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欠勤率は、コールセンター(コンタクトセンター)の運営をする上で重要な指標です。欠勤率が悪化すると、顧客応対の品質低下や離職率の増加、オペレーターのモチベーション低下につながる可能性があります。そのため、現場の管理者は欠勤率について正確な知識を持ち、必要に応じて対策を講じなければなりません。
本記事では、欠勤率の概要や悪化する原因、改善方法を解説します。コールセンターの生産性向上や業務効率化に欠かせない指標なので、マネジメントに携わる方はぜひご確認ください。
コールセンターにおける欠勤率とは?
まずは、コールセンターにおける欠勤率の意味と算出方法について説明します。
欠勤率の意味
欠勤率とは、オペレーターが勤務日数に対して、欠勤した日数の割合のことです。例えば、全員がシフトや予定通りに出勤している場合は、欠勤率0%となります。欠勤率はコールセンターのマネジメントに関するKPI(指標)として用いられることもあります。
KPI(重要業績評価指標):目標達成の度合い・進捗を可視化する指標
また、オペレーターの負担を図る指標になるため、コールセンターのKPIとして設定されることが多いです。欠勤率が上昇すると、出勤しているオペレーターの負担が増えて、コールセンターの応答率が低下します。長期的には離職率の増加につながりかねないので、指標が改善しない場合は早急に対処する必要があります。
欠勤率の計算方法
コールセンターにおける欠勤率は、以下の計算式で算出します。
欠勤率の計算式:欠勤日数÷予定勤務日数
例えば、22日出勤予定で1日欠勤した場合の欠勤率は、「1÷22日」で4.5%となります。
目標としては0に抑えることが望ましいですが、実際はオペレーターの体調不良や公共交通機関の遅延、トラブルなどでやむを得ないことが多いです。特に夏場・冬場・繁忙期などは体調不良が起こりやすいため、管理者は何らかの予防策を講じた方が良いでしょう。
コールセンターの欠勤率が高くなりやすい理由
ここではコールセンターの欠勤率が高くなりやすい主な要因を2つ紹介します。
(1)欠勤しても業務に影響が出づらい
コールセンターの特徴の1つとして、同じ時間帯に複数のオペレーターが勤務することが挙げられます。不測の事態や当日欠勤を見越して、余裕のあるシフトを作成するのが一般的だからです。その結果、一人が休んでも顧客対応に影響が出づらく、個人の責任を感じにくい環境になっています。さらに、職場によってはマネージャーが休む理由を追求しないため、オペレーターが周囲に迷惑をかけていることを自覚していない場合もあります。
また、マニュアル化されたコールセンター業務が弊害を生むケースも考えられます。マニュアルを導入するメリットは、電話対応の品質が安定することですが、その分誰かが欠勤しても他の人がカバーできてしまうのです。つまり、「この人がいないと仕事が回らない」という状況が少なく、個人の責任感が希薄になりがちです。
(2)ストレスを感じやすい業務内容のため
コールセンターは慢性的な人手不足により、オペレーター一人一人の業務負担が増加しやすい傾向にあります。また、理不尽な問い合わせやクレーム対応などストレスを感じる業務が多いことも欠勤率の増加に関連していると考えられています。
その他、以下のような要因がオペレーターの勤怠の乱れ(欠勤・遅刻)につながります。
・長時間のデスクワーク
・人間関係の悩み
・オフィスの騒音や温度
なお、現在では職場環境の是正に向けて、社内向けの調査ツールを活用する企業が増えています。具体的にはオペレーターのメンタルヘルスを把握するために、組織サーベイ(組織状況の調査)というツールが活用されています。
コールセンターにおける欠勤率の改善方法
コールセンターの欠勤率を改善するポイントを4つ紹介します。欠勤率の高さに悩んでいるコールセンター管理者の方は、ご参考ください。
(1)オペレーターの欠勤理由を分析する
自社の問題点を突き止めるためにオペレーターが休む理由を分析しましょう。原因が明確になることで、職場環境の改善に取り組みやすくなります。欠勤しがちなオペレーターと面談をして、それぞれの事情についてヒアリングをしましょう。
ヒアリングのポイントは、オペレーターの立場に立って接することです。仮に高圧的な態度を取ってしまうと、ますます勤怠状況は悪化して、離職するリスクが高まります。精神的な問題だけでなく、家庭の事情などで欠勤がやむを得ない場合もあるので、社内の支援制度でサポートできないか検討してみましょう。
(2)柔軟なシフト調整を行えるようにする
ライフスタイルに合わせた働き方を実現するために、シフトに柔軟性を持たせるのも良いでしょう。例えば、15~30分単位で出社や退勤を調整できるようにする、シフト交換を簡単に行えるシステムを作るなど、オペレーターの負担を軽減する体制を整えます。
(3)職場環境の改善に取り組む
職場環境とは、従業員が働く場所の環境です。部屋の広さからレイアウトまで、さまざまなものが含まれますが、大まかに「物理的な環境」と「精神的な環境」の2つに分けることができます。
オペレーター業務における物理的な環境の例としては、パソコンやヘッドセットなどの業務ツールが挙げられます。これらの使いやすさが業務の効率性や、オペレーターの働きやすさに関わることも多いでしょう。
ちなみに、コールセンターシステムを導入すれば、オペレーターにかかる負担が軽減されます。例えば、顧客からの着信時には、顧客情報が自動的にパソコン画面に表示され、電話応対がサポートされます。AI人工知能によってオペレーターの手間を効率化できるので、選択肢の1つとしてご検討ください。
次に精神的な環境の例は、コールセンター内での人間関係です。オペレーター間の人間関係だけでなく、上司や同僚との意思疎通が上手くいかない場合もあります。本人との面談を通して、欠勤につながるストレスを取り除いてあげましょう。
(4)オペレーター一人一人に責任意識を持たせる
オペレーターのモチベーションを高めて、業務に対する責任意識を持たせましょう。SV(スーパーバイザー)やリーダーは、欠勤の多いオペレーターに対して、以下のような働きかけを行ってください。
・研修や教育を行う
・明確な数値目標を与える
・責任のある業務に就いてもらう
・働きぶりを評価し、フィードバックする
これらの取り組みの中で達成感を感じてもらい、コールセンター業務に対するモチベーションを維持してもらいます。
(5)インセンティブを与える
金銭的なインセンティブは欠勤率の改善に有効です。昇給の指標に欠勤率を加えたりすることで、勤怠に関してポジティブな効果が期待できるでしょう。
金銭的なインセンティブにあてる予算がない場合には、スケジュール遵守率に応じて、「シフトを優先的に決められる権利」などを与えるのも効果的です。
コールセンターの欠勤率改善には罰則よりも環境整備が望ましい
今回はコールセンターにおける欠勤率の概要や、指標が悪化する理由、改善方法について解説しました。欠勤率の高さはコールセンターのサービスレベルを左右するので、優先的に対処することをおすすめします。
ただし、改善する過程でオペレーター個人の責任を追求しすぎないよう注意してください。欠勤したオペレーターに過度な罰則を与えるのは、従業員満足度の低下や人間関係の悪化につながるため、避けたほうが良いでしょう。職場環境の整備などによってオペレーターのストレスや不満を軽減し、当日欠勤が起きづらい状況にすることが大切です。
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