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公開日/2022.3.1
CXを考える FAQサイト運営

FAQコンテンツ、どのくらいの量を作るべき?適量の考え方を解説- FAQサイトの運営・運用ノウハウ講座【第3回】

FAQコンテンツ、どのくらいの量を作るべき?適量の考え方を解説- FAQサイトの運営・運用ノウハウ講座【第3回】

FAQサイトの運営・運用では、FAQコンテンツの「質」がユーザーの自己解決率や問い合わせ削減に大きく影響します。しかし、どのようなFAQが効果的なのか、どの程度の量が適切なのか、悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事は、FAQサイトの運営・運用ノウハウ講座【全6回】の第3回として、FAQコンテンツの「有効性」に焦点を当て、その考え方や具体的な改善ポイントを解説します。有効性を高めるための4つの軸(適量性・有益性・平易性・インタラクティブ性)を詳しく解説し、どのようなFAQがユーザーの自己解決を促進するのかを紐解いていきます。

FAQの価値を最大化し、ユーザーがスムーズに情報を得られる環境を整えるためのヒントを、ぜひご覧ください。

 

 

FAQマネジメントにおける「有効性」とは

第1回記事『FAQサイトのKPI、どう設計すべき?必要なフレームワークと3つのポイントを解説』でも触れたように、FAQサイトで大きな成果を上げるためには、掲載するFAQを最適化するための「FAQマネジメント」の実践が欠かせません

▼第2回記事


 

このFAQマネジメントには「効率性」、「有効性」、「運用性」という3つの軸があります。本記事ではこのうちの有効性について取り上げます。

有効性とは、「閲覧したFAQで自己解決ができるか」を指しています。

(1) 有効性についての4つの軸

有効性について詳しく見ると、更に4つの軸があります。

「有効性」の4つの要素を説明する画像

① 適量性

FAQコンテンツの量は少な過ぎても、逆に多過ぎても、自己解決が難しくなってしまいます。適度な量であることが大切です。

② 有益性

FAQの内容は利用者にとって役に立つ内容である必要があります。企業は「正しい情報を出すこと」を重視してしまいがちですが、ユーザーの情報ニーズにマッチしていることこそが重要になります。

③ 平易性

FAQは誰が見ても分かりやすい必要があります。ユーザーの方の知識や、FAQの運営者の方の業務経験などに関係なく、FAQの内容をしっかり理解できる必要があります。

④ インタラクティブ性

FAQを通してユーザーと運営者がコミュニケーションを取ることができる必要があります。
これは電話で直接お話できるようにする、といったことだけでなく、FAQに設置したアンケートによってユーザーの声をきちんと取り入れる、といったことも含んでいます。

(2) 有効性の前提となる「2つの心構え」

これら4つを踏まえて有効性について考える訳ですが、その前提として重要になるのが「2つの心構え」です。
FAQには、管理者側の視点と、それを使うユーザー側の視点の、2つの視点があります。それぞれについて、しっかり考えることが大切です。

① 管理者側の視点

管理者側の視点で重要になるのが、目的の理解です。
FAQを作るきっけかとして、「多くの企業で取り入れるのがトレンドになっているから」「ユーザーの要望が多いから」など様々なケースがあると思います。きっかけが何であれ、「そもそもどういった思いでFAQを作るのか」を予め整理することが欠かせません。

「FAQを作る」こと自体が目的になってしまっている場合がありますが、FAQは「手段」であり、「目的」ではありません。FAQを構築する前に、「こうしてほしい」、「こうなってほしい」という意図や意思を必ず確認してください。

FAQサイト管理者視点の重要性を説明する画像

② ユーザー側の視点

ユーザーはどんな情報を求めているかを改めて考え、役に立つ情報や、喜ばれる情報をFAQコンテンツに取り入れることが大切です。先ほどお話した、インタラクティブ性についても併せて考えましょう。

FAQサイトユーザー視点の重要性を説明する画像

(3) 「適量」の基準は無い

FAQコンテンツの量に関して、「多過ぎても少な過ぎても駄目」とご紹介しました。そうなると、「じゃあいくつ用意すればいいんですか」と疑問が浮かぶ方が多いかと思います。これについて結論からお伝えしてしまうと、「ケースバイケースなのでお答えできません」となってしまいます。

なぜかといいますと、「適量の基準」というものが存在しないためです。
FAQコンテンツの量が適量といえるかどうかは、ユーザーが知りたい情報が揃っているかどうか、という話になります。

そのため、適量の基準を個数で設定することはできないのです。

FAQコンテンツに関する「適量の実現」を説明する画像

ただし、「適量に近付いているか」の判断は、0件ヒット率である程度測ることが可能です。

0件ヒットについては、第2回記事『FAQサイトの運用レポート、どう見たらいい?重要指標とデータ解釈の方法を徹底解説』で詳しくご説明していますのでそちらをご覧ください。

 

▼第2回記事


 

カテゴリー分類の重要性

FAQを見たユーザーが自己解決できるかどうかには、FAQコンテンツの質や量に加えて、カテゴリー設計も大きく関わります。
ユーザーのあまねく質問に答えようと、多くのコンテンツを用意した場合、それらを整理するためのカテゴリーが必要になります。ではカテゴリー設計の際に気を付けるポイントとは何でしょうか。

まず把握していただきたいのは、カテゴリーの階層についてです。
最初の階層は多くの人の目に触れますが、2階層以降は一気に閲覧数が下がります。
そして3階層以降は、ほぼクリックされないことが分かっています。

そのため、カテゴリー分類は非常に大事である一方で、深すぎる階層は利用しにくくなることをご承知ください。

カテゴリー階層ごとのアクセス数推移を説明する画像

(1) カテゴリー分類に必要な7つの視点

では、実際にはどのようなカテゴリー分類があるのでしょうか。

まずご紹介したいのは「カテゴリー分類に必要な7つの視点」です。
7つとは、下記になります。
・「閲覧者が困っていること」
・「閲覧者がやりたいこと」
・「商品・サービス別」
・「Webサイトのインデックス別」
・「最近のFAQ」
・「よく見られているFAQ」
・「評価の高いFAQ」

(2) 事業内容によって最適なカテゴリー分類は異なる

この7つの視点は、ざっくりと3つに分けることができます。

「カテゴリー分類に必要な7つの視点の3分類」を説明する画像

① 利用者行動ベース

まず、「閲覧者が困っていること」、「閲覧者がやりたいこと」は利用者行動ベースのカテゴリー分類といえます。

ある銀行のFAQを例にご説明します。
この銀行では「ためる・ふやす」、「そなえる」、「かりる」といったカテゴリーを設けています。

利用者行動ベース_ver02

商品やサービスごとにカテゴリーを作ることも可能ですが、一般的ではない商品名などがカテゴリーになってしまうと、ユーザーが求めている情報に辿り着けないケースが増えてしまいます。
そのため「ためる」「かりる」といった、ユーザーの行動に即したカテゴリーを作ることで、FAQコンテンツを見付けやすくしています。

② 製品サービスベース

「商品・サービス別」、「Webサイトのインデックス別」、「最近のFAQ」の3つは製品サービスベースのカテゴリー分類といえます。

ある家電メーカーを例に説明します。
このメーカーのFAQは、先ほどの銀行とは大きくカテゴリーが異なっており、商品名やサービス名がそのままカテゴリーになっています。

製品サービスベース

これは「ユーザーにとってどういったカテゴリー分類が一番分かりやすいか」を考えた結果であり、家電メーカーの場合は「冷蔵庫」や「掃除機」といったカテゴリーの方が、ユーザーが知りたいことを見付けやすいと考えられるためです。
もしこれが、「買ってきた野菜を冷やしたい」「部屋をきれいにしたい」といった利用者行動ベースのカテゴリーだった場合をイメージしていただければ、製品サービスベースのカテゴリーの方がいかに分かりやすいかがご理解いただけると思います。

③ PDCAベース

「よく見られているFAQ」、「評価の高いFAQ」はPDCAベースの分類といえます。

これは厳密にはカテゴリー分類とは呼べないのですが、目当てのFAQに辿り着きやすくするためのページ構成という点でカテゴリー分類と同様の役割が期待できます。そのため、カテゴリー分類と併せてご紹介するようにしています。

PDCAベースの分類について、ある住設機器メーカーを例にご説明します。この会社では、FAQサイトのトップページに「よくあるFAQ」を載せています。

PDCAベース_ver02

具体的には、期間限定のキャンペーンや、トラブル時の対処方法などです。こうした情報は、1年で数回程度、一時的にアクセスが集中する、といった類のものです。PDCAベースの分類は、そういった特定のタイミングだけにサイトを訪れるユーザーを対象にした情報の掲載に向いているやり方だといえます。

次回の記事では、「自己解決に繋がるFAQコンテンツの作り方」等について解説させていただきますので、是非ご期待ください。

▼次回「自己解決に繋がるFAQコンテンツの作り方」等について

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