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公開日/2023.12.1
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カスタマーサポートを大きく変革する生成AIの波「PKSHA Communication Users’Conference 2023」イベントレポート <前編>

カスタマーサポートを大きく変革する生成AIの波「PKSHA Communication Users’Conference 2023」イベントレポート <前編>

10月13日、PKSHA Communication(以降、当社)はユーザー会「PKSHA Communication Users’Conference 2023」を開催しました。当日は過去最多となります200名以上の方々にご来場いただき、盛況に執り行うことができました。本記事では、当カンファレンスの弊社コンテンツで発表させていただいたプレゼンの一部と、イベント風景をお届けいたします。

1.PKSHA製品・サービスと生成AIの組み合わせで広がる可能性

1-1.「Weave Trust」をテーマにビジネスを展開

 代表・佐藤は最初に、PKSHA Communicationが掲げる「Weave Trust」という言葉の意味を説明しました。「我々自身が皆さまの信頼を獲得するというだけでなく、皆さまがお客様の信頼を勝ち取るご支援もしたいと思っています」(佐藤)。

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PKSHAは、富士キメラ総研の「顧客接点・CX変革ソリューション市場分析2023年版」において、チャットボット(SaaS)、ボイスボット(SaaS)、FAQナレッジ管理(SaaS)の3分野で市場シェアナンバー1を獲得しました。

佐藤は「本当に多くの皆様にご利用いただき、満足もいただいている結果であると感じています。ありがとうございました」と語り、「これに満足せず、より良い商品を作っていく所存です」と続けました。

1-2.生成AIベンダーへの投資は23年上半期だけで2兆円

PKSHAの新しい動きとして、日本マイクロソフトとのパートナー契約を紹介しました。PKSHAは従来、お客様に直接、自社の製品・サービスをご提供するケースが主でしたが、「生成AIと、当社の製品・サービスを組み合わせて利用したいと考えるお客様ニーズの高まりを受け、日本マイクロソフト様とパートナーとなってビジネスを展開していくことを決めました」(佐藤)。

佐藤は、生成AI市場がいかに盛り上がっているかを示すデータとして、生成AI関連の事業をしているITベンダーに対する投資額を紹介しました。「2023年の上半期の投資額は、2022年1年間の投資額の5倍に当たる2兆円でした。私はこのデータに大きな衝撃を受けました」(佐藤)。

コールセンターにおけるAI活用の機運の高まりは今回が初めてではありません。佐藤は「10年以上前にも大変な盛り上がりがあり、成果は勿論出たものの、期待に届かなかったり、コストに見合わなかったりというケースが多かったと思います」と語り、「今日も、生成AIは大丈夫なのか、PKSHAはしっかりとした形で顧客に提供できるのか、ということに関心をお持ちの方が多いと思います」と続けました。

 佐藤は、PKSHAのリサーチ部門が、過去に様々な製品やサービスの実証をした上で、プロダクトやソリューションとしてリリースしてきた実績を紹介しました。佐藤は「生成AIについても、リサーチ部門の実証により、皆さんをご支援できる確かな技術だと確信しています」と話しました。

1-3.FAQの自動生成やオペレーターのセルフトレーニングが可能に

次に生成AIに関する実際の取り組みとして、2023年9月6日に発表した三井住友トラストホールディングス様とのコンタクトセンターDXのプロジェクトを紹介しました。

このプロジェクトでは生成AIを使い、「滑らかな対話体験」「ナレッジの自動生成」「受電後の事務作業の効率化」「コール量の予測」「オペレーターシフトの自動作成」の5つのテーマに取り組みます。

例えばナレッジの自動生成については、生成AIを使ってFAQを自動で作成することを目指します。受電後の事務作業の効率化においては、会話を自動でテキスト化し、内容を要約します。

佐藤は別の事例として、オペレーターが生成AIをお客様対応のためのセルフトレーニングに使っているケースを紹介しました。AIが投げかけた質問にオペレーターが答える、という流れを繰り返し、会話後にそのやり取りをAIが採点する、というものです。佐藤は「これまでだったら誰かが張り付いてオペレーターを教育する必要がありましたが、生成AIを使えばその必要が無くなります。これは未来の話ではなく、既に実装が始まっています」と語りました。

1-4.カスタマーサービスが抱える2つの課題

ここで佐藤は、「Weave Trust」のコンセプトをまとめた映像を紹介しました。その上で、「実際にカスタマーサービスを提供されている皆様には2つの課題があると思います」と言及しました。

1つは、顧客サイドの課題です。近年は企業のサポートチャネルが多用化して利便性が上がった一方で、「あるチャネルでコミュニケーションした内容が別のチャネルに引き継がれていなかったり、チャネルによって回答にばらつきがあったりします」(佐藤)。

もう1つは企業サイドの課題です。チャネル間で統一感があるオペレーションをしたり、品質を保つことが難しくなったりしています。「扱うツールが増えたことによる負担の大きさを訴えるオペレーターの方も多くいらっしゃいます」(佐藤)。

1-5.コールセンターで扱うツールを網羅していることが強み

こうした課題の解決のため、佐藤は「我々は顧客サイドのUX、企業サイドのUXを向上させるソリューションをご提供しようと考えています」と語りました。

顧客サイドのUXを高めるための施策は、FAQやChatbot、Voicebotなど、様々なチャネルで使われるツールの連携です。「例えば、 Voicebotからスムーズにオペレーターに移行する、その会話のデータをChatbotにスムーズに移行する、といったことです」(佐藤)。

こうした取り組みを進める上で、「どこか1領域のみでツールを展開しているベンダーと異なり、PKSHAがコールセンターで扱うツールを網羅的に提供していることは大きな強みになります」(佐藤)。これにより、カスタマージャーニーの最適化を実現し、顧客サイドのUXを高める考えを示しました。

1-6.プロダクトとソリューションの両方を提供できる

企業サイドのUX向上については、AIの活用によるオペレーター支援の取り組みを紹介しました。

「FAQを作る、ナレッジを貯めて検索する、これらをレポートにして商品開発に生かせるようにする、といったことをAIで実現したいと考えています」(佐藤)。先に紹介したオペレーターがセルフトレーニングできるサービスも、これに当たる取り組みです。

PKSHAは企業のUX向上を支援するツールをクラウドサービスのプロダクトとして豊富にラインアップしていることに加え、個別ニーズに応じたソリューションとしても提供しています。佐藤は「プロダクトとソリューションのどちらかに特化しているベンダーは多くありますが、両方ご提供できるところは当社以外にはないのではないかと自負しています」と語りました。

2.PKSHA Communication Cloudの各プロダクトと新機能

カスタマーサクセス本部長の佐野は、PKSHA Communication Cloudを構成する各プロダクトについて、その特徴や最近追加した新機能などを紹介しました。

2-1.PKSHA FAQ

 PKSHA FAQはFAQを効率的に管理するためのツールです。佐野は「FAQ管理を前面に打ち出していますが、オプションのHelpdesk Supportもとても有用です」と紹介しました。Helpdesk Supportは、お問い合わせの管理機能や、お客様がお問い合わせをする際に適した内容を自動でリコメンドする機能、オペレーターがお問い合わせからFAQを簡単に作成できる機能などを備えています。

2-1-1.管理画面リニューアル

今回新たに管理画面をリニューアルしました。「様々なプロダクトを組み合わせて使われている昨今の状況を鑑みて、連携して使う場合の使いやすさを考慮した画面デザインにしました」(佐野)。

FAQ作成画面は情報量を減らし、可読性を高めました。承認フローの機能も、FAQ作成と同じ画面上に表示するようにし、分岐型のFAQである「ウィザードFAQ」については、視覚的に分岐が見えるように変更しました。

2023年10月に共通ヘッダー部分のデザイン変更を実施しました。2024年以降には、myFAQの管理画面やレポート画面などを順次リニューアルする予定です。

2-1-2.LLM(ChatGPT)連携機能(FAQ回答文章校正機能)

FAQの作成画面において、ユーザーが作成した文章をLLMがチェックし、誤字脱字や読み辛さなどの問題点を指摘し、修正案を提示します。

佐野は「一人で黙々と文章を作っていると、構造化のやり方に悩んだり、文章表現にばらつきがでることがあります。AIに支援してもらうことで、一定のクオリティを保ちやすくります」と説明しました。

2023年12月までに文章校正アシスタント機能を実装し、2024年3月までに検索用関連キーワードの自動生成機能を実装する予定です。

2-2.PKSHA Chatbot

PKSHA Chatbotは、4億回を超える対話実績を誇る、国内シェアナンバー1のAIチャットボットです。最大の特徴は運用性能の高さです。KPIを設定して課題を読み取り、会話ログを分析し、対話ロジックを設定する、ということがスムーズに行えます。「より使いやすいようにダッシュボードは順次アップデートしています」(佐野)。

2-2-1.生成AIによる、機械学習用データの自動生成

ChatbotでFAQを新規作成する場合、従来は質問例だけでなく、精度向上のために類似した質問例を多数作成する必要がありました。今回新たに、この類似質問を生成AIで自動生成できるようになりました。「これにより大幅に作業時間の削減が見込めます」(佐野)。

2-2-2.大規模インテント(FAQ)向けアルゴリズムの導入

インテント数が2500件を超えるような大規模Chatbotは、正答率が下がりやすいという課題がありました。これを改善するため、機械学習によってマッチ精度を落とさないようにするアルゴリズムを開発中です。2024年夏を目途に、標準オプションとして提供開始を予定しています。

2-2-3.LLMを活用したドキュメント検索型Chatbot

お問い合わせいただく際、現在はChatbotに登録したFAQを検索していただくか、有人対応のチャットでご対応するかのいずれかになります。これらに加えて、マニュアルやホームページなどから生成AIが質問の回答に当たるものを見つけ、回答案を作成して対応する機能を現在開発中です。

2-3.PKSHA FAQとPKSHA Chatbotの組み合わせ

佐野は「FAQとChatbotは適切に使い分けることで最大の価値が出ます」と説明しました。FAQは一覧での視認性や検索オプションの豊富さ、SEO効果などがあり、Chatbotは設置の自由度やAIエンジンによる検索力、対話による手続きが可能、といった特徴があるためです。

「Webサイト上からサポートサイトに行き、一段深いFAQに行ったり、商品紹介ページで悩んでいる方にChatbotをご案内したり、といったカスタマージャーニーの流れを考えると、我々のプロダクトだけでなく、サイト全般についてしっかり考える必要があります」(佐野)。そういった際の支援になるよう、分析機能の強化や、改善案をまとめたレポートの提出などを検討しています。

2-4.PKSHA Voicebot

PKSHA Voicebotは電話でのお問い合わせに対し、オペレーターの代わりにAIが応答する仕組みです。コール削減や、窓口の24時間365日対応が可能になるなど様々なメリットがあります。

強みとしていることの1つに、要件分類機能があります。従来型のIVRの場合、電話口で流れる案内に対して、お客様が「自分の悩みはどれに当たるか分からない」と悩み、「その他」にコールが集中してしまうという課題があります。これに対しVoicebotの場合、「支払い口座を変更したい」といったご要望を言っていただければ、それを適切に分類することができます。この要件分類機能は、随時強化しています。

2-4-1.ダッシュボード改善

 Voicebotは、導入して終わりではなく、運用しながら使い方に手を加えていくことが重要です。それを支える機能として、2023年3月にダッシュボードに完結率を確認する機能を、同年10月には離脱箇所を確認するための機能を追加しました。今後、離脱箇所を詳細に分析できる機能を追加予定です。

2-4-2.CTI/PBX連携による待ち呼の自動受付

 CTI/PBXと連携し、待ち呼となったコールがオペレーターに繋がるまでの間、Voicebotで必要な質問を行い、オペレーターの対応時間を短縮します。連携可能なCTI/PBXを増やすべく、随時連携を拡大しています。

2-5.PKSHA Speech Insight

PKSHA Speech Insightは、音声認識技術により通話をテキストに書き起こし、オペレーターの応対中や応対後の業務を支援します。「書き起こしの精度はかなり高まっており、これをどう活用するかがポイントになっています」(佐野)。

Speech Insightは、書き起こしたテキストを自動で要約したり、キーワードを拾ってFAQ検索をしたりする機能も備えています。

在宅でコールセンター業務をするオペレーターを含めた、オペレーターのリアルタイムモニタリング機能もあります。管理画面からオペレーターのアラートをすぐに見つけたり、会話内容からお客様が怒っていることを判定したりと、個々のオペレーターをリモートからでも適切にサポートできるようにします。オペレーターのリアルタイムのやり取りを書き起こし、管理画面上に表示することも可能です。

2-5-1.PKSHA FAQとの連携

2023年中にPKSHA FAQとの連携し、会話の内容に応じたFAQを自動で検索する機能を強化する予定です。

2-6.企業サイドのUXを高める肝は「ナレッジ循環」

佐野は「今後は企業サイドのUXを高めるための、ナレッジ循環が肝になると考えています」と語りました。ナレッジ循環とは、コンタクトセンターの対応ログをはじめとしたナレッジを基に、FAQやChatbotを改善していく取り組みを指します。「従来、対応ログなどのナレッジの活用は簡単ではありませんでしたが、生成AIによって状況が大きく変わってきています」(佐野)

この一例として、ドキュメントからのFAQの自動生成があります。「マニュアルなどのPDFファイルを読んで、数秒でFAQを自動で生成します。数年前では考えられなかったことです」(佐野)。同様に、コールログからFAQを自動生成することも可能です。

これらの機能は個別のソリューションとしては提供済みで、今後プロダクトの機能にも追加する予定です。将来的にはFAQだけでなく、Chatbotなど他のチャネルにもナレッジを展開できるようにする計画です。

3.AWARD受賞企業を発表

PKSHAは、ツールの優れた使い方などをしている顧客企業様をAWARDとして年1回表彰しています。ご利用企業間での情報交換を活発に推進された企業様を表彰する「NETWORKING AWARD」と、先進的にツールを活用して業務の発展を推進された企業様を表彰する「INNOVATOR AWARD」の2つを設けています。

NETWORKING AWARD:株式会社アートネイチャー様

NET WORKING AWARDは株式会社アートネイチャー様が受賞されました。
佐野は「お客様同士の情報交換を活発にしていただいたことや、当社のホームページ上に掲載しているインタビューにご協力いただき、活用状況を広くご紹介いただいたことから選定させていただきました」と説明しました。

株式会社アートネイチャー コンタクトセンター センター長 青山 雅生様からは、「年間を通じて繁閑差が大きい業界なので、PKSHA Voicebotに大変助けられています」と感想をいただきました。

INNOVATOR AWARD:マニュライフ生命保険株式会社 

INNOVATOR AWARDはマニュライフ生命生命保険株式会社様が受賞されました。佐野は「コロナ禍でサポートのデジタル化を進める必要がある際に、すぐにChatbotを導入されたり、いち早くPKSHA Speech Insightをお使いいただいたり複数製品を組み合わせて運用されていることから選定させていただきました」と説明しました。

マニュライフ生命保険株式会社 お客様コールセンター 菱木のりこ様からは「日々、さばききれないほどの沢山のお電話をいただく中で、FAQなど様々なツールがオペレーターの助けになっています。オペレーターにヒアリングした内容がFAQとして掲載された際には、大変な励みになっているようです」と感想をいただきました。

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