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チャットボットは、問い合わせ対応を自動化する会話プログラムのことで、企業の業務効率化に貢献します。また、オペレーターの負担軽減や顧客満足度向上にも効果的であり、多くの企業が導入を進めています。しかし、運用に失敗して期待した成果が得られないケースも少なくありません。
そこで本記事では、チャットボット導入の失敗事例、その原因や改善策、活用のポイントを解説します。カスタマーサポートやコールセンターの運用担当者の方などは、ぜひ参考にしてください。
「チャットボットは役に立たない」と感じる主なケース
チャットボットは問い合わせ対応をサポートする便利なツールですが、使い方によっては十分な力を発揮できない場合があります。以下では、そのような失敗例を紹介します。
チャットボットが利用されていない
チャットボットを導入しても、ユーザーに利用されていない場合は成果が上がりません。問い合わせ業務が改善することもなく、役に立たないと感じてしまうことがあるでしょう。利用促進のためには以下のような施策が重要です。
- Webサイトやポータルサイトの分かりやすい場所に設置する
- 従業員が使うチャットツールと連携させる(社内サポートの場合)
なお、社内向けのチャットボット運用では、マーケティング部との協力も必要となるため、事前に組織体制を整備しましょう。
チャットボットで顧客の悩みを解決できていない
チャットボットを導入することで、有人対応の工数を減らし、問い合わせ対応の業務を効率化できます。しかし、チャットボットだけで解決できる課題が少なければ、十分なメリットを得られない可能性があります。
FAQ(よくある質問)を設置することで、チャットボットで解決できなったユーザーを自己解決に促すことができます。また、FAQにない質問にも対応できるように、チャットボットとオペレーターの連携も重要です。チャットボットが解決できない問い合わせは、スムーズにオペレーターに引き継ぐことで、ユーザーの満足度を向上させることができます。
チャットボットが役に立たないときに考えられる原因と改善策
チャットボットを導入しても、期待した効果が得られない場合があります。ここではその原因と改善策をご紹介します。
チャットボットが自社の目的に合っていない
チャットボットの導入を検討する前に、導入目的を明確にすることが重要です。自社の目的に合っていないツールやシステムを導入しても、課題解決につながらないからです。目的の例としては、以下などが挙げられます。
- CVRの改善
- 顧客対応の効率化
- 顧客満足度の向上
チャットボットを活用する目的や導入後の成果がイメージできていなければ、適切なツールやシステムを選択することはできないでしょう。
改善策としては、導入前に自社の課題を洗い出すことが有効です。自社の課題を整理し、導入目的を明確にして、適切なチャットボットを選びましょう。なお、チャットボットが搭載している機能は開発したベンダーごとに異なるので、複数のチャットボットを比較・検討することをおすすめします。
導入後の運用に時間を割けていない
チャットボットは導入するだけでなく、チューニング(分析と改善)を繰り返すことが大切です。情報のメンテナンスができないと、ユーザーの疑問に対して適切な回答をすることができないからです。社内で運用体制が整っていない場合は、チャットボットを正しく活用することは難しいでしょう。
そのため、チャットボットの導入時には運用体制を構築することが必要です。運用担当者やチームを設け、利用状況の分析や問題点の抽出を行い、適切な調整を行うようにしましょう。
チャットボットの回答の精度が低い
チャットボットの回答精度が低い場合、ユーザーは問題解決がスムーズに行えず、役に立たないと判断する可能性があります。回答精度が低くなる主な原因は不適切な学習データなので、以下の改善策を参考にしてみてください。
- リリース前に学習期間やテスト運用期間を設ける
- チャットボットの活用用途を絞り、用途に応じた情報を登録する
- 定期的なメンテナンスで、情報の量と質を見直す
また、チャットボットだけでは回答できない場合に備え、有人対応との連携体制を整えることも重要です。
必要なFAQが整っていない
必要なFAQ(よくある質問)が登録されていない場合、チャットボットの運用は失敗する可能性があります。求めている情報が用意されていなければ、ユーザーは電話やメールで問い合わせをすることになるからです。
有効な対策は、チャットボットを本格的にリリースする前に、テスト運用を実施することです。十分に準備をしたつもりでも、運用をする中でFAQの不足や回答精度の問題は発生します。FAQの追加修正を繰り返して、チャットボットの完成度を高めましょう。
チャットボットの存在が認知されていない
ユーザーがチャットボットの存在に気付かず、導入が失敗するケースもあります。つまり、WebサイトやSNSにチャットボットを設置したとしても、不適切なUI設計などが原因で、訪問したユーザーに利用してもらえないのです。
このような事態を防ぐには、以下のように視覚に訴える方法が効果的です。
- アクセスしやすい場所に設置する
- 親しみやすいデザインにする
- バナーを大きくする
ただし、WebサイトやSNSの訪問者数そのものが少ないケースも考えられるので、プラットフォームを認知してもらう取り組みも必要です。
チャットボットが使いづらい
導入したチャットボットに多様な機能が搭載されている場合、逆に操作が難しくなることがあります。ユーザーはITリテラシーの高い人ばかりではないので、使い方が理解されず、利用されなくなります。
改善策としては、チャットボットを導入する際に、自社のニーズに応じて使う機能や用途を絞りましょう。また、UI・UXに優れたチャットボットを選ぶのもポイントです。
チャットボットのUI改善が重要な理由とは?取り組む手順やポイント
チャットボットを役立たせるための活用のポイント
最後に、チャットボットの導入効果を最大化するための活用方法について解説します。
システムの導入前にテスト運用を行う
本格的にシステムを導入する前には、テスト運用期間を設けることをおすすめします。実際に運用することで、不足しているFAQや、ユーザーにとって理解しづらい回答が明らかになるからです。それらの問題点を基にFAQやシナリオを修正すれば、以下のようなメリットが得られます。
- ユーザーニーズを把握できる
- UI/UXを調整できる
- 質問への回答精度が向上する
- 顧客満足度が向上する
また、テスト運用期間中には、チャットボットを設置するプラットフォーム(WebサイトやSNSなど)を試すことも可能です。
チャットボット運用におけるKPIを設定する
企業が自社の目標達成度合いを評価するために用いるKPI(重要業績評価指標)は、チャットボット運用においても重要な役割を果たします。KPIを設定することで、チャットボット導入の効果が測定でき、運用の改善につなげることができるのです。一般的には、以下のような「問い合わせの削減数」に関連する指標が活用されます。
- 回答率:ユーザーの質問に回答できた割合
- 正答率:ユーザーの質問に正しく回答した割合
- 解決率:回答に対するユーザーの満足度を示す割合
KPI設定により、チャットボットの課題や運用の成果を可視化できます。
必要に応じて有人対応と連携できるようにする
チャットボットはFAQや簡単な問い合わせには返答できますが、複雑な質問への対応は苦手です。AIに学習させて回答精度を高めるのも選択肢の1つですが、手間と労力がかかるため、必ずしも費用対効果は高くありません。
そのため、チャットボットが答えられない質問が寄せられた場合、人間のオペレーターに転送する体制を整備することが重要です。人の手が介入することで、多様な要望に応えることができます。
チャットボットが役に立たないのは使い方が原因
チャットボットは、問い合わせ件数の削減や業務効率化など、多くのメリットを提供する優れたツールです。しかしながら、使い方を誤ると十分な導入効果が得られず、役に立たないと感じる可能性もあります。そのため、本記事で紹介したポイントを参考にして、導入前の準備やその後のメンテナンスを怠らないようにすることが大切です。
チャットボットの導入を検討している場合は、自社に合った製品を導入し、定期的に改善を行うことを意識してみてください。
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