株式会社テレビショッピング研究所

配送変更やサイズ変更受付の約半数を自動化し、コールセンターの応答性を改善

導入サービス PKSHA Voicebot
業種 EC/通信販売
活用対象 一般ユーザー、社員、オペレーター
導入目的 定型的問い合わせの自動化、コールセンターの応答性向上
株式会社テレビショッピング研究所

カスタマーサービスセンター センター長 大須田 尚之様

世界中から良質な商品を発掘 ダイレクトテレショップを全国展開

御社の事業と、ビジョンについてお教え下さい。

「夢のある生活提案」をビジョンに掲げ、1998年よりテレビCMを中心としたダイレクトレスポンス事業を展開しています。現在は『ダイレクトテレショップ』という通信販売ブランドで、健康食品や生活雑貨、アパレル製品などを販売しています。

近年では、「フレーバーストーン」というフライパンシリーズや、アメリカ発のノンワイヤー下着ブランド「ジニエブラ」、健康食品として累計売り上げ11億杯突破のロングセラー「青汁三昧」などの人気商品が好評を博しています。テレビCMを通じて全国により良い商品を提供し、お客さまの生活を楽しく、豊かにすることを目指しています。

御社の強みやターゲット層は?

世界中から魅力的な商品を発掘し買い付け、いち早くお客さまに提案する購買力や、オリジナル商品の企画・開発力が大きな強みです。

地上波、BS、CS放送で放映するテレビCMによる高いリーチ力を武器に、自社ECサイト、一部商品を卸しているバラエティショップの店頭など、多数のチャネルで販売できるところも大きな特長です。ターゲット層は50~70代の方が中心。健康、美、豊かな生活に興味・関心の高い方々が多いですね。

世界中から良質な商品を発掘 ダイレクトテレショップを全国展開

入電予測が困難で問い合わせ内容が多岐にわたるアフターフォロー

大須田さんの現在のミッションは?

カスタマーサービスセンターのセンター長として、購入した商品の返品・交換対応や、使い方の問合せを受け付ける75名近くの自社コールセンターを運営しています。

当社には、2種類のコールセンターがあります。新規の商品受注や問い合わせは外部のパートナー企業に委託し、300~400名体制のコールセンターで対応しています。

一方、私が担当するのは一度ご購入いただいたお客さまのリピートやアフターフォロー専門のコールセンターです。4チーム制を取り、Webサイトからの問合せ対応、インバウンド担当、アウトバウンド担当、伝票処理担当と、業務ごとに役割分担をしています。

これまでコールセンターにどのような課題を抱えていましたか。

アフターフォロー専門のコールセンターの性質として、入電数の予測が立てたてづらく人員の配置が難しいという課題があります。受注センターであれば、テレビCMの後に購入のお電話が増える予測ができるのですが、アフターフォローの入電は必ずしもタイミングが連動しません。

さらに、入電するお問い合わせの種類も配送変更や返品・交換など定型的な問い合わせからクレーム対応まで多岐にわたるため、人員教育にも時間がかかります。最近入電が多いからすぐに人を増やして対応しよう、という柔軟な対応が難しかったのです。

その頃、大須田さんは、どのようなコールセンターにしたいと考えていましたか。

お客さまをお待たせせず、スムーズに対応できるコールセンターが理想でした。待ち時間を減らしてすぐに受電できれば、顧客満足度も上がりますし、売り上げの維持・拡大につながります。

そこで、定型的なお問い合わせはAIで自動化し、商品の使い方や詳しいご説明など、スタッフが丁寧に説明すべきところに人的リソースを割きたいと考えていました。

  入電予測が困難で問い合わせ内容が多岐にわたるアフターフォロー

「定型問い合わせの自動化」コンセプトと導入しやすい価格で意思決定

PKSHA Voicebotを知ったきっかけは?

2019年7月頃、チャットボットの導入を検討することになり、業界でもそのクオリティと実績に定評のあるPKSHAの方に話を聞いてみようということになりました。その際、PKSHA Voicebotという自動音声対話ソリューションがあることを知りました。

定型的問い合わせはAIで自動化し、人が対応すべき問い合わせはオペレーターが対応するというコンセプトが、私が持っていた課題感にぴったりはまりました。

これまでお客様対応の自動化を検討したことはありましたか。

3~4年前にAIのソリューションが多数登場したとき、他社のサービスを検討したことがあります。当時は展示会にも参加し、社内の導入意欲も高まったのですが、いざ要件を整理してみるとAIに求める業務があまりに増えすぎてしまったんです。金額的にもまかないきれないと判断し、そのときは導入を見送ることになりました。

PKSHAの提案は、業務に影響が出ないように小規模からスタートするという安心感のある提案でした。さらにコールセンターの予算で手軽に始められる価格も魅力でした。

御社内にはどのように決裁を通しましたか。

テスト的に自動音声対話の対話フローを組んでいただき、役員の前でデモンストレーションを実施しました。そのときは、ヒット商品である「ジニエブラ」のサイズ交換に関する自動応答をデモンストレーションしていただきました。自動音声の質問に答えていくだけでサイズ交換が完了する様子を目の当たりにし、役員たちもとても驚いていました。

業務に寄り添った導入コンサルタントによるサポート

PKSHA Voicebot を導入しようと考えた一番の決め手は?

AIによる高い精度の音声認識と、導入コンサルタントのみなさんによる手厚い伴走、サポートがあることがわかったからです。

それに加えて、PKSHAのみなさんが当社のカスタマーセンター業務で発生している応対内容について詳しくヒアリングしてくださった点が、特に大きな決め手となりました。どの業務を自動音声対話へ切り替えると最も効率よく工数を削減できるかを、粘り強く一緒に考えてくださり、非常に信頼できると感じました。

AIを導入すれば便利になると想像していたものの、ただテクノロジーを導入すればいいわけではないと考えています。自動音声対話に任せるべき業務を適切にピックアップし、うまく切り分ける必要があります。PKSHAの導入コンサルタントが当社のカスタマーセンター業務を知り尽くしてくださり、アドバイスをくださったおかげで、AIに任せる業務を明確化することができました。

導入開始初期はどのような業務をPKSHA Voicebotへ移行しましたか。

まずはノンワイヤー下着ブランド「ジニエブラ」のサイズ交換に特化し、営業時間外の自動音声対話をお願いしました。業務に影響が出ないように、まずは少量のコールで対話精度を磨き込む、というPKSHAの提案に沿って進めました。

高年齢層の多い当社のお客さま特性に合わせて、お客さまが答えやすいよう自動音声対話の質問項目を、PKSHAの導入コンサルタントにアレンジしていただきました。

PKSHA Voicebotには自動音声対話で対応したお客さまの音声が記録されています。この録音を私たちとPKSHAのみなさんで聞き直し、お客さまの特徴的な回答や商品名の誤認、発音などをメモして、AIに認識させていきました。

例えば、サイズの中でも「XL」という単語をAIに認識させたい場合に、お客さまによっては「LL」と言うケースがあります。こうしたお客さまの言葉のゆらぎをAIに認識させる作業が重要だったと思います。

お客様が自動音声対話を避けるといったことは起きませんでしたか。

入電時の分岐でオペレーターへつなぐ選択肢も残していますが、5割ほどが自動音声対話に流れています。対応が難しいと思われた高齢者のお客様も、あまり年齢の偏りなくお使いいただけてますね。

サイズの交換ではなく相談をしたい方や、複数のお問い合わせ内容をお持ちの方はやはりオペレーターを選んでいただいていますね。

対話精度を高めてから基幹商品へ横展開し自動化範囲を拡大

現在、PKSHA Voicebot をどのように活用していますか。

「ジニエブラ」のサイズ交換対応からスタートして対話の精度を高め、コールセンターと社内で「音声対話でも大丈夫そうだね」という雰囲気を醸成した上で、当社の主力事業である健康食品へ拡大していきました。

現在では、基幹商品である「青汁三昧」を含めた健康食品の配送日変更でも活用しています。

「ジニエブラ」については、「30日以内のお届けですか?」「送料は別途ご負担いただきますがよろしいですか?」といった注意事項の確認から、商品名、交換後の希望サイズ、氏名、住所、電話番号をお伝えいただくことで、自動的にサイズ変更が完了する仕組みを確立できました。

「青汁三昧」などの健康食品については、毎回決まった日にちにお客様へ商品が届く「定期コース」があるのですが、その配送日の変更をPKSHA Voicebotで対応しています。PKSHAの音声認識は、日付けや住所、電話番号など数字の認識力が特に高く、安心してお任せできると感じています。

現在、「青汁三昧」などの健康食品については9時~16時を自動音声対話で対応し、16~18時で契約内容との突き合わせや確認、伝票入力などを行っています。

対話精度を高めてから基幹商品へ横展開し自動化範囲を拡大

導入後、どのような成果が出ましたか。

「ジニエブラ」のサイズ交換については対話完結率が75%を超え、サイズ交換を人が対応するのと遜色のないレベルで完結できています。「青汁三昧」についても安定的に完結率が70%を超えており、その他の健康食品については製品種類が多くスタートから間もないこともあり、やや「青汁三昧」を下回る完結率です。

比較的単純な応答対応をAIに任せられるようになったため、手の空いたオペレーターに他の受電対応を任せられるようになりました。また、健康食品の定期コースに関しては、問合せの8割が「配達日変更」だったため、大幅にオペレーターの工数を削減。複雑なお客さまのご要望に応対したり、丁寧に時間をかけて商品の使い方をご説明したりする時間を取れるようになったことは、大きな成果だと感じています。

コロナ禍の影響はいかがでしたか。

2020年4月以降、コロナ禍の需要増でありがたいことに受注が急速に増えた時期がありました。しかし、商品供給網への影響で納期遅延が多発したこともあり、7月ごろはクレームが急増した時期がありました。アフターフォローのセンターの応答率が低下し、長時間お客さまをお待たせしてしまったこともありました。

お待たせする時間が長くなれば、ひとりのお客さまへの対応時間も長くなってしまいます。より一層待機時間が長くなり、お客さまの温度感が上がってしまい、オペレーターが疲弊するという負のスパイラルに陥っていました。

イレギュラーな問い合わせが急増していたため、自動音声対話がどれだけ貢献してくれたか数字で計るのは難しいのですが、応答率低下の防止につながり、お客様をお待たせする時間が減ったのは間違いないと思います。

AIによる業務の効率化を実現させるために、どのようなことが重要だとお感じになりましたか。

自社のお客さまに寄り添い、お客さまに合わせた活用方法を考えることです。AIは優れたテクノロジーなので、導入しさえすればすぐ活用できるのではないかと思ってしまいがちです。しかし、自社のお客さまの年齢層や、パーソナリティ、受け答えの特長などを捉え、お客さまが応えやすく、AIが認識しやすい対話シナリオの設計が何よりも大切だと考えています。

実は「青汁三昧」の定期コースに自動音声対話を導入した当初、完結率があまり高くなかったんです。このときも営業時間外のテスト導入から始めたのですが、完結率が低くなった理由を分析したところ、お客さまへの質問事項が多すぎたことが判明。

配送日、箱数、商品名、住所、電話番号……と必要な項目を聞いているうちに、離脱してしまうお客さまが多かったことがわかりました。そこで、聞く項目を「配送日」に絞り、できるだけ短時間で応答を終えられるよう工夫して完結率を改善することができました。

また、青汁三昧の場合、他にも「青汁三昧 M-1」「青汁三昧 匠」と商品バリエーションがあります。こうした商品名を明確に認識してもらうよう、お客さまの応答をAIに学習させることも重要だったと感じています。

今後の展望は。

多くの件数を占めている返品受付をPKSHA Voicebotにお任せできたらいいなと考えています。そうすればより多くのオペレーターが受電対応できるため、より多くのお客さまのご要望に応えられるようになると考えています。

社名 株式会社テレビショッピング研究所
事業内容 テレビCM・ECサイト・カタログ等を通じた健康食品・日用雑貨・家電等の販売、小売店に対する商品卸売業
設立 1969年10月
URL https://www.teleken.co.jp/

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