株式会社セブン&アイ・ホールディングス

ECサイト「オムニ7」に実装、サイレントカスタマーの離脱防止と問い合わせ数平準化に貢献

導入サービス PKSHA Chatbot
業種 通販・EC
活用対象 一般ユーザー、オペレーター
導入目的 24時間/365日対応、問い合わせ増加時の対応分散
株式会社セブン&アイ・ホールディングス

デジタルマーケティング部 お客様サービスオフィサー 佐藤 勝利氏
デジタルマーケティング部 お客様サービス 荒木 智彦氏

ニューノーマルで変化する顧客接点

セブン&アイ・ホールディングスの掲げるビジョンは?

佐藤様 コロナ禍による社会環境の変化に伴い、withコロナを前提としたニューノーマルな生活様式が定着しつつあります。当社でもデジタル技術を駆使し、買い物から決済までのあらゆるシーンを便利かつシームレスにすべくDXの取り組みに力を入れています。

中でも「omni7 (オムニ7)」はどのような位置付けですか?

佐藤様 私たちが運営するECサイトオムニ7には、アカチャンホンポからイトーヨーカドーのネット通販までバリエーション豊かな店舗がそろい、文字通り小さな子どもからお年寄りまで幅広い年齢層のお客さまにご利用いただいています。購入層は20~70代、女性ユーザーが多いですね。ライフタイムバリューが長く、生活に寄り添ったサービスを提供したいと日々試行錯誤しています。

現在、お2人はどのような業務を担当していますか。

佐藤様 私たちが所属するデジタルマーケティング部お客様サービスではオムニ7サイトや各種アプリのカスタマーセンターの運営・管理を行っています。オペレーターの品質チェックや運用見直しによる効率改善、生産性向上に向けたカスタマーセンターで活用するシステムの導入から管理まで担当しています。

荒木様 私はデジタルマーケティング部で導入したシステムの運用を担当し、PKSHA Chatbotについては日々寄せられるレポートに対してFAQの修正を行ったり、お客さまの声を取り入れた改善活動を行っています。

 ニューノーマルで変化する顧客接点

お二方の考える、理想のカスタマーセンターとは。

佐藤様 ただお問い合わせに対応するだけでなく、お客さまの困りごとをいち早く解決し、快適にサービスをご利用いただく環境を整えることです。お客さまの立場に立って対応することで、少しでもお客さまの不満・不安を取り除くことを心がけています。

運用性と拡張性が導入の決め手に

PKSHA Chatbot導入前に抱えていた、カスタマーセンターの課題についてお教えください。

佐藤様 それまで電話やメールでお客さまからの問い合わせを受け付けていたのですが、営業時間外はWebサイトのFAQしかなく、また、話題の商品が発売された時には問い合わせが殺到して対応しきれないことが課題となっていました。さらに、サービス拡充とともにカスタマーセンターの呼量が全体的に増加傾向にありました。しかし、採用、教育、コストなどの問題からカスタマーセンターの人員追加での対応にも限界があります。

また、WebサイトのFAQでは一問一答でしか対応できず、お客さま一人ひとりの困りごとにシナリオ分岐させてお応えすることができないと感じていました。例えば、配送料を知りたいというお問い合わせをいただいた際、同じイトーヨーカドーでも、ギフトや衣料品など幅広い製品を扱うネット通販と、主に生鮮食品を扱うネットスーパーでは配送料が異なります。お客さまが「配送料を知りたい」とお問い合わせくださったときに、「ネット通販ですか? ネットスーパーですか?」とシナリオ分岐させることで正しい答えに導けることもチャットボットを選定する上で重視しました。

対話エンジンを導入する際、どのようなポイントで検討しましたか。

佐藤様 お客さまが困りごとを素早く自己解決でき、運用する私たちも簡単に使いこなせることを重視しました。もちろん、大量のFAQを読み込めるか、お客さまの質問に精度高く回答できるかということも判断基準としました。

当初10社ほどのチャットボットを検討し、検討ポイントを洗い出して比較表を作成。当社の求める基準を満たすか議論を重ねました。その中で最終的に3社に絞り込み、1週間ずつデモ環境を使わせていただきました。

最終的にPKSHA Chatbotに決定した決め手は?

佐藤様 自信を持って自分たちで使いこなせると思えた運用性能と、段階的にサービス拡充していく上で、有人チャットやLINEへの接続といった拡張性があることが重要でした。

また、ダッシュボードで必要な情報が簡単に閲覧できる一方、CSVで出力したデータを編集・分析し、オムニ7に参画している各社に展開できることも、当社のニーズに合っていました。

24時間対応や夜間売上向上などメリットを訴求、グループ会社と合意形成

導入後、どのようにPKSHA Chatbotを活用されていますか。

佐藤様 2018年7月から導入を開始し、最初はWeb上にチャットボットを設置するところからはじめました。

Web上の設置場所はオムニ7のトップページと、イトーヨーカドーやアカチャンホンポなど各社のトップページです。それからお客さまがお困りになったときの動線であるFAQやご利用ガイドなどにも掲出しています。

24時間対応や夜間売上向上などメリットを訴求、グループ会社と合意形成

佐藤様 トップページについては、サイトを閲覧して最初からチャットボットが立ち上がるのではなく、数秒してもお客さまに動きがない場合にチャットボットが立ち上がる仕様になっています。まずサイト全体を見ていただくためにチャットボットはあえて出さず、サイト上で立ち止まっているお客さまにだけチャットボットでサポートすることを考えました。

どのようにPKSHA Chatbotにインテント※やシナリオを実装しましたか。
※対話エンジンに学習させる質問と回答のセット

佐藤様 Web上のFAQページにある700~800の問と回答をすべて搭載しました。その中で、とくに強化したいシナリオやインテントについては随時加えています。インテントについては、会員登録やログイン方法、配送料などすべてのお客さまに共通する内容について優先的に強化していきました。

企業ごとにシナリオを切り分け、回答を出し分ける部分はとくに工夫した部分です。企業によって回答の分量や質、言葉づかいなどにバラつきが出ないよう、均一に丁寧な対応をすることを心がけました。

企業ごとのシナリオ切り分けについては、例えば「配送料」と入力された場合、配送料に関するシナリオが発動し、企業一覧を表示させます。お客さまに該当の店舗を選んでいただき、その店舗の配送料を表示するようにしています。

グループ会社にはPKSHA Chatbotの導入をどのように説明しましたか。

佐藤様 一度、各社にお集まりいただき、導入の経緯やどのように運用するか、お客さまへのご案内の仕方、各社との連携方法などについてご説明させていただく機会を設けました。その際、24時間お客さまに対応できること、とくに購入量が増える夜間の対応も可能になるため、売り上げに貢献できるという点をお話しました。

お客さまとの信頼関係構築と問い合わせ数平準化に成功

導入後、どのような成果が現れましたか。

佐藤様 カスタマーセンターに寄せられる全問い合わせのうち、チャットボットへの問い合わせが占める割合(カバー率)を指標化し、4割になることを目指して運用しております。現在は3割ほどに落ち着いています。

当初はメールや電話の問い合わせが減ればいいなと思っていたのですが、結果的にメール・電話にチャットボットを加えたお問い合わせ総数は増えています。しかし、これはネガティブなことだとは捉えていません。

チャットボットを導入することのメリットは、呼量をコントロールすること以上に、お客さまにとってお問い合わせ窓口が新しく増えることにあります。これまで問い合わせをしようとすら思わなかったお客さまが、新たなお声を寄せてくださるようになり、オムニ7からの離脱を防ぐことができるようになりました。

カスタマーセンターの営業時間外でも24時間、365日お客さまの質問にお応えできるようになりましたし、急な問い合わせの増加にも対応できています。こうしたひとつひとつの対応が、お客さまとの信頼関係構築に寄与しており、売上にも貢献していると感じています。

荒木様 チャットボットとの対話後の「役に立ちましたか?」という質問に「はい」と答えていただいた割合をお役立ち率としてKPI化し、60%を目標に運用しています。導入から改善を続け、多少の前後はありますが、良い月は60%を超えるようになっています。

お客さまとの信頼関係構築と問い合わせ数平準化に成功

特にどのような場面で対話エンジンの効果を感じますか?

荒木様 当社ではアイドルグループのDVDやCD、コンサートチケットなどの商品を扱うことがあるのですが、事前に発売日を予測するのがなかなか難しいんです。昨年、新型ゲーム機が発売になったときも同様でした。私たちもお客さまも、発売直前まで全容がわからない状態です。そして発売日が発表された途端、多くのお客さまからお問い合わせが殺到してしまうのです。

しかし、PKSHA Chatbot導入後は、予約方法や販売ルールをチャットボットに即座に反映することで、本来カスタマーセンターに電話やメールとして入ってくるお問い合わせの一定割合を自動応答化することができています。災害時やコロナ禍も含め、お問い合わせの平準化に役立っています。

今後の展望は?

佐藤様 お役立ち率が低いインテントは、回答に文字だけでなく画像も用いて理解しやすくするなど、さらにお客さまに役立てていけるようチューニングを進めていきたいですね。それから、チャットボットだけでなく、テキストマイニングや音声ボットを活用して、拾い切れていないお客さまの声も拾っていきたいですね。

社名 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
事業内容 コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、専門店、フードサービス、金融サービス、IT・サービスなど
設立 2005年(平成17年)9月1日
連結従業員数 170,757人※月間163時間換算の臨時従業員含む
URL https://www.7andi.com/

この事例でご利用いただいている製品はこちら!