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公開日/2022.12.11
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コールセンターで音声認識を活用するメリットと導入時の注意点

コールセンターで音声認識を活用するメリットと導入時の注意点

近年、コールセンター業界の課題を解決するために「音声認識技術」を活用したツールを導入する企業が増えています。AIの発展で通話音声の認識率が向上しており、業務効率化につながることが期待されるためです。

そこで本記事では、コールセンターにおける音声認識の概要や、メリット・注意点を解説します。対応品質や離職率の改善においても重要なので、音声認識サービスの利用を検討中のコールセンターの管理者の方などは、ぜひご確認ください。

コールセンターにおける音声認識とは?

コールセンターの現場において、音声認識サービスはどのような目的で用いられるのでしょうか。まずは音声認識の仕組みと注目されている背景を説明します。

音声認識の仕組み

音声認識とは、人間の話した声を機械が分析・解析して、テキストに変換する仕組みのことです。コールセンター業務においては、通話内容をテキスト化し、データ化して活用することで応対品質の確認やトークスクリプトの作成に役立ちます。

また、AIが組み込まれた音声認識システムも開発されています。解析した音声データを基にオペレーターが必要とする情報を提示するなど、コールセンター業務をリアルタイムでサポートします。

なお、このような音声認識技術の向上は、AIの一種であるディープラーニング(人間の思考をコンピューターに学習させる技術)の進化によるものです。最近ではディープラーニングの感情分析機能が注目されており、顧客の感情を可視化することが顧客満足度向上に貢献すると期待されています。

音声認識の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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コールセンターで音声認識が注目されている背景

音声認識の導入は、コールセンターが抱える課題の解決につながるとして注目されています。一般的にコールセンター業界は以下のような課題を抱えています。

1.慢性的な人手不足
2.応対品質の改善

SNSの普及に伴い、コールセンターに求められるサービスレベルは高まっています。顧客対応の良し悪しはすぐにネット上に拡散するため、コールセンター管理者はオペレーターの働きを適切にモニタリングしなければなりません。一方、クレーム対応や電話応対は新人オペレーターの心身に負担をかけるため、人材の定着が難しい業界だと言われます。

以上のような課題の解決を目的として、音声認識による業務効率化が求められているのです。

コールセンターで音声認識を活用するメリット

コールセンターに音声認識を導入することで、どのような効果があるのでしょうか。ここでは代表的なメリットや活用方法を紹介します。

(1)業務の効率化につながる

音声認識により、オペレーターが行うさまざまな業務の手間を省けます。

通話内容やVOCの蓄積・分析を行いやすい

業務の効率化はオペレーターやSV(スーパーバイザー)の業務負担・工数を下げることにつながるため、離職防止にも有効です。従来は通話内容を確認する手段として通話記録の生データを1つ1つチェックする必要がありましたが、音声認識で自動的に文字起こしできれば、その負担は大幅に軽減します。

キーワード検索などで会話のポイントとなる部分だけを抽出することも可能なので、FAQやマニュアルを効率的に改善できます。VOCとは、「Voice Of Customer」の略称で顧客の声や意見のことです。
 

平均後処理時間(ACW)を短縮できる

顧客との通話内容がテキスト化されるので、通話終了後の業務を効率化できます。具体的には、対応履歴の入力作業、メモや共有の時間が削減され、平均後処理時間(ACW)が短縮されます。運用コストの削減や応答率のアップにもつながるでしょう。

なお、音声認識サービスによっては、通話内容を要約する機能を搭載しており、効率的に通話内容を把握できます。

平均後処理時間(ACW)については、以下の記事で詳しく解説しています。
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(2)応対品質を向上できる

コールセンター向けの音声認識システムは、応対品質管理にも効果的です。

オペレーターの教育や研修を行いやすい

通話内容がテキスト化されるため、オペレーターの応対品質が確認しやすくなります。オペレーターの話し方、言葉遣いを矯正しやすく、聞き漏れや聞き直しも削減できて、教育や指導に役立つでしょう。言葉遣いが不適切な場合、通話中にポップアップを表示してオペレーターに注意喚起することもできます。

また通話内容をテキスト化しておくことで、トークスクリプトを作成しやすいです。トークスクリプトとは、サービスの詳細や案内などをステップごとにまとめたオペレーター用の台本のことを指します。

クレームを未然に防ぐことができるようになる

音声認識システムはオペレーターや顧客の話し方からさまざまな感情を分析できます。何か問題があれば、その場でアラートをかけることもできますし、後で感情結果を電話応対の反省材料にすることも可能です。

さらにリアルタイムで会話をテキスト化できるので、顧客の要望や不満を素早く把握でき、クレーム対応の労力を減らすことができます。

(3)コンプライアンスの強化につながる

音声認識サービスを利用すれば、オペレーターがNGワードを発話しているかどうか素早く確認できます。あらかじめ発してほしくないキーワードを設定しておけば、後で録音通話を一つずつ確認する必要もないので、SVの工数は削減されます。

また、リアルタイムで通話内容をテキスト化すれば、応対中でもNGワードを検知・フォローできるので、コンプライアンスの強化につながります。

コールセンターで音声認識を導入する際の注意点

音声認識システムの導入には多くのメリットがありますが、認識精度は完璧ではなく、初期費用もかかります。ここでは導入する際の注意点や対応策を解説します。

(1)認識の精度が安定していない

AIの進化で音声認識の認識精度は向上したものの、人間と同等のレベルとは言えません。完全に音声認識に任せることは難しいので、認識や入力のミスは人間が確認する必要があります。音声認識が人間より劣る事例として、会話に方言や訛りが含まれるときや、声が低い場合には認識精度が下がることが挙げられます。

ただし、音声認識技術は進化を続けているので、将来的に認識精度が改善する可能性は高いです。

(2)導入やメンテナンスにコストがかかる

導入コストや導入後のメンテナンスコストなどもデメリットです。テキスト化の精度を高め、維持するためには音声認識システムのチューニングメンテナンスが欠かせないのです。チューニングとは、音声認識エンジンの学習により音声認識の精度を高める機能を指します。

自社のコールセンターに最適化された音声認識システムを構築するには、以下のいずれかの方法でチューニングしましょう。

・ベンダーに依頼する
・ディープラーニング技術が搭載されたシステムを選ぶ
・データを読み込ませる

それぞれのシステムでかかる工数やコスト面に違いがあるので、自社で解決すべき課題や必要な音声認識システムを明確にした上で利用するのをおすすめします。

(3)雑音の入らない環境の整備が必要となる

周りに雑音が多い環境では正しく音声が認識できないおそれがあります。風切り音やポップノイズ(マイクにかかる息の音)などの雑音は音声認識の精度を下げる原因になるのです。そのため、コールセンターでは静かな環境やヘッドセットを用意するなどの工夫が必要です。

顧客側の雑音が大きい場合には、オペレーターが顧客の発言を復唱するなど、音声の分析・解析に支障が出ないようなルールを作っておきしょう。

音声認識でコールセンターの業務効率化を図ろう

今回はコールセンターにおける音声認識について解説しました。音声認識の導入は業務効率化を実現するために有効な方法であり、人手不足をはじめとするコールセンター業界の課題を解決する可能性があります。

ただし、導入には初期費用や工数がかかるので、綿密に現状分析を行うことが大切です。導入後のチューニングコストについても、どのチューニング方法を選択するか検討しておきましょう。事前の要件整理や、音声認識を導入する規模などに注意し、自社の目的に合致したサービスを選ぶことをおすすめします。

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