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公開日/2020.6.5
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コールセンターの離職率が高い理由と改善する方法を徹底解説

コールセンターの離職率が高い理由と改善する方法を徹底解説

コールセンターを運営するうえで、人材の採用と教育、そして離職は付きものです。しかし離職は、特定の水準以上で恒常化すると、人材育成が追い付かず、センター全体の対応力低下や企業のサービス品質低下にも繋がりかねません。
本記事では、コールセンターで離職が続くことによってもたらされる影響と対応方法についてご紹介いたします。

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離職率は30%を超えたら黄色信号

皆さんは一般的なコールセンターでの離職率がどのくらいかご存じでしょうか?
コールセンター白書2019 」(株式会社リックテレコム 刊行)の統計によりますと、年間で離職率「10%以下」の企業は32.3%離職率「11~30%」の企業は22.7%とされています。実に半数近くのコールセンターが、採用したスタッフの3割以上が1年間で離職すると答えている状況です。この割合は昨年と比較してもほぼ変わらない数値となっています。
上記数値はセンター全体での離職率となりますが、私の知るある企業のコールセンターでは、採用したスタッフの2割から3割程度はやはり離職しているとのことで、10人採用しても計画通りに着台してコールをさばけるようになるスタッフはおよそ6~7人か、多くても8人程度とのことでした。
離職の傾向としては、オンボーディング等、入社初期の教育後に実際のコール対応を始めるようになってから業務に耐えられず辞めていくケースがやはり多いです。
コールセンターの離職率は、年間30%を超えるようになるといよいよ黄色信号です。正確な離職理由を把握するのはなかなか難しいものですが、採用後の教育計画に無理がないか、そもそもきちんとした教育体制が整っているのか、着台後に無理なノルマを課してはいないかといったところを良く見直す必要があります。

離職がもたらすサポート業務への5つの影響

離職による影響を示す画像
30%以上の離職率が常態化してくると、現場業務へはどのような影響が出てくるでしょうか?
以下、業務への5つの影響をご説明します。

(1) 生産性の低下

オペレーターの離職が発生した際にまず影響することとして、生産性の低下が挙げられます。
生産性を示す根拠はコールセンターによって異なりますが、少なくとも対応席数が減るわけですから、対応できる件数は従来よりも少なくなります。また、離職したオペレーターに代わる人材を予め採用しておいたとしても、辞めていった人材と同等のスキルに育成するためには、相応の経験値を得られる時間と教育が必要です。予め人材を確保できていなかった場合には、採用にかかる時間も加えて必要になります。
例えば、これまで1日10件/20営業日で200件の対応が出来ていたスタッフが離職した場合、その生産性をフォローする後任者は1日何件対応できるでしょうか?
仮に、基礎教育終了直後の着台時に対応件数1日4件だったとしたら、10件に達するまでには何ヶ月かかかるはずです。もちろん量的な件数だけでなく、対応している案件の品質についても多くの時間をかけてフィードバックが必要となります。それには教育担当者の工数も必要です。
センターとして標準的な対応件数に回復するまでに発生するこのタイムラグを考えると、離職者発生によるセンターの生産性低下は無視できないものとなります。

(2) サポート品質の低下

前述の生産性の低下でも触れましたが、センター全体の品質低下も見逃せません。これは人材採用直後に発生する人材育成時に総じていえることですが、離職者の後任となる育成中のオペレーターは当然ながら対応ミスも多発します。後任者の採用から通常水準の品質に戻るまでの期間で生じる影響の度合いはセンターとしてきちんと管理すべきです。
影響として考えられる、
センターとしての対応可能件数
対応ミスの発生率
クレーム率
の3つは予め抑えておくべきでしょう。
これらの数値を通常時と比較することで影響の度合いを把握し、通常水準の品質に復旧するまでにどのくらいのタイムラグが発生するのかを認識しておきましょう。

(3) 採用と教育の追加コスト

離職者が発生した際には当然、その影響をフォローする為の人材を準備しなければなりません。追加人材を採用するためには、直接雇用するのであれば広告等の求人費用が発生し、派遣会社に依頼するのであれば派遣費用もまたかかります。
派遣スタッフの場合は、人月費用がどの程度発生するのかも派遣会社との交渉次第で決まります。また派遣会社も要望されてすぐに人材を供給できるわけではありません。リクエストする人数が多いほど、派遣スタッフが揃うまでにも時間がかかり、1ヶ月から2ヶ月程度は見ておくべきでしょう。
ただ、ここ数年コールセンター業界でも人件費高騰が問題視されています。2013年4月に完全施行された「労働契約法の改正 」では、同一の企業、現場で5年を超えて従事するスタッフを無期雇用へ転換するといった新たなルールも示されており、2018年から多くの有期雇用スタッフが無期雇用に転換しています。
2020年4月にも、厚生労働省が「同一労働同一賃金ガイドライン 」を示しており、スタッフの維持・採用コストは確実に上昇しています。
前述の離職リスク含め、カスタマーサポートの管理職は離職コストを十分に理解しておく必要があります。離職コストは間接コストになるためその損失感覚が分かりづらいですが、採用コストだけでなく、スタッフの応対デビューまでに発生する教育コストも加味して算出すると更に大きな損失であることに気づきます。
ここで、離職にまつわるコストの要素について、前述のものも含め下記にいくつか挙げてみたいと思います。

人材採用に関するコスト因子

① 年間の採用人数
② 年間のデビュー前離職者数
③ 求人費用や採用を担当する人事スタッフのコスト

初期教育に関するコスト因子

④ 採用したスタッフの教育期間中の支払い単価
⑤ 教育担当者の稼働コスト
⑥ 1日に発生する新人一人あたりの平均研修時間
⑦ 新人一人あたりに必要な平均研修期間

時間的なコスト因子

⑧ 応対デビュー後に必要な一か月あたりの平均OJT時間
⑨ 教育担当者の研修の年間実施時間
上記9項目については、センターを管理する上で、離職関連コストとして特に注視しなければならない要素となります。

(4) 管理者の工数・負担が増える

加えてなんとか人材を採用できたとしても、管理者の工数や負担は増える一方です。うまくコールセンター経験者を雇うことができれば、多少は教育も早く進むかもしれませんが、採用したスタッフが初めて触る基幹システムや、初めて見聞きする取り扱い商品やサービスなど、覚えてもらうことは山のようにあります。
着台したスタッフがセンター既定の品質を担保できるようになるまで、丁寧なモニタリングとフィードバックが重要になってきます。こうした人材に対するフォローの工数にどれだけの時間が費やされるのか、予めチェックシート等を用意するなどして把握しておきましょう。

(5) 顧客ロイヤルティの低下

そして最後に考えられる影響は、「顧客ロイヤルティの低下」です。離職してしまうのが優秀なスタッフであるほど、顧客からの「よくあるお問合せ」を体感的に覚えており、先回りした対応を実現している他、顧客の心情に寄り添った言葉遣いをするなどして応対品質を向上させています。
こうした「心地よい対応」が顧客の満足度向上にもつながっています。このような対応の出来るスタッフを育てていくには失敗も含めた長きにわたる対応経験が必要で、一朝一夕で出来る事ではありません。
こういったスタッフの離職こそ、センターにとっての「リスク」となりえる事なのです。

コールセンターの離職率が高い理由は?

ここまで離職にまつわるリスクとコストについてお話してきましたが、ではそもそもなぜコールセンターの離職率は高いのでしょうか?
離職率上昇を招く原因をいくつか挙げてみたいと思います。

・クレーム対応にストレスを感じる
・長時間労働のわりには低賃金
・覚えるべき用語や機器操作が多い
・オフィス業務なので人間関係がこじれると修復しにくい
・キャリアとして専門的なスキルが身につかない
・そもそも、一時的な仕事と割り切っている

上記の要素だけでなく、センターによっては他の要素もあるかと思います。センターにとってオペレーターの離職は大きなリスクです。離職されるオペレーターの中には、家庭の事情や健康問題など、やむを得ない理由で離職される方もいますので、そこは致し方ない面もあります。
一方で、そういったやむを得ない理由のないオペレーターには長く続けていただきたいものです。その為には、オペレーター本人が成長と心地よさを感じられる職場づくりが必要です。定期的な面談を重ね、コミュニケーションをとりつつ、下記のようなことにも目配せしていく必要があります。

<仕事の進め方に起因するもの>
 ・教育や品質改善フィードバックの進め方
 ・担当商品やサービスの種類に対するスキルの適正
 ・対応件数等の業務量
 ・年齢や経験に合わせたキャリアデザイン
 ・納得性の高い評価制度
<職場環境に起因するもの>
 ・通勤時間や勤務シフトなどの勤務環境
 ・現場での人間関係
 ・休暇の取りやすさ

厚生労働省の「平成 30 年雇用動向調査結果の概況 」によると、今日の国内の離職率は平均14.6%と発表されています。そんな中、コールセンターでは離職率が50%を超えるセンターもあるとされ、いかにコールセンターでの離職率が高いかがここからも分かります。
コールセンター業界では、オペレーターの定着について問題視されるだけでなく、人材の採用難も同様に問題視されています。オペレーターの方々に少しでも長く働いてもらえるように、職場環境や従業員同士のコミュニケーションにはこれまで以上に注力していくことが必要でしょう。

離職率を下げるための対策

ここでは離職率対策に取り組んでいる各企業の取り組みについて見ていきたいと思います。
「コールセンター白書2019」の調査結果を見ると、各企業の代表的な取り組みとして以下のようなものが挙げられています。

・「実務に対する評価とフィードバック」を実施:34.5%
・「時給改定」を実施:31.4%
・「表彰制度の充実」を実施:30%
・「研修等の人材教育プログラムの充実」を実施:30%

https://thanks-economy.com/gratica/
また、各企業の取り組みを詳しく見ていくと、トランス・コスモス社 ではAIによる離職予備軍の予測を実現している企業もあります。直近の勤怠情報だけでなくセンターごとに所属しているチームの履歴や業務パフォーマンスのデータを用意し分析を進めることで3ヶ月後に離職が予測されるオペレーターを割り出し、事前にフォローすることでセンター全体の離職率を抑えるという取り組みです。
▼【詳細】コールセンターの退職予備軍をAIで予測し、半年で離職者を半分にできた理由
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1809/05/news001.html
他にも、TMJ社 では、人材マネジメントシステムの導入により、効率性と納得性の高い新人向けの教育施策を推進することで離職率の削減に成功しています。TMJ社の施策では社内に育成対象者と教育スタッフを中心とするコミュニティを立ち上げ、日々の行動や悩み、相談事を情報交換することで手厚いフォローを行い、モチベーションの高いスタッフ育成を実現しています。
▼【詳細】離職率6割がゼロに!早期戦力化と定着化を実現した育成プログラムとは?
https://habi-do.com/case/interview-tmj-retention/

まとめ:離職は全社で取り組むべき課題

前述事例の通り、離職率に対して非常に大きな課題感を持ち、全社的に改善へ取り組まれている状況です。ぜひ皆さまの会社・センターでも現状の把握と改善を進めていけるよう、まずは現状課題のあぶり出しと可能な対策案の検討をされてみてはいかがでしょうか。
なお、オペレータースタッフだけに頼らず、顧客同士での自己解決を促進する「サポートコミュニティ」も昨今注目を集めています。
下記の記事に調査データをまとめているので是非ご覧ください。
▼【2019年調査】サポートコミュニティが与える顧客満足と自己解決への効果とは?
http://aisaas.pkshatech.com/cx-journal/survey/supportcommunity-effect-customersatisfaction/

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