パナソニックインダストリー株式会社

人財こそが最も大事な資産。AIヘルプデスク活用で生産性を高め、「次の一手」のインサイトを獲得。パナソニックグループのDX戦略(PX)を加速!

導入サービス PKSHA AIヘルプデスク
業種 電気部品・電子部品・制御機器
電子材料等の開発・製造・販売
活用対象 社員
導入目的 問合せ対応の自動化、ユーザーの満足度向上
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パナソニックインダストリー(株) デジタル変革共創本部
DX戦略部 デジタルデータ活用促進課 磯山様
DX戦略部 シニアエキスパート 久保様
SCM戦略センター IT変革室 シニアエキスパート 杉本様


会社、ご担当者様の紹介

現在、貴社では弊社の「PKSHA AIヘルプデスク」を導入いただいておりますが、どのような部門で活用されているのか、あらためてお伺いできますでしょうか?

久保様:現在パナソニックインダストリーでは、生産IT部門とDX戦略部門の2部門でPKSHA AIヘルプデスク(AIチャットボット+問合せ管理システム)を利用しております。私が所属するDX戦略部門では、昨年開始したDX人財の育成プログラムに関する問合せ窓口として活用しています。

杉本様:生産IT部門では、デバイス事業とメカトロニクス事業の国内13生産拠点から、生産や出荷を管理するシステムへの問合せ窓口としてPKSHA AIヘルプデスクを利用しています。主に生産現場の実ユーザが活用しています。

複数の部門で導入いただいており、現在さらなるご利用範囲拡大も検討いただいているかと思いますが、そもそもの導入を検討するきっかけはなんだったのでしょうか?

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杉本様:導入検討の根本にはパナソニックグループがすすめるPX(Panasonic Transformation): パナソニックのデジタル経営変革という戦略があります。生産IT部門では、PXのテーマの1つである「SCM(サプライチェーンマネジメント)の最適化」をすすめています。生産管理システムそのものをアップデートする取り組みと、生産管理業務フローを最適化する取り組みです。

その一環として、生産IT部門が先にPKSHA AIヘルプデスクの導入を行いました。生産系システムに関するヘルプデスクへの問合せは非常に多く、担当者が問合せ対応に時間を取られることを以前から課題視していました。チャットボットの導入によって、生産IT部門自体の業務を見直し、その負荷を軽減することを考えました。

ありがとうございます。デジタル変革共創本部においてはどのような観点でのご検討となったのでしょうか?

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久保様:グループの大方針としてのPXを受けて、パナソニックインダストリーとしては「全員参加のデジタル経営変革(PX)」による「リアルタイム衆知経営」でこれを実現していこうという戦略を立てています。グローバルに4万人以上の社員が在籍する企業で「全員参加」「衆知経営(※)」を実現することは非常に難しいのですが、デジタル技術を用いれば決して不可能ではないと考えています。

一方で、全従業員がPXの取り組みに参画するためには、従業員全員がデジタル関連の知識や事業変革・業務改善のノウハウを習得する必要があります。

そのために、ノウハウを得られるような育成プログラムが必要ということで、集合型の研修や技術支援の仕組みなどに加え、eラーニングを中心としたデジタルな育成プログラムも開始しました。この育成プログラムは非常に好評で、2023年度末までの1年間だけで延べ3,200名を超える従業員が受講しています。一方で、募集や受講のなかで非常に多くの問合せが発生し、運営側に大きな負荷もかかることとなりました。

※衆知経営: みんなの知恵を経営に活かし、お客さまと社会のお役に立つこと(パナソニック・グループの経営理念の一つ)

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磯山様:申込の仕方や受講費用の負担ルールなど、受講前の問合せはもちろん、自ら手を動かし課題を解く実践型の研修なので、PCの設定、VPN接続の仕方をはじめとした受講環境の準備に関する質問なども多く発生していました。

多い時には、月500件以上の問合せに対応する状況となりました。同じような質問が多く、申し込み用の社内ホームページなどにQ&Aを掲載したりもしたのですが、問合せはなかなか減りませんでした。同じ質問に対して、過去の回答内容をコピー&ペーストを繰り返して対応することが何度もありました。

久保様:定型的なルーティンワークを見直し生産性向上を推進していく役割を担うDX戦略部門が、繰り返し作業に忙殺されている状況は一刻も早く改善すべきだと考え、既に生産IT部門で一定の成果が出ていたPKSHA AIヘルプデスクの導入を検討するに至りました。

 

Teamsと連携したインターフェースと有人接続機能が導入の決め手に

検討を進めていく中で、導入の決め手になったポイントはどこだったのでしょうか?

杉本様:意思決定のポイントとなった点はいくつかあるのですが、生産IT部門とDX戦略部門双方で共通して決め手となったのは、スムーズな有人連携機能を持っている点です。

チャットボットの導入を検討した際に、まずは内製でチャットボットを作って展開してみたのですが、有人チャット連携の機能はありませんでした。チャットボットが質問に回答できなければ、質問者はヘルプデスクに直接連絡をする必要がありました。

これでは質問者は「チャットボットに問合せしても解決しない」「チャットボットでは解決しないから最初から直接ヘルプデスクに連絡しよう」となってしまい、せっかく導入したチャットボットが使われないだけでなく、適切なカスタマーエクスペリエンスを提供できない状況に陥るリスクが想定されました。

このリスクを回避するためには、どんな質問でも同じ窓口から入ってきて、チャットボットが応えられない質問でもその窓口から有人チャットに連携できる機能が必須だと考えました。

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久保様:Teamsのアプリケーション内で利用できることと、AIの回答精度も大きなポイントでした。

我が社の社内コミュニケーションの大半が、電話やメールからマイクロソフト社のTeamsに移行しています。コロナ禍以降、オフィスに出社する社員と自宅等からのリモート勤務の社員が協業することがあたりまえとなり、Teamsへの移行が加速しました。

問合せを行う側の目線に立てば、常時利用しているTeamsからシームレスに問合せできることは非常に良いカスタマーエクスペリエンスとなります。いちいち別のインターフェースからチャットボットにアクセスするより間違いなく利用率が向上し、結果として問合せ対応の工数もさらに削減できると考えました。

磯山様:チャットボットのチューニングに工数を割きたくないという観点から、AIによる回答がシナリオ型だけではなく、一問一答の形式で回答できることも非常に重視していました。一問一答を行うにはAIが高い精度で問合せ内容を理解する必要があるため、日本語に強い国産のエンジンを搭載している点もPKSHA AI ヘルプデスクを選定する決め手になりました。

問合せ対応の自動化だけではなく、今後のチューニングにかかる運用の負荷も重視されていたんですね。

久保様:単にチャットボットを用意するだけであれば、マンパワーをかける前提でもっと安価な製品を選ぶこともできたとは思っています。しかし、ツールの導入や新たな取り組みを実行するにあたって実務者の心理的安全性は非常に大切な要素です。安価が故に不足している機能を「実務者の運用」で補う必要があったり、何か困りごとが発生した際にサポートが期待できないような製品は、たとえ表面的なコストパフォーマンスが良く見えても選択肢から外しています。

企業として成長していくためにもチャレンジしたいことは無限に増えていきますし、チャレンジしたいことが増えていかない企業は成長できません。人財は常に不足しており、チャレンジに対して人財の確保が追いかけている状況です。これからの時代、人財こそが最も大事な資産で、人財を単純な繰り返し作業から解放し、より創造的で面白いチャレンジに振り向けることが、企業の最もファンダメンタルな課題だと考えています。

そのような中で実務者が割く工数を極力下げるためにも、運用に人財を割かなくていい製品を選ぶという基準が明確にありました。

従業員の利便性と将来の展望を見据えた、窓口の統一化

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御社では、プロジェクトとしては2部門別々で進めたにもかかわらず、窓口自体は1つに統一されていますよね

久保様:そうですね。DXを進めていく中では、システムが増えたり業務プロセスが変わったりすることも多いです。しかし、部分最適の進め方をしてしまうと、利用者側は大して便利になっていないどころか、かえって煩雑な運用になってしまうこともあります。

その観点から今回の施策を考えると、いくら優秀なAIやシームレスな有人チャット連携ができても、問合せ内容によって窓口が違ったり、ことあるごとに窓口が増えたり、さらには窓口間で質問者がたらい回しにされたりすることは良いカスタマーエクスペリエンスとは言えません。

質問者側の目線に立った時、どんな問合せでも1つの窓口から回答が得られるというのが目指すべき姿かなと考えており、部門を跨いで1つの窓口に集約するように構築しました。

単純な工数削減だけではなく、リアルタイムのナレッジ集約も実現

_DSC8917生産IT部門においてはリリースから少し時間が経った状況ですが、導入の効果としてはいかがでしょうか?

杉本様:定型的な質問が自動回答できることで対応工数が削減できているのはもちろんですが、有人チャット連携の機能が想定以上によく働いてくれています。

生産拠点からの質問は、その瞬間生産している製品に関する質問が多く、なかなか定型化できません。有人チャット連携機能のおかげでこれらの質問を取りこぼしなく回答できています。また、問合せ一覧から類似する過去の回答履歴を、回答者は誰でも見ることができるので、自然とナレッジが共有される状況が生まれました。おかげで、各拠点への問合せ対応が一元管理できるようになり、拠点ごとの課題やITシステムの運用ルールの違いを可視化できつつあることも大きな成果です。

各拠点の良い運用を他拠点に展開していくことで、高いレベルでの標準化を期待できます。可視化された課題から、業務フロー・システムともにアップデートする次の取り組みに活かしていきたいと考えています。

ありがとうございます。最後に、今後の展望やPKSHAへの期待などがあればお聞かせください。

久保様:中期的な目線で言えば、問合せ窓口の集約に向けて、活用できる部門を拡大していきます。IT/DX部門だけでなく、営業や製造、開発や調達といった全社の部門で問合せ窓口を一元化していきたいと考えています。

杉本様:
社内のみならず、ビジネスパートナー向けの窓口として商品の仕様や代替商品の提案などにも活用できればいいですね。

久保様:
実は、ビジネスパートナー向けには、営業部門の『DXアンバサダー(※)』が準備を進めています。DX戦略部門も導入ノウハウの提供などでお手伝いしています。
※DXアンバサダー:パナソニック インダストリー社の現場部門において、自ら職場の改善・変革をすすめるとともに、職場同僚のPXへのモチベーションを高める「現場PXのシンボル」としてCIO(最高情報責任者)から任命された社員。DX戦略部門と連携しながら約50名が活躍しており、今後さらに拡大を計画中。

磯山様:
AIによるFAQ提案の機能にも期待しています。DX戦略部門での実運用開始からはまだ間がないですが、7~8割が自動回答で完結し、2割ぐらいが有人チャットに連携されてきています。現行のFAQ以外の応対件数が増えていくことで、新たな定型質問を見つけ出し、FAQを増やしたいなと考えています。この機能がうまく働いてくれれば、運用側の負荷をさらに下げながら、問合せに即応できる範囲を広げ、質問者の利便性を高めることができるので、ぜひ良い形で使っていきたいと思います。

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貴重なお話、ありがとうございました!

 

企業名 パナソニック インダストリー株式会社
業種 電気部品・電子部品・制御機器・電子材料等の開発・製造・販売
設立 2022年4月1日
(パナソニックグループの持株会社制移行に伴い8つの事業会社に独立・専鋭化)
社員数 41,000人 (パナソニックグループ 計 約228,000人)
URL https://www.panasonic.com/jp/industry.html