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公開日/2018.7.30
インタビュー

【サポートの現場から】Vol.6 株式会社ファンケル

【サポートの現場から】Vol.6 株式会社ファンケル

 

企業を支える「サポート部門」。サポートに携わっている人たちは普段どんな業務をしているのか、どんな想いで働いているのか、OKBIZ.ブログ編集部は知りたい!そして、皆さんにも知って欲しい!という勝手な使命感で、各企業へ突撃取材&インタビューをしています。

企業情報

会社名 株式会社ファンケル
創業 1981年8月18日
従業員数 977名 ※2018年3月31日現在 契約社員・パート・委託は除く
事業内容 化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売
ホームページ https://www.fancl.jp/

– 今回は株式会社ファンケルさんにお話を伺います。サポート現場について教えてください!

当社のお問合せ窓口はサービス全般に関する問い合わせ対応を行っており、月間約30,000件の入電があります。テレコミュニケーター、SV、従業員合わせて約70名体制(業務委託先含む)で日々の業務を行っています。サポートチャネルは電話、メール、チャットボット、FAQページですが、商品の返品窓口もあるためごく稀にお手紙などをいただくケースもあります。

– お手紙は珍しいですね!やっぱりWebサポートって増えてきていますか?

当社の成り立ちは通信販売なので、以前はお電話でご注文をいただくことが基本でした。そこから、ご注文だけではなくご相談などをいただいたりするケースも増え、それが派生して、電話でのお問合せ窓口開設に繋がっています。しかし今ではインターネットからのご注文が非常に増えており、問い合わせ形式も多様化しています。FAQ、チャットボット、メールにシフトしてきていますね。スタッフも、電話とメール両方を対応する体制になっています。

– 電話とメールの担当の方が一緒なんですね!チャネル別で担当を分けている企業もあると思いますが、一緒なのはなにか意図はあるんでしょうか。

まず、どんな時でもお客様にご迷惑をおかけしない体制にするという方針を持っています。また、お客様からのお問い合わせは電話とメールでは傾向が異なるため、どちらのチャネルも対応できるようになることで、応対スキルを向上させるという目的もあります。 当社は、「ファンケル大学」というファンケルグループの従業員を対象に創業理念や業務を身につけるための社内教育部門があります。まず、「ファンケル大学」で、電話でのご注文を受けるための研修を受けていただき、その研修をクリアしたらお問合せ窓口にて専門スキルを習得するための研修を受けていただきます。そのような経過を経て電話とメールの両方をサポートができるスキルを習得します。

– 全員が持つスキル…。レベル高い!

ファンケル社 担当者の1日

時間 CSV、お問合せ削減担当、業務委託管理
9:00 社内のメールなどを確認し、対応案件について優先度をつける。
9:15 窓口状況確認、お客様対応案件の業務量を把握する。
9:30 お問合せ削減案件について企画立案を行う。
10:00 基幹システム案件のMTGに出席し、コールセンターの要件をシステムに伝える。
12:00 ランチタイム
13:00 FAQ担当メンバーで状況確認等のMTGを実施して、各種数字の確認と打ち手検討を行う。
14:00 お問合せ削減案件について企画立案を行う。
16:00 自部署でのKPIに関するMTGを行い、課題の抽出、打ち手検討を行う。
17:30 承認依頼の来ているFAQについて確認し、承認、公開を行う。

– 1日の流れで「お問合せ削減」について取り組まれているようですが、FAQシステムの導入もそのひとつだったんですか?

FAQシステムの導入は「お問合せ件数の削減」というより「お客様の自己解決の機会を増やす」ことが導入のきっかけです。当初はFAQページは見られているのか、お客様がFAQページで求めている情報はどんなことなのか、どんな内容のQ&Aが提供できればお客様が自己解決できるのか考えながら、0件ヒットやPV数を指標にFAQを改善していきましたね。

徐々にコンテンツも精査でき、FAQページへの導線作りや0件ヒットの数も落ち着いてきたので、今はセカンドフェーズとして「(お客様は)解決できたのか、解決できていないのか」を確認するようにしています。

– FAQ改善のほかに、お客様の自己解決を促す取り組みなどはしていますか?

お電話で問い合わせをいただいたお客様にメールを送り、そこでFAQページへやマイページの課題解決コンテンツをご紹介しています。「お問合せ窓口への連絡をいただかなくても解決しますよ」といった感じでご案内していますね。

– 追走メールですね!ちなみに、外部ではなく内部…テレコミュニケーターの方への取り組み(モチベーション管理とか)とかって、何かしてますか?

アメリカではコールセンター従事者へ感謝する期間としてCS Week(カスタマーサービス週間)※というものがあり、当社でも秋にCS Weekを実施しています。 日頃の仕事への感謝の気持ちを伝えるために、休憩室で上司がテレコミュニケーターなどのスタッフに飲み物やお菓子を振る舞ったり、コールセンターの仕事を知ってもらうために、他部署の従業員をコールセンターに招き、テレコミュニケーターがお客様とどんな会話をしているのかを紹介したりしています。 当日参加した他部署の方からはコールセンターに感謝の言葉をいただくなど、とても素敵なイベントになっています。
また、休憩室のフロアを充実させるなど職場環境の整備も意識しています。仕事の中心はお客様と接するテレコミュニケーターの方々であるということを念頭に置いた取り組みをこれからも実施していきたいです。

※1992年、当時のブッシュ大統領によって宣言された活動で顧客サービスに従事する人たち(主にコールセンターのオペレーターの方々)の努力に感謝し顧客サービスについて考える週間

– この感謝のボードもそのひとつですね、素敵!CSWeek以外でも他部署の方との関わりってあったりするんですか?

問合せ窓口に入ってくるお客様の声をデータベースで一元管理しているのですが、企画や商品開発担当の従業員はその内容を企画や開発の参考にしています。文字では伝わらない部分は音声データで確認したりしていますね。ご注文の電話などは含まれていない「お客様の声」のデータが、年間で約35万件ぐらい溜まるんです。内容を確認することで新商品開発のヒントや、新商品の初動がどうだったか確認したりできるので、とても役に立っているみたいです。商品の改善に活かされるケースが多いですね。

– 「お客様の声」データ…まさに宝ですね!ちなみに、その声で実際に改善された商品とかってあるんですか?

このサプリメントの袋なんかはそうですね。袋の角が丸くなっているのは、「当たると痛い」などのご指摘をいただいたので、丸くしています。また開封後の断面なんですが、前面が短く切れており、後面の内側のアルミが見えています。(写真参照) 実はこれ、指がかかりやすいようにずれて切れるようになっているんです。当然揃っている方が見た目にもきれいなのですが、お客様から「開けづらい」というご意見を多くいただきました。そのため、商品全て開封時には開け口がずれるように設計しています。こういった気付きは社内ではなかなか生まれにくく、お客様の声から改善できた事例です。

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– ほんとだー!!ずれてるー!!!まさに、VOCの活用ですね!

また、期間限定商品について、「再販はしないの?」「発売が終了して残念」などのお問い合わせを受けることがあります。そのお問い合わせデータに関してはきちんと管理をし、その商品が再販売すると決定した際には、再販売のお知らせをいち早く届けるようにしています。

– それ嬉しいですね!なんか大切にされてる感があって、ますますファンケルファンになっちゃう!

ある商品ではそのお知らせをきっかけに、お伝えした70%の方が購入してくれた、という嬉しいケースがありました。お客様の声を把握し、適切な情報を適切なタイミングでしっかりと届けることが重要であると感じましたね。潜在的な要望やニーズの発掘もそうですが、顕在化しているところを、一つずつ解消していくこともとても大事であると考えています。いただいたお声には、少しでも応えていきたいと思っています。

– 70%!脅威の数字ですね!再販要望とかはいいと思うんですが、商品特性から答えづらい問い合わせもくるんじゃないんですか?

そうですね。健康食品や化粧品などを取り扱っているため、商品情報をマニュアル化する際は、関連する資格保持者に内容を確認しながら時間とリソースをかけて作成しています。さらにコールセンター用のナレッジに落とし込む場合は、お客様に伝わる言葉に咀嚼してナレッジ化しています。薬事法など法律面での確認が必要な場合もありますね。ナレッジの整理はまだまだ改善の余地があるため、お客様へのサポート品質は落とさないよう、現在のサポート品質を保ちながら改善できればと思っています。

– ナレッジが整理できれば、サポート体制はより完璧なものになりますね!では最後に、今後の目標などがあれば教えてください!

現在は、AIやRPAを導入し業務効率化を実現している企業様の事例に興味があります。業種業態関係なく「こんな便利な使い方があるんだ!」など気付きも多いため、今後も幅広く情報収集していきたいです。

当社の経営理念は「もっと何かできるはず」であり、世の中の「不」の解消を目指し、安心・安全・やさしさを追求するとともに、常にお客様の視点に立ち、「お客様に喜んでいただくこと」を全ての基準としています。お問合せ窓口は、どうしても何か「不」を抱えたお客様からのお問い合わせが入ることが多いですが、お客様の立場に立った応対ができるよう、試行錯誤しながらサポートをしていきたいですね。

– 「不」の解消を目指し、お客様の声を活かした数々の取り組み…非常に勉強になりました。今日はありがとうございました!

CXジャーナルでは【サポートの現場から】に登場いただける企業様を募集しております。ご興味がございましたら、こちらよりお気軽にご連絡ください。

今回はファンケルさんに登場いただきました。ちなみに私は、カロリミットを暴飲暴食時のお守りとしていつも利用させていただいています(笑) それはさておき、お客様の声を商品開発や改善に活かす…という話は良く聞きますが、今回実例が聞け「なるほど~」の連発でした。そしてCSWeekの取り組みが素敵だと思いました。編集部でも調べてみたのですが、日本で実践している企業はまだまだ少ないみたいですね~。CSWeekの内容も紹介したいので、またお話聞かせてください! ファンケルのみなさん、ありがとうございました!

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