住友生命保険相互会社
入電数の10%をボイスボットで応答、対応効率3倍を達成
導入サービス | PKSHA Voicebot |
---|---|
業種 | 保険業 |
活用対象 | 一般ユーザー、オペレーター |
導入目的 | 応答率向上、突発的な呼量増への対応 |
お客さまサービス部 コールセンター企画室 主任 辻村 拓郎様
お客さまサービス部 代理店案内サービス室 室長 豊川 敦子様
お客さまサービス部 お客さま案内サービス室 副長 塩原 敏裕様
お客さまサービス部 Vitality案内サービス室 山岡 奈央様
お客さまサービス部 Vitality案内サービス室 高田 芽依様
他社実績と認識精度が導入の決め手に
お客さまサービス部と、所属されているコールセンター企画室の業務内容を教えてください。
辻村様:当社のコールセンターを管轄するお客さまサービス部は、弊社のスローガンである「感動品質の提供」を実践すべく、日々お客さまとのコミュニケーションを担当しています。
コールセンター企画室では「デジタルと人との融合」を目標として掲げ、「デジタルが活用できるところは可能な限り効率化し、人にしかできないことを人がやる」という方針のもと、コールセンターとご来店窓口におけるデジタル技術活用の検討・採用や、ホームページ・Webサービスの運営も管轄しています。
ボイスボットの導入を検討されたきっかけを教えてください。
辻村様:WebのFAQやチャットボットはすでに導入していましたが、入電抑制という意味では大きな効果はありませんでした。そこで入電に対してデジタルで対応可能なツールはないかと模索していました。
豊川様:代理店チャネルではシニアのお客さまからの受電を減らせないかと考えておりました。ちょうどそのタイミングで三井住友海上あいおい生命保険様がPKSHA Voicebotを導入されたというリリースを拝見し、2021年4月頃から導入の検討を始めました。
他のサービスとの比較はされましたか。
豊川様:PKSHA Voicebot以外に、4社のツールを検討しました。同時接続数やオペレーターに転送できるか、SMS送信機能はあるか、といったことを必須の機能として選定しました。
ボイスボットを選ぶ決め手は何でしたか。
豊川様:事前にあいおい生命様へヒアリングさせていただいた際に、使い勝手や認識精度を非常に高く評価されていたことが大きかったです。こうした他社実績と高い認識精度が決め手になりました。
実際に導入が決まったのはいつでしょうか。
辻村様:3〜4か月かけて検討し、2021年8月頃にボイスボットの採用を決めました。代理店チャネル向けのコールセンターである代理店案内サービス室から利用を開始し、直販チャネル向けのお客さま案内サービス室、「Vitality」アプリのサポートを担当するVitality案内サービス室でもボイスボットを利用しています。
【代理店案内サービス室】
入院・手術給付金請求受付を自動化し、10%の呼量削減と応答率90%を達成
代理店案内サービス室の業務内容を教えてください。
豊川様:代理店チャネルのコールセンター運営を担当しています。代理店様からのお問い合わせと、代理店経由で契約されたお客さまからのお問い合わせの両方にご対応しています。オペレーターは約60席で運営しています。
ボイスボットはどのように使われていますか。
豊川様:入院給付金や手術給付金といった、給付金請求のお電話に対応する目的で利用を開始しました。代理店チャネルで販売している保険商品は、直販の営業職員が扱う商品よりも内容がシンプルで、特約構成も限られます。ですから、ボイスボットでも対応可能ではないかと考えました。
その後、適用範囲を拡大し、控除証明や住所変更の入電にも対応しています。
導入前はどのような課題があったのでしょうか。
豊川様:代理店チャネルに限らず、各コールセンターで応答率90%というKPIを設定しています。代理店案内サービス室では応答率が80%台になってしまうことが多く、「電話がなかなかつながらない」というお声をいただくことがありました。
ボイスボットでどのようなことを聞き取っていますか。
豊川様:お名前、ご住所、保険契約の識別のための証券番号、病名、手術日、といった項目をお聞きしています。聞き取りはとても正確で、聞き取った内容が間違っていることはとても少ない印象です。
実際に導入されて、効果はいかがでしょうか。
豊川様:高い精度で聞き取りができています。給付金請求のお電話をくださるのは約70%がシニア層のお客さまなのですが、聞き取りに失敗するケースは少ないです。導入前にあいおい生命様から「シニア層のお客さまにもしっかり発話していただけるし、ちゃんと受付完了される方が多い」とうかがっていましたが、その通りでした。
数字的な部分では、2022年の5〜7月において、入電全体の10%をボイスボットで完結させています。KPIである応答率90%も達成できています。
ボイスボットへはどのような入電経路になっていますか。
豊川様:IVRで分岐させ、オペレーターへの接続とボイスボットでの対応をお客さまが選択できるように導線を設定しています。
メンテナンス性についてはどのように評価されていますか。
豊川様:基本的なフローの変更であれば、弊社の担当者がすぐに行えるのでとても良いですね。
辻村様:対話フローを変更した際に、シミュレーターを使って実際に流れる音声やフローの遷移などを確認できるのも便利です。凄く複雑なフロー変更についてのみ、PKSHAの方にご相談しています。
PKSHAのサポートについてはどう評価されていますか。
豊川様:定期的に打ち合わせをしており、いろいろアドバイスをいただけてとても有難く思っています。例を上げると、何度も住所の復唱確認を繰り返されることで離脱につながっているというデータをPKSHAのカスタマーサクセス担当からご指摘いただきました。復唱するフローを改善することで、顧客体験を改善させることができました。
こうしたデータに基づく顧客体験の改善活動を伴走していただき、大変助かっています。
今後ボイスボットの活用範囲の拡大を考えていますか。
豊川様:他社では名義変更手続きにも利用していると聞いていますので、弊社でも可能かどうか検討したいと思っています。
【お客さま案内サービス室】
コロナ第6〜7波の入電急増をボイスボットで乗り切った
お客さま案内サービス室の業務内容を教えてください。
塩原様:直販のお客さまからのお問い合わせに対応するセンターです。お問い合わせ内容としては給付金請求や住所変更・名義変更など幅広く対応しています。私は給付金を担当しています。
日々2,000〜3,000件のお問い合わせがあり、約60%が各種変更手続きのお問い合わせ、約40%が給付金関連のお問い合わせとなります。保全が90席程度、給付金関連が50席程度で運営しています。
代理店で扱う商品はシンプル、ということでしたが、直販では商品設計が複雑なのでしょうか。
塩原様:はい。数十年前から販売されている商品が多く、商品や特約の種類が豊富で複雑です。それに従ってご案内しなければならないことも多くなるので、代理店チャネルがPKSHA Voicebotを導入したと聞いた際も、直販での導入は難しいだろうと考えていました。
そこから導入を決められるまでにどのような経緯があったのでしょうか。
塩原様:きっかけは2022年1月の新型コロナウィルスの第6波でした。自宅療養のお客さまから給付金請求のお電話が殺到し、給付金に関するお問い合わせが通常の倍近くまで増え、応答率が50〜60%程度まで落ちてしまいました。
そんな中、コールセンター企画室から代理店案内サービス室で成功しているPKSHA Voicebot活用を提案されました。コロナ給付金請求の受付はお客さまからヒアリングする内容がシンプルなため、利用を決めました。代理店案内サービス室で使われていた対話フローを土台にしたため、1〜2週間でフローを決めて開始することができました。
PKSHA Voicebotを活用した対話フロー
導入の効果について教えてください。
塩原様:第6波の時は定量的な数字を取っていませんでしたが、お電話口で待っていらっしゃるお客さまが減った印象がありました。第7波では1日で最大450件弱をボイスボットで受付完了しました。これは平時の給付金関連お問い合わせにおける書類の郵送数に相当する数です。このときコールセンター入電数が日に2,000件程度でしたので、1/4程度をボイスボットで受付していたことになります。
効率という点でいうと、約3倍の効率になりました。ボイスボットで受け付けた内容をオペレーターが聞き直して確認した上で後処理をしていますが、オペレーターが電話を受けると日に30件程度の受付効率のところ、ボイスボットを活用すると一人で1日100件程度処理することが可能です。
便利に感じていらっしゃる機能があれば教えてください。
塩原様:録音を聞きながら日付や名前の確認・入力などの後処理をする際、聞きたいポイントを絞って再生できるのが便利ですね。
今後ボイスボットの活用範囲の拡大を考えていますか。
控除証明・住所変更といったお問い合わせに既に対応しています。他社で実績のある名義変更受付や、シンプルな入院給付金受付などは適用できるかもしれないと考えています。
【Vitality案内サービス室】
アプリの登録アドレス変更にボイスボットを活用
Vitality案内サービス室の業務内容を教えてください。
高田様:弊社の健康増進型保険「Vitality」 は、Vitalityアプリを通じて健康増進への取り組みをポイント化し、そのポイントに応じて保険料が変動する保険です。アプリを使って健康診断の結果や歩数などのデータを申請することでポイントが加算されます。Vitality案内サービス室は、Vitalityアプリの操作方法などをフォローしています。
山岡様:通常時のお問い合わせは、電話が1日に300〜400件、メールが50〜100件程度です。キャンペーン時やアプリの不具合があった際にお問い合わせが大きく増加します。受電は委託社員の方を含めて30席程度で、メール応対は7〜8名で行っています。
問い合わせ内容はどのようなものが多いのでしょうか。
山岡様:初回登録時の登録方法でつまずいてしまった、特典やポイント請求のやり方が分からない、歩数を計測する外部デバイスとの連携ができない、といった内容が多いですね。
シニア世代のお客さまの問い合わせが多いのでしょうか。
山岡様:お問い合わせいただく方の世代に偏りはありません。ただ、シニア世代のお客さまのほうが1件当たりのご説明の時間が長くなる傾向があります。
PKSHA Voicebot導入のきっかけを教えてください。
辻村様:Vitalityに関するお問い合わせは、増減の波が大きいにも関わらず、増減の波を予測しづらいという傾向があります。こうした突発的な問い合わせ数の増加にどのように対応するかが課題となっていました。突然の増員も難しいため、これまでは応答率を落として対応せざるを得ませんでした。
ボイスボットを適用している業務を教えてください。
高田様:主に登録メールアドレスを忘れてしまったお客さま向けに、メールアドレス変更受付で利用しています。ボイスボットでご用件を受け付けた後にお客さま宛にSMSを送信し、アドレス変更フォームへ誘導する流れです。
FAQなどWebサイト上での案内もありますが、こうした情報を活用せずに電話でお問い合わせをされるお客さまをWebへ誘導する目的です。
ボイスボット導入前は電話口でオペレーターが対応し、メールアドレスを一文字ずつお伺いしていましたが、SとFなど発音が似ている文字を聞き間違えてしまうことがありました。また、電話だとお客さまもメールアドレスを間違えて伝えてしまうことがあり、手続きが完結できないといったケースも発生していました。
どのような効果が上がっていますか。
辻村様:2022年11月はボイスボットで約600件を受電して約400件が完結しました。Vitalityサポートセンターへの入電は月に6,000〜7,000件程度ですので、約10%をボイスボットで対応していることになります。
山岡様:メールアドレス変更をオペレーターが承る件数が月600件前後ですので、この用件に絞るとオペレーターとボイスボットで半々程度の対応件数になります。
仮パスワードの発行には本人確認が必要なため、オペレーターがボイスボットとの対話内容を聞き直す必要があり、効率向上にはつながっていません。ただ、お客さまはコールセンターの営業時間に関わらずご自身の都合の良い時間に問い合わせできるため、お客さまの利便性は大きく向上しています。
最後に、PKSHA Voicebotを検討している方にコメントをお願いします。
豊川様:他社サービスとも比較しましたが、PKSHA Voicebotは認識精度が高く、対話フローも自分たちで自由に設計でき、手厚いサポートも受けられるのでおすすめします。
塩原様:ボイスボット導入にあたっては先入観を捨てて活用方法を考えてみて欲しいと思います。ボイスボットでは1から10までできないので使えない、という判断ではなく、1から5までできれば効率化に寄与するという考え方が良いと思います。
社名 | 住友生命保険相互会社 |
---|---|
主要業務 | 生命保険業、付随業務・その他の業務 |
創業 | 1907年(明治40年)5月 |
従業員数 | 42,954名(職員10,973名、営業職員31,981名) |
URL | https://www.sumitomolife.co.jp/ |
この事例でご利用いただいている製品はこちら!
-
PKSHA Voicebot
毎月25万件のコールに対応している
AIボイスボット