企業のWebサイトを訪れた際、画面の右下に「ご用件をお伺いします」とメッセージが表示されてチャット画面が立ち上がった経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか。
そのようなコンピューターによる自動チャット(会話)システムを「チャットボット」といい、従来、企業への問い合わせ方法として主流だった電話やメール、Webフォームなどの代替として導入が進んでいます。
近年では、人工知能(AI)と自然言語処理技術の発展により、まるでカスタマーセンターのサポートスタッフと会話をしているような、ごく自然な形でコミュニケーションが取れるチャットボットも登場しています。
チャットボットには「シナリオ型」「AI型」「一問一答型」「ハイブリットチャットボット」の4種類に大別でき、それぞれにメリット・デメリットがあります。
今回は、チャットボットの種類とそれぞれの特徴、最適な使用シーンを解説します。
チャットボットの4つの種類
まずは、チャットボットの4つの種類を紹介します。目的に応じて最適なチャットボットの種類が異なるため、まずは基本的な特徴を理解することが大切です。
(1) チャットボットとは
チャットボットとは、人工知能による自動会話プログラム(自動応答サービス)のことです。企業のWebサイトを訪れた際、画面の右下に「ご用件をお伺いします」とメッセージが表示されてチャット画面が立ち上がった経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか。それが「チャットボット」です。
「ボット(Bot)」は「ロボット(Robot)」から生まれた言葉で、一定のタスクや処理を自動化するためのアプリケーションやプログラムのことを指します。「会話(チャット)」を自動化するシステムなので、「チャットボット」というわけですね。
チャットボットは、Webサイトなどで訪問者の要望や質問に答えるコンシェルジュのような役割を担い、会話の仕組みによって大まかに4種類に分類できます。
(2) チャットボットの種類
① シナリオ型(ルールベース)チャットボット
シナリオ型のチャットボットは、あらかじめ用意したシナリオに沿って顧客の質問に回答します。フローチャート構造のシナリオを設計し、顧客の選択肢ごとに回答を用意する仕組みとなっています。
シミュレーションゲームと類似した仕組みと称されることが多く、質問の内容がある程度決まっている商品説明や取り扱い説明書に適しています。
② AI型チャットボット
AI型は、AIが顧客の質問の意図を分析して回答します。別称を「AI搭載型チャットボット」といい、自由質問に回答できるのがシナリオ型との大きな違いです。
AIの学習機能の一種である自然言語処理が備わっていることにより、抽象的な質問に対しても適切に回答できます。また、AIが学習を重ね、精度が上がれば、より顧客の質問や要望に対して適切な回答が可能になります。
③ 一問一答型チャットボット
一問一答型は、顧客の質問に対して一つの回答を提示します。シナリオ型、AI型の両方で実現でき、シナリオ型の場合はキーワードによって事前に設定した質問文を表示させます。対して、AI型の場合は、問い合わせ内容を分析し、最適だと判断した回答を1つ提示します。
④ ハイブリッドチャットボット
ハイブリッドチャットボットは、シナリオ型とAI型の機能を合わせた一問一答型のチャットボットです。質問は顧客が手入力し、一問一答形式で回答されます。あらかじめ設定した条件分岐を行い、顧客を適切な回答に導きます。
シナリオ型・AI型のチャットボットのメリットとデメリット
チャットボットの4つの種類には、それぞれメリットとデメリットがあります。選び方を間違えると期待した成果が得られず、ユーザーからも活用されにくくなってしまいます。目的に合わせた選び方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
(1) チャットボット共通のメリット
チャットボットを設置するメリットとして全てのタイプに共通して挙げられるのが、業務効率化です。チャットボットは24時間365日、休まず稼働させることができ、カスタマーサポートと連携することで直接対応の工数削減にもつながります。
また、チャットボットで対応可能な問い合わせはチャットボットで完結させることにより、人による対応が必要な問い合わせ件数を削減し、人件費やマンパワー不足といった問題を解決できます。
チャットボットのサービスのなかには、月額数万円で利用できるものもあり、従業員を採用するよりもコストを安く抑えることができます。また、チャットボットによる対応は、Webサイトを訪れた顧客にもメリットがあります。チャットボットで解決できる質問や課題であれば、その場ですぐに回答がもらえるので、顧客の時間の削減と満足度の向上につながります。
(2-1) シナリオ型チャットボットのメリット
シナリオ型は他のタイプと比べてシンプルな設計なので、コストが安く抑えられるというメリットがあります。月額1万円程度で導入できるサービスもあり、比較的短期間で導入が可能です。
あらかじめFAQ(よくある質問)が用意されていればすぐに反映でき、顧客の意図と乖離しづらいので、顧客にとって、的を射た適切な回答を提示しやすくなります。
(2-2) シナリオ型チャットボットのデメリット
シナリオ型は、事前に設定した質問に対して回答が用意されているため、回答可能な質問が限られるというデメリットがあります。
膨大な数の質問や、曖昧な質問が多数想定されるケースには向いておらず、FAQが用意されていない場合は、シナリオから設計しなければならないため、リリースまで時間を要します。
(3-1) AI型チャットボットのメリット
AI型は、AIが顧客の質問の意図を分析して回答するため、シナリオ型よりも複雑で広範囲な問い合わせに対応できます。また、運用に伴ってAIの学習が進み、回答の精度が向上するため、質問意図を正しく読み取れるようになります。AI型は、運用すればするほど効率化が進むという点が一番のメリットといえるでしょう。
また、シナリオ型のチャットボットの場合は、顧客が質問に対して思うような回答を得られなかった場合、「その他お問い合わせ」から「直接対応」という選択肢が選ばれやすくなりますが、AI型はシナリオ型に比べて、学習機能と対応可能な範囲の広さから、シナリオ型よりもカスタマーサポートの担当者の負担軽減につながりやすくなります。
(3-2) AI型チャットボットのデメリット
AI型はシナリオ型よりも複雑な設計になるため、導入コストと運用コストが高くなる傾向があります。
また、自然言語処理の精度によっては費用対効果が得にくいケースがあるので注意が必要です。機械学習のスピードや精度の向上はサービスによって異なり、精度が低いサービスの場合、質問に対して適切な回答ができず、直接対応の機会が増えてしまう可能性があります。
シナリオ型・AI型チャットボットそれぞれに向いている使い方は?
シナリオ型は比較的シンプルな設計でコストが安く、対してAI型は複雑な問い合わせに対応できる分、コストが高くなりやすいという特徴があります。これらの特徴を踏まえて、シナリオ型・AI型チャットボットの、それぞれに向いている使い方を紹介します。
(1) シナリオ型チャットボット
シナリオ型は、ECサイトや製品の取り扱い説明書など、質問内容がある程度絞り込めるシーンに向いています。
ログイン方法、パスワードの紛失、送料について、製品トラブルなど、あらかじめ答えが用意しやすい質問が多い場合はシナリオ型チャットボットを選択すると良いでしょう。
(2) AI型チャットボット
AI型は、カスタマーサポートや社内の問い合わせ対応など、問い合わせ内容が多岐にわたる場合に向いています。
また、「顧客の要望を読み取ったうえでおすすめの商品やサービスを提示する」といった複雑な会話が想定される問い合わせにも、AI型の方が適しています。
チャットボットで顧客との関係性を構築しよう
チャットボットは、コールセンタースタッフに代わって顧客の悩みや疑問を解決してくれます。その点においては、顧客との関係性を構築するためのツールといえます。チャットボットを導入することによって、顧客と自社の双方が目的を果たせるよう、ツール選びは慎重に行いましょう。
当メディア・CXジャーナルを運営するPKSHA Communicationでも、国内シェアNo.1のAIチャットボット「PKSHA Chatbot」というSaaSプロダクトを開発・提供しています。
もしご興味をお持ちいただけましたら、下記の製品紹介ページよりご確認いただければと思います。
▼国内シェアNo.1のAIチャットボット「PKSHA Chatbot」製品紹介ページ
https://aisaas.pkshatech.com/chatbot/
この記事を読んだ方におすすめの資料

カスタマーハラスメントからオペレーターを守れ!
社内FAQで応対品質を上げ、離職を防ぐ方法
本資料の概要
- 深刻化するカスタマーハラスメント、その要因とは?
- カスタマーハラスメントから守るためには
- オペレーターの応対品質とナレッジアップを同時に実現するFAQシステム

その問い合わせ、FAQページのせいかもしれません
お客様を迷わせないFAQ作成のポイント
本資料の概要
- 顧客データからみるFAQページの課題
- “自己解決できるFAQ”とは? 考慮すべき3つのポイント
- FAQはシステム化する時代へ

そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?
利用者の声から分かるサポートコミュニティの新たな可能性
本資料の概要
- コンタクトセンターが取り巻く課題
- コンタクトセンターにおけるサポートコミュニティの活用
- 利用者アンケートからみるサポートコミュニティの効果
- サポートコミュニティを賢く利用するには