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公開日/2023.8.30
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AI接客とは?種類やメリット・デメリット、導入時のポイント

AI接客とは?種類やメリット・デメリット、導入時のポイント

近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が一般的になり、AIなどのIT技術を用いて業務変革に取り組む事例が増えてきました。特に、昨今は接客業におけるコスト増加や人手不足が問題となっており、その解決手段の一つがDXによる業務変革です。

しかし、実際にDXに取り組むにあたりどのようにIT技術を活用すべきかわからないことが多いのではないでしょうか。

本記事では、AI接客とは何か、導入することのメリット及びデメリット、実際に導入するにあたっての流れについて解説します。

AI接客とは

ここでは、AI接客とは何かという概要を始めとして、AI接客の具体例について解説します。

AI接客の概要

AI接客とは、従来人間が行っていた接客をAI(人工知能)で代替することを意味します。AIチャットボットなどの形で、本来人が対応していた業務の一部をAIに任せ、業務効率化を図るケースが一般的です。

人手不足や人件費の高騰が問題視される中で、業務負担の軽減やコスト削減の有力な手段としてAI接客が注目されています。

AI接客の具体例

AIチャットボット

AIチャットボットは顧客からのメッセージや対話をAIで分析し、自動的に回答を行う仕組みです。主に、問い合わせを多数捌くことが求められるコールセンターやカスタマーサポートの部門で導入されるケースが多いでしょう。

AIチャットボットの強みは定型的な問い合わせであれば、24時間365日体制で問い合わせ対応が可能なことです。AIチャットボットによって、カスタマーサポートの従業員はより難易度の高い問い合わせ対応に集中することができます。

 

アバター接客

アバター接客とは、接客を担当する従業員がバーチャル空間でのアバターとして表示され、顧客対応を行う接客方式です。大手下着メーカーのワコールでは、2020年から完全予約制でアバター接客を導入しており、下着選びのアドバイスやサイズの測定などを行っています。

下着選びというデリケートな相談であっても、バーチャル空間上でのアバター接客であれば、顧客も気軽に相談できるというメリットがあります。また、接客する側の従業員もアバターであれば場所にとらわれずに遠隔で接客ができるため、働き方改革の側面でも効果的だといえるでしょう。

ロボット接客

ロボット接客は、レストランや受付での接客業務で導入されるケースが多いです。「ガスト」などを展開する大手レストランチェーンのすかいらーくグループでは、2021年より食事の配膳用に「BellaBot」という機種のロボットを店舗に導入しました。

すかいらーくグループでは、注文用タブレットの導入などITを使った店舗業務の効率化、省人化に取り組んでいます。実際、ロボット接客の導入によって従業員が店内を歩き回ることによる負荷が従来比で4割減り、働きやすい環境の実現に寄与しているのです。

AI接客を導入するメリットとデメリット

AI接客の導入によって、業務効率化などのメリットが期待できる一方で、コストや顧客満足度の点で懸念があるのも事実です。

ここでは、客観的に検討を進めるために、AI接客のメリットとデメリットについて解説します。

AI接客のメリット

人手不足の解決につながる

近年、店舗やカスタマーサポートの現場では人手不足が問題となっています。その理由の一つに、少ない人員で業務を回さなければならないことによる負担があるでしょう。

AI接客によって定型的な対応であればAIに任せることができます。それによって、従業員の業務量削減につながり、コア業務である接客に集中できる環境を整えられるでしょう。

人件費を削減できる

AI接客の導入は人件費の削減にもつながります。AIによって従来人が担っていた業務を代替することで、現場に配置する人員や残業時間を減らすことができ、人的コストの削減が可能になるでしょう。

AIを備えたシステムを購入するためには初期費用がかかりますが、長期的に人件費が削減されることを考慮するとコストメリットが得られる可能性があります。

サービス品質を均一化できる

人による接客においては、従業員の経験年数や業務への習熟度によって、対応品質にばらつきが出るケースがあります。また、従業員によって伝える内容や選ぶ言葉にも違いがあり、コミュニケーションの齟齬が発生するケースもあるでしょう。

一方、AI接客においてはデータの分析結果に基づいてAIが対応するため、イレギュラーな状況でない限りは、一定のサービス品質を担保できることがメリットです。

営業時間外の問い合わせにも対応しやすい

人による接客においては、24時間営業でない限りは営業時間外の問い合わせには対応できません。また、問い合わせ対応のためだけに人員を確保することは、コストや職場環境の観点でも賢明ではありません。

一方、AI接客を導入すれば、従業員の負荷やコスト増加を抑えつつつ、24時間365日体制での顧客対応が可能です。

多言語への対応ができる

近年はインバウンド需要の増加に伴い、日本語を母国語としない顧客の対応が求められるケースが増えています。しかし、英語を始めとした外国語に精通した従業員を確保することは決して簡単ではありません。

AI接客のソリューションには多言語対応しているものもありますので、外国人向けの接客が必要な場合は導入を検討してみるとよいでしょう。

収集したデータをマーケティング施策に活用できる

AI接客においては、AIが継続的に学習するためのデータを蓄積していきます。この時に得られたデータを有効活用することで接客の品質を高め、顧客満足度や売上アップにつなげられるのです。

例えば、AIチャットボットであれば顧客から寄せられた問い合わせやニーズをデータとして蓄積し分析することによって、顧客のニーズを把握して満足度の調査やマーケティング戦略の立案につなげることができるでしょう。

AI接客のデメリット

運用コストがかかる

AI接客に限らず、ITを使った仕組みを導入するためには、初期費用のみならず、ランニングコストがかかることにも注意が必要です。

AIは一度導入して終わりではなく、長期的に運用していく必要があります。例えば、AI接客のシステムでトラブルがあった際に、開発元企業の支援を受けるためには、保守費用やサポート料という形でコストが発生します。また、AIが対応すべき範囲が変わった場合には、新たなデータの学習や設定変更における費用も発生します。

初期費用と運用コストに対して、導入後の人件費削減などの費用対効果を検証した上で、導入を決定する必要があるでしょう。

イレギュラーな対応が難しい

近年はAIの精度が向上しつつあるものの、マニュアルにないようなイレギュラーな対応は難しいのが実情です。AIは膨大なデータを分析し、分析結果に基づいた対応を行うことには長けています。

一方で、トラブル対応や顧客から感情的なクレームを受けた際には、過去のデータを参考にできず、効果的な対応ができず顧客満足度の低下につながるリスクがあります。

定型的な接客についてはAIに任せる一方で、イレギュラーな対応に備えて従業員が常にカバーできる体制を整えておくことが重要です。

AIに対して好意的ではない顧客もいる

顧客の中には、AIなどを使った非対面接客に好意的ではない人がいることにも注意が必要です。例えば、AIによる接客には人の温もりが感じられず、冷淡だと感じる方もいるでしょう。また、対人接客でないとサービスそのものに不安を感じるケースがあるかもしれません。

顧客がAI接客に対して好意的かどうかは、提供するサービスにおける顧客の年齢や属性によって変わるため、他社の導入事例などを参考にしながら慎重に判断する必要があります

AI接客を導入する際のポイント

AI接客には多くのメリットがある一方で、注意しなければならない点もあります。ここでは、AI接客を効果的に導入するためのポイントについて解説します。

自社の課題に合ったソリューションを選ぶ

AI接客の導入においては、自社の課題にあったソリューションを選定することが重要です。例えば、人手不足を解消したいのか、接客サービスを均質化したいのかでとるべきアプローチが変わってきます。

AI接客のソリューションは数多く存在しますので、自社の課題を明確にすることで適切なものを絞り込むことが可能です。AI接客の導入が目的となってしまわないように注意しましょう。

有人対応と連携しておく

AI接客のデメリットの一つに、イレギュラーな対応ができない点があります。接客業務では顧客からのクレームなどマニュアルでは対処しきれない事態が必ず発生するでしょう。

例えば、AIチャットボットにおいては、AIによる回答ができなかった場合にオペレーターとのやり取りに切り替える仕組みを備えるなどといった対応が求められます。

イレギュラーな事態に備え、AI接客に全てを任せるのではなく、従業員がバックアップできる体制を整えることが重要です。

導入後も運用(分析と改善)を続ける

AI接客のシステムは導入後も継続的に改善することが重要です。AIは日々の業務で蓄積したデータを学習して精度を上げていくことができますが、そのためには適切なチューニング作業などが必要となります。

また、システム面に留まらず、AI接客の運用手順についても日々の業務から課題を把握し、PDCAサイクルに沿った改善を続けていくことが求められます。

カスタマーサポートにおけるAI活用について

従来は人による対応が主であったカスタマーサポートにおいても、AIの活用が盛んになっています。ここでは、カスタマーサポートやコールセンターにおけるAIの活用状況やメリットについて解説します。

迅速かつ正確な問い合わせ対応が求められるカスタマーサポートやコールセンターでは、受付スタッフの負荷が大きくなりがちであり、人手不足の状況を生む一因となっています。

近年はカスタマーサポートの部門で積極的にAIチャットボットなどを活用する事例が見られ、多くの企業がAI活用のメリットを認識し始めているといえるでしょう。AIチャットボットは24時間365日稼働でき、定型的な問い合わせであれば即時対応が可能なため、オペレーターは難易度の高い問い合わせ対応に集中することができます。顧客の視点でも、いつでも素早い回答が得られることから顧客満足の向上にもつながるでしょう。

自社の課題に即した形でAI接客を導入することが重要

人手不足が問題となっている飲食店などを始めとした接客の現場において、AI接客は業務効率化や顧客満足度の向上など幅広いメリットが期待できます。一方で、継続的な運用が必要であることからユーザー側にも一定の知見が求められることも事実です。まずは接客業務における自社の課題を正しく把握し、適切なAI接客ソリューションの選定から始めてみましょう。

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