株式会社ニフコ
現場主導の「まずやってみよう」が拓いた、AI協働による業務変革
| 導入サービス | PKSHA AI Helpdesk(AI ヘルプデスク) |
|---|---|
| 業種 | メーカー・製造 |
| 活用対象 | 社員からの問い合わせ |
| 導入目的 | 従業員満足度向上, 業務効率化 |
猿渡 容子 様 情報システム部 システム基盤管理課/プロジェクトリーダー
正木 奈々絵 様 情報システム部 業務改革企画課
山根 未紗子 様 情報システム部 システム基盤管理課
及川 健太 様 人事部 人事課
会社、ご担当者様の紹介
まず、みなさまのお役回りについて教えてください。
猿渡様:情報システム部 システム基盤管理課では、サーバーやクラウド、セキュリティ対策、PCやID管理など、全社のITインフラの企画・運用を担っています。私はその中で、IT統制プロセスや、eラーニングを用いた全社的な情報セキュリティ教育など、社内全体に関わる事項の総括と推進を担当しています。今回のAI ヘルプデスク導入においては、プロジェクトリーダーとして導入を推進しました。
正木様:情報システム部 業務改革企画課にて、社内の業務改革推進や新システム導入の企画を担当しています。特に最近注力しているのが「デジタル人材」の育成です。私自身、元々は総務部に所属していましたが、コロナ禍で業務改善のために独学でデジタルツールを使い始めたことがきっかけで、現在の部署へ異動しました。そうした経験を活かし、現場目線でツールを使いこなせる人材を増やす活動を行っています。
山根様:猿渡と同じシステム基盤管理課で、主にシステム関連のオペレーション業務を担当しています。具体的には、ユーザーアカウントの管理、PC機器のキッティング(初期設定)、Officeアプリの操作サポートなど、全従業員からの問い合わせを受ける一次窓口としての役割です。AI ヘルプデスク導入のプロジェクトでは、実際の問い合わせ対応やFAQのメンテナンス、AIの回答精度チューニングなどを担当しています。
及川様:人事部 人事課に所属しています。人事課の主な業務は、給与・勤怠・社会保険などの労務関係や、結婚・出産・育児といった従業員の皆様のライフイベントに関するサポートです。 昨年、弊社では人事制度を刷新しました。現在はその新制度の運用に加え、従業員が働きやすい環境を提供できるよう、制度に合わせた改善や環境づくりに日々取り組んでいます。 私自身の具体的な主要実務としては、雇用保険や労災保険といった労働保険、健康保険や厚生年金などの社会保険の手続き、育児・介護休業の対応などが中心です。また、公共職業安定所(ハローワーク)や年金事務所とのやり取り、人事関連規定の取りまとめ、法改正への対応など、法律に関わる業務についても幅広く担当しています。
埋もれるナレッジ、属人化した100件の問い合わせ
AI ヘルプデスク導入前の状況や課題について教えてください。

山根様:システム基盤管理課は9名体制ですが、そのうち私を含む2名が実質的な一次対応窓口となっており、導入前は月間100件ほどの問い合わせに対応していました。一番の問題は、窓口が一本化されておらず、メール(約46%)、対面(約20%)、電話(約16%)、チャットと、あらゆる手段で100件が個人宛てに連絡が来ていたことです。頼られることは嬉しい反面、業務時間が圧迫されるのも事実です。体感としては、本来の業務と問い合わせ対応が半々ぐらいになってしまうこともあり、対応を優先しつつ、隙間時間で通常業務を回すという自転車操業的な側面がありました。
また、個人宛ての連絡による「対応履歴の属人化」は、情報が共有されず、ナレッジが個人のメールや記憶の中に埋もれてしまうということも大きな課題です。
改善策としてSharePointにFAQを整備し全社員が見られるようにしましたが、情報が増えるにつれてスクロールが大変になり、「FAQを見たけど分からない」という問い合わせがなくなりませんでした。ナレッジの集約だけでなく「検索性」にも大きな課題があり、実際には載っているのに、見つけられない状態だったんです。
猿渡様:FAQが増えて検索性が悪くなってきたので、あまり追加費用をかけずにできる方法としてシナリオ型チャットボットを導入しました。情シスだけでなく人事部でも似たような課題感があり、それぞれ別のアプリとして公開しました。シナリオ型で運用していたため、FAQが増えてくるとメンテナンスに工数がかかり、変更時の対応が大変でした。また、回答精度が期待に届かず、有人連携機能もなかったため、解決しない場合は改めて個人宛に連絡する必要があり、「最初から直接聞いた方が早い」となってしまったことで、あまり利用されませんでした。
及川様:これは想定ではありますが、人事には定型の質問があまりないので、質問しても求めている答えが返ってこず、使われない状態に陥っていたと思います。基本的には「人事サポート」という問い合わせ用の共有メールアドレスでの対応や対面、電話、チャットで対応できてしまっていたという状況もあったようです。
チャットボットで一度うまくいかなかったところから、なぜ改めてAI ヘルプデスクを選ばれたのでしょうか。

猿渡様:将来的な労働人口の減少が確実視される中で、ナレッジを個人の頭の中ではなく「組織の共有財産」にする必要性を強く感じていました。ユーザーが自己解決できる環境を整え、特定の担当者2名以外でも対応できるようにすること、そしてメイン担当者の工数を下げて本来の業務に集中できるようにすることを目指し、今回の再挑戦を決めました。
可視化された潜在ニーズと「前向きな相談」への変化
AI ヘルプデスク導入後の体制や件数はどのように変化しましたか?
山根様:導入後の問い合わせ総数(情シス・人事・総務の合計)は、9月の実績で611件、10月で509件と、月平均で500件〜600件ほどのニーズが可視化されました。 ただ、正直に申し上げると、我々情シスの業務負担が劇的に減ったかというと、そうではありません。簡単な問い合わせはAIで解決されるようになりましたが、その分、今までなら「誰に聞いていいか分からない」と諦められていたような、深い内容や新しい相談が窓口に届くようになったからです。
猿渡様:特徴的なのは、単なるトラブル対応だけでなく、「DXのためにこのアプリを入れたい」「こういうことをしたいが、どのツールを使えばいいか」といった、前向きな業務改善やAI活用に関する相談が増えたことです。社内でデジタル人材の育成が進んでいることもあり、そうした「前向きな相談」がAI ヘルプデスクを入り口として集まってくるようになりました。回答には検証が必要なため工数がかかってはいますが、嬉しい変化でもあります。
及川様:以前は、担当が一度問い合わせ内容を見て各担当に振り分ける必要があったのですが、AI ヘルプデスク導入後は、人事課のメンバー全員を最初から対応者として登録しました。問い合わせが来た時に随時担当者が返せるような形を取ったので、すぐに対応ができ、基本的な質問に対してはスムーズなやり取りができていると思います。

問い合わせ内容や傾向について部門ごとの特徴をお聞かせください。
正木様:総務部門では、AIで解決しなかった案件を3名の担当者で分担しています。総務の業務は「持株会(資産)」「iPhone管理」「安否確認」など専門性が高いため、3名全員がすべてを即答できるわけではありません。難易度の高いものはベテランが対応し、それ以外を状況に応じて分担するという連携が自然にできています。
及川様:人事部門では、平均月50件ほどがAI側で解決されています。ただ、人事は「異動」「制度改定」「年末調整」の時期によるイベントによって変動が激しく、そうしたタイミングではどうしても有人対応が増えます。また、評価や報酬といった個人のデリケートな話題については一律の回答が難しいため、引き続き人事課の各担当が丁寧に対応しています。
山根様:情シスは2名で対応しながら、有人連携で対応した問合せをもとにAIの提案機能も活用して都度新しいFAQを登録することで、新たな人が問い合わせてきても解決できるようにしています。
猿渡様:課題としては、まだ「個人宛てのメール」がなくなっていないことです。元々情シスは問い合わせ専用のメールアドレスはなく、個人メールアドレスに連絡が来ていたものを対応しています。緊急案件も混ざっているため完全に閉じるのが難しい状況です。情シスの無人対応での見込み解決数は、8月で104件、9月で156件、10月で145件程度です。有人連携に来ているのが月30件前後なので効果は出ていますが、気軽に聞けるようになった分、質問自体が増えていて負担感はまだあまり変わらない面もあります。
山根様:お問い合わせ内容には、高度な技術的知見が求められるケースもあれば、基本的な確認で解決するケースもあります。この両極端な問い合わせが混在する中で、いかにAIの精度を上げ、有人対応の価値を高めていくかが今後のテーマです。
まさに社内マーケティング。利用促進と定着のための工夫
社内ユーザーへの認知拡大で取り組まれていることがあれば教えてください。

猿渡様:Teamsのサイドバーへのアプリ強制表示、社内ポータルサイトへのアイコン設置、メールの署名欄へのリンク記載など、ユーザーの目に触れるあらゆる場所に導線を確保しました。 また、全社員への一斉メールも不定期で配信し、単なる案内だけでなく「今こういうFAQがよく見られています」「こういう使い方をすると便利です」といった具体的な活用術や、季節に合わせた質問などを紹介しています。ロボットのイメージキャラクターを活用するなど、親しみやすさを持ってもらう工夫も行っています。
山根様:特に新しく入社された方や復職された方に対しては、入社したその日に利用案内のメールを送っています。「困ったときはまずAIに聞けばいい」という安心感を最初に提供することで、最初の一歩としてAIヘルプデスクを使ってもらう習慣づくりを徹底しています。
猿渡様:有人対応をする際の表示名を、個人名ではなく「システム基盤管理課」という課の名前に変更する工夫も行いました。 「〇〇さんが答えてくれた」と個人名がひとり歩きしてしまい、次もその人を指名して連絡が来るのを防ぐためです。未だに直接問い合わせが来ることもありますが、回答しつつ「次回からはこちらを使ってください」とURLを送り続けるなど、チャネルを一本化するための地道な活動を継続しています。
キャリアの広がりを生んだ、IT知識ゼロからの挑戦
貴社ではデジタル人材の育成についても積極的に取り組まれていると伺いました。

正木様:私は元々は総務部に所属しており、当時のITリテラシーは高くありませんでした。ただコロナ禍で東京支社が閉鎖された際、「出社できないと仕事ができない」という自身の困りごとを解決するため個人的に業務改善をやってみたんです。今思えばそれが DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革だったんですね。その取り組みが認められ情報システム部の業務改革企画課に異動し、現在はデジタル人材育成のプロジェクトにも携わっています。
猿渡様:こうした動きが生まれる背景には、「外部に丸投げするより、まずは自分たちでやってみよう」というDIY精神に近い雰囲気があります。 今回のAI ヘルプデスク導入も、労働人口減少という将来の課題に対し、リスクを議論して止まるよりも、話題性のある技術はまず試して、自分たちの業務変革もやってみる。ダメなら変えればいいという判断の速さがあります。
及川様:この「変化への柔軟性」は、ニフコがプラスチック製品メーカーであることと無関係ではないと思います。 プラスチックは、お客様の要望に合わせて自由な形に作り変えることができます。「こういうものが欲しい」と言われた時に、全員でアイデアを出し合って価値を作っていく。そうしたビジネスの根幹にある姿勢が、新しいツールや制度を柔軟に取り入れる社風にも繋がっているのだと感じています。
今後の展望とPKSHAへの期待
猿渡様:今後は、他部署への展開をさらに進めていきたいと考えています。また、ドキュメント検索(RAG)機能についても、精度の強化状況を見ながら本稼働や、FAQ・ドキュメント・有人対応を組み合わせた『3ステップ運用』の導入を検討していきます。 ユーザーアンケートでは、FAQへのアクセス性や、有人チャットへの遷移が分かりにくいといった課題も挙がっていますので、UI/UXの改善とプロモーション活動も継続して行う必要があります。 PKSHAさんへの期待としては、生成AIのように『曖昧な質問』でも意図を汲み取ってくれる対応力の向上や、回答精度のさらなる改善です。特に社内規定などは図表が含まれることが多いため、図表や画像の読み取り精度が向上すること、そしてTeams上でも回答をサジェストしてくれる機能などが実現することを期待しています。
AI活用の深化で目指す、全社的な業務変革の次なるフェーズ
最後に、部門ごとの展望と機能拡張への期待についてお聞かせください。
正木様:生成AIが身近になってきたことで、ユーザーの中に「AIになら何でも聞いてよさそう」という空気が生まれていると感じます。ただ「社内のルールや常識」については、どうしてもAIだけでは解決しきれないものがあり、それらは人が答えていき、AIが学習するというステップが重要です。
現在、有人連携の際にはユーザー自身に問い合わせ先の部署を選択してもらっていますが、「どこを選べばいいか分からない」「とりあえず総務に」という声も届いているので、マルチエージェントの機能で適切な部署へ自動で振り分け、バックオフィスの業務効率もさらに上げていけたらと考えています。
及川様:人事としては、従業員が自分の本業に集中できるよう、人事周りの疑問を即座に解決できる環境を目指しています。 人事規定は、グレード定義など「表」で参照する情報が多いため、ドキュメント検索機能において、図表の読み取り精度が向上することを強く望んでいます。また、検索結果が表示される際に、参照した該当箇所がハイライトされる機能の実装も心待ちにしています。
猿渡様:生成AIに慣れたユーザーは、キーワード検索ではなく「ふわっとした質問」でも答えを求めてくるようになっています。今後はAIの提案力を強化すると同時に、回答するオペレーター側を支援する機能なども活用し、全社的な業務効率化と従業員体験の向上をさらに進めていきたいと考えています。
具体的なお話をありがとうございました。
2025年12月5日時点の情報です。
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AIと人が連携する、だから解決できる。