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FAQサイトを運用する場合、様々なデータを出力したレポートを参考に、サイトの改善に取り組む必要があります。
本記事では、PKSHA FAQの画面を例に、FAQシステムのダッシュボードの見方やレポートの読み解き方について、PKSHA Communicationのカスタマーサクセス担当・FAQ活用トレーニング講師 の片岡 利之がご説明します。
<スピーカー情報>
片岡 利之
FAQ活用トレーニング講師 /
株式会社 PKSHA Communication カスタマーサクセス本部
FAQシステム・FAQサイトのダッシュボードでは、FAQサイトに関する様々なデータを見ることができます。ここではPKSHA FAQのダッシュボード画面を例にご説明します。
まず、PKSHA FAQの管理画面で「myAdmin」をクリックし、次に「レポート」をクリックするとダッシュボードの画面が表示されます。
ダッシュボードは様々なデータをダイジェストで表示し、状況を容易に把握できるようにしたものです。より精緻なデータを見たい場合はローデータ(生のデータ)を見るようにしてください。
ダッシュボードの画面は上段、中段、下段の3つに分かれています。
画面上段には「アクセスランキング」が表示されます。
「FAQ」「カテゴリー」「検索キーワード」といった項目について、検索されている回数や閲覧されている回数などの順にベスト5が表示されます。どういった項目を表示するかは、設定・変更が可能です。
中段は「アクセスサマリー」です。
FAQの閲覧数とセッション数、お問い合わせ数を表示して、推移を見比べられるようにしています。表示する期間は日、月、年といった単位で変更できます。
※このアクセスサマリーについては、PKSHA FAQの場合、ヘルプデスク機能をご契約いただいている企業さまに提供している機能になるので、もし契約をしていない場合は表示されません。
下段は「フィット&ギャップ」が表示されます。
簡単にいうと、改善の必要があるような「悪い情報」がまとまっています。
例えば、検索にヒットしない「0件ヒット」や、カテゴリーが開かれたにも関わらずコンテンツが開かれていないFAQ、閲覧率が低いキーワードなどが並んでいます。
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アクセスサマリーの説明の際、「アクセス数」という言葉を使いました。これとよく混同される言葉に「セッション数」がありますのでそれぞれについて簡単にご説明します。
セッション数は、いわばおおよその人数を知るための数字です。サイトに来た人の正確な人数ではなく、延べ人数をカウントしているものとご理解ください。
サイトの利用者にIDを振ってカウントすれば正確な人数が数えられるのですが、オープンなサイトの場合、セッション数で大体の人数を数えるだけでも十分に目的を達成できるケースが多くあります。
ただし、数えられるのはあくまで延べ人数なので注意が必要です。
例えば、私があるサイトに今日訪問し、翌日改めて訪問した場合、セッション数は2になります。
アクセス数は、それぞれのWebページが表示された回数を示しています。
あるサイトに「A」「B」「C」の3つのページがあり、サイトの利用者がA→B→C→Aの順番でページを回ったとします。この場合、セッション数は1、アクセス数は4になります。
「セッション数もアクセス数も多い方が良いのではないか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。サイト運営の目的に沿った数字を目指す必要があります。
例えば、「操作方法に疑問を感じた時など、困った時だけFAQを見てほしい」ということが目的であれば、1セッション当たり1アクセスが理想になります。1セッション当たりのアクセスが増えている場合は、目的の情報がすぐに得られなかった、ということになるためです。
一方で、「サイト内のいろいろなページを回ってサービスについて深く理解してほしい」という場合であれば、1セッション当たりのアクセスは多い方が良いことになります。
PKSHA FAQの場合、「myAdmin」にある「レポート」をクリックし、画面上部にある「統計・ログ」をクリックしていただくと、レポートの出力画面に移ります。
レポートの出力画面では、抽出したいKPIに沿って、どのレポートを出力するかを選んでいただきます。「パソコンからのアクセスとスマートフォンからのアクセスを分けてデータを出力する」といったことも、この画面で設定可能です。
なかでも最重要のレポートといえるのは、「キーワード検索」、「アンケート」、「0件ヒット」の3つです。それぞれについてご説明します。
「キーワード検索」は、どういったキーワードを入力してFAQを検索したかを示すデータです。
キーワード検索には「単語」と「文字列」の2種類があります。
「単語」は、検索窓に入力された文章を、単語に分解してカウントしたもの、「文字列」は、複数の言葉をスペースで区切って検索した際の組み合わせをカウントしています。
単語をカウントすることで、ユーザーがどの単語をより検索しているかが分かります。文字列をカウントすると、「何故この単語を検索しているのか」という背景が分かります。キーワード検索は、「単語」と「文字列」の両方のレポートを確認し、適切に使い分けることが大切です。
下記の「キーワード検索(文字列)」CSV出力例を見ていただくと、「ログイン」というキーワードは、検索回数98回に対し、FAQ閲覧数が27で閲覧率が27.6%、平均ヒット数は3.5件となっています。
平均ヒット数とは、そのキーワードで検索したときに表示されるFAQの候補の数です。27.6%という閲覧数は低いですし、平均ヒット数3.5件も少ないので、改善が必要な状況であることが分かります。
閲覧数や閲覧率が低いのは「検索はされたが閲覧されていない」ということなので、FAQコンテンツ自体が足りていない場合は追加が必要になります。
ただ、FAQ自体は既にあるのに検索に引っかかっていない、ということであれば、検索に引っかかりやすくするために類義語登録をしたり、FAQのタイトルを見直すことで改善が図れます。
平均ヒット数については、1ページ10件ほどが適切なので、その数字を目指していただければと思います。
もう1つ例を挙げます。
同じく上記のCSV出力例にある「返品」というキーワードの場合、FAQ閲覧率が28%と低いことは先ほどと同様ですが、平均ヒット数が109.5件とかなり多くなってしまっています。
この状態だと、「検索にヒットするFAQが多過ぎて探せない」ということなので、ユーザーが意図する情報を上位に表示したり、平均ヒット数自体を減らす必要があります。検索順位を変える場合、表示ロジックを変更します。平均ヒット数を減らす場合は、類義語登録の見直しが効果的です。
仮に、「返品」にまつわる検索が毎月一定数あるのであれば、「返品」というカテゴリーを作成して探しやすくすることでも、改善が図れる可能性があります。
続いて「アンケート」のレポートです。
上記のCSV出力例をご覧いただくと、左からFAQのタイトル、格納されているカテゴリー、アクセス数といった順番に項目が並んでいます。並びは、アクセス数の多い順です。
「アンケート投票率」は、FAQ閲覧数に対してアンケート回答があった割合です。並んでいる数字が低いと思われるかもしれませんが、1%あったら大成功といえる水準で、0.7~0.8%が合格の目安になります。
「アンケート平均評価」は、1であれば回答者全員が「参考になった」と回答したことになります。「参考にならなかった」場合はマイナスでカウントします。0.1以上の値が出ていれば合格といえます。
具体的な運用の手順としては、まずここに表示されているものの中から、平均評価が悪いものを対象にFAQを見直すのがおすすめです。
「評判が悪いFAQを全部修正したい」とお考えになるかもしれませんが、労力や時間を考えると現実的には難しいことが多いです。そのため、アクセス数が多いもので、修正の必要があるものから取り組むのがセオリーになっています。
この画面で言えば、約3分の1が「参考にならなかった」と回答した「注文を取り消したい」や、マイナス評価が付いている「ポイント還元について」が見直しの対象になります。
また、投票式のアンケートに加えて、コメント欄を設けている場合には「アンケート投票ログ」のレポートで出力することができます。
レポートの内容は「日時」「投票結果」「コメント」になります。
コメントを扱う場合に重要なのは、コメントを取得することよりも、「使い道をどうするか」ということです。どう処理するか、誰が処理するか、といったことや、他の部門でないと対応できない内容の場合にどう引き継ぐか、といったことを予め決めておく必要があります。
コメントの取りっぱなしは顧客の不満を招きますので、改善した場合、コメントをしたユーザーへの報告も大切です。PKSHA FAQではそのための連絡機能も備えています。
最後に、「0件ヒット」レポートの読み解き方についてです。
例えば、「キャンペーンの応募方法」という検索が0件ヒットに該当している場合、単純にコンテンツがないことが想定されます。その際はFAQの新規作成が必須です。
事業都合により商品・サービス名が変更になった場合は、過去の商品・サービス名での検索が0件ヒットになってしまいます。ただその際は、PKSHA FAQの場合は同義語登録機能を活用することで問題を解消できます。
また、表示カテゴリーの調整も効果的です。
例えば、あるFAQをカテゴリーAで検索した場合はヒットするけれどもカテゴリーBではヒットしない、といった場合です。この際は、カテゴリーBで検索してもFAQがヒットするように、FAQに対してAとBの両方のカテゴリーを設定します。
「失効」、「解約」、「見えない」、「出ない」といった特徴的な言葉が0件ヒットしている場合には、そのコンテンツから想定される、ユーザーにまず読んでほしいコンテンツを直接紐付けます。
0件ヒットについて、1番最初に注目して改善すべきところだと考えています。0件ヒットを解消するためには、問題を生んでいる症状や原因に合わせた対処、施策を行うことが大切になります。
次回の記事では、「FAQコンテンツを増やしていくときの留意点」等について解説させていただきますので、是非ご期待ください。
▼「FAQコンテンツを増やしていくときの留意点」等についての記事
<補足>
「PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。
■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/
※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」
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