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コールセンターでは電話が入電するから切るまでの「呼量」と、電話回線の空きがなく接続されなかった「呼損率」を常に気にしておく必要があります。
本記事では、「呼量」と「呼損率」についての解説と、電話回線がつながらなくてもWebサイトやアプリなど別チャネルで「呼損率」の問題を解決できる「ビジュアルIVR(V-IVR)」についてご紹介します。
「呼量」、「呼損率」とは
顧客・ユーザーからの入電・問い合わせ対応を主としているコールセンター業務では、「呼量」や「呼損率」は常に意識する指標の一つといえます。
そんな「呼量」と「呼損率」について、改めて定義を確認してみます。
「呼量」=単位時間あたりの通信回線の占有量
「呼量」とは、単位時間あたりの通信回線の占有量のことを意味します。「呼」とは電話がつながってから切るまでの1回の通話のことを指し、1回の通話に対し単位時間あたりで「どれだけ電話を使っていたか」を表す数値のことを「呼量」と呼んでいます。
「呼量」は「アーラン」という単位で表されます。
例えば、1時間(3600秒)の間に平均10回の通話がされ、その通話の平均利用時間が5分間(300秒)だったというとき、呼量は「0.8333アーラン」であると分かります。
つまり、「呼量」は以下の計算式から導くことができます。
「呼損率」=回線の空きがなく電話が接続されなかった割合
「呼損率」とは、「呼」が発生したとき、電話回線の空きがなく電話が接続されなかった率を数値で表したものです。具体的には、10回電話をかけたとき2回は電話がつながらなかったというときの「呼損率」は0.2。100回電話をかけたとき2回は電話がつながらないというときには0.02の「呼損率」ということになります。
家庭では通常、1つの電話回線に対して基本的に1つの電話機が使用されます。そのため、電話の発着信は必ず行われます。
しかし企業では、1つの電話回線に対して複数の電話機で共有することが一般的です。そのため、電話の通話が混み合っている場合には発着信ができない電話機が発生します。
例えば、電話を5回線契約していて電話機が10台ある企業の場合、5台の電話機を同時に使用していれば残り5台の電話機では発着信ができません。
常に同時通話できるよう10回線を契約すればいいのですが、それでは電話回線の月額コストが高くなってしまいます。そこで「呼損率」をもとにして適正な回線数を算出していく必要があるのです。
「アーランB式」の呼損率表で必要な回線数を算出
オフィスでは電話回線の契約数が多いほど電話はつながりやすくなります。そうすることで「呼損率」は低くなりますが、一方で電話回線コストは高くなってしまいます。かといって電話回線の契約数を少なくすれば、コストは抑えられますが、電話がつながりにくくなり、「呼損率」は高まります。
そこで「呼量」の単位である「アーラン」を使った「アーランB式」という計算式を使用することで、呼量、呼損率と電話回線数の関係を推測し、求めている「呼損率」に対する適切な電話回線数を算出できます。
「アーランB式」の理論式は複雑であり瞬時に計算するのは難しいものです。そこで、「呼損率表」という早見表を作成し、その表に従って必要な電話回線数を算定しましょう。
自社で統計した電話着信レポートから、呼量が1アーランであることが判明したとします。そこで、「呼損率」を0.01以下に抑えたいというとき必要となる電話回線数は4本にするのが適切だということが分かります。
なお、電話回線の契約数を増やすだけでなく、Webサイトやアプリを活用した「ビジュアルIVR」等
で「ノンボイス化」を進めることでも「呼量削減」を実現することが可能です。
「ビジュアルIVR」を活用した「呼量」の削減
「IVR」とは「Interactive Voice Response」の略語です。顧客・ユーザーからの電話問い合わせに対して、自動の音声ガイダンスで応答を行うコンピュータシステムのことを指しています。
その「IVR」をさらに進化させた仕組みとして、「ビジュアルIVR」があります。これまで「IVR」で行われていた自動音声案内を、Webサイトやアプリなどのユーザーインターフェース(UI)を使ってビジュアル化したシステムのことを指します。
「ビジュアルIVR」は自動音声案内とは異なります。
Webサイトやアプリの画面に表示されたメニューの中から顧客・ユーザーが知りたいと考えている質問項目を選択していくことで、該当するFAQページへ辿り着くことができます。
また、FAQページの選択以外でも、チャットボットや「オペレーター窓口」などの他サポートチャネルも設けておくことで、顧客・ユーザーごとに好ましいチャネルを選んでいただくことが可能です。電話回線がつながらなくても別チャネルでの解決ができるため、「呼量削減」を実現するシステムとして注目を浴びており、コールセンター業務の効率化や顧客満足度向上を実現できるため、近年では電話業務を行っているさまざまな企業で普及が進んでいます。
「ビジュアルIVR」導入時に気をつけたい3つのこと
「ビジュアルIVR」を導入するにあたっては、その前提として気をつけたいポイントが3つあります。
(1) サイトやアプリのUIに原因がないか
1つは、「ビジュアルIVR」を導入する目的や現状課題を明確にしておくことです。「呼損率」が高いのでコールセンターへの入電数を下げたい、といった理由で「ビジュアルIVR」を導入するのであれば、なぜ「呼損率」が高いのかの原因を探り、現状の課題を明確にしておく必要があります。
課題の原因を探っていくと、自社のWebサイトやアプリ上でのUIや動作がわかりづらいために問い合わせの入電数が高まり「呼損率」の高さにつながっている、というケースもあります。顧客・ユーザー視点でサイトやアプリ、コンテンツなどの掲載方法や導線を一度見直して、原因やその奥にある課題を事前に明らかにしておきましょう。
(2) 十分なFAQコンテンツは揃っているか
もう1つは、FAQコンテンツを充実させておくことが挙げられます。
「ビジュアルIVR」は、FAQページなど、サポートコンテンツが整っていることが前提となります。問い合わせが多い内容・コールリーズンをFAQコンテンツで解決できる仕組みを作ことができれば、電話問い合わせでの対応が必要な件数を最適化することでき、「ビジュアルIVR」の導入効果も最大化できるでしょう。
(3) コールリーズンごとのチャネル切り分け
また、問い合わせ内容・コールリーズンごとのチャネル切り分けも重要です。
顧客・ユーザーからの問い合わせに対して、電話で直接会話しないと対応が難しい内容と、無人対応でも十分対応できる内容に分けられます。前者であればコールセンターのスタッフが対応する必要がありますが、後者であればチャットボットやFAQページなどの無人対応でも解決できます。
無人対応でも問題ない問い合わせ内容とその回答を、そうでないものと切り分け、「ビジュアルIVR」に反映させましょう。そうすることで、電話をかけてくるカスタマーを減らすことができ、「呼損率」の低下にもつながります。
「呼損率」が減ることで顧客満足度の向上にもつながりますし、コールセンターで働くオペレーターの負担軽減にもなるでしょう。
まとめ:サポートチャネル・コンテンツの見直しからはじめよう
「呼損率」を下げるためには、電話回線の契約数を増やす、という手段が以前までは一般的でしたが、近年では、「ビジュアルIVR」を活用した「ノンボイス化」という解決手段も選ぶことができます。「ビジュアルIVR」活用の前提にもなりますが、まずは自社サポートチャネルの導線設計とFAQコンテンツの最適化を見直すことで、自社にとって必要なものが見えてくるでしょう。
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