公開日/2022.8.15 最終更新日/2022.08.15
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LTV向上に必要な7つのポイント|意味や計算方法、メリット

LTVの向上、何が必要?

LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客生涯価値(顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値)を表す指標として、注目されています。昨今、顧客のニーズは多様化し、顧客を取り巻く環境の変化は激しくなる一方です。

このような環境下では、新規顧客の獲得が困難となり、獲得コストが高まります。そのため、既存顧客との関係性維持に注力する企業が増えたことから、その指標であるLTVが注目されています。

当記事では、LTVという言葉の定義からLTVの算出方法例、活用のメリットやLTV向上に向けたポイントについて紹介します。

LTVとは

LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客の生涯価値を意味します。
1人(もしくは1社)の顧客が、生涯にわたって企業にもたらす利益であり、1回のみの取引ではなく、2回目以降の取引も含めた収益の総額です。

顧客の嗜好や購買行動が多様化し、人口減により新規顧客開拓の難易度が上がり続けている現代においては、企業のマーケティングにおいて必須の考え方といえます。

(1) LTVの定義

LTVとは、英語の「Life Time Value(ライフタイムバリュー)の頭文字を取ったマーケティング用語です。
日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれ、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値の合計のことをいいます。

LTVが重要視される背景には、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客にリピート購買してもらう方が、企業の利益に繋がりやすいという考え方があります。
成長市場でのシェア獲得では高いコストをかけても新規顧客の獲得が重要ですが、成熟市場においては既存顧客の生涯価値を高めることが重要です。

(2) LTVの算出方法

LTVには、業界特性や商品・サービスの特性によりさまざまな算出方法があり、ビジネスモデルや状況によって、適した算出方法を使い分ける必要があります。
ビジネスモデルや対象に応じた代表的な計算式を解説します。

ビジネスモデルや対象の違い 計算方法
リピート商材の場合 購入単価 × 購入回数 × 継続期間
サブスクリプション商材の場合 顧客の平均単価 × 粗利率 ÷ 解約率
BtoB商材の場合 顧客1人あたりの年間取引額 × 収益率 × 顧客1人あたりの継続年数
顧客全体を対象とした場合 (売上高 ― 売上原価) ÷ 購入者数

① リピート商材の場合:購入単価×購入回数×継続期間

基本的なLTVの計算方法です。顧客の購入単価や回数、継続期間をいかに伸ばすかを検討します。EC・通販を含む小売業や、サービス業等がLTVを求めたいときに適しています。

例えば、平均購買単価10,000円の商品を年に5回、5年間継続的に購入してもらっている場合、LTVは10,000円×30%×5回×5年=250,000円となります。

② サブスクリプション商材の場合:平均購入単価×粗利率÷解約率

サブスクリプション型の商材は、定額制で販売され一定期間の利益を見込むことができますが、解約される可能性があることも特徴です。
顧客の継続購買期間がわからない場合は、解約率(チャーンレート:Churn Rate)を用いて算出します。解約率は、「月あたりの解約した顧客数」÷「月の全体顧客数」として計算します。

③ BtoB商材の場合:顧客1人あたりの年間取引額×収益率×顧客1人あたりの継続年数

BtoB商材においては、取引ごとに収益率が異なる場合もあり、収益率を見込んだ算出が必要です。

例えば、A社では年間100万円、収益率30%で2年継続購入してもらい、B社は年間50万円、収益率50%で3年間継続購入してもらったとします。この場合、A社のLTVは1,000,000×30%×2=600,000円ですが、B社のLTVは500,000×50%×3=750,000円となります。単純な取引額はA社の方が大きいですが、LTVはB社が大きいといえます。

④ 顧客全体を対象とした場合:(売上高―売上原価)÷購入者数

企業・事業全体の目線で、顧客が「どの程度の収益性をもたらしてくれているか」の動向を把握する場合は、全顧客の平均値をもとに計算する場合もあります。

LTVを向上させる5つのメリット

LTVを向上させることで、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。LTVを向上させる5つのメリットを確認していきます。

(1) 営業コストを抑えられる

LTVを向上させることによるメリットとして、まず営業コストの削減が挙げられます。
企業が事業成長を続けるには新規顧客の獲得が必要不可欠ですが、ニーズの多様化や環境変化により、新規顧客の獲得にかかるコストは増大の傾向にあります。
「1:5の法則」によれば、新規顧客の獲得にかかるコストは既存顧客の維持コストの5倍といわれています。

このような環境下で、LTVを向上させて既存顧客からの安定的な売上基盤を築くことは、間接的な営業コストの抑制に繋がり、収益性の向上に寄与します。

(2) 継続的に安定した利益を確保できる

LTVは1顧客から得られる生涯価値を示す通り、向上させることによって安定的な売上・収益を確保することが見込めます。
新規顧客の獲得だけに依存せず、既存顧客の購買単価・購買頻度・継続期間を伸長させるための施策を実施することで、より確実性の高い収益モデルを構築することができます。

(3) 優良顧客の傾向を分析できる

LTVの分析を行うことによって、LTVの高い優良顧客の傾向をつかむことができます。
既存の優良顧客の傾向から、今後優良顧客になりうる新規見込み顧客の獲得に活用できるでしょう。

(4) 経営の健全化に繋がる

4つ目のメリットは、経営の健全化に繋がる点です。
新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客の維持にかかるコストの5倍とも言われているように非常に高く、少なくともLTVが新規顧客獲得コストを上回らなければ、赤字になってしまいます。

逆にLTVの向上を目指すことにより、新規顧客からもたらされる売上・収益に過度に依存しない健全な経営に繋がります。

(5) 収益を最大化するための施策を立案しやすくなる

LTV向上への分析を行うことにより、顧客と収益の関係性を把握することができ、ひいては事業全体の収益構造を把握することができます。

また、LTVは上限CPAの設定にも有効に活用できます。
上限CPAの算出には平均購買単価×収益率を用いる場合が多いですが、このように単発の収益ベースでCPA目標を設定すると、必要以上に低いCPAになりかねません
昨今は継続課金のサブスクリプションモデルのビジネスも多く、こういった場合はLTVを用いた上限CPAの設定が有効でしょう。上限CPA=LTV×収益率とすることで、適切な投資で機会損失を防ぐことができます。

LTVを向上させる7つポイント

LTVを向上させることによってさまざまなメリットがありますが、実際にLTVを向上させるためには、7つのポイントがあります。LTVを分析して問題となっている因子を明確化し、それらを改善するための施策を実施しましょう。

(1) 顧客ロイヤルティの向上

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や商品、サービスに対して感じる信頼や愛着のことを指します。

顧客ロイヤルティが高くなるほど、高い頻度で高価格の商品を購入する傾向にあるため、顧客ロイヤルティが向上できれば、商品やサービスの継続的な購入やアップセル、クロスセルを提案しやすくなるでしょう。

また、商品の購入単価・購入頻度が向上することにより、LTVの向上に繋がります。

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(2) 平均購買単価の向上

1回あたりの平均購買単価を高めることができれば、短期的にも収益性向上が見込めます。
平均購買単価を向上させる具体的な方法には、値上げのほか、上位の商品の購入を促すアップセルなどがあります。

また、関連商品の併買を促すクロスセルも有効であり、顧客が商品を購入する際にその商品の関連商品や付帯商品などのレコメンドを提示するなどの手法があります。

(3) 購買頻度の向上

LTVの向上における購買頻度の向上とは、購買の間隔をより短くすることです。それには、顧客との接触頻度を増やし、適切なタイミングで訴求を行うことが有効です。

顧客に対して購買頻度を高める具体的な方法には、定期購入やリピート化を促すステップメール、ポイントカードの導入、DMやメルマガ配信によるプッシュ型の情報発信などがあります。

(4) 顧客獲得、維持(運営)コストの削減

企業全体の視点でLTVの向上を考える際には、顧客獲得・維持(運営)コストの削減も必要な視点となります。せっかく購買単価や購買回数を向上させても、顧客獲得・維持(運営)コストが増大しては企業全体のLTV向上には繋がりません。

LTV向上に重要なポイントとなる営業やコールセンターでの顧客接点、また適切なタイミング・訴求でのDMやメール配信などの顧客管理においては、今日ではデジタルツールの活用が一般的です。
契約期間に応じたフォローや、適切なタイミングでの営業活動・マーケティング活動を自動化するためCRMシステムやマーケティングオートメーション(MA)ツールを活用する企業が増えています。

(5) 獲得顧客数の増加

既存の顧客と良好な関係を築き、安定した収益を得ることはもちろん、その一方で新規の顧客を継続的に獲得することも大切です。

中長期的に高いLTVをもたらす既存の優良顧客を分析し、その特徴を捉えることで、新規顧客獲得時にも優良顧客となりうる見込み顧客を積極的に獲得することができます。

(6) 解約率(離脱率)の低下

多くの顧客を獲得できても、解約率(離脱率)が高いと、LTVの向上には繋がりません。顧客から高いロイヤルティを得るためにも、解約率(離脱率)を抑えることが必要です。

解約率(離脱率)の低下には、ターゲットの最適化(そもそも顧客となりうるターゲットを最適化し、より自社の商品・サービスに高い満足度を得られそうな顧客を獲得する)や、顧客の特性分析(高いロイヤルティを示す顧客と解約した顧客の特徴を比較分析する)、ユーザーの不満を分析するなどの方法が挙げられます。

(7) 顧客維持率、継続期間の向上

LTVを向上させるにあたり、顧客維持率・購買期間の向上は成果をあげるための大きな因子です。
長期間継続して購買している顧客は、その商品・サービスや企業に対して顧客ロイヤルティがあると考えられます。このようにファンとなった顧客は、競合商品への乗り換えリスクが低く、また口コミによるさらなるファンの獲得への寄与効果も見込まれ、売上基盤において非常に重要な存在となります。

顧客維持率、継続期間の向上には、定期的な情報発信や、経過年数や更新回数に応じた長期継続の特典を準備するなど、継続しやすい購買環境の提供などが必要です。サブスクリプションモデルの提案も有効な策と考えられるでしょう。

LTV向上に役立つ支援ツール

LTV向上のためのポイントを確認してきましたが、それらを実現していくために役立つ支援ツールもあります。ツールの活用によって、効果的なLTV向上施策を実現しましょう。

(1) CRMツール

CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の頭文字を取った用語で、日本語では日本語では顧客関係管理と訳されます。

CRMツールとは、顧客管理を行うシステムのことで、顧客との良好な関係を築くことに役立ちます。
具体的には、顧客の個人情報や購入履歴、お問い合わせ履歴などを管理できて、顧客ごとに適切な対応を取りやすくなるため、CRMを利用することで部署ごとでの顧客情報の共有がしやすくなります。

(2) MAツール

MAツールとは、「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」ツールの略語です。
MAツールとは、新規顧客の獲得や、見込み顧客の育成などのマーケティング活動をサポートするためのツールです。

主に、顧客情報の管理や見込み顧客を育成するためのマーケティング施策の自動化・効率化、効果測定のサポートといった機能を持ちます。
顧客の検討段階に合わせて適切なアプローチを効率的に行うことが可能です。

(3) コミュニケーションツール

コミュニケーションツールの代表的なものに、チャットボットがあります。
チャットボットとは、ロボットが会話を代替するコミュニケーションツールで、「チャット(Chat)+ロボット(Robot)」の造語です。

AIに会話を学習させたり、事前にシナリオを登録したりすることで会話ができるようになります。
顧客からの問い合わせに対し、チャットボットを活用することにより、よりスピーディで的確な回答が可能になれば、顧客満足度向上に繋がります。

また、顧客側にとっても、商品やサービスのちょっとした問い合わせであれば、人よりも気軽で、かつリアルタイムにコミュニケーションがとれるというメリットがあります。
LTVの向上では顧客とのコミュニケーションが重要な要素となりますが、コミュニケーションツールとしてのチャットボットはこれを担うツールとして注目されています。

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LTVを理解して、より効果的・効率的な施策を実現しよう

LTVの向上には、既存顧客の傾向分析等から問題点を明確化し、継続的に改善していくことが重要です。LTVを向上させるポイントを理解し、自社の顧客に効果的な施策を実施しましょう。
また、LTV向上のための支援ツールを活用することで、これらの施策をより効率的に実現し、さらなる収益性の向上を目指すことも必要です。

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この記事の執筆者

CXジャーナル編集部

「顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“」というタグラインのもと、顧客とのコミュニケーション・カスタマーサービスに関するあらゆる問いにお答えしていくことをミッションにしています。 (運営元:株式会社 PKSHA Communication)

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