オリックス生命保険株式会社
自動音声応答で月間3,500件を超える住所変更受付の自動化に成功
導入サービス | PKSHA Voicebot |
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業種 | 生命保険 |
活用対象 | 一般ユーザー、社員、オペレーター |
導入目的 | コールセンター運営の効率化、ボイスボットの導入 |
カスタマーサービス部 部長 渡辺 展正氏
カスタマーサービス部 デジタルサービスチーム チーム長 松本 将敬氏
カスタマーサービス部 デジタルサービスチーム 松本 ももみ氏
人材不足を見据えたテクノロジーの活用が急務に
カスタマーサービス部の役割、ミッションについて教えてください。
渡辺様 当社の使命はお客さまに保険金・給付金を確実にお届けし、寄り添い支えることです。「想いを、心に響くカタチに。」という理念のもと、お客さまに寄り添った応対を心がけています。お客さま本位推進部という全社横断で顧客体験向上に取り組む組織を発足するなど、全社的にお客さま本位の業務運営に取り組んでいます。 保険会社として最も重要な業務は、保険金や給付金をお支払いすることであり、我々カスタマーサービス部はコンタクトセンター部門として、まさにその重要業務を担当する部署です。現在のコロナ禍においては、入院だけでなく自宅療養の際にも給付金が支払われるためお電話が急増していますが、1件1件のお電話に可能な限り丁寧にお客さまに寄り添った応対をさせていただいております。
デジタルサービスチームの役割について教えて下さい。
松本将敬様 お客さま向けと代理店向けのデジタルを活用したサービスを企画・統括している部署です。特に、人を介さず定型的に提供できる業務をデジタル化することに取り組んでいます。具体的には、マイページやチャットなどの提供を行っています。
松本ももみ様 私は今回のPKSHA Voicebot導入の担当者でした。
PKSHA Voicebotの導入について教えてください。導入を検討されたきっかけは何だったのでしょうか。
渡辺様 カスタマーサービス部では「保険金・給付金を確実にお支払いすることが最大の使命」と考えており、正社員のオペレーターで構成されるコールセンターでお電話を受けています。一方で、この先労働人口が減り、マーケットも縮小する中で、優秀な人材を確保し続けられるのだろうか、という課題を強く意識するようになりました。どうしたら現在のサービスレベルを維持できるか、オペレーターを効率的にサポートできる手段はないか、と考える中でボイスボットの存在を知りました。
ボイスボット以外にも、業務支援や省力化のためのサービスを検討されたのでしょうか。
渡辺様 テキストによるAIの自動回答のシステムやオペレーターの業務を補助するAIサービスを試験導入するなどしましたが、うまく行きませんでした。
そうした中ではっきりと分かったのが、保険金・給付金支払いという高難度の応対は人間にしかできない、ということです。テクノロジーを使うべきポイントは定型的な業務に対してであり、人が応対することに良さがある業務に対しては、人が応対すべきという結論に至りました。
ただ、実際の業務の切り分けにはかなり時間を要しました。様々な業務を検討する中でデジタル化すべき業務として見えてきたのが、住所変更の受付だったのです。
デモを体験し、評価が一変
PKSHA Voicebotは2021年10月にご利用開始いただいていますが、様々なサービスの比較検討を始めたのはいつからでしょうか。
渡辺様 2019年には検討を始めていました。PKSHA Voicebotのデモを拝見したのは2020年3月です。以前から評判は聞いていたのですが、過去にAIを使ったソリューションを試してうまく行かなかった苦い経験があるので、PKSHA Voicebotにも最初は懐疑的でした(笑)。ただ、社内でデモを見せていただき、評価が一変しました。
デモのどういった点をご評価いただいたのでしょうか。
渡辺様 わざと早口で話すなど、いろいろな状況での音声認識精度を検証させていただき、この精度が出るのであれば十分実用可能だと感じました。
他のボイスボットサービスとの比較はされましたか。
渡辺様 8社ほど比較しました。SMS送信やRPAへの接続といった機能だけを比べると、どれも大差はありませんでした。ですから、最も大事なのは認識精度だと感じました。PKSHA以外の会社にも認識精度について質問したのですが、一番説得力のある説明をしていただいたのがPKSHAさんでした。
住所変更希望者の8割をボイスボットへ誘導、うち7割が完結
2020年にデモをご覧いただいてから、実際の導入までに少し時間が空いています。何か課題があったのでしょうか。
松本将敬様 お客さま応対記録を永年保存することが会社の規則で決まっています。それまで全て音声データを残していたのですが、ボイスボットの場合、音声は一定期間経つとサーバーから消えてしまう、という課題がありました。音声認識した結果のテキストは残りますが、そのテキストが保存データとして認められるかを調査、検討する必要がありました。結局、テキストを保存することでこの課題は解決しました。
他にも、社内でボイスボットに対する懐疑的な声も上がったので、効果の説明にも時間をかけました。
どういった切り口でご説得されたのでしょうか。
松本将敬様 詳しい資料を作り、ボイスボットでできること、できないことを明確に説明しました。お客さま応対全般ではなく事務的な用件の聞き取りに使う、ということや、それが人手不足の解消などにつながる、ということを伝えました。
どのボイスボットサービスを使うかはいつ決まったのでしょうか。
渡辺様 2021年の春先に具体的な検討を始めて、3か月ほどかけてPKSHA Voicebotに決めました。
弊社では、まずは試験的に少ない呼量で自動応答を開始し、精度を上げたうえで呼量を増やす「スモールスタート」を推奨しています。貴社もスモールスタートでしたか。
松本将敬様 いえ、社内で最初からある程度の成果を出すことを約束していたのもあり、最初からできる限り完成形を目指しました。うまく使えずにお客さまが途中で電話を切ってしまう、という事態が防げるように綿密にフローを考えました。
サービス開始後、どのような成果が出ていますか。
松本将敬様 初月である2021年10月は、住所変更のためにお電話いただいた方の8割をAIに誘導することができ、5,000件を超える対応件数となりました。そのうち71.2%の方が対話を完結しました。目標としてボイスボットへの誘導を50%以上、完結率を70%以上と考えていたので、それを超えることができ手応えを得ました。
どのように8割のお客さまにボイスボットを選んでいただいたのでしょうか。
松本ももみ様 オペレーターによる応対の選択肢もありますが、「住所変更についてはボイスボットで承ります」という利用を推奨したメッセージで誘導しているため、8割のお客さまに選んでいただけたと考えます。お客さま向けのアンケートではボイスボットに対する否定的な意見は限定的で、完結率も想定以上だったので、お客さまにご支持いただけていると思います。
お客さまがうまくボイスボットに対応できない場合はどうされていますか。
松本将敬様 途中でオペレーターに転送する分岐を作っています。また、全て復唱確認すると煩わしくなってしまうので、復唱する箇所を限定するなどの工夫もしています。
お客さまからはどのようなフィードバックがありましたか。
松本将敬様 携帯電話からお電話いただいた方には、通話後にSMSでURLをお送りし、電話応対に関する満足度アンケートにご回答いただいております。5段階評価で、「普通」に当たる3以上が90%という結果を得ています。オペレーター応対では4以上を目指していますが、ボイスボットは3以上を目指せば良いと当初から考えていたので、これについても目標が達成できました。
コールセンターのオペレーターからの反応はありましたか。
松本ももみ様 コールセンターのメンバーから、住所変更の問い合わせが大きく減った、と喜びの声がありました。
他の定型業務にも適用を広げたい
PKSHAのメンバーのサポートはいかがでしたか。
松本ももみ様 細かい質問にもすぐにお答えいただけましたし、驚くほどメールの返信を早くいただくことが多かったです。問い合わせのフローの設定について、破綻がないかしっかり精査していただけたのは特にありがたかったですね。スムーズにフローを構築できたのはPKSHAさんのサポートがあってこそでした。
今後、どのような業務にPKSHA Voicebotの適用を考えていますか。
松本将敬様 定型的な用件である、保険証券や生命保険料控除証明書の再発行などに広げていきたいと考えています。
デジタルサービスチームの今後の展望は。
渡辺様 我々の方から能動的にお客さまとのタッチポイントを作るようなことに使えないかと考えています。例えば、入院保険は保険に入られてから、一定期間経過後に使われる方が多いということが、過去のデータを調べるうちに分かりました。そのタイミングでこちらからお客さまにアプローチすると、喜んでいただけることが多いのではないかと思っています。この例のように、アプローチの最適なタイミングの発見にテクノロジーをうまく活用したいと考えています。
社名 | オリックス生命保険株式会社 |
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事業内容 | 生命保険業 |
設立 | 1991年4月12日 |
従業員数 | 2,201名 |
URL | https://www.orixlife.co.jp/ |
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