガティブチャーンとは

ネガティブチャーンは、SaaS事業を展開している企業にとって重要な数値です。算出方法や数値が示す意味が理解できれば、取り組むべきビジネス戦略が見えてきます。

(1) ネガティブチャーンの意味

ネガティブチャーンとは、自社サービスの解約によって減少した収益の額と、既存顧客から得た新規の収益額を比較した際、既存顧客から得た新規の収益額が上回った状態のことを言います。

既存顧客から得た新規の収益の内訳は、アップセルやクロスセル効果によるものが挙げられます。
アップセルとは、顧客一人当たりの単価を上げるための取り組みを指し、
クロスセルとは、商品のセット販売やキャンペーンなどで上乗せ販売を実現させるための取り組みを指します。

つまり、ネガティブチャーンの状態にあるときは、レベニューチャーンレートがマイナスになっている状態でもあります。

※レベニューチャーンレートとは、収益を基準に割合を算出するチャーンレート(解約率)のことです。

さらにレベニューチャーンレートは、「グロスレベニューチャーンレート」と「ネットレベニューチャーンレート」の2つに分類できます。
「グロスレベニューチャーンレート」は、解約やダウングレードによる損失額をベースに算出されるチャーンレート。
「ネットレベニューチャーンレート」は、解約やダウングレードによる損失額と、アップグレードやクロスセルによる増加分を合算した金額をベースにして産出されるチャーンレートです。
ネットレベニューチャーンレートのみマイナスの値が算出される状態がネガティブチャーンです。

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(2) SaaSビジネスにおいてネガティブチャーンが重要な理由

収益拡大のためには、たとえ解約やダウングレードによる損失が出た場合も、他の収益で補填する必要があります。とはいえ新規顧客の獲得にはコストがかかります。そこでネガティブチャーンの達成を目指すことで、大きなコストをかけなくても既存顧客による収益を安定させられ、企業の成長につながります。

(3) ネガティブチャーンの計算方法

ネガティブチャーンの計算には、ネットレベニューチャーンレートの計算式を使用します。

【ネガティブチャーンを算出するための計算式】
{(当月の解約で失ったMRR – 当月のExpansion MRR)÷ 先月末時点でのMRR}×100

MRR(Monthly Recurring Revenue)とは、サブスクリプションやクラウドサービスなどから毎月繰り返して得られる収益のことです。
また、Expansion MRRとは前月よりも上位のプランへアップグレードした顧客のMRRのことで、日本語では拡張月間経常利益と訳すことができます。

もう少し具体的に、計算式を利用してみます。
ある企業が展開しているSaaS事業において、一定期間、以下の状態になったとします。

・先月末時点のMRR:50万
・当月に解約によって損失したMRR:10万円
・当月にアップセルやクロスセルによって増額したMRR:15万円

計算式に当てはめると以下のような式ができあがります。

{(10-15)÷50}×100=-10%

算出された数値がマイナスということは、損失分よりも増額分が上回っていることを表しています。
つまり、ネットレベニューチャーンレートがマイナスであり、ネガティブチャーンの状態であるとわかります。

ネガティブチャーンを発生させる方法

コストをかけずにSaaS事業の収益を上げるには、新規顧客の獲得よりもネガティブチャーンの状態を作り出すことが重要です。ネガティブチャーンの状態にする方法は複数あります。

(1) 解約率を減少させる

ネガティブチャーンを発生させるためには、ベースとなる収益を減らさないよう解約率を下げることが大切です。
解約率を減らすためには、商品やサービスの品質向上、料金プランや価格の見直しなど、改善や開発に取り組む必要があるでしょう。

(2) MRRを増加させる

既存顧客からアップセルやクロスセルを獲得することでMRRを増加させれば、最終的にはレベニューチャーンレートの改善にも繋がります。

たとえば、

●既存顧客に、展開しているSaaSサービスへのアカウントを追加してもらう
●既にサービスを利用している人向けに、アップグレードの勧誘を行う

などが効果的です。

(3) 料金の値上げやオプションの有料化を行う

提供しているサービスの値上げを行うことで、既存顧客からの収益を上げます。
ただし、料金の値上げは顧客の反発を非常に買いやすく、解約に繋がりやすいです。そのため値上げをする分の追加サービスの提供や優遇措置を用意する必要があるでしょう。

(4) 顧客ロイヤルティの高いロイヤルカスタマーを育成する

新規顧客の獲得よりも、既存顧客一人あたりからのLTV(顧客生涯価値)を上げた方が、よりコストが抑えられるうえ収益に繋がります。

そのためには、カスタマーサクセスを作り、顧客ロイヤルティの高いロイヤルカスタマーの育成が不可欠です。
ロイヤルカスタマーは企業への根強いファンとなってくれるため、多少のサービスの値上げでも解約する可能性は低いです。さらに多くのサービスを利用してくれるため、企業にとって非常に心強い存在です。

ネガティブチャーンの達成を目指すときの注意点

ネガティブチャーンの達成は難易度が高いです。
ネガティブチャーンの達成のみにこだわりすぎると、既存顧客を大切にして解約率を下げ、収益を上げるという本来の目的を見失いかねません。
そのため、こだわりすぎて強引なクロスセルを行ったり大幅にサービス料金を引き上げたりすると、かえって顧客満足度が下がる恐れがあります。

ネガティブチャーンはあくまでも努力目標として、解約率の低減や顧客との関係性の構築など、顧客ベースでサービスの向上に努めることを第一優先にすべきでしょう。

ネガティブチャーンはSaaS事業の指標として活用すべし

ネガティブチャーンは、SaaS事業において、P/Lの改善やカスタマーサクセス(カスタマーセールス)、カスタマーサポートなどの改善点を導き出すために、重要視すべき数値です。
しかし他方では、顧客満足度を下げてしまうリスクも孕んでいます。

そのため、ネガティブチャーンを考える際には、顧客ロイヤルティ向上施策やアップセル/クロスセル活動をはじめとしたカスタマーサクセス戦略と十分に同期をとることが重要です。

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この記事の執筆者

CXジャーナル編集部

「顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“」というタグラインのもと、顧客とのコミュニケーション・カスタマーサービスに関するあらゆる問いにお答えしていくことをミッションにしています。 (運営元:株式会社 PKSHA Communication)

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