近年、ホームページにFAQページを設置する企業が増えています。顧客対応の品質向上に欠かせないページとして認知されていますが、言葉の意味やQ&Aとの違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、FAQの概要を説明した後、FAQの導入効果、作り方の手順、意識すべきポイントについて解説します。FAQについて情報収集中のコールセンターのマネジメント担当者、経営者の方などは、ぜひご確認ください。
まずは、FAQの意味を確認しましょう。また、FAQと混同することが多いQ&Aとの違いについても解説します。
FAQは「Frequently Asked Questions」を略した言葉で、直訳すると「頻繁に尋ねられる質問」になります。
また、顧客または社内から頻繁に尋ねられる商品やサービス、業務に関する質問をまとめてデータベース化し、検索できるようにしたシステムを「FAQシステム」と呼びます。
FAQには、「顧客向けFAQ」、「社内向けFAQ」、「コールセンター向けFAQ」の大きく分けて次の3つのタイプがあります。それぞれの特徴を確認しましょう。
顧客からの質問と、企業側の回答をまとめてコンテンツ化したものが「顧客向けFAQ」です。「よくある質問」として、自社のWebサイトやサービスサイトに設置するケースが一般的です。法人向けビジネス(BtoB)と消費者向けビジネス(BtoC)のどちらの顧客に対してもFAQは有効性が高いと考えられており、多くの企業で導入されています。また、一般的にFAQサイトというと「顧客向けFAQ」を指しているケースが多いです。
日常業務において疑問や質問が発生した際、従業員 が自己解決することを目的として作成するのが社内向けFAQです。一般的に顧客を含む社外に公開することはなく、社内での使用に限定されます。
社内向けFAQの作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
社内向けFAQが全社を対象にしているのに対して、コールセンター向けFAQは、顧客対応を主な業務とする部署が使用するFAQを指します。顧客からの質問とそれに対する回答をFAQとしてコンテンツ化し、顧客対応の品質向上を目的に使用されます。
Q&Aは「Question and Answer」の略語で、直訳すると「質問と回答」になります。一問一答形式が基本である点はFAQと同じですが、FAQがユーザーから寄せられた質問の頻度が高いものを掲載しているのに対して、Q&Aは質問の頻度が限定されないのが大きな違いです。
FAQは「よくある質問」をピックアップしているため、多くの顧客や従業員が知りたいと思っている情報を網羅できるというメリットがあります。ただし、FAQとQ&Aは混同して使用されていることが多く、明確に分別されていないのが実情です。
FAQの導入効果は、顧客対応の品質向上に限りません。二次的な効果として、離職率の低下やWeb集客の強化なども期待できます。
簡単な内容の問い合わせであれば、顧客はFAQを活用して自ら問題解決をすることができます。その結果、コールセンターやカスタマーサポートスタッフの負担軽減につながります。
また、社内向けFAQの場合は、労務部や総務部、情報システム部といった内部向けの部署への問い合わせを減らし、担当者が本来の業務に集中しやすくなるでしょう。さらに、新規採用された従業員への教育にも活用できます。
顧客や社内のニーズに応えられる優秀なFAQは、問い合わせの件数を減らす効果があり、問い合わせを受ける側の負担を軽減することで職場環境の改善にもつながります。また、離職率の低下などの二次的な効果も期待できます。
FAQは顧客のためだけのものではなく、コールセンターやカスタマーサポートに従事する従業員が問い合わせ対応に必要な情報を検索する目的でも使用されます。その結果、サポートが必要な人をより手厚くサポートできるようになり、支援不足によるトラブルを未然に防止しやすくなります。
また、対応するオペレーターによって質問に対する回答が間違っていると顧客対応のクオリティが安定せず、クレームにつながってしまいます。反対に的確に回答できれば、マニュアルを読むよりも正確な顧客対応を実現でき、顧客満足度の向上にもつながります。
このように長い目で見ると企業イメージの向上やリピーターの増加など、利益に直結するメリットが得られるのもFAQの大きな特長です。
データを蓄積できるタイプのFAQツールを使用すれば、顧客から寄せられた疑問や悩みを分析し、製品の開発や改善といったマーケティングに活用することも可能です。
顧客満足度(CS)については、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
FAQのコンテンツページのアクセスが増えれば、サイト全体のPVやUUが増加し、サイト評価の向上につながります。さらに、FAQを探すためのサイト回遊率やセッション時間なども向上し、SEOの視点でも「良いサイト」として評価されやすくなり、Web集客の強化も図れます。
FAQを作成して部署内で共有することで「特定の人物でなければ回答できない」といった属人化を防ぐことができます。また、FAQを蓄積できれば、ベテランオペレーターの退社によるサービスの品質の低下やノウハウの損失といった事態の防止にもつながるでしょう。また、新人の教育が効率的に行えるツールとしても多くの企業で活用されています。
FAQは次の3つのステップで作成します。記載する内容の決め方や、顧客や従業員が使いやすいFAQを構築するためのポイントも説明するので、ぜひ参考にしてください。
FAQによって自社のどのような課題を解決したいのかという目的を明確にしましょう。FAQの利用対象者や提供する情報が定まっていないと、期待するような効果は得られない可能性があるからです。
まずはFAQの対象が、社内向け・顧客向け・コールセンター向けのどれなのか明らかにします。主に利用するのは誰なのかイメージして、自社に導入するFAQのタイプを選んでください。そしてFAQの利用対象者に対して、どのような情報を盛り込むか、情報の難易度をどれくらいに設定するかを決定します。
例えば、社内でオペレーター不足が課題となっているとします。解決策の1つとして考えられるのは、顧客にFAQを利用してもらうことで自己解決を促し、コールセンターへの問い合わせ数を減らすことです。この場合、FAQの対象は顧客向けで、情報はお客が理解できるレベルの情報を記載することになります。
このような下準備をすることで、FAQ利用者の求める質問と回答が乖離するといったトラブルを防ぐことができるのです。
次に、顧客が求める適切なFAQの項目を決めて内容を固めましょう。その際に、「きっとこういう質問が来るだろう」という想像で項目を決定するのではなく、ユーザーアンケートや過去の問い合わせ内容を洗い出すなど、現場目線のリサーチによって事実ベースで項目をピックアップすることが重要です。
もしも過去の問い合わせをデータとして用意していない場合には、カスタマーサポートの担当者から聞き取りを行うと良いでしょう。また、顧客がFAQの使用に慣れていない可能性もあるため、FAQの内容はユーザーが理解しやすいよう、簡潔かつ明朗にすることを意識してください。必要に応じて画像や動画を導入するのも効果的です。
その他、ユーザーの利便性を向上させるため、ユーザー目線で考えることもポイントです。Webサイトを訪れるユーザーの抱えている悩みやニーズを分析し、FAQで解決したいユーザーの疑問と回答にズレが生じないようにしましょう。あとはFAQをユーザーの目につく場所に設置することと、検索性を高くするなどの工夫も大切です。
VOCについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
続いて、回答の用意やFAQのレギュレーションの整備をした上で制作を始めましょう。この場合のレギュレーションとは、FAQで使用する用語・呼称・口調などの執筆ルールのことを指します。注意点としては、難解な専門用語はユーザーに合わせてわかりやすい表現に言い換えることです。言い換え表現もレギュレーションとしてまとめておけば、制作に入ってからの作業をスムーズに行えるようになるでしょう。
そしてレギュレーションが完成したら、制作を行う段階に入ります。以下の要素が正確に掲載されているか、確認しながら進めましょう。
・質問文
・回答
・参考ページのリンク
・関連するFAQ
作成後には、誤字脱字や情報の抜け漏れなどがないか、徹底的にチェックします。複数人でダブルチェックをして問題がなければ、公開しましょう。
なお、公開後にはFAQへのアクセス数や問い合わせ件数の変化などを分析して、FAQが自社の課題解決に役立っているのか確認しましょう。課題が解決しない、あるいは別の課題が発生した場合には、改善に努めることが大事です。
▼関連する記事
最後に、FAQを作成するときに意識すべき3つのポイントを紹介します。
ユーザーがスムーズに回答に辿りつけるように、質問にカテゴリーを付けるなどの工夫が必要です。ユーザーが質問を探す手間を省くことが可能になり、顧客満足度の向上につながるからです。分類方法は、ユーザーのニーズや行動に合わせることを基本とします。さらに、「関連する質問」や「よくある質問」などを反映させることで、検索性が高くなるでしょう。
また、特に問い合わせが多い内容を目立つ場所に設置し、ユーザーを自己解決に促す設計にすることで、電話やメールの問い合わせが減り、スタッフの業務負担の軽減も期待できます。
また、検索性を高める方法には、検索機能をつけることも有効です。キーワードを入力するだけで必要な情報を見つけられるので、顧客は煩わしさを感じにくくなります。
加えて、FAQシステム・FAQツールを活用して検索性を上げるのも効果的でしょう。例えば、「チャットボット」を導入すれば、音声やテキストを通じたチャット機能によって、ユーザーの疑問点をスピーディーに解消できる可能性があります。
ユーザビリティに優れた使いやすいデザインは、FAQの利用率や顧客満足度の向上につながります。効果測定を行って、ユーザーの使いやすさが向上するように改善を続けることが大切なのです。効果測定を実施することで、顧客のサイト内の回遊やつまずく場所などが把握できるので、導線などを整備する参考になるでしょう。
なお、レイアウトやデザインの決め方には、基本となるポイントがあります。
・頻繁に見られる質問をページの上から順番に並べる
・アコーディオンなどを利用してカテゴリー分けをする
・クリックまでは質問だけを表示させて、スッキリした見た目にする
・FAQでは解決できない問題に備え、電話やメールの導線も設置する
・スマホ対応ページを作成する
使いやすいデザインの基本は押さえつつ、顧客の動向に応じてFAQを改善していきましょう。
については、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
FAQシステムには社内向け・社外向けなど、さまざまな種類があるため、自社に合ったものを導入することが重要です。自社の課題とFAQを作成する目的に応じて、FAQシステムが必要な機能を有しているか確認するのが良いでしょう。
例えば、社内FAQの作成にFAQシステムを利用する場合、必ずしもビジュアルにこだわる必要性はありません。初期費用をかけずに作成したいならば、エクセルだけでFAQの体裁を整えることも可能です。共有や検索がしづらいというデメリットはありますが、ほとんどのパソコンにデフォルトで入っているソフトですし、手軽に作成できます。
一方、同じ社内FAQでも、画像や動画を挿入したり、情報を検索できるようにしたりしたいといったケースでは、専用のFAQ作成ツールを導入する必要があります。初めからFAQのフォーマットが整ったものもありますし、各システムの特徴を把握した上で購入することをおすすめします。
FAQシステムの選定ポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
FAQは、顧客や社内からの問い合わせ対応の負担を軽減し、業務効率化や顧客対応の品質向上に役立てることができる優れたツールです。さらに、FAQに蓄積されたデータを基に顧客のニーズを洗い出し、マーケティングや経営戦略に役立てることもできます。
わかりやすいFAQサイトの作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連する記事
FAQの効果を最大化させるためには、FAQを作成・公開するだけではなく、分析・運用改善までつなげられることができるツールを活用するのが一番の近道です。
クラウド型のFAQシステム「PKSHA FAQ」は、誰でも簡単にFAQの作成・公開・分析・運用改善ができるナレッジマネジメントシステムです。
FAQシステムにご興味があれば、まずはお気軽にお問合せください。
▼資料請求はこちら
https://aisaas.pkshatech.com/materials/faq-service/
▼サービス詳細・デモのご依頼など、お問い合わせフォームはこちら
https://aisaas.pkshatech.com/contact/
カスタマーハラスメントからオペレーターを守れ!
社内FAQで応対品質を上げ、離職を防ぐ方法
本資料の概要
その問い合わせ、FAQページのせいかもしれません
お客様を迷わせないFAQ作成のポイント
本資料の概要
そのサポート、IoT、サブスクリプション時代の顧客ニーズに対応できている?
利用者の声から分かるサポートコミュニティの新たな可能性
本資料の概要