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10月20日、PKSHA Communication(以降、当社)は、3年ぶりにオフライン開催となるユーザー会「PKSHA Communication Users’Conference 2022」を開催しました。
総勢147名の方々にご来場いただき、盛況に執り行うことができました。
本記事では、当カンファレンス内で発表させていただいたプレゼンの一部と、ワークショップの内容、イベント風景をお届けいたします。
1.AI浸透時代の顧客体験(CX)で考えるべき、「共進化」とは?
佐藤 哲也│株式会社PKSHA Communication 代表取締役
株式会社リコーに入社。当時注力されていたファクシミリ事業の製品マーケティングを担当。その後、マイクロソフト株式会社(現・日本マイクロソフト株式会社)にてマーケティング部門の統括部門の執行役員本部長などを務める。その後、ITソリューション企業勤務を経て、2021年7月、株式会社PRAZNA(現:株式会社PKSHA Communication) 代表取締役就任。2021年11月よりPKSHAグループの株式会社BEDORE(現:株式会社PKSHA Workplace) 取締役も務める。2022年4月1日より現職。
1-1. AIが浸透するいま、「ソフトウエアの形」を問い直す
発表の冒頭、代表・佐藤は2011年にMarc Andreessen氏が発言した「Software is eating the world」という言葉を引用しました。
これまでの約10年間で社会に起こったAIによる潮流の変化を振り返るとともに、これから次の10年間では「AI is eating the Software」が進むことを説明。
AIがあらゆるソフトウエアに組み込まれて、さまざまな領域で社会実装される段階を迎える、という状況認識をカンファレンス参加の方々と共有しました。
ソフトウエアが人や社会に及ぼす影響は日に日に増大しています。
そして、増え続けていく「ソフトウエアの形」次第で、人々や社会に対する良い作用も悪い作用も生み出されていきます。
そのため、これからの社会において必要となる「ソフトウエアの形」を問い、良い作用の循環が生まれるように設計・実装していくことが必要です。
佐藤は、そうした未来のソフトウエアの形を探求していくことこそがPKSHAグループのMission「未来のソフトウエアを形にする」であると説明しました。
1-2. ソフトウエアは“静的”から“動的”へ
「では、未来のソフトウエアはどのような形になっていくべきなのか?」
という問いに対しては、従来のソフトウエアは“静的”、未来のソフトウエアは“動的”という表現に言い換えて説明しています。
従来の“静的”なソフトウエアがあらかじめプログラミングされた既定の形で動くのに対して、
未来の“動的”なソフトウエアは機械学習による「対話(=情報を投げ合う)」を通して利用者に合わせた形へ進化していく。
つまりは、組織や社会の変容に合わせて、人と共に進化していけることが「未来のソフトウエア」に求められる“形”である、という考えです。
こうした「人と共進化するソフトウエア」を形にしていくことで、個性や人との違い(Δ:デルタ、差分)が価値となり、多様性の輝く社会が実現できると考えるPKSHAグループのVision「人とソフトウエアの共進化」について来場の方々へお伝えしました。
1-3. 顧客体験(CX)に必要な「共進化」とは?
では、CX領域において必要な「共進化」とはいったい何なのか?
それは、「顧客がサービスとの最適な関わり方を見出せるようになり、企業もサービス改善を通してより高い付加価値を顧客に提供できるようになること」であると佐藤は言います。
企業と顧客のつながりは、デジタル技術の進化に伴い、従来の店舗・電話から、ウェブサイト、チャット、ビデオ通話、IoTデバイスなど多様化が進み拡張し続けています。
一方で、顧客が自ら適切なチャネルを選択し、自分にとって最適な情報・課題解決手段・担当者にたどり着くことが日に日に複雑になっており、同時に企業側も、拡大した顧客のチャネルに対応するために莫大な人員やコストを必要としてます。
この現況に対して佐藤は、
「企業が顧客との接点を独立した点ではなく、連続した線として最適にマネジメントできるようになれば、顧客はパーソナライズされた体験からサービスや企業についての理解を深め、能動的に最適な関わり方を見出すことができるようになる」
と断言しています。
他方の企業側においては、顧客の振る舞いデータやサービス品質のフィードバック等をサービス改善に活かすことができれば、より高い付加価値を顧客に提供することができるようになるのは想像に難くありません。
1-4. 顧客と企業を「共進化」させる、オールインワンAI SaaSを提供開始
先述の通り、機械学習を有した動的なソフトウエア(以降、「AI SaaS」と呼ぶ)を媒介にして、顧客と企業は互いに「共進化」していくことが求められます。
そしてその媒介役として、
シェアNo.1のカスタマーサポート向けオールインワンAI SaaS「PKSHA Communication Cloud」の提供開始が佐藤より発表されました。
PKSHA Communication Cloudは、
●AIチャットボット「PKSHA Chatbot(旧・BEDORE Conversation)」や、FAQシステム「PKSHA FAQ(旧・OKBIZ. for FAQ)」という、業界シェアNo.1を誇るNon-Voice領域プロダクト群
●毎月25万コールを自動応答しているボイスボット「PKSHA Voicebot(旧・BEDORE Voice Conversation)」や、ACWを50%削減するAI音声書き起こし・分析サービス「PKSHA Speech Insight」という、Voice領域プロダクト群
●顧客ごとにパーソナライズされたFAQのレコメンドや、オペレーターのトーク分析など、各AI SaaSプロダクトを強化するカスタマイズアルゴリズム
という各ソリューションを複合した、トータルパッケージ型のAI SaaSです。
このPKSHA Communication Cloudを通して、
ユーザー企業さまとその先のエンドユーザーさまの共進化を支え、かつ当社としても研究開発をより進めて更に良いプロダクトを磨き込んでいく旨を佐藤よりお伝えしました。
2.コンタクトセンター業務を変革するAI SaaSの紹介
佐野 浩太郎│株式会社PKSHA Communication 執行役員
テレビ業界での番組企画および営業業務、通信業界での法人営業業務、ITソリューション企業での法人向けビジネスに従事。エンタープライズソリューション事業部門の本部長として、サブスクリプションモデルのビジネスを指揮する。2021年、株式会社PRAZNA(現:株式会社PKSHA Communication)入社。現在は、執行役員としてソリューションビジネスを統括する。
続いて、執行役員・佐野より、前段で佐藤から発表のあったPKSHA Communication Cloudに複合されている個別プロダクトについて、より具体的な紹介がされました。
その中でも、新製品として今年8月にローンチした、AI音声書き起こし・分析サービス「PKSHA Speech Insight」については、カンファレンス会場に来場の方々にも強く興味を持っていただけましたので、本記事でもすこしご紹介します。
ACWを50%削減する「PKSHA Speech Insight」とは?
PKSHA Speech Insightとは、音声リアルタイム書き起こしや、応対品質の可視化、コンプライアンスチェック等を通じ、AIがオペレーターの業務高度化をサポートするプロダクトです。
実際に、数社で実施したPoCでは、オペレーターの業務時間の多くを占める受電内容の書き起こし作業をAIの活用により高い精度で通話と同時に実現し、50%のACW業務削減が実証されました。
また、通話内容のテキスト化・データ化を進めることにより業務の高度化(まさしくオペレーターの「共進化」)を可能にしています。
加えて、人材育成という面でも、AIのアシストにより新人オペレーターの短期間での立ち上がりを支援します。
導入に際してシステム開発は不要なため、最短1週間でさまざまな機能をSaaS形式で利用開始することが可能です。
以下の動画にて、一部の機能についてご紹介いたします。
① リアルタイム音声書き起こし
② オペレーター応対ログの一覧管理
③ 応対記録の全文検索
④ NGワードアラート
⑤ あいづちチェッカー
⑥ 話速チェッカー
⑦ 個人情報マスク機能
⑧ カウンタートーク
3.カスタマーサポートで、どのようにAI SaaSが活用されているのか?
数社のPKSHA AI SaaSユーザー企業さまには、導入・活用事例をご紹介いただきました。
※それぞれのご講演はログミーでの書き起こし記事がございますので、併せてぜひご覧ください。(以下でリンクを掲載しております)
3-1. 【アイテック阪急阪神】お客様ニーズを満たす問合せ応対ツールの導入について
井阪 宣之さま│アイテック阪急阪神株式会社 交通事業本部 第2営業部 営業課 担当課長
阪急電鉄さまでは、顧客満足アンケート調査においてWeb関連項目の評価が低かったため、Webサイトの見直しを検討していました。
実際に、幅広い年齢層において、スマートフォン保有率やインターネット利用率が増加しており、お客様の「Webで解決したい」というニーズは一層高まっている傾向がみられたそうです。
そこで、お客様応対のオムニチャネル化を推進するべく、FAQシステムの導入に至ったとのこと。
PKSHA FAQ導入の詳しい経緯や導入後の効果についてご紹介いただきました。
本講演の書き起こし記事はこちら
https://logmi.jp/business/articles/327712
3-2. 【ANA X】シーンに応じた最適なカスタマーサポートによる顧客体験の向上を目指して
才津 亮さま│ANA X株式会社 R&D推進部 DX企画チーム リーダー
ANA Xさまでは、ANA SKY WEBで販売している旅行商品の予約や購入後のサポート機能として、2019年にAIチャットボット・PKSHA Chatbot(旧・BEDORE Conversation)を導入いただいていました。
今回は、PKSHA Chatbotの導入後の運用や活用の事例についてご紹介いただいています。
本講演の書き起こし記事はこちら
https://logmi.jp/business/articles/327713
3-3. 【NTTドコモ】ボイスボット導入によるすべての電話問い合わせのAI自動応答化について
石井 喬さま│株式会社NTTドコモ ホームサービスクリエーション部 営業 カスタマサービス担当
NTTドコモさまで提供されている映像配信サービス「ひかりTV」およびインタネットサービスプロバイダ「ぷらら」では、PKSHA Voicebot(旧・BEDORE Voice Conversation)をご導入いただいています。
今回は、PKSHA Voicebotの導入経緯と、その結果として自動化比率20%を達成した事例についてご紹介いただきました。
本講演の書き起こし記事はこちら
https://logmi.jp/business/articles/327713
4.ユーザーさま同士で「共進化」を試みた、ワークショップ
カンファレンスの後半では、来場いただいているユーザー企業の方々でワークショップに取り組んでいただきました。
今回のワークショップ内容は、とあるFAQサイトのデザインを紙でお渡しして、そのサイトの改善箇所を思いつく限り洗い出していただくというものです。
このワークを、同じテーブルに座った違う会社の方々と意見交換をしながら、チームとして進めていただきました。
参加いただいた皆さまには積極的にワークに取り組んでいただき、運営側の想定以上に改善箇所を洗い出したチームも出てきました。
本カンファレンスの冒頭、当社代表・佐藤の発表では「共進化」という考え方をお伝えしていましたが、初対面のメンバー同士で議論するこのワークショップを通して、ユーザー企業の皆さま同士がまさに「共進化」されているように見えました。
また、今回AWARD表彰が行われ、ご利用企業間での横のつながりに寄与された企業様に贈られるNetworkingAWARDには株式会社パルコ様、PKSHA製品の先進的な活用をしている企業様に贈られるInnovatorAWARDにはあいおいニッセイ同和損害保険株式会社様が表彰されました。
5.最後に
今回のユーザー会は、実に3年ぶりのオフライン開催となりました。
ユーザーさま同士の対話や、当社メンバーとユーザーさまとの対話など、オンラインでは難しい偶発的なコミュニケーションが起きているのを多方面で見ることができ、対面の大事さを改めて実感しました。
先述でも触れた通り、当社・PKSHAグループは「人とソフトウエアの共進化」というVisionのもと、これまで以上にCX・カスタマーサービス領域の課題解決に尽力していきます。
そのためにも、ユーザーの皆さまとの対話は今後も重要視していきます。頂いたフィードバックを製品開発へ繋げる等の取り組みはもちろんのこと、製品活用にあたってのトレーニングや無料相談会、ツールだけに終始しないアセスメントやコンサルティングサービスの提供など、CX・カスタマーサービス領域のあらゆる課題を解決していきます。
ぜひ引き続きご期待ください。