トヨタコネクティッド株式会社
プッシュ型バナーで利用者数6倍、自己解決率15%アップ
導入サービス | PKSHA Chatbot |
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業種 | 自動車サービス |
活用対象 | 一般ユーザー、社員、オペレーター |
導入目的 | 複雑化するナレッジへの対応、お客さまの自己解決リソース拡充 |
コネクティッドセンター CXデザイン室 室長 栗田 充博氏
コネクティッドセンター CXデザイン室CXプランニングG グループマネージャー 丹羽 美奈子氏
日々変化する自動車サービスと顧客の要望に対応
トヨタコネクティッドでは、どのようなビジョンを掲げていますか?
栗田様 「限りなくカスタマーインへの挑戦」というビジョンを掲げ、時代とともに日々変化するお客さまの要望や意向に沿ったサービスを提供しています。
当社では、トヨタブランドの自動車を購入したお客さまに対し、車と通信でつながり安心・安全、快適・便利なサービスを提供するコネクティッドサービス、「T-Connect」を提供しています。
安心・安全サービスとしては、事故などで身動きが取れない・パニックになっていたとしても、エアバックに連動して自動的に緊急車両を手配してくれる「ヘルプネット」や、車両故障時に走行アドバイスの上、点検入庫手続きまでを仲介する「eケア」。
快適・便利サービスとして、ナビの目的地設定などドライブをサポートするオペレーターサービス、集中力の乱れを察知してドライバーに注意喚起する「エージェント+(いたわり案内)」など多様なサービスを提供しています。
お2人は現在、どのようなミッション・業務を担っていますか?
栗田様 私達は顧客対応を担うコネクテッドセンターの中で、CX向上のためのソリューション構築・改善、サービス運用デザインをミッションとしています。
今後コネクティッドカーが主流となり、お客さまとの接点が増えていくでしょう。お客さま個々の状況に即したチャネルでプロアクティブにサポートしていくことが、顧客体験の質を向上させる重要なポイントになると考えています。
今は、多種多様なお客さまに寄り添う顧客接点のあり方を模索している最中で、電話やFAQサイト、PKSHA Chatbotを通じて、お客さま自ら困りごとを解決できる仕組みを整え始めたところです。
丹羽様 私は現在、14名のメンバーと共に、顧客接点の企画やオペレーション設計を行っています。中でもナレッジマネジメントは顧客体験のベースとなる重要な業務と位置づけ、PKSHA Chatbotの運用、お客さま向けFAQサイトや、オペレーター向けのナレッジ整備を行っています。
その他には、NPS(ネットプロモータースコア)を指標として顧客体験向上のための施策を企画したり、お客さまから寄せられる生の声を、製品企画や設計者へ紹介し、お客さまの期待を伝える取組みを行っています。
日々進化する多様なテクノロジーを活用し、人が介在する必要のない対処を減らしたい。そしてオペレーターは本来すべきお客さまとの対話から、真のニーズを読み取ることに注力できるよう、システムの力でカバーできる仕組みをつくりたいと考えています。
複雑化するナレッジとお問い合わせ増加に対応する仕組みの構築が急務に
PKSHA Chatbotを導入する前、どのような課題を抱えていましたか?
丹羽様 コネクテッドサービスの利用者数と対象車種が日々拡大していたこともあり、入電量の多さと回答に必要なナレッジの複雑性から、すべてを電話で対応することが難しくなりつつありました。そこで、デジタルを活用した顧客接点の拡大や、AIによる自動応答のカスタマーサポートを充実させることになりました。
こうしたカスタマーサポート全体の変化の中で、2019年4月から試験的に有人チャットとチャットボットを導入することに。車の所有者は年齢層が高い方も多く、チャットサービスを利用してもらえるのか不安もありましたが実際は利用率が高いということがわかってきました。
試験導入時は、どのようにチャットボットを運用していましたか。
丹羽様 平日9~18時の営業時間帯を主に有人で対応し、夜間はチャットボットに切り替えていました。1年余り運用したところ、チャットボットでも回答できる固定的な内容を、日中のコアタイムにオペレーターが有人チャットで対応していることがわかりました。
そこで、有人対応をできるだけ減らして自動応答の割合を増やすため、AIが搭載されており、FAQの更新もしやすいチャットボットの導入を検討し始めました。複数比較検討の上、2020年6月からPKSHA Chatbotを導入することになりました。
どのような基準で対話エンジンを選定しましたか。
丹羽様 AIの性能の高さが選定の大きな基準でした。そこで5社程度チャットボットを比較・検討。中でもAIの技術力が高いと紹介してもらったのが、PKSHA Chatbotでした。
それまで試験利用していたチャットサービスには、有人チャットのオペレーターが利用するナレッジ機能にAIが搭載されていました。しかし、チャットボットにはAIが搭載されていなかったため、自動応答の割合を増やすのは難しいと感じていました。
PKSHA Chatbot は高精度のAIが搭載され、運用性能が高く、チャットボットで解決できなかった質問は有人チャットへ誘導できること、そしてSalesforceと連携ができることが選定の決め手でした。
また、お問い合わせの内容が同じであっても、お客さまの車種やネットワーク接続方法、状況によって正しい回答が変わります。こうしたケースではシナリオ設計が重要になりますが、PKSHA Chatbotなら専門的な知識なしで担当者がシナリオ設計できることもポイントでした。
さらに、ダッシュボード上で各種KPIが簡単に把握できるため、改善すべきことが明確になり、PDCAサイクルを回しやすいと考えました。
チャットボット導入のゴールは?
丹羽様 目的は、疑問を持った際にお客さまご自身で自己解決できる確率を高めることです。現在は、自己解決率や正答率、認識不可率をKPIに定め、自己解決率70%になるよう日々PDCAを回しています。
導入後、PKSHA Chatbotをどのように活用されていますか。
丹羽様 現在は、FAQサイト全体にPKSHA Chatbotを導入し、さらに、プッシュ型でお客さまによくあるご質問を問いかけるようにしています。
FAQサイトトップでは、お問い合わせ全体の中でよくいただく質問をプッシュ型バナーで問いかけています。FAQサイトはご質問のカテゴリごとにページを分けていますが、各カテゴリページに進むと、そのカテゴリの中でよくいただく質問をプッシュ表示しています。
丹羽様 プッシュ型バナーのメリットは、そのときのお問い合わせ傾向に合わせて機動的に質問項目を入れ替られる点です。問い合わせの多い項目を随時追加したり、逆にそれほど問い合わせが多くない項目は削除するといった操作を管理画面ですぐに反映できるため、お客さまのお問い合わせ傾向の変化に合わせることができ、利用数の増加につながっています。
プッシュ型バナーで利用率6倍、自己解決率15%増を実現
日々、どのように運用していらっしゃいますか。
丹羽様 様々な工夫を凝らし、自己解決率向上のための取り組みを行っています。例えば、一問一答でお客さまのご質問に回答するだけでなく、質問に関連するFAQを文末に設定し、チャットボット内でより多くの疑問点を解消できる仕組みをつくりました。
チャットボットからFAQサイトへ遷移する導線は、たらい回しにされた印象をお客さまに与えてしまいがちです。しかし、シナリオでお客さまのお困りごとや状況をステップ・バイ・ステップで切り分け、最終的にお客様の状況に合った関連度の高いFAQへ誘導することで解決率が高まるように設計しています。
また、PKSHA Chatbotのダッシュボードで、自己解決率が低いインテント(FAQ)の回答を修正したり、不足しているFAQを追加しています。自己解決率が低いインテントが見える化されているので、個別のお客さまとの対話ログを確認して、なぜ解決につながらなかったかを分析し、日々改善しています。
栗田様 チャットチームでは、お客さまが疑問点を自然に解決できるよう、「さりげなく導く」シナリオ設計を工夫しています。また、電話対応のスタッフと協同でお客さまにより伝わりやすい表現を細部まで作り込んでます。
中でもよく使っている機能は。
丹羽様 ダッシュボードの機能は基本的に全て使っています。KPIが分かりやすく見える化されているため、PDCAを回しやすいと感じています。
具体的な機能としては、KPIのモニタリング、実際の対話ログから再チューニングするNGチャット振り分け機能を日々使っていますし、加えた変更内容をすぐに確認できる対話シミュレーターの利用頻度も高いですね。有人チャットの担当者がAIの精度を確認し、お客さま目線で使いにくさはないか、分かりにくさはないか確認しています。
どのような成果が現れましたか?
丹羽様 最初はプッシュ型バナーを置いていなかったのですが、設置後に利用者数が6倍となり、さらに自己解決率が15%もアップしたのです。
この結果には私たち自身も正直驚いています。プッシュ型は目立つので、利用者数が増えることは想定していましたが、利用者が増えればその分自己解決率が下がるのではないかと思っていました。しかし、お客さまが探している情報に沿った内容を提示することで、自己解決率が高まる結果となったのです。
今後はチャットボットで「解決できましたか?」という質問に「いいえ」と回答したお客さまに対して、なぜ解決につながらなかったのかを深堀りする、「詳細アンケート機能」も実装したいと考えています。
栗田様 PKSHA Chatbotのおかげで、これまで接点がなかったお客様とつながることができたと感じています。FAQサイトやチャットボットの導入前は電話窓口のみだったため、電話でのお問い合わせ傾向しか分かりませんでした。しかし、FAQサイトとチャットボットが整備されたことにより、電話とWebではお客さまの要望や問い合わせの傾向が異なることがわかりました。
また、電話ではなくチャットボットを通じて疑問点を自分で解決したいというお客さまがこれほどいらっしゃったことにも驚きました。
今後の展望は。
栗田様 いまはトヨタブランド中心に問い合わせ対応をしていますが、これからは高級車ブランドなど、幅広く対応していきたいと考えています。
また、お客さまとのデジタルな接点をより強化し、お客さまのお困りごとを把握して、プッシュ型でお客さまが知りたい情報を発信していく仕組みを作りたいですね。さらには、個人の趣味嗜好といった要素を取り入れ、パーソナライズされたドライブプランの提案のような、個別化されたサービスを提供していきたいなど、やりたいことは尽きません。
チャットボットでのお客さまとの対話を見ると、私どものサービスへの期待の高さに改めて気づかされます。これからもお客さまのリアルな声、熱量のこもった声を車のつくり手にも届け、より一層コネクティッドサービスを改善していきたいと思います。
社名 | トヨタコネクティッド株式会社 |
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事業内容 | テレマティクス、MaaS、デジタルマーケティング、ディーラー・インテグレーション |
設立 | 2000年10月6日 |
従業員数 | 単体 1,088 名 グループ合計 約1,800名(2021年3月末現在) |
URL | https://www.toyotaconnected.co.jp/ |
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