目次
顧客満足度調査とは、顧客満足度(CS)を明らかにするために実施する調査です。顧客満足度は、自社の商品やサービスに対する顧客の満足感を数値化した指標で、顧客が商品やサービスの購入後に、「買って良かった」と感じる度合いを示します。
顧客満足度調査の対象は、個人情報の取得の有無によって2種類に大別できます。
個人情報を取得済みの対象は「既存顧客」、個人情報を取得していない対象は「初回の利用客」が主となり、質問の内容も異なります。
本記事では、顧客満足度調査の方法と流れ、設計時の注意点など、顧客満足度調査を実施するうえで必要な情報を解説します。
顧客満足度調査の3つの方法
顧客満足度調査には、大きく分けて3つの方法があります。それぞれの方法について具体的なやり方と特徴を説明します。
(1) アンケート調査
アンケート調査とは、あらかじめ設定した項目に顧客に回答してもらう方法です。
データを集めて分析することを目的として実施される「定量調査」が一般的な手法でしょう。
紙、もしくはインターネット上で行うのが一般的で、特に紙の場合は、幅広い年齢層から回答を回収できるのがメリットです。
紙の場合は、店舗にアンケート用紙を設置するなどの方法で実施されることが多く、インターネット上の場合は、専用フォームなどによるWebアンケートが主流です。
(2) インタビュー
対面もしくは電話でインタビューを行い、顧客から情報を収集する方法です。
インタビューは一般的に「定性調査」と呼ばれ、アンケートなどの定量調査では聞くことができない情報の深掘りができるのがメリットです。
対面では、1対1だけではなく1対多数での実施も可能です。電話インタビューは基本的に1対1での実施となり、対面に比べて低コストで実施しやすくなります。
インタビューは1人あたりにかかる時間とコストが、アンケートよりも多くなる点に注意が必要です。
(3) 他社の調査結果を利用
自社以外の会社や団体が公表している調査結果を利用するのも、顧客満足度を知るための重要な手段です。
調査結果を通じて、消費者の考えや業界全体のトレンドを把握できます。
競合他社や業界団体、シンクタンク、官公庁などの公的機関が発表する情報は、業界全体の動向の把握や分析に役立ちます。
顧客満足度調査の方法と流れ
顧客満足度調査は、自社で実施する方法と外部に依頼する方法に大別できます。調査の流れと、各プロセスのポイントについても確認しておきましょう。
(1) 顧客満足度を調査する2つの方法
① 自社での調査実施
自社で顧客満足度調査の準備から分析、データの活用まで行う方法です。
メリットは、顧客と直に接する機会を得られるため、顧客満足度の理解と浸透を図りやすいことです。顧客との直接的なコミュニケーションも生まれるため、調査そのものが顧客満足度の向上につながるケースもあります。
一方で、大規模なインタビューなどの場合は、社内のリソースだけでは実施が難しいケースがあることがデメリットといえます。
② 外部への調査依頼
顧客満足度の調査は、リサーチを専門とする企業への依頼も可能です。リサーチ専門会社は調査のプロであり、自社での調査に比べてプロジェクトが円滑に進むでしょう。
設問数やサンプル数などによって金額は異なりますが、Webアンケート調査であれば数万円から発注できます。
外部に依頼するデメリットは、自社で行う場合に比べて調査の柔軟性があまり期待できない点と、顧客との直接的なコミュニケーションが持てない点です。
どちらの場合もメリットとデメリットがあるため、目的や予算に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
(2) 顧客満足度調査の流れ
① 期待値の再確認
期待値とは、自社の商品やサービスに対して、「顧客が何をどのくらい求められているのか」という指標です。
顧客は、自分の期待値と、実際の商品やサービスの使用感を比較します。そして、実際の商品やサービスが期待を超えていれば満足し、そうでなければ不満を持ちます。不満を持ったユーザーは「期待を裏切られた」と感じ、顧客離れへと繋がります。
期待値は顧客満足度調査において重要な指標であり、自社の商品やサービスがターゲットユーザーの期待値に合っていることが大切です。顧客満足度調査を実施する前に、自社の期待値を再確認しておきましょう。
② 調査における目標とゴール・目的の設定
目標、ゴール、目的の違いは次の通りです。
● 目的
事業活動の最終的な到達地点です。リピーター化、ファン化、ロイヤルカスタマー化、口コミ(UGC)の拡散率の向上等を指します。リテンションともいいます。
● ゴール
目的を達成するために必要不可欠な要素です。顧客満足度調査においては、顧客満足度の維持・向上が一般的なゴールです。定性目標ともいえます。
● 目標
ゴールを達成するために必要なデータなどを指します。ユーザーのニーズ、商品やサービスの現状といった情報を顧客から集めます。定量目標ともいえます。
調査を行うにあたっては、数値的な「目標」だけでなく、収集したデータを活用した最終的な「目的」をどこに定めるのかを決めることが大切です。アンケート調査はあくまで顧客の満足度を測る手段であることを覚えておくと良いでしょう。
③ 調査企画~実施、集計
調査の全体像が定まったら、調査対象や目標とするサンプル数・サンプルサイズ、媒体や回答の方法を選定します。その後、設問を考えて調査票を作成します。
設問を作る際には、調査対象に近い立場の人にフィードバックをもらうと良いでしょう。設問の言葉遣いひとつで回答のしやすさが変わり、回答率に影響がでるためです。
④ 分析と活用
調査の回答が集まったら、データを集計して顧客満足度向上のための施策を考えます。
施策を考える際は、多くの部署にデータを共有し、各部署の視点でアイデアを出してもらうと良いでしょう。たった一つのデータでも、それぞれの部署のフィルターを通して考えることで、違った角度の改善案を得ることができます。
顧客満足度調査の注意点
ここからは、顧客満足度調査を行う際の注意点を説明します。
自社で実施する場合は、調査が目的に正しく向かっていることをチェックするアドバイザー的な役割の人物を置くことをおすすめします。
(1) 調査対象を明確化しておく
調査対象の属性をあらかじめ明確化しておきましょう。調査対象がリピーターなのか新規顧客なのかによって、質問するべき内容が変わってくるためです。対象者が定まらないと、設問を適切にまとめ上げることができません。
幅広い対象に調査を実施する場合には、顧客属性がわかりやすい質問を含めるのがおすすめです。
(2) 質問項目は、具体的かつ最小限に
一般的に、設問数が多くなるほど収集できるサンプル数は減少します。聞きたいことは最小限に絞り、設問数は少なく設定しましょう。
自由記入欄が多い場合も回答者に負担がかかり、サンプルサイズが減少する傾向があるので注意が必要です。
また、質問内容はなるべく具体的にすることを心がけましょう。
例えば、「これまでにネット通販を利用したことがありますか」という質問文の場合、期間が曖昧で回答者が自分の行動を振り返るのに時間がかかり、離脱につながりやすくなります。「過去1年以内に」「過去半年以内に」など、質問を具体的にしてみましょう。
(3) 幅広いデータを参考にする
顧客満足度調査の結果から改善策を考える場合は、回答数が多い回答や意見だけではなく、下位のデータも含めて改善施策を検討しましょう。
例えば、「自社の商品やサービスに求めること」の1位が「金額」、僅差の2位が「機能」だった場合、安さを優先して機能が低下すると、結果的に顧客を失う可能性があります。
また、顧客満足度調査で得られたデータをもとに、さらに情報を収集することも重要です。従業員やSNSを活用して現場の意見を募ることで、より現実的なデータを得られます。
顧客満足度調査の結果を改善につなげよう
顧客満足度調査は、企業が顧客に対して、より高い価値を提供するためのきっかけになります。
得られたデータをさまざまな角度から分析し、商品やサービスだけでなく、マーケティング、営業・販売戦略、アフターフォローなど、多角的なビジネスの改善に繋げていきましょう。
この記事を読んだ方におすすめの資料
カスタマーハラスメントからオペレーターを守れ!
社内FAQで応対品質を上げ、離職を防ぐ方法
本資料の概要
- 深刻化するカスタマーハラスメント、その要因とは?
- カスタマーハラスメントから守るためには
- オペレーターの応対品質とナレッジアップを同時に実現するFAQシステム
その問い合わせ、FAQページのせいかもしれません
お客様を迷わせないFAQ作成のポイント
本資料の概要
- 顧客データからみるFAQページの課題
- “自己解決できるFAQ”とは? 考慮すべき3つのポイント
- FAQはシステム化する時代へ
そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?
利用者の声から分かるサポートコミュニティの新たな可能性
本資料の概要
- コンタクトセンターが取り巻く課題
- コンタクトセンターにおけるサポートコミュニティの活用
- 利用者アンケートからみるサポートコミュニティの効果
- サポートコミュニティを賢く利用するには