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公開日/2020.6.19
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【コロナ後】コールセンターのBCP対策はどうなる?サポートコミュニティの有用性とは

【コロナ後】コールセンターのBCP対策はどうなる?サポートコミュニティの有用性とは

昨今のコロナ禍では、多くのコールセンターが規模を縮小していたため、有人対応のサポート窓口が繋がりづらく、不安・不満を感じた顧客の方々は非常に多いでしょう。サポート業務に携わる皆さまにとっては、非常に不本意であったと思います。
本記事では、各社カスタマーサポート部門でのコロナ禍の対応方法や、今後のBCP対策としても注目を集めている“サポートコミュニティ”というWebサポートチャネルについてご紹介します。

コロナ禍での各社コールセンターの対応方法は?

コロナ禍では各社で対応の判断を求められましたが、コールセンターという非常に“密”な現場においては、どのような対応方法がとられていたのでしょうか?

(1) 複数拠点へセンターを分散

まずは、他拠点のコールセンターや自社管理の施設等を活用して、サポート業務の運営場所を分散する企業が多かったようです。拠点の分散が可能であれば、全面的な業務停止は免れることができます。新型インフルエンザ等の感染症に備えてBCP対策を組めていたセンターでは、スムーズなオペレーション変更が実現できたでしょう。
 ※参考:「ファンケル、コールセンター4エリアに分散 コロナ対策「密」防ぐ」(日本経済新聞)
ただ、「コールセンター白書2019」の業界データによれば、1拠点のみでコールセンターを運営されている企業は39%にも上ります。この約4割を占めるコールセンターの現場では、「拠点分散」以外の対応方法が求められます。

(2) 出社人数を制限

1拠点運営のコールセンターに限らず「出社人数の制限」をしていた企業は多いでしょう。センターとして顧客対応できる規模は縮小してしまいますが、有人対応のサポート窓口を継続することができます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法」により“通信の確保に努める責務”が課されている大手通信各社でも、同様の対応方法がとられていました。
 ※参考:「新型コロナ/通信各社、体制縮小 「つなぐ使命」粛々と」(日刊工業新聞)
また、オフィス内での具体的な対策としては以下のようなものが挙げられます。

・時差出勤シフトの導入
・アルコール消毒液を導線に沿って各所へ設置
・オフィス入退室時の消毒を義務化
・非接触式体温計で出勤時に体温測定
・体温計で37.5度以上の従業員は自宅待機
・座席間隔を2m以上空ける
・対面で向かい合わないような座席レイアウトにする

加えて、コールセンターでは、FAQやチャットボット等のWebサポートチャネルの見直しや再整備も必要になってくるでしょう。有人対応で受けられるコール数が物理的に減ってしまうため、自己解決チャネルをどれだけ活用してもらえるか、が重要なポイントになってきます。

(3) 「在宅センター」をリモート環境で実現

そして、今回のコロナ禍で各社が新しく取り組んでいたのが「在宅センター」です。弊社独自でサポート業務従事者向けにおこなった調査の結果によると、実に85%の方々がリモートワークの環境でカスタマーサポートに従事されているとのことでした。

また、言わずと知れた通販の ジャパネットグループでは、従業員やその家族の安全を第一に考えて顧客側へもWeb注文を推奨し、在宅センターでも運営可能な仕組みへ転換をおこなっています。

在宅センターを運用していくうえでは、オペレーター側での生活音の混入等、 顧客側の理解も一定必要になってきますが、ジャパネットさんではインターネット購入に不慣れな顧客向けにもWeb注文の方法を丁寧にコミュニケーションされているとのことです。

BCP対策として注目を集める“サポートコミュニティ”

前述のように、コロナ禍で各社対応をしていますが、一部の企業では、センターの体制縮小/人員削減を行いながら、人員非稼働で顧客への有人対応も実現する“サポートコミュニティ”というチャネルを導入しています。

(1) サポートコミュニティとは

サポートコミュニティとは、製品・サービスに対して、企業からのサポート情報・回答ではなく、顧客間コミュニケーションによって自己解決を図る仕組みやサイトのことをいいます。企業が提供するコミュニティサイト・ファンサイト等での運用が代表的でしょう。
昨今では、各種IT・クラウドサービス等の台頭により顧客側でのサービス利用が複雑化しているため、ベンダー/メーカー側では回答が難しい問い合わせも増えています。そのような潮流の中、顧客同士のコミュニケーションにより自己解決が可能なサポートコミュニティでは、ユーザー視点での回答人員非稼働で対応することが可能になるのです。
 ▼参考記事

 

(2) 「緊急事態宣言」直後に質問数が60%増加

顧客・ユーザー同士のコミュニケーションにより複雑化した問い合わせの自己解決を促す、というのがサポートコミュニティへ当初期待されていたことでしたが、今回のコロナ禍では、BCP対策チャネルとしても有用であることが証明されました。
弊社側で調査したところ、緊急事態宣言(4/7)の前後3週間(3/23-4/12と4/13-5/3)の比較では、宣言後にサポートコミュニティのサイト上でユーザーからの「質問数」が60%増加したことが確認できました。
サポートコミュニティの質問数推移を表す画像
この数字が意味するところは、市況により急増した問い合わせニーズの受け皿としてサポートコミュニティが機能していた、ということになります。
今回のコロナ禍のように、出社人数の制限等でコールセンター側の規模を縮小していたとしても、顧客側としてはFAQのような定型回答で解決できない問題は有人対応を当然に求めてきます。そこで、サポートコミュニティを導入している企業では、自社のオペレーターだけでなくコミュニティユーザーも顧客の質問に回答してくれるようになります。

(3) 【活用事例】顧客同士で自己解決するサポートコミュニティ

実際に各社で活用されているサポートコミュニティを以下でご紹介します。

① ブラザー販売株式会社「サポート広場」

ブラザー販売のサポートコミュニティサイトの画像
公式ページ
 ▼個別の事例記事はこちら

 

② エプソン販売株式会社「なんでも質問箱」

エプソン販売のサポートコミュニティサイトの画像
公式ページ
 ▼個別の事例記事はこちら
 コミュニティで実現する高品質サポート

③ 株式会社常陽銀行「OKBIZ.」

常陽銀行のサポートコミュニティサイトの画像
公式ページ
 ▼個別の事例記事はこちら
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まとめ: BCPの考え方を見直そう

本記事では、コロナ禍につき各社での対応方法とサポートコミュニティの有用性についてご紹介しました。BCP対策の重要性は予てから議論されることがありましたが、これまでは“震災時のBCP”という色が強かったように思います。これからのBCPでは、「出社人数の制限」や「在宅センター」など、感染症対策の面をより鑑みたうえで各種システムの導入・設計やルール作りを進めていく必要があるでしょう。

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