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公開日/2022.1.11
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チャットボットのシナリオとは?AI型との違いや作り方、設計のポイント

チャットボットのシナリオとは?AI型との違いや作り方、設計のポイント

企業のWebチャットボットとは、人工知能による自動会話プログラムのことです。企業のWebサイトを訪れた際、画面の右下にメッセージが表示されることがありますが、そのようなシステムがチャットボットです。そしてチャットボットの導入効果を得るためには、適切なシナリオ作成をすることが重要です。

そこで本記事では、チャットボットの種類やシナリオの定義、作成方法、作成時の注意点などについて解説します。

 

チャットボットの主な種類

チャットボットのシナリオを理解するための背景知識として、まずはチャットボットの種類について確認しておきましょう。チャットボットは以下の4種類に分類できます。

シナリオ型(ルールベース)チャットボット

シナリオ型のチャットボットは、あらかじめ用意したシナリオ通りに顧客の質問に回答します。フローチャート構造のシナリオを設計し、顧客の選択肢ごとに回答を用意する仕組みとなっています。一般的に、シナリオ作成が重要となるチャットボットはシナリオ型です。

シミュレーションゲームと類似した仕組みと称されることが多く、質問の内容がある程度決まっている商品説明や取り扱い説明書に適しています。

AI型チャットボット

AI型は、AIが顧客の質問の意図を分析して回答します。別称を「AI搭載型チャットボット」といい、自由質問に回答できるのがシナリオ型との大きな違いです。

AIの学習機能の一種である自然言語処理が備わっていることにより、抽象的な質問に対しても適切に回答できます。例えば、ユーザーが入力したフリーワードに対しては、蓄積されたデータを基にニーズを把握し、適切だと思われる回答を出力します。また、AIが学習を重ね、精度が上がれば、より顧客の質問や要望に対して適切な回答が可能になります。

一問一答型チャットボット

一問一答型は、顧客の質問に対して一つの回答を提示します。シナリオ型、AI型の両方で実現でき、シナリオ型の場合はキーワードによって事前に設定した質問文を表示させます。対して、AI型の場合は、問い合わせ内容を分析し、適切だと判断した回答を提示します。

ハイブリッド型チャットボット

ハイブリッド型チャットボットは、シナリオ型とAI型の機能を合わせた一問一答型のチャットボットです。質問は顧客が手入力し、一問一答形式で回答されます。あらかじめ設定した条件分岐を行い、顧客を適切な回答に導きます。

チャットボットの8つの種類|特徴や仕組み、導入時の注意点

チャットボットのシナリオとは?

チャットボットにおけるシナリオとは、ユーザーがチャットボットを利用する際の会話の流れのことを指します。つまり、どのように会話を進め、どのように目的の情報までユーザーを案内するかを設定したものがシナリオです。

そして、シナリオ型チャットボットの導入効果を高めるうえでは、良質なシナリオ設計が欠かせません。シナリオ型チャットボットでは、ユーザーが選択肢を選ぶことで会話が進んでいくので、シナリオの内容が悪ければ以下のような問題が発生します。

  • 顧客満足度が低下する
  • 企業イメージの悪化
  • ユーザーがページから離脱する


シナリオ型チャットボットでは、シナリオ設計がチャットボットの使いやすさを左右するため、適切な設計方法やコツを押さえて作成することが重要です。

チャットボットのシナリオの作り方の手順

続いて、チャットボットのシナリオの作り方について解説します。

Step1.チャットボットを導入する目的を明確にする

最初に、チャットボットの導入によって何を解決したいのかを明確にしましょう。解決したい問題によって、シナリオの流れは変わるためです。一般的な導入目的としては、以下が挙げられます。

  • 問い合わせ件数(入電数)の削減
  • オペレーターの業務負荷の軽減
  • 顧客満足度の向上
  • CVR(コンバージョン率)の改善
  • 人件費の削減


同じチャットボットでも、ベンダーや製品によってサービスの仕様は異なります。そのため、自社の課題や導入目的を洗い出して、シナリオの方向性を定めましょう。

Step2.ターゲットやペルソナを設定する

ユーザー層によって適切なシナリオは異なるため、想定されるユーザーを設定します。誰に向けて作るかを明確にすることで、使いやすいシナリオが作りやすくなります。ターゲットやペルソナ(典型的なユーザー像)を設定することで、以下の効果があります。

  • 設定すべきKPIが定まる
  • トンマナや文体の参考になる
  • 質問や回答に統一感が出る
  • ユーザーのニーズが明確化する


ユーザー視点でシナリオを設計できるようになるので、活用されやすいチャットボットになります。

Step3.質問と回答を考える

シナリオの方向性が定まったら、質問と回答を作成していきます。先ほど設定したターゲットやペルソナが、どのような疑問を持つのか仮説を立ててください。既存のFAQがあれば、質問や回答に流用するのも良いでしょう。

なお、質問と回答は自然な会話形式になるよう意識しましょう。長くて読みにくい文章はユーザーの離脱を招くおそれがあります。必要な情報を網羅することは重要ですが、短文で簡潔な文章を心がけましょう。

Step4.シナリオの大枠を設計する

質問と回答の設定が完了したら、シナリオの骨組みを作りましょう。フローチャートを活用して、1つの質問から複数の選択肢に分岐させていきます。最初は大きなカテゴリーの質問から始めて、最終的にユーザーが求めている情報に辿り着くようにします。

また、骨組みが完成したら社内のメンバーにチェックしてもらいましょう。骨組みに問題がある場合は、ユーザーのストレスや離脱につながってしまうため、必要に応じてブラッシュアップすることが大切です。

Step5.シナリオをチャットボットに登録する

大枠の設計が済んだら、チャットボットにシナリオを設定していきます。設定方法に関しては、ベンダーが代行してくれる場合もありますが、自社で設定する際は以下のポイントに注意してください。

  • 会話形式を意識
  • 選択肢の数は最低限にする
  • 文章は短く簡潔にする 
  • 必要に応じてリンクを設置


ユーザーがチャットボットとスムーズに対話できるように、ユーザビリティを高めていきましょう。

Step6.テスト運用を行う


最後に、作成したチャットボットのシナリオを実際に動作させ、利用にあたって問題がないかどうかを確認します。社内の複数のメンバーがテストユーザーとなり、問い合わせを行います。テスト運用では、特に下記のポイントを確認してください。

  • 選択肢の文言は自然か
  • FAQは不足していないか
  • 専門用語を使っていないか
  • 分岐は適切に動作するか
  • 質問と回答はリンクしているか


なお、確認するメンバーはチャットボットの作成に携わっていない社員の方が望ましいです。専門知識がないため、よりユーザーに近い立場でテストすることができます。

チャットボットのシナリオ設計のポイント

シナリオ設計では以下の3点を意識することで、わかりやすいシナリオを作成しやすくなるでしょう。

自然な会話になるように心がける

自然な会話にすることで、ユーザーはストレスなくチャットボットを利用できるようになります。冗長な文章は離脱の原因になるので、短く分かりやすい表現を意識しましょう。分かりやすいチャットボットは、顧客満足度や企業イメージの向上にもつながります。

また、ターゲット(ペルソナ)に合わせた文体を採用することも重要です。もしも自社の企業イメージやターゲットとかけ離れた文体にした場合、ユーザーが親近感を失う可能性があります。

選択肢を増やしすぎない

シナリオの選択肢を増やしすぎると、ユーザーがストレスを感じてしまいます。問題解決までのステップ数が多くなると、チャットボットの利用率が低下するおそれがあります。

利便性を損なわないためには、選択肢の数を最低限に抑えることが大切です。選択肢は5つ程度に抑えるようにしましょう。シナリオの骨組みを作る段階でフローチャートを活用し、無駄なステップがないか確認してください。また、フローチャートでシナリオをまとめることは、抜け漏れ防止にもつながります。

運用後も定期的に修正を行う

チャットボットの導入効果を最大化するには、導入後のメンテナンスも重要です。丁寧にシナリオを作成しても、運用する中で課題が見つかるケースは多いためです。回答精度が低いままでは顧客満足度の低下につながる可能性もあるため、シナリオの問題点を改善していく必要があります。

具体的な作業としては、アクセス数や離脱率などのデータを分析したうえで、不足しているQ&Aや答えられなかった回答を追加していきます。

「シナリオ型チャットボット」と「AI型チャットボット」の特徴を比較

ここまでは「シナリオ」および「シナリオ型チャットボット」を中心に解説しましたが、チャットボットの導入にあたってはシナリオ型とAI型どちらにするか検討する場合が多いです。最後に、チャットボット選びの参考になるよう、両者の特徴を比較してみましょう。

チャットボットに共通する特徴

チャットボットを設置するメリットとして全てのタイプに共通して挙げられるのが、業務効率化です。チャットボットは24時間365日、休まず稼働させることができ、カスタマーサポートと連携することで直接対応の工数削減にもつながります。

また、チャットボットで対応可能な問い合わせはチャットボットで完結させることにより、有人での対応が必要な問い合わせ件数を削減し、人件費や人手不足といった問題を解決できます。

チャットボットのサービスのなかには、月額費用が数万円で利用できるものもあり、従業員を採用するよりもコストを安く抑えることができます。また、チャットボットによる対応は、Webサイトを訪れた顧客にもメリットがあります。チャットボットで解決できる質問や課題であれば、その場ですぐに回答がもらえるので、顧客の手間の削減と満足度の向上につながります。

シナリオ型チャットボットのメリットとデメリット

シナリオ型チャットボットのメリット シナリオ型チャットボットのデメリット
・コストを抑えやすい
・短期間で導入できる
・顧客の意図に合った回答を提示しやすい
・回答可能な質問が限られる
・質問数が多い場合にはシナリオ設計に時間がかかる

 

シナリオ型チャットボットのメリット

シナリオ型はAI型チャットボットと比べてシンプルな設計なので、コストが安く抑えられるというメリットがあります。月額1万円程度で導入できるサービスもあり、比較的短期間で導入が可能です。

あらかじめFAQ(よくある質問)が用意されていればすぐに反映でき、顧客の意図と乖離しづらいので、顧客のニーズに合った回答を提示しやすくなります。


シナリオ型チャットボットのデメリット

シナリオ型は、事前に設定した質問に対して回答が用意されているため、回答可能な質問が限られてきます。

膨大な数の質問や、曖昧な質問が多数想定されるケースには向いておらず、FAQが用意されていない場合は、シナリオから設計しなければならないため、リリースまで時間を要します。

AI型チャットボットのメリットとデメリット

AI型チャットボットのメリット AI型チャットボットのデメリット
・複雑で広範囲な問い合わせに対応しやすい
・AI学習により回答精度の向上が期待できる
・オペレーターの負担軽減につながりやすい
・導入コストと運用コストが高くなる傾向がある
・自然言語処理の精度によっては費用対効果を感じづらいケースがある

 

AI型チャットボットのメリット

AI型は、AIが顧客の質問の意図を分析して回答するため、シナリオ型よりも複雑で広範囲な問い合わせに対応できます。また、運用に伴ってAIの学習が進み、回答の精度が向上するため、質問意図を正しく読み取れるようになります。AI型は、運用すればするほど効率化が進むという点がメリットといえるでしょう。
 
また、シナリオ型のチャットボットの場合は、顧客が質問に対して思うような回答を得られなかった場合、「その他お問い合わせ」から「直接対応」という選択肢が選ばれやすくなりますが、AI型はシナリオ型に比べて、学習機能と対応可能な範囲の広さから、シナリオ型よりもカスタマーサポートの担当者の負担軽減につながりやすくなります。


AI型チャットボットのデメリット

AI型はシナリオ型よりも複雑な設計になるため、導入コストと運用コストが高くなる傾向があります。
また、自然言語処理の精度によっては費用対効果が得にくいケースがあるので注意が必要です。機械学習のスピードや精度の向上はサービスによって異なり、精度が低いサービスの場合、質問に対して適切な回答ができず、直接対応の機会が増えてしまう可能性があります。

AIチャットボットとは?仕組みやシナリオ型との違い、導入までの流れ

シナリオ型・AI型チャットボットそれぞれに向いている場面は?

シナリオ型チャットボット

シナリオ型は、ECサイトや製品の取り扱い説明書など、質問内容がある程度絞り込めるシーンに向いています。
ログイン方法、パスワードの紛失、送料について、製品トラブルなど、あらかじめ答えが用意しやすい質問が多い場合はシナリオ型チャットボットを選択すると良いでしょう。


AI型チャットボット

AI型は、カスタマーサポートや社内の問い合わせ対応など、問い合わせ内容が多岐にわたる場合に向いています。
また、「顧客の要望を読み取ったうえでおすすめの商品やサービスを提示する」といった複雑な会話が想定される問い合わせにも、AI型の方が適しています。

チャットボットのシナリオ作成では顧客視点を忘れない

チャットボットにはいくつかの種類がありますが、シナリオ型チャットボットを活用する場合、良質なシナリオを作る必要があります。シナリオ設計は簡単ではありませんが、本記事で紹介した作成手順を参考にしてみてください。

また、ユーザーにチャットボットを使い続けてもらうためには、シナリオの分かりやすさも大切です。回答精度を高め続けることはもちろんですが、ユーザーが親しみやすいトンマナを採用したり、手軽に欲しい情報が手に入る構成にしたりするなど、常にユーザーの視点に立つことが重要です。

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