コールセンターの業務改善や応対品質向上の指標として重要視されているKPIのひとつに、「ASA」(平均応対時間)があげられます。この記事では、ASAについての説明や悪化する原因と対策について詳しく解説します。
運営しているコールセンターの部署が、高い応対品質を維持できているか知るには、ASAなどをKPI指標として用いて可視化。覚えておくと便利なASAについて理解を深めましょう。
そのほか平均通話時間(ATT)や放棄呼率(放棄率)など、コールセンターサービスの品質を計るKPIが複数あります。定期的に算出し適切に使い分けることで、コールセンターの現状や課題が可視化できます。以下の記事において、コールセンターに関連するKPIについて説明しております。あわせてご覧ください。
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ASAとは、Average Speed of Answerの略で、顧客がコールセンターに電話をしてからオペレーターにつながるまでの平均時間を指します。コールセンターの応対品質に関するKPIとして用いられることが多く、ASAが短いほど顧客をお待たせする時間が短いため、高い品質のコールセンターサービスを提供できている指標になります。
ASAとサービスレベル(SL)は、どちらもコールセンターに電話したときの電話のつながりやすさを表した指標です。しかしASAは、応答までにかかった平均時間を指し、サービスレベルは、あらかじめ設定した時間内に応答できた割合を指します。つまりASAは短いほど高品質といえますが、SLは数字が大きいほど質が高いことになります。
サービスレベルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ASAのKPIは20秒程度に設定されることが多く、数字が増えるにつれてリスクが大きくなります。なぜならASAの数字が大きいということは、顧客の待ち時間が長いということでもあるため、顧客満足度の低下につながります。さらに、待たされてストレスを感じた顧客に対応をするため、オペレーターの負担も増えやすいでしょう。オペレーターが電話に出るまで、待ちきれずに電話を切ってしまう放棄呼が増え、機会損失にもつながります。
ASAの数値が大きくなる原因は、人手不足やオペレーターのスキル不足などが考えられます。ASAの数値が増えた際に、よくある原因として考えられる内容について見ていきましょう。
クレーム対応やカスタマーハラスメントなどにより、コールセンターのオペレーターは離職率が高い傾向にあります。また欠勤率が高い日や低い日が不規則になりがちです。人手不足に陥り応対できる人数が大幅に減り、1人あたりの業務負担が高まるとASA数値は高くなります。
そのほか離職率が高い理由と、改善策について以下の記事でご紹介しております。あわせてご覧ください。
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スキルが足りない場合、顧客から質問があるたびに他の従業員にたずねたり、マニュアルを調べたりするでしょう。そのため、顧客1人あたりに対する応答時間が長くなり、その分他のお客様をお待たせすることになります。
顧客から寄せられる質問や解決方法が、似ている場合は数をこなすほど顧客応対の時間を短くできるでしょう。しかし、対象の商品やサービス、解決方法が複雑で入り組んでおり、顧客一人ひとりによって解決法が異なる場合は、ヒアリングの時間が必要になるため電話対応件数が大幅に減少します。
オペレーターの応対内容が単純かつ人数不足でないにもかかわらずASAが長い場合は、コールセンター部署のマネジメントやフローが適切でない可能性があります。例えば、顧客から着信があった際にオペレーターへの割り振りが不適切な場合、新人オペレーターに入電が集中する、対象システムに対してそれほど詳しくない部署へ入電を回してしまい、転送の手間が発生しているなど、効率が悪いマネジメントを行っている可能性があります。一旦フローをチェックし、必要ならば入電を自動で割り振ってくれるシステム等を導入しましょう。
通信速度が遅いシステムを使用すると、顧客からの音声が途切れたり入電がスムーズに入ってこなかったりする場合があります。また転送時に顧客との通話が途切れることもあるでしょう。
またトラブルが頻発するシステムを使用すると、入電がスムーズに受けられない場合があります。サポートが手厚く、トラブル発生時に即対応してくれるシステムへの変更を検討しましょう。
ASAを改善するために効果的な方法は、原因により異なります。前章で述べた原因の解決につながる対策方法を実践しましょう。
スキル向上のための研修を実施します。研修の目的およびゴールは、顧客一人にかかる平均処理時間(AHT)や顧客との通話が終わった直後、ほかの顧客と通話するまでの手続きにかかる時間(ACW)の短縮を目指すことです。AHTとACWが短縮されれば、業務効率が向上している、オペレーターのスキルが上がっていることを表します。
顧客からの問い合わせ内容を分析して、傾向を把握しましょう。複数の顧客から内容の同じ質問を受けることがあります。対象製品またはサービスの公式サイトにFAQ(よくある質問)として回答と合わせて設置することで、コールセンターへの問い合わせ数を減らせて、オペレーターの業務負担を下げられます。
お客様向けFAQだけでなくオペレーター向けFAQも用意し、業務ナレッジにすぐオペレーターの業務負担を減らす方法として、FAQサイトを充実させることは重要です。オペレーターと顧客双方にとって役立つFAQサイトの作成方法を以下の記事でご紹介しております。
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コールセンター部署の業務フローや業務プロセスに、効率化できる箇所がある場合はできるだけ省いてシンプルにしましょう。フローやプロセスの工程が多いほど複雑かつASAの長さが伸びる原因になります。例えば、顧客との通話後に入力する情報を短く、かつ少なくする方法や、顧客の入電を受けてから適切な部署へ回す受付係の撤廃などが効果的です。そのほか入電を自動で割り振るシステムや、通話しながら回答例や製品情報などをその場で探せるFAQシステム、問い合わせの内容に合わせた回答テンプレートが簡単に入力できるお問い合せ管理システムなどを導入する方法もあります。
オペレーターの負担を軽減させるために効果的なシステムの一つに顧客管理システム(CRM)やチャットボットがあります。CRMは、通話時にパソコンの画面上に顧客情報を映し出すだけではなく、問い合わせ内容やクレームにつながった内容も他のオペレーターと共有できます。
また顧客を分析してお問い合わせが多い傾向にあるサービスの提示や、アンケート調査機能が付いている製品もあるため、マーケティング事業部やコールセンターの運営部にとっても便利なシステムです。
チャットボットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ボイスボットを導入することで、受電の一部を自動化できます。ボイスボットとは、あらかじめシナリオやセリフを入力しておくことで、電話をかけた顧客に対して自動で案内をしてくれるシステムです。ボイスボットを導入すれば、入電の振り分けや簡単な手続きなども自動で行えます。
ボイスボットにできることやメリットとデメリットについて以下の記事でご紹介しています。あわせてご覧ください。
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コールセンター業務における顧客満足度を向上させるには、応答率や稼働率の改善が重要です。それと同時に、顧客がオペレーターにつながるまでの時間を表すASAにも注目すると良いでしょう。
ASAを改善できれば、応答速度の向上および作業の効率化、生産性の向上などさまざまなメリットがあります。
またASAを改善する工程で業務の自動化に役立つシステムを導入すれば、人材確保のためにアウトソーシングを利用しなくて済むうえ、人件費の削減や売り上げの目標達成も叶えられるでしょう。
フローや業務プロセスの見直しももちろんですが、手間が少なくて済むのはシステムの導入です。初期費用がかかりますが、無料体験ができるサービスも多いため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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