DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルテクノロジーによる変革で新たなビジネスモデルの創出や業務効率化を目指す取り組みです。
コロナ禍の影響で人手不足などの課題を抱えるコールセンターでは、DX化による業務改善や顧客満足度向上を目指しているという担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、コールセンターにおけるDXの役割やメリット、デジタル化を実現するツールの例、DX推進の具体的な手順を解説します。
デジタル技術による変革で企業の競争力向上を目指すDXは、単なるデジタル化とは意味が異なります。コールセンターのDXの目的やメリットについて解説します。
コールセンターにおいても、一般的な業種でのDXと考え方は大きく変わりません。コールセンターのDXとは、業務プロセスや業務内容などにデジタルテクノロジーを導入して、売上の創出や顧客の獲得を狙う一連の施策を指します。
DXはデジタルテクノロジーの導入によって、業務の効率化や顧客満足度、競争力の強化などを実現することです。そのため「DX=デジタル化、IT化」ではない点がポイントになります。
あくまでデジタル化やIT化は、DXの一つの手段という認識であることを覚えておきましょう。
企業や商品のカスタマーサポートを担うコールセンターでは、クレーム対応などによる業務負担の増加で人材不足が常態化し、さらなる負担増加を招くことで離職率が上昇するという悪循環を抱えている職場もあるでしょう。
人材が定着しないとナレッジの蓄積も進まず、サービス品質も高まりません。
そこでDX推進によって具体的にどのような状況でメリットが得られるのか、以下でご紹介します。
サービス品質の改善や業務の効率化により、顧客体験が向上して顧客満足度(CS)の向上につながります。
例えば、コールセンターに顧客管理システムを導入した場合、顧客対応の時間が短縮され、放棄呼や応答率が改善されるといった効果が見込めます。
顧客満足度については、以下の記事で詳しく解説しています。
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DXによる業務効率化で、収益性の向上や競争力の強化が実現可能です。
例として、顧客からの問い合わせに対して自動で回答を行うチャットボットを利用したケースを考えてみましょう。
コールセンターにとっては一部の業務を自動化できるため、業務の効率化を実現できるでしょう。それにともない、人手不足の解消や収益性向上が期待できます。
また、チャットボットによって24時間の顧客対応が可能です。他社の営業時間外にも対応が可能になることで、競争力の強化も見込めるでしょう。
DXはコールセンターのサービス品質向上にも有効といえます。
コールセンターでは「個々のオペレーターのトークスキルに依存しやすい」という理由で、サービス品質が属人化しやすい課題がありました。DXによって問い合わせ内容ごとに自動で振り分けることも可能になり、オペレーターは顧客の課題をある程度理解した状態で応対することができます。
応対業務をサポートすることで、入電からのスムーズな対応も実現できサービス品質を底上げすることが可能でしょう。
コールセンターのDXには、まず業務やデータ管理をデジタル化する必要がありますが、さまざまな製品が提供されており選定にも手間がかかるでしょう。
具体的にどのようなソリューションの導入を行うべきか、3つの事例に分けて紹介します。
顧客応対はコールセンターの重要な業務ですが、顧客とのコミュニケーションはデジタル化が可能な分野です。
従来のコールセンターは、オペレーターによる有人での応対が基本でした。要件によりますが、チャットボットやボイスボット、IVR(自動音声応答システム)、音声認識AIなどの導入により業務を自動化させることが できます。
それぞれのシステムの特徴は以下のとおりです。
問い合わせに応じて適切な回答を自動で返すチャットサービス。内容に応じてFAQサイトへ誘導し自己解決を促すことも可能になります。
AIチャットボットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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AI自動応答システムを活用した音声応対システム。注文受付や手続き業務などで自動応答が可能です。
人手不足が深刻化しているコールセンター業界で、現在注目を集めています。
ボイスボットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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かかってきた電話に対して自動の音声案内で応答する機能。入電内容ごとに振り分け、適切なオペレーターに繋ぐことや、IVRで対応できない問い合わせのみオペレーターが応答するように設定できます。
IVRについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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会話内容をリアルタイムでテキスト化するAIツール。音声を聞き返してコールメモを入力する手間が省けます。
音声認識については、以下の記事で詳しく解説しています。
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これらの利用によってオペレーターの応対業務の効率化が実現でき、オペレーション業務全体の工数削減につながるといったメリットが得られるでしょう。
顧客情報のヒアリングや質問への回答作成など、問い合わせがあった場合の業務プロセスがあらかじめ定められている企業もあるでしょう。
これらの業務プロセスを一部でもデジタル化することで効率化できます。
例えば、設定したルールに従って顧客からの電話を自動で振り分ける「ACD(着信呼自動分配装置)」を導入することで、ヒアリングや要件特定の負担を減らすことができるでしょう。
顧客接点(コミュニケーションチャネル)のデジタル化を検討しているのであれば、SNSやLINEのコンタクトセンターやFAQの増設も必要です。
コールセンター内の対応履歴や顧客の声(VOC)などをデジタル化して蓄積することで、効率化や応対品質の向上に繋がります。
問い合わせ内容やチャネル、ユーザーの行動などを一元管理できる「CRM(顧客関係管理)」は顧客データ管理のデジタル化ができるツールです。
レポート機能を活用すれば顧客の傾向まで分析できるため、顧客のニーズや求めている情報といった部分まで踏み込んで品質向上に貢献できます。
業務のデジタル化ができるシステムを紹介しましたが、実際にコールセンターのDXを成功させるにはどのように進めるべきでしょうか。
以下で4つのステップに分けて手順を解説します。
まずは自社のコールセンターにとって適切なDXを進めるために、部署や役割ごとに現状の課題を把握することが大切です。
業務プロセスごとに異なりますが、一般的なコールセンターではオペレーターやマネジメント、CXなどの役割に分けることができます。それぞれの部署で、なるべく具体的に課題や問題点を洗い出しましょう。
例えば、オペレーターの場合、「平均処理時間が長く、応答率の低下や放棄呼の原因になっている」といった課題が考えられます。
課題が明確になったら、業務内容を見直すことで対処できるか検討しましょう。
社内の業務プロセスのどこをデジタル化することで課題が解決できるか確認します。
あるいは、仕組み自体を見直してDX推進を図ることも効果的です。
デジタル化したい業務に合わせて適切なシステムを選定します。オペレーターの業務であればチャットボットやIVR、データ管理であればCRMといったシステムを導入しましょう。
選定の際は、事業拡大を考慮した拡張性があるか、顧客満足度向上につながる機能があるか、初心者でも操作しやすいシステムであるか、といった点を考慮するのがおすすめです。
システムやツールの選定が完了したら、導入と移行のスケジュールを決めます。
業務プロセスが大幅に変わる場合、新しい体制づくりや従業員への説明や研修も必要になるでしょう。応対品質が低下しないよう、これらは無理のないスケジュールで行うことが注意点です。
デジタル化によるビジネスモデルの創出や業務改善を目指すDXですが、コールセンターでもさまざまなソリューションの活用でDX化が実現可能です。顧客応対をデジタル化することで業務効率化による生産性向上だけでなく、サービス品質や従業員満足度の向上にも繋がるでしょう。
例えば、音声認識システムの導入でコールセンター業務の負担軽減ができます。ボイスボットはコミュニケーション自体を自動化できるため、オペレーターはボイスボットが対応できない問い合わせに集中することができ、コスト削減や離職率の低下が期待できるでしょう。
実際にDX化を進める際は、課題の洗い出し、業務プロセスの見直し、システムの検討、計画実行という手順で行います。既存システムや企業文化との兼ね合いを判断しながら、DXによるコスト削減や働き方改革を実現しましょう。
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