公開日/2022.7.21 最終更新日/2022.07.21
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チャーンレートとは?種類や計算方法、解約率を下げる改善のポイント

チャーンレートとは?

目次

月額制の価格体系のサブスクリプションビジネスモデルにおいて、重要な指標となるのが「チャーンレート(解約率)」です。チャーンレートの悪化は利益の減少、事業成長の鈍化に直結するため、しっかりとその意味を理解して対策を実施する必要があるでしょう。

当記事では、チャーンレートの重要性と基礎知識から計算方法、BtoB、BtoCに共通する改善ポイントの代表的な手法等をまとめて解説します。

チャーンレートの概要

チャーンレートの定義や平均的な目安について説明します。会社によっては「顧客離脱率」や「退会率」と呼ばれることもあるので、その本質を理解しておきましょう。

(1) チャーンレートの定義

チャーンレート(Churn Rate)は「解約率」という意味です。

一定期間内における自社のサービスの利用を辞めてしまった人の割合を示すため、数ある指標のなかでも顧客満足度をダイレクトに示す指標とされています。
そのため、定期購入や契約更新がある会員制ビジネスにおいては特に重視されることが多いです。

チャーンレートが悪化に比例して売上高や収益も減少するため、常に状況をモニタリングして製品やサービスの改善を繰り返す必要があります。

(2) チャーンレートの平均と目安

月次のチャーンレートの平均は3~10%とされています。目安に幅があるのは、製品やサービス形態、企業の成長ステージによって細かく異なるためです。

例えば、BtoBのサービスのチャーンレートはおよそ6%が目安です。
一方、BtoCは7.5%あり、一般消費者向けのチャーンレートの方が少し高めに設定されているのです。
また、目標値はスタートアップ企業であれば約3%、大手企業は0.5~1%が目安とされています。
チャーンレートが低ければ解約する顧客の割合も少なくなり、継続期間の長期化にもつながるため望ましい状態といえるでしょう。

競合他社や業界のチャーンレートを調べて平均的な割合を把握することで、自社サービスの正確な立ち位置の理解にも繋がるのではないでしょうか。

(3) チャーンレートとLTVの関係

チャーンレートを理解するうえで重要な指標が「LTV(ライフタイムバリュー)」です。
LTVは「Life Time Value」の略語で日本語では「顧客生涯価値」とも呼ばれ、一人の顧客が将来にわたって企業にもたらす利益の合計を指します。

LTVとチャーンレートは密接に関わっており、チャーンレートが下がる(改善する)とLTVは向上し、逆に上がる(悪化する)とLTVも低下する傾向があります。つまり、チャーンレートを下げることはLTVを向上させる重要な要素の1つといえるのです。

さらにチャーンレートとLTVは、顧客が自社のサービスに感じる信頼や愛着を示す「顧客ロイヤルティ」を向上することで改善が図れる、という点でも相関を持っています。

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チャーンレートが注目を集める理由

近年、多様な業種、業態の企業でチャーンレートに注目が集まっています。その代表的な3つの理由を紹介します。

(1) サブスクリプションビジネスの一般化

近年、スマートフォンの普及や通信技術の進歩により、SaaSを中心とした「サブスクリプション型サービス」が目覚ましい発展を遂げています。

BtoB、BtoCのどちらのSaaSにおいても、できるだけ長くサブスクリプションを利用してもらうことが収益の基本です。
短期解約が増加すると大きな損失に繋がるため、チャーンレートをKPIの指標にして事業の成長性やコンディションを計測するケースが増えているのです。

① BtoBのSaaS(例)

CRM・SFAなどのビジネスプラットフォーム、画像・イラスト制作のソフトウェアなど

② BtoCのSaaS(例)

動画配信サービスの有料会員、ネットモールの有料会員、家計簿アプリのサービスなど

(2) 顧客の獲得コスト(CAC)の削減に繋がる

解約者数が多い場合、マイナスを補うために新規顧客獲得のための施策を強化しなければならなくなります。

ただ、現代のビジネスシーンでは、新規契約の獲得は既存顧客に対するサービスの提供の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」という考え方が主流になりつつあります。
効率的で効果的な経営を行うには、新規顧客の獲得にコスト(CAC:Customer Acquisition Cost)は極力抑えながら事業成長を目指す必要があるといえるでしょう。

そこで既存顧客の人数の維持に直結するチャーンレートを改善し、LTVの向上を図る企業が増えているのです。

(3) サービスに対するユーザーニーズを確認できる

ユーザーのニーズを把握して適切に応え続けることは、事業の拡大にとって大切な行動指針の1つです。その点、チャーンレートの増減や解約理由を分析することは、自社サービスの改善点やユーザーニーズの把握に役立ちます。

また、年間を通して分析し数値を活用することで、チャーンレートが高まる時期やタイミングも分かるためマーケットリサーチにも繋がるでしょう。

チャーンレートの種類

チャーンレートには「カスタマーチャーンレート」、「アウトカウントチャーンレート」、「レベニューチャーンレート」の3種類に大別できます。それぞれの特徴を説明します。

(1) カスタマーチャーンレート(Customer Churn Rate)

顧客数ベースで算出するチャーンレートのことです。
「カスタマーチャーン」とも呼ばれることがあり、最も利用されるチャーンレートであることから「チャーンレート」というとカスタマーチャーンレートを指すケースも珍しくありません。

一定期間内に解約した人、もしくは有料会員から無料会員にダウングレードした人数が基準となります。

(2) アカウントチャーンレート(Account Churn Rate)

サービスに登録しているアカウント数をベースに算出するチャーンレートのことです。
しばしば、カスタマーチャーンレートと混同されますが、会社や家族単位でアカウントを共有するケースや1人で複数のアカウントを作成する場合があるなど、利用者数とアカウント数は必ずしも同じではありません。そのため、厳密には異なるレートとして扱われます。

(3) レベニューチャーンレート(Revenue Churn Rate)

レベニューチャーンレートは、収益を基準に割合を算出するチャーンレートのことです。
収益をベースに算出することで、同サービスの中で複数の価格帯のプランを提案している際に「価格帯別の解約率」や「収益の増減」の把握が可能です。

また、レベニューチャーンレートは「グロスレベニューチャーンレート(Gross Revenue Churn Rate)」と「ネットレベニューチャーンレート(Net Revenue Churn Rate)」に大別できます。それぞれの特徴を確認してみましょう。

① グロスレベニューチャーンレート(Gross Revenue Churn Rate)

一定期間内に発生した解約やダウングレードによる損失金額をベースに算出するチャーンレートです。「グロスMRRチャーンレート (Gross MRR Churn Rate)」と呼ばれることもあります。
また、グロスレベニューチャーンレートはあくまで既存顧客から得られる収益が対象であり、同期間内に獲得した新規顧客からの利益は対象外であることも覚えておきましょう。

② ネットレベニューチャーンレート(Net Revenue Churn Rate)

解約やダウングレードによる損失だけでなく、サービスのアップグレードやクロスセルによって得た利益も含めた金額の割合を示すチャーンレートです。売上全体の把握や予測に役立つ指標です。

また、ネットレベニューチャーンレートのみマイナスの値が算出されるケースがあります。このような状態を「ネガティブチャーン」といい、損失よりも利益が上回っていることを示す「良好な状態」であり、ネットレベニューチャーンレートにおいては、目指すべき状態なのです。

チャーンレートの計算方法

チャーンレートの種類によって算出方法は異なります。前述した4種類のチャーンレートの計算方法を例に挙げながら紹介するので確認してみてください。

(1) カスタマーチャーンレートの算出方法

カスタマーチャーンレートは顧客数を基準に算出するため、期間当初の顧客数から解約数を割ることで求められます。計算式は以下となります。

カスタマーチャーンレート = (一定期間内に解約した顧客数 ÷ 期間当初の顧客数) × 100(%)

期間内に20人が解約し、期間当初の顧客数が2,000人だった場合のカスタマーチャーンレートは1%となります。

(20 ÷ 2,000) × 100 = 1%

(2) アカウントチャーンレートの算出方法

期間内で失ったアカウントをベースに算出するのがアカウントチャーンレートです。消失したアカウントを期間当初のアカウントから割ることで算出可能です。

アカウントチャーンレート = (期間内で消失したアカウント数 ÷ 期間当初のアカウント数) × 100(%)

期間内で100アカウントが消失。期間当初のアカウント数が5,000だった場合のアカウントチャーンレートは2%です。

(100 ÷ 5,000) × 100 = 2%

(3) グロスレベニューチャーンレートの算出方法

グロスレベニューチャーンレートは、対象となるサービスやプランなどから得ている期首の収益額から期間内の損失額を割って算出します。

グロスレベニューチャーンレート = 期間内の損失額 ÷ 期首の定期収益額 × 100(%)

例えば、期間内の損失額が100,000円で期首の定期収益額が1,000,000円の場合のグロスレベニューチャーンレートは10%となります。

(100,000 ÷ 1,000,000) × 100 = 10%

(4) ネットレベニューチャーンレートの算出方法

ネットレベニューチャーンレートは、損失額から増収額を差し引いた数値と期首の定期収益を割って計算します。このとき、増収額が損失額を上回っていた場合は「ネガティブチャーン」となり、マイナスの値が算出されます。

ネットレベニューチャーンレート = (期間内の損失額 – 期間内の増収額) ÷ 期首の定期収益額 × 100(%)

期間内の損失額が100,000円、期間内の増収額が50,000円、期首の定期収益額が600,000円の場合のネットレベニューチャーンレートはおよそ8.3%となります。

(100,000 – 50,000) ÷ 600,000 × 100 = 約8.3%

チャーンレートが高まる3つの原因

チャーンレートが高まる(悪化する)代表的な原因を3つ紹介します。製品、サービスや業種などを問わず、課題になるケースが多いのでぜひチェックしてみてください。

(1) 製品やサービスの品質が低い

当然ではありますが、製品やサービスの質が悪い場合、顧客が不満を理由に解約する傾向が強まります。

その具体的な理由としては「価格と求める性能の不一致」、「サポートを含めた価値提供や顧客体験の不足」、「競合他社の優位性向上勝った」などが挙げられます。

(2) 業務形態の変化によりサービスが不要になった

BtoB向けのSaaSの場合、顧客の組織構成や業務内容の変更によってサービスそのものが不要になってしまうケースがあります。
また、BtoCにおいても家族構成、生活環境の変化による解約も珍しくありません。

クライアントや顧客の状況が多分に含まれるため、サービスの提供側だけでは対策が難しいケースといえるでしょう。

(3) 顧客データの分析が不足している

顧客データの分析とその結果を活かした既存顧客のフォロー不足も、チャーンレートが高まってしまう代表的な原因の1つです。

このケースでは、顧客エンゲージメント(顧客満足度)の不足がチャーンレートの悪化に繋がっているケースが多いため、DMやアンケート、アフターフォローの強化などを行い顧客とのより良い関係の構築が求められます。

チャーンレートを下げる改善方法の具体例

チャーンレートを低下(改善)させるための改善方法を5つ紹介します。

(1) 製品やサービスの品質の向上

製品やサービスの品質を向上し、顧客が不満を抱くリスクを低減できればチャーンレートが改善する可能性が高まります。定期的なヒアリングやユーザーアンケートなどを行い、サービスの改善点を分析してPDCAサイクルを回すことが大切です。

また、製品そのものに問題がない場合、セールスの内容を見直すなど、製品やサービスの魅力・メリットを適切に伝えられるよう改善しましょう。

(2) 価格や料金プランの見直し

価格と性能が不一致でチャーンレートが悪化している場合は、競合他社などと比較しながら料金が適切であるか確認する必要があります。

また、初期費用のコスト的な優位性があったとしても、ランニングコストが高ければ解約を検討されてしまうリスクが高まります。継続しやすいプランであるか見直す必要があるケースもあるでしょう。

(3) カスタマーサクセスの最大化

BtoBのSaaSの場合、業務効率化や利益の増大といった目標を達成するために導入するケースが多いです。そのため、導入後に顧客の利益を最大化するための「カスタマーサクセス」を実現し、事業成長を促進できるよう支援することが、サービスをより長期間利用してもらえる理由に直結します。

アフターフォローなどによる顧客満足度の向上だけでなく、顧客の成功に必要なサービスの品質、性能の向上が求められることもあるでしょう。

(4) 顧客との関係構築

顧客との関係をより良くし、製品やサービスに愛着を持ってくれる「ロイヤルカスタマー」をつくることもチャーンレートの低下に直結します。
ロイヤルカスタマーは一般的な顧客と比べると、新製品の購入のハードルが低くアップセルも検討してくれやすいためLTVの向上にも繋がります。

ロイヤルカスタマーになってもらうためには、購入後や接客後のアフターフォローが欠かせません。

(5) SaaS管理ツールの導入

チャーンレートを把握して分析するためにはサービスや製品の利用状況を適切に管理する必要があります。その方法はさまざまですが、SaaSにおいては管理ツールの導入が一般的です。

SaaS管理ツールを使えば、顧客管理と分析が効率化できるほか、レポーティングの作業の省力化、カスタマーサクセスの最大化にも貢献できます。

チャーンレートの改善は、事業成長に直結する

チャーンレートはSaaSのほか、さまざまな事業で役立つ指標です。カスタマーチャーンレートやネットレベニューチャーンレートなど、自社のサービスに適したチャーンレートを算出して、事業の成長に役立てましょう。

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この記事の執筆者

CXジャーナル編集部

「顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“」というタグラインのもと、顧客とのコミュニケーション・カスタマーサービスに関するあらゆる問いにお答えしていくことをミッションにしています。 (運営元:株式会社 PKSHA Communication)

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