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公開日/2019.7.17
インタビュー

【サポートの現場から】Vol.11 株式会社クボタ

【サポートの現場から】Vol.11 株式会社クボタ

企業を支える「サポート部門」。サポートに携わっている人たちは普段どんな業務をしているのか、どんな想いで働いているのか、OKBIZ.ブログ編集部は知りたい。そして、皆さんにも知って欲しい!という勝手な使命感で、各企業へ突撃取材&インタビューをしています。

企業情報

会社名 株式会社クボタ
創業 1890年2月
従業員数 40,202 名
事業内容 産業機械(農業機械、建設機械等)、建築材料、鉄管、産業用ディーゼルエンジンの製造、販売
ホームページ https://www.kubota.co.jp/

– 今回はクボタさんにお話を伺います。さっそくですが、まずはどんな会社なのか自己紹介をお願いします!

クボタは、元は水道用鋳鉄管からスタートして産業機械へと発展してきたメーカーです。現在、小型産業用ディーゼルエンジンの生産についてはトップクラスのメーカーとなっています。農業機械、建設機械と幅広い製品を提供していますが、私たちは国内の農業機械を専門としたサポート部門になっています。

– 農業機械というのは、どれくらい種類があるものなんでしょう?

トラクタ、コンバイン、田植機が主要3種ですが、耕うん機や草刈機、穀物乾燥機なども扱っていますし、最新のものとしてはドローンもあります。正確に把握できていませんが、型式数で10万件以上あります。しかも、昭和40年代くらいの製品がまだ現役で動いていて、それについて故障しただとか、部品を取り寄せたい、マニュアルが欲しいというような問い合わせを受けることもあります。一方で毎年新製品もたくさん発売しています。裾野が広く歴史もあるので対応商品が非常に多い状態です。

– 10万! とんでもない数ですね。しかも、そこまで古い機械が現役というのはサポートの皆さんにとって大変そうです。それを何人くらいで対応しているんですか?

エンドユーザーからの問い合わせに対応するカスタマーグループと、販売会社やグループ会社の技術相談に対応する製品グループがあり、あわせて20名です。基本的に、クボタからエンドユーザーへの直接販売やサポートは行っていないので、販売会社への対応がメインとなります。エンドユーザー向けにはサイトで情報を公開しつつ、直接いただいたメールや電話で事情をお聞きし、販売会社へ伝えるという役割を担っています。問い合わせ対応のために情報が不足していれば関連部門に問い合わせしたり、お客様からの申し出を現場へ伝えたりもしますし、FAQ入力も毎日ミーティングしつつ自分たちで行っています。

クボタ担当者の1日

時間 農機カスタマーサポート部
8:00~9:00 ・グループミーティング
担当者は前日にあった問い合わせ内容と回答をグループ内で紹介。グループ内での情報共有化と課題の共通認識化を図る。
9:00~16:00 ・問い合わせ対応
※販売会社への問い合わせ対応は17:00まで
16:00~17:30

・問い合わせの記録、FAQの作成

– 1日の問い合わせはどれくらいあるものなんですか? 農業だから、季節とか地域とかも関係あるのかなあとは思うのですが。

昨今では米離れと言われていますが、やっぱり農業の中心はまだまだ米作りで、田植えの春と稲刈りの秋に問い合わせは多くなります。春と秋は1日数十件の問い合わせを受け、年間では1万3,000件程度になります。 地域ごとの傾向はありますが、それよりも季節性が大きいですね。日本の中でも季節の差がありますから、早く春を迎えた南で発生した問い合わせは、これから北で発生する問い合わせになるということで、FAQに登録して共有するようにしています。そういうナレッジを蓄積して、季節ごと、地域ごとの課題解決にタイムリーに活用してもらうことが私たちの役目です。

– 季節で忙しさが大分変わるんですね。FAQは3年前にリニューアルされたと聞きましたが、それまではどうしていたんですか?

以前は、カスタマーグループでCRMを使い、製品グループではオリジナルのFAQシステムを利用していました。FAQには問い合わせ対応履歴の記録を兼ねる形で情報入力を続けてきたので、乗り換え時点ですでに2万件のFAQがありました。14年も使い続けられたので、ある意味優秀なシステムだったのですが、キーワード検索で結果が出るまでに20数秒と時間がかかり、検索ヒット件数が100件を超えると表示されないなど、使いづらさも感じていました。

– 14年使い続けたというのも、2万件のFAQというのも驚きの数値ですね!検索に時間がかかると、電話対応ではお待たせする時間が長くて大変そうです。今は、新FAQシステムとして「OKBIZ.for FAQ」を使っていただいていますよね。

はい。リニューアルを目指して調べてみると検索性が高い「OKBIZ.for FAQ」に出会えました。会社として導入したCRMにもFAQ機能はあったのですが、日本語検索エンジンが優秀であることが決め手となり導入を決めました。現在はお客様向けにWebサイトで公開するものと、グループ会社と販売会社向けにイントラネットで公開するもの、部内だけで見るものと3つのFAQに分けています。

– FAQシステムを入れ替えても、使いやすくすることや使ってもらうことは難しいとよく聞くのですが、やっぱり大変でしたか?

そうですね。苦労していますし、今は改善活動の検証中です。まず、最初は2万件のFAQをまるごと移行したのですが、レポートをみると、全く見られていないものがある一方で、キーワード検索でヒット件数が多すぎて使いづらくなっていることがわかりました。そこで導入1年後に1度も見られてないものを潔く非公開にして、1万1,000件と約半分まで項目数を減らしました。さらに重複する内容も多く登録されていたので、統合・集約に努めました。また、専門用語・業界用語が0件ヒットになりやすいので、レポートの検索キーワードを分析して類義語登録するようにしました。
使ってもらうためのPRも頑張っています。社内メディアやイントラに掲載してもらうとともに、ことあるごとにPRしました。それでもまだ完全には浸透していない印象です。若い世代は積極的に使ってくれますし、使った人はファンになりますが、ベテランには使い慣れたものへの愛着もありますから対象者全員に浸透させるのは難しいですね。

– すごく頑張っていらっしゃるんですね! 半減させても1万件以上とすごいFAQ件数ですが、新製品に関するものなど新規登録もあるんですよね?

新製品はもちろん、問い合わせを受けて担当者が重要だと判断したものや、共有した方がいいと判断したものは各自が登録しています。その上で部内ミーティングで情報共有をして、必要に応じて部内FAQだけでなく販売会社向けのFAQにも掲載しています。
各自が作業すると表記の違いが出てくるので、書き方のルールを制定してバラつきが出ないようにしています。担当者が意識しないで、ルールに従ってFAQを作成できるようになることが大事だと思っています。

 

<表記ルールの一例 ※クボタさま資料より>

– 表記ルールを作るというのはいいですね! そのあたりをケアしていると使いやすさが全く違いますから。

おかげで今は、販売会社の若い方にはよく使ってもらえています。でも、いろいろ試した結果、0件ヒットはどうやってもなくならないことや、アンケートは予想以上に投票してもらえないことがわかりました。アンケートは、コメント入力が面倒なので入力してもらえないと判断して〇✕△で選ぶだけにしたところ投票率がアップしました。でもそれだと✕を投票した理由がわからないので別の工夫が必要です。

– アンケートは集まらなくても、すごく使ってもらえてはいるんですね。難しいんだなあと感じました。

私たちが休日の時も販売会社は営業しているところがありますし、逆の場合もあります。また、農業機械の中には季節によっては24時間稼働するものもあります。だから以前は週末に解決できなかった案件の問い合わせが月曜日にどっと来るという状態だったのですが、今はその数や勢いが減りました。利用履歴を見ても、営業時間外や土日でも使われていることが確認できます。ただ、思ったほど電話件数は減らないんですよ(笑)。

– え~? そんなに使ってもらえてるのに減りませんか…(涙)

既存製品についての問い合わせがFAQで減らせても、新製品についての問い合わせがそれ以上に増えているところがありますね。でも、OKBIZ.を導入していなければ、FAQの検索数や閲覧数の数だけ電話の問い合せが増えたかもしれないと考えると入れてよかったと思います。

◆写真左:農機のミニチュア。中には貴重なお宝もあるとか!◆写真右:1階の展示スペース


– なるほど、新製品があるとそうなりますよね。お客様側はきっと快適になっているはずですよ!

農業機械は自動車等と違い、お客様が販売店に持ち込むよりはサービススタッフが現場に出向いて作業することが多いです。将来的にはスマートフォンから使えるというだけでなく、もっと簡単に音声で検索したり、AI活用も考えています。
実際に現場で修理しているのは販売会社のスタッフなのですが、私たちにも、すぐ対応してくれたとお礼の電話をいただくことがよくあります。私たちはお客様の声をクボタグループが動けるようにする役割を担うとともに、お客様の課題解決を通して、微力ながらも日本の食料生産に貢献できればこの上ない幸せだと思っています。

– 誰にとっても大切な食への貢献、素晴らしいと思います! 私たちもシステム面でのお手伝いを頑張りたいです。今日はありがとうございました!

今回はクボタのサポート部門の吉岡さんに登場していただきました。農業機械は使わないとわからないからと、製品試験や研修で実際に皆さん使われるのだそうで、大型特殊免許をお持ちだとか! OKBIZ.ブログ編集部は東京住まいのため、普段見ない機械に大興奮!コンバインに乗った私の写真を吉岡さんが撮ってくれました(笑) FAQ件数が多ければいいというものではないと思い切りよく減らしつつ、必要を感じれば各自がどんどん登録する体制にしているなど積極活用への熱意は素晴らしいですね。登録したものがしっかり活きる、表記ルールの設定は業種にかかわらず参考にできるポイントだと思います。 吉岡さん、ありがとうございました!

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