パナソニック ホームズ株式会社様

AIヘルプデスクで築いた成功体験!有人対応へのスムーズな連携で不信感を抱かせないチャットボット窓口を実現

導入サービス PKSHA AIヘルプデスク
業種 住宅・不動産
活用対象 社員
導入目的 社内問合せ対応業務の効率化、社員の満足度向上
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パナソニック ホームズ株式会社 情報企画部長兼DX推進室長 石井様
パナソニック ホームズ株式会社 情報企画部兼DX推進室 水上様
パナソニック ホームズ株式会社 情報企画部 中山様
(2023年取材当時)

会社、ご担当者様の紹介

まず、会社の概要と、ご参加の皆様の役割について教えていただけますでしょうか?

石井様:パナソニック ホームズ株式会社は60年の歴史を持つ住宅総合メーカーで、住宅の建築・リフォーム、不動産、まちづくり事業を手掛けています。社員数は約5,400名です。
その中で、私は情報企画部とDX推進室の責任者をしております。

水上様:私は情報企画部でSCM(サプライチェーン・マネジメント)領域を専門とし、ITテクノロジーの調査やDX推進を担当しています。

中山様:同じく情報企画部に所属しています。Officeアプリケーションの管理経験を活かして、本プロジェクトではAIヘルプデスクをどうアップデートしていくか、アイデアをどのように運用に落とし込んでいくかといった部分を管轄しております。

御社のどの部門でAIヘルプデスクを活用されているのでしょうか?

石井様:情報企画部と経理部に導入しています。弊社にとって初めてのAI活用事例でしたが、社内からの反応は良好で、現在、他部門にもAIヘルプデスク導入を検討中です。

社員からの質問に24時間365日対応できる体制の整備を目的に導入を検討

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今回、AIヘルプデスクの導入を検討していただくにあたり、どのような課題がありましたか?

水上様:弊社には、社員からの問合せに電話で対応する社内サポートセンターがあるのですが、このサポートセンターへの電話が混みあってつながりにくいという課題がありました。

サポートセンターはサポートセンターで、常に同じような内容の問合せに繰り返し回答しており、とても効率的とはいえない状況でした。また、問合せの内容が難しくなると対応できる社員が限定されてしまい、特定の担当者に業務が集中していました。

さらに、社員がお客様対応のため土日も出勤しているのに対して、サポートセンターは基本平日しか稼働していないため、土日は発生する問合せへの対応がスムーズにできていませんでした。

そのような課題を抱えながらも、担当者間でノウハウを共有するための時間もなかなか確保できず、電話対応業務が属人化されたままになってるという状態でした。

サポートセンターに課題が山積みだったんですね。当時も他社様のチャットボットを導入されていたかと思いますが、その使用感にも問題があったと伺っております。

石井様:はい。回答の精度とアクセスの導線に問題があり、なかなか利用されていないことが課題でした。メンテナンスは個人任せの状態で、組織的な管理ができていなかったことも反省点です。

チャットボットに問合せをした際、的外れな回答が何度も返ってくると、リピートするユーザーが減り、どんどん使われなくなることがわかりました。そのため、次のチャットボットを選定する際は回答精度は特に重要だと感じていました。

慎重な検証を重ね、精度の高さとメンテナンス性・有人連携機能から導入を決定

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かなり慎重に PoC(検証作業)を進めていただいた印象がありますが、どのような点に注目されていましたか?

石井様:弊社にとってAIの導入は今回が初めてだったため、ユーザーである社員にネガティブな印象を与えないことを重視していました。以前のチャットボットでうまくいかなかったこともあり、初動から社員が満足できるクオリティにするために注意深く検証を進める必要がありました。

導入の決め手となった点はどこでしょうか。

石井様:メンテナンスのしやすさが一番の決め手になりました。導入後にどれだけ回答の精度を上げられるかは、日常的なメンテナンスをいかに少ない負荷で行えるかにかかっていると考えていたからです。

PKSHAさんは、チャットボットが的外れな回答を返したときにどうカバーするかを私たちと共に熟考し、試行錯誤を繰り返してくれました。その結果、状況ごとのメンテナンスの方向性をしっかりイメージできました。

また、有人対応へシームレスに連携する機能をもっていること、そして早い段階で有人対応につなげられるような設計が可能なことも魅力でした。

今回導入したAIヘルプデスクでは、しきい値(※1)の調整により、AIが「自信を持って応答できない」とみなす範囲を広げることができます。これにより、AIが有人対応に切り替える判断をしやすくなり、ユーザーに不信感を抱かせずにすむようになると考え、運用工数を削減しつつ、ユーザーにとってもより使いやすいものが提供できと感じたことから、導入を決めました。

※1しきい値:AIが特定の条件や状況に対してどれだけ敏感であるかを制御するためのパラメータ。ユーザーの質問に対して応答するかどうかを判断する際に使用される。

社員とサポートセンターの両方にとって「使い心地がいい」と高評価

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AIヘルプデスクの使い心地やクオリティはいかがでしょうか?

水上様:使い心地はとてもよく、社内の関係者は皆「本当によい仕組みですね」と喜んでくれています。

中山様:クオリティについても問題なく、正確な回答が出ているという印象を持っています。改善のサイクルを回していくことで、さらに精度を向上させていけると確信しています。

石井様:チャット形式のインターフェースなので、問合せのハードルが低くなったと感じます。特に若い世代では、日常的にスマートフォンでメッセンジャーアプリを使用していることもあり、違和感なく受け入れられていますね。

中山様:また、AIヘルプデスクではチャットボットとの会話も有人連携後の会話も他の社員にみられることはないため「こんな質問しても大丈夫かな?」とか「聞くのが恥ずかしい」という心理的な抵抗感がなくなったという声が寄せられています。

AIヘルプデスク導入後、これまでの業務にどのような変化がございましたか?

中山様:チャットでのやり取りの内容はデータとして蓄積されるため、たとえば「イベント実施後にどのような問合せが増加するか」ということを可視化し、社内で共有できます。これにより、我々から「この時期にどのような問合せが発生していたのか」ということを都度サポートセンターに尋ねることなく状況を把握でき、次の施策をスムーズに立てられるようになりました。

石井様:以前は全社的なシステム変更を行った直後にはサポートセンターへの問合せが集中していましたが、導入後にはチャットボットが回答してくれることで受電の件数が大幅に減少し、業務負荷が下がっただけではなく、電話が混雑しすぎて繋がらないといったユーザー側の不満も解決することができました。

従来は電話での質問が一般的であったと思いますが、その文化に変化は見られますか?

石井様:比率としても大きく変わりました。以前は電話による問合せがほぼ80%ほどでしたが、AIヘルプデスクのリリースから約3ヶ月で、約50%ほどまで減少しました。一方、TeamsによるAIヘルプデスクへの問合せは、月間で約2,000件に上っています。

特に若年層の社員は、電話ではなくオンラインツールを好んで使用する印象があります。若い人たちにとって「電話する」という文化がもうほとんどないのかもしれません。

会社としての成功体験が得られ、他のソリューションにもAIを適用しやすくなった

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導入によって、どのような効果が得られましたか?


石井様:業務効率化により、サポートセンターの人員を、6名から4名体制へ変更する予定です。これにより人件費をダイレクトに削減できる見込みです。

しかし、そのような数値化された効果より重要なのは、会社としてAI導入の成功体験が得られたことです。本来、人がやっていた業務をAIがやってくれることで「AIで会社全体がいい方向に進んでいくんだ」という価値観が社内に浸透すれば、他の業務のソリューションにもAIを活用しやすくなると考えています。

また、社員満足度を向上できることも大きな価値であると考えています。問合せ対応は社員のサポート業務ですが、他の仕事を中断して対応する場面が多く、負担感が大きい業務です。そのような業務を担当している社員に対し、DXで仕事を楽にすることで働きやすい環境を提供でき、満足度の向上につなげられます。

チャットボットの網羅性と回答精度のさらなる向上を目指す

AIヘルプデスクの活用に関して、今後の展望はございますでしょうか?

石井様:気軽に質問しやすくなったことで、質問内容の幅も広くなったため、チャットボットの網羅性をより高めていきたいです。Excelの使い方などの一般的な質問は、ChatGPTのような対話型AIやドキュメント型検索でも解決できます。そのような他のツールでカバーする仕組みができれば、目標とする自己解決率70%が達成できると思います。

中山様:AIヘルプデスク導入によりサポートセンターの業務に余裕が生まれたため、その分、回答精度の向上のための活動に注力し、改善のサイクルを回していきたいと思っています。

石井様:最終的な構想としては、AIヘルプデスクを一般のお客様向けの問合せ窓口としても活用できたらと考えています。AIが有人対応をすべきかどうかの微妙な判断ができるようになれば、より実現の可能性が高くなると思います。

最後に一言お願いいたします

石井様:石井様:PKSHAさんはタイムリーな情報を常に提供して下さるので、当社のAI活用方法のビジョンが少しずつ明確になってきていると感じます。PKSHAさんが蓄積してきたノウハウとAIとを活用すれば、新たな可能性を開けるのではないかと期待しています。今後も引き続きお付き合いいただければと思います。

貴重なお話、ご意見をありがとうございました。
(本記事の内容は2023年取材当時の情報となります)

 

企業名 パナソニック ホームズ株式会社
業種 住宅建設・不動産
設立 1963年7月1日
URL https://homes.panasonic.com/

 

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