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公開日/2023.1.17
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コールセンターのトークスクリプトとは?作り方や構成例、注意点

コールセンターのトークスクリプトとは?作り方や構成例、注意点

コールセンター(コンタクトセンター)業務を改善するには、トークスクリプトの活用が欠かせません。オペレーターの業務負担が軽減され、電話応対の品質が安定するためです。また、社内研修でのロープレに利用できるので、新人育成のツールとしても役立つでしょう。

そこで本記事では、コールセンターにおけるトークスクリプトの概要、スクリプト作成の手順とサンプル、注意すべきポイントを解説します。コールセンター業務の効率化に取り組む管理者の方などは、ぜひご確認ください。

コールセンターのトークスクリプトとは?

トークスクリプトは、コールセンター業務に必須のナレッジであり、会話の道しるべとも表現されます。まずはトークスクリプトの意味と、使う目的を説明します。

トークスクリプトの意味

トークスクリプトとは、コールセンターにおいてオペレーターが顧客対応を行う際の補助となる台本です。内容としては、自社サービスの情報や案内の手順、回答例などがまとめてあります。

一般的にはアウトバウンド業務(テレアポ営業など)で用いられるイメージがあるかもしれませんが、インバウンド業務にも有効です。現場に導入することで、顧客からのお問い合わせに正確でスピーディーな対応ができるようになるでしょう。

なお本記事の後半では、インバウンド・アウトバウンドの構成例をそれぞれ紹介しますので、トークスクリプト作成の際はご参考にしてください。

トークスクリプトがないとどうなる?

トークスクリプトがないと、オペレーターの業務負担が増加します。取り扱う製品の情報や案内の手順を暗記する必要が出てくるためです。間違った情報を伝えるリスクも高まり、顧客の不満につながるでしょう。

また、顧客応対がオペレーター個人の勤続年数や経験に左右されるため、品質にばらつきが出やすいです。特にトークスキルや知識が不足した未経験者の場合、言葉に詰まるなどして適切な対応が難しくなります。

つまりトークスクリプトの役割は、オペレーターの負荷を減らし、顧客対応品質を向上させることなのです。コールセンターの業務改善に取り組む際は、選択肢の1つとして、トークスクリプトの作成をおすすめします。

コールセンターのトークスクリプトの作り方

コールセンターのトークスクリプトの作成手順をご紹介します。細かな注意点は後述するので、まずは大まかな流れを把握しましょう。

Step1.ペルソナを設定する

最初に自社の取り扱う商品やサービス、業界を基に想定顧客を設定します。顧客の立場や思いを想像できないと、顧客の心に刺さるトークスクリプトは作れないからです。具体的には「ペルソナ」という架空の顧客像を設定します。

ペルソナとは、職業や住んでいる地域、家族構成、性格などを含む詳細な人物像です。架空の顧客を綿密に設定することで、抱えている課題や人物背景などをイメージすることができます。それに応じて商品やサービスの訴求方法が変わるので、重要なステップです。

なお、ペルソナに似た言葉としてターゲットがありますが、こちらは実在する集団(例:20代男性や40代女性など)であり個人像ではありません。

Step2.必要な情報を整理する

自社の商品やサービス、ペルソナの情報を整理しましょう。それらの情報を基に、インバウンドあるいはアウトバウンドのトークスクリプトを作成していきます。

インバウンドの場合は、想定される質問を全て洗い出すことが大切です。なぜならば、インバウンド業務で重視されるのは、問い合わせに対する正確で迅速な受け答えだからです。顧客の問い合わせ履歴からよくある質問を洗い出し、カテゴリーごとに分類すると良いでしょう。

また、クレームやネガティブな内容の問い合わせも想定されるため、あらかじめ返答を用意することをおすすめします。

一方、アウトバウンドはコールセンター側からの架電なので、電話を切られないようなトークスクリプトにしなければいけません。オペレーターの対応によっては、名乗っただけで拒否されることもありますし、セールストークに好意的でない顧客と出会うことも考えられます。

Step3.トークフローの骨組みを作る

顧客対応の大まかな会話の流れを作成します。流れが視覚的に把握しやすいように、フローチャートで図式化するのが一般的な手法です。

フローチャートとは、図形と矢印を使って仕事の手順を分かりやすく示す図のことで、複雑なプロセスを分かりやすくまとめることができます。トークスクリプトにおいては、「Yesと言われたらAに分岐」「Noと言われたらBに分岐」といった具合に、いくつかの会話のパターンをまとめることが可能です。例えば、BtoBのフローチャートには、以下のような分岐点があります。

・受付突破 / 担当者様が不在
・顧客が課題を抱えている / 課題はない
・自社サービスを知っている / 知らない
・資料の送付が可能 / 不可
・日程が指定できる / できない

このフローチャートを骨組みとして、オペレーターが実際にどんな対応をするのか決めていきます。

Step4.具体的な会話の内容を反映させる

最後は、骨組みに沿って具体的な会話内容を入れ込みます。顧客がどのような反応を示しても即座に対応できるよう、オペレーターが話すべき内容を文章にしましょう。なお、会話内容を考える際は、2つ注意すべき点があります。

1つ目は、口語体(話し言葉)を使ってシナリオを作成することです。もしも箇条書きやキーワードのみで作成した場合、オペレーターが意図を汲み取れずに、言葉に詰まってしまうでしょう。応対品質もばらつきやすくなるため、トークスクリプトを作るメリットも薄くなってしまいます。

2つ目は、必要十分な敬語を使うことです。経験の浅いオペレーターは、謙譲語や尊敬語を間違えがちなので、顧客に失礼がないよう正確な敬語を使った例文を用意しましょう。

その他、可読性を上げるために漢字とひらがなの割合に気を配ったり、難しい漢字にはフリガナをつけたりするのも、オペレーターの負担を軽減するコツです。

コールセンターのトークスクリプトの構成案のサンプル

ここではインバウンドっとアウトバウンドのトークスクリプト構成案をご紹介します。どちらもオープニング・本題・クロージングの3要素から成っています。

インバウンドの構成例

インバウンド業務では、オープニングトーク後に顧客からの質問に対応することになります。よくある質問への回答を準備して、スムーズな対応を心がけましょう。

オープニングトーク

アウトバウンドと同様に、オープニングトークの印象は企業のイメージを左右します。まずは挨拶と自己紹介、用件の確認とともに、お問い合わせいただいたことに対して感謝を伝えましょう。ちなみに、自己紹介では社名よりもサービス名の方が顧客に伝わる場合もあるため、自社の状況に応じてオープニングトークを決めることが重要です。

挨拶:「お電話ありがとうございます。」
自己紹介:「○○(会社かサービス名)カスタマーサポートの○○と申します。」
用件の確認:「どういったご用件でしょうか?」

お待たせしてしまったときには、お詫びの言葉を付け加えましょう。

お詫び:「大変お待たせいたしました。」

これらのオープニングトークが終わると本題に入りますが、アウトバウンドのように定型的なトークではありません。インバウンドでは顧客からの問い合わせ対応がメインのため、メイントークの代わりに質問に対しての回答を行います。

顧客のお問い合わせに対する対応

インバウンドでは、顧客の質問や意見に対して対応する必要があります。あらかじめ想定される質問と回答をまとめておきましょう。また、トークスクリプトに記載がない質問が来た場合に、どのように対応するか記載しておくことをおすすめします。例えば、「すぐに答えられない質問はコールセンター管理者がフォローする」などとルールを定めておき、その後にトークスクリプトの見直しに活用すると良いでしょう。

また、オペレーター向けによくある問い合わせをまとめたFAQシステムを導入することで、電話応対をしながら問い合わせ内容に合った回答を探し出せるようになり、顧客応対品質や業務効率の向上につながります。

クロージングトーク

クロージングトークでは、お問い合わせいただいたことへの感謝の気持ちと、また気軽に連絡して良いことを伝えましょう。

挨拶:「お問い合わせいただきありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」

クレームや苦情だった場合にも行為に対して感謝を伝えて、顧客が気持ちよく電話を切れるように意識しましょう。

謝罪:「貴重なご意見をありがとうございました。」

アウトバウンドの構成例

アウトバウンド業務では、オペレーターが顧客に電話をかけます。通話前から伝える内容が定まっており、計画的に会話しやすいのが特徴です。

オープニングトーク

オープニングトークは、第一印象を決める大切なパートです。まずは明るく元気に挨拶をしましょう。第一声によってトーク全体の印象が左右されるため、声のトーンに気をつけてください。なお、アウトバウンドの場合は突然の電話に不信感を抱かれるケースがあるため、企業名や名前を伝えることが特に重要です。

挨拶:「お世話になっております。」
自己紹介:「○○会社の○○(名前)と申します。」

オープニングトークでの印象が悪いと、電話を切られてしまう可能性があるので注意してください。相手の気を引くキーワードを出したり、質問を行ったりすることが大切です。例えば、自社のサービスを使うことによるメリットや、顧客の課題が解決される旨を簡潔にアピールすると効果的です。

メイントーク

メイントークとは、電話の本題となる会話のことです。アウトバウンドの場合は、顧客の反応を見ながら商談を進めるパートになります。会話の内容としては、顧客とオペレーターの負担を減らすため「はい」「いいえ」で回答できる質問が設けられていることが多いです。

質問1:「○○についてお困りではないでしょうか?」
質問2:「○○のサンプルはお試しになられましたでしょうか?」

アウトバウンド特有の注意点は、顧客に興味関心を持たれなければ電話を切られてしまうことです。そのため、提案を断られたときにどのような対処をするのか考えておきましょう。一般的なテクニックとしては、相手の思いに共感した上で、顧客の悩みについて別の切り口で質問するのが有効です。

共感:「さようでございますか。」
別の切り口:「○○について詳しい状況をお聞かせください。」

文例の組み立て方については、過去に成約に至ったときのトーク内容や話の広げ方などを参考にすると良いでしょう。

クロージングトーク

クロージングトークとは、対応を終える際の会話のことです。アポイントメントの約束や資料請求などの目的に向かってクロージングを行います。いずれも丁寧で礼儀正しくすることを意識しつつも、長くなりすぎないように気を付けましょう。代表的な文例は以下の通りです。

アポイント:「○月○○日のご都合はいかがでしょうか?」
資料の要否:「ご興味がございましたら関連する資料を無料でお送りしております。」
締めの挨拶:「本日はお忙しい中、ありがとうございました。」

アポイントの日程調整のコツは、候補日を絞った問いかけ方をすることです。相手に日程調整を委ねすぎると、考える負担をかけるだけでなく、そのまま断られる可能性が高まるからです。次回の約束につながるように、いくつか候補日を挙げて、その中から選んでもらうようにしましょう。

コールセンターのトークスクリプトを作成するときのポイント

コールセンターのトークスクリプトを作成する際に、注意すべきポイントを5つ紹介します。

(1)現場経験の豊富なスタッフが作成する

トークスクリプトの作成には、現場での経験が豊富なSV(スーパーバイザー)やベテランオペレーターが関わるのが望ましいです。現場の経験者の意見を基に作成することで、実用的なトークスクリプトになるからです。例えば以下のような実体験を盛り込むと、トークスクリプトのクオリティが上がるでしょう。

・新規契約を取った際のトーク内容は「○○」だった
・BtoCでは適度にフランクな会話の方が受け入れられた
・電話で「○○」のような言い回しをすると顧客に好印象を持たれた
・クレーム対応が短時間で解決したときには「○○」を心がけた

これらは一例に過ぎませんが、いずれにしても一般的な意見や憶測でなく、現場に即したノウハウを記載することが大切です。

(2)見やすいレイアウトにする

オペレーターがスムーズに対応できるように、見やすいレイアウトを意識しましょう。具体的に注意すべきポイントは2つあります。

1つ目は、可読性の高いフォントを使用することです。定番は新聞や小説などにも使われる明朝体ですが、細めのゴシック体を使っても良いでしょう。反対に、文字が潰れたり、かすれて読みにくかったりすると応対業務に支障をきたすので注意してください。フォントサイズに関しては、極端に大きすぎたり小さすぎたりしないことがポイントです。

2つ目は、フローチャートを採用することです。顧客の「Yes」「No」の回答から矢印を伸ばし、次にオペレーターがすべき対応が自然と確認できるようにしましょう。分岐が多すぎると逆効果ですが、全体がスッキリとまとまっていると視認性が高くなります。

(3)ロールプレイングをして精度を高める

現場で使用する前にはロールプレイングを行い、トークスクリプトを改善しましょう。文面を見るだけでなく実際に声に出さないと、細かな違和感に気づきにくいからです。具体的には以下のような課題が浮き彫りになります。

・話し言葉が不自然で言いにくい箇所がある
・レイアウト(フローチャートなど)で見えづらい点がある
・会話例があっても、オペレーターによって品質に差が出る

トークスクリプトはコールセンター業務を補助しますが、事前に試しておくことが大切です。オペレーターの配属に関しても、ロープレで一定の水準をクリアした方から実務に就けるシステムにするなど、応対品質を下げない工夫をしましょう。

(4)現場の声を反映させてブラッシュアップを行う

トークスクリプトは一度作って終わりではなく、随時ブラッシュアップする必要があります。最初から完璧なトークスクリプトを作成するのは困難ですし、実務で運用する中で課題点が見えてくるからです。例えば、顧客から頻繁に聞かれる質問があれば、FAQ(よく聞かれる質問と回答例)として加筆し、迅速に対応できるようにすると良いでしょう。また、顧客の反応が良かったやり取りや、上手くいった切り返しなどがあれば、積極的に盛り込むことをおすすめします。

トークスクリプトのブラッシュアップを通じて、組織内で有益な情報を共有することが重要です。

トークスクリプトでコールセンターの業務改善を実現しよう

今回はコールセンターにおけるトークスクリプトについて解説しました。トークスクリプトを適切に運用することで、業務効率化や顧客満足度の向上が期待できます。本記事でご紹介した手順を参考に、トークスクリプトの作成を検討してみてください。

注意点としては、定期的に内容を見直す必要があることです。オペレーターの切り返しや言葉選びなどに改善点がないか検討したり、FAQを加筆したりすることが重要です。トークスクリプトを適切に活用することで、コールセンター全体の生産性を向上させましょう。

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