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FAQサイトを構築・運用する上で、設計に悩む方が非常に多いKPI(Key-Performance-Indicator)。類似の概念であるKGI(Key-Goal-Indicator)もあるため、「そもそもKPIがどういった指標を指すのか分からない」という方も多いようです。
FAQサイトにおけるKPIをどのように理解し、どのように設計・運用を行えばいいのでしょうか。
本記事では、国内シェアNo.1のFAQシステム『PKSHA FAQ』を開発・提供する、PKSHA Communicationのカスタマーサクセス担当・FAQ活用トレーニング講師 の片岡 利之がご説明します。
<スピーカー情報>
片岡 利之
FAQ活用トレーニング講師 /
株式会社 PKSHA Communication カスタマーサクセス本部
前提となるフレームワーク「FAQマネジメント」
FAQサイトで大きな成果を上げるためには、掲載するFAQを最適化するための「FAQマネジメント」の実践が欠かせません。FAQマネジメントは「効率性」、「有効性」、「運用性」という3つの軸からなる考え方で、これらに沿って課題を抽出し、改善の取り組みを進めることが大切です。
効率性は、「必要なFAQを探すことができるか」ということを指しています。
有効性は、「閲覧したFAQで自己解決ができるか」ということです。
運用性は、「変化に応じた状態を保持できるか」ということと、「効率性と有効性を継続・向上させる体制が構築されているか」ということを意味しています。
「運用性」3つの構成要素
運用性は「プロセス」「計画/体制」「分析」 の3つから成り立っています。
① プロセス
プロセスは運用に必要な段取りの整備のことで、「誰が、いつまでに、どこまで、どのように」ということを決めます。
② 計画/体制
計画/体制では、FAQを担う人員のアサインやロール(役割分担)を決めたり、工数管理をします。
③ 分析
分析には、目標設定に即した数値の把握やレポートシステムの活用、PDCA(改善点の発掘と改善)サイクルを回す、といったことが含まれます。
先行指標はKPI、遅行指標はKGI
FAQサイトを構築・運用する上で、多くの方が悩まれるのが「KPIをどう設計するか」ということです。また「KPIとKGIがどう違うのかよく分からない」というお声もよくいただきます。KPIの設計は運用性の中の「プロセス」に該当し、とても重要な部分なので、詳しくご説明したいと思います。
まず、「先行指標」と「遅行指標」という言葉があります。これは国際的なヘルプデスク協会であるHDI-Japanも使っている言葉で、先行指標はしっかり成されていることを確認するための指標であり、遅行指標は後からやってくる成果を確認するための指標です。
先行指標を言い換えるとKPIになり、最終目標を達成するために、その過程を計測する中間指標を指しています。遅行指標はKGIのことで、最終目標が達成されているかを計測するための指標になります。
FAQ導入の目的としてよく伺うのが、「問い合わせ を減らしたい」「Excel運用から脱却したい」「回答品質を均一化したい」といったことですが、これらは全てKGIになります。
KPIは、それらのKGIを達成する過程で「何をどこまで頑張っているか、どこまで進めるか」といったことを計測するために設定します。
KPIとKGIについて企業活動を例にご説明します。
企業にとってのKGIは「売上高~万円」「利益率~%」といったものになります。KPIは、それらのKGIを達成する上で必要になる「商談実績」や「顧客単価」、「サポートコスト」、「顧客満足度」などについての数値目標になります。
FAQサイトを構築・運用する場合であれば、KGIが「サポートコスト」や「顧客満足度」、KPIが「PV(ページビュー)」や「FAQ作成数」、「0件ヒット率」、「アンケート評価」などになります。
ここで考えていただきたいのが、企業活動ではKPIである「サポートコスト」や「顧客満足度」といったものが、FAQにおいてはKGIになっている、ということです。
このように同じ指標であっても、視点が変わればKPI、KGIのどちらにもなり得ます。ですから、先行指標はKPI、遅行指標はKGIということをしっかり理解した上で、それぞれを設定していただければと思います。
KPI運用の3つのポイント
次はKPIの具体的な運用についてです。ポイントは大きく3つあります。
(1) KPI改善に直結する箇所を正しく洗い出す
1つ目は、KPIから改善を要する箇所を正しく洗い出すことです。
例えばKPIが「PV」であれば、必要になるのは企業サイトからFAQサイトへの導線を改善し、流入数を増やす、といったことになります。KPIが「0件ヒット数」や「閲覧率」であれば、FAQサイトに入っている方に向けた対策になりますし、KPIが「コンテンツ評価」であれば、既にFAQを読んでいる方向けになります。
このように、設定しているKPIによって、改善のための打ち手が全く変わるということをご理解いただけたらと思います。
(2) 状況・フェーズに合わせてKPIを変えていく
2つ目は、時期やフェーズによって重視するKPIは変化する、ということです。
例えば、FAQ公開直後には認知獲得や安定運用に関するKPIを設定します。具体的には、ページがどれだけ見られているか、UU(ユニークユーザー)数はどれくらいいるか、といったものになります。
ただ、既存のFAQがあるのであればそれらコンテンツひいてはユーザーアクセスを新設サイトへどれだけ移行できたかがKPIになりますし、完全に新規のサイト開設なのであればどれだけ新たにFAQコンテンツを作れたかがKPIになります。
また、サイト公開から半年など、一定期間が経過した際は分析・改善に関するKPIを設定します。「0件ヒット率」や「アンケート評価」などです。
(3) テーマを絞って成果検証する
3つ目は、成果の検証方法についてです。
サイト全体で成果を見るのではなく、電話やメールといったチャネルごとにテーマを絞って成果を検証すると、FAQの効果が分かりやすいケースが多くあります。
例えば、FAQによって電話での問い合わせを減らしたいという場合に、月間の電話問い合わせ件数とFAQの閲覧数がどちらも増えているとします。この場合、FAQが正しく効果を発揮しているのか、判断できません。
しかし、「ログイン方法」のようにテーマを設定して見てみると、FAQの成果に気付けることがあります。ログイン方法についての電話問い合わせは減っており、ログイン方法に関するFAQ閲覧数が増えている、といった具合です。
このように目的別にテーマを絞ることで、FAQの成果が出ている部分とそうでないところが明確化します。
ここまでKPIの設定の仕方や運用方法についてお話してきました。「目的や時期によって柔軟に設定するべきということは分かったが、何が最適なKPIか迷いそうだ」と感じる方もいらっしゃると思いますので、迷った場合のKPIをご紹介いたします。
“抑えておくべき4大KPI”と言えるのが、
●「サイトアクセス数」
●「0件ヒット率」
●「FAQ閲覧率」
●「アンケート回答率」
です。これらを基本に、どういったKPIを加えていくかを考えていただければと思います。
次回の記事では、「FAQサイトの運用レポートの見方」等について解説させていただきますので、是非ご期待ください。
▼「FAQサイトの運用レポートの見方」等についての記事
<補足>
「PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。
■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/
※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」
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