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どうしたらFAQサイトを見てもらえる?ユーザー理解と導線設計の考え方を解説 - CXジャーナル

作成者: 片岡 利之│FAQ活用トレーニング講師|Mar 23, 2022 3:00:00 PM

FAQサイトを作ってはみたものの、アクセスがほとんど増えず、電話お問い合わせがあまり減っていない――。

そんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

本記事では、PKSHA Communicationのカスタマーサクセス担当・FAQ活用トレーニング講師の片岡 利之が、FAQサイトのアクセスを増やすための具体的な方法をご紹介します。

<スピーカー情報>

片岡 利之

FAQ活用トレーニング講師 /
株式会社 PKSHA Communication カスタマーサクセス本部

 

FAQマネジメントにおける「効率性」とは

本連載でこれまで何度か触れてきた通り、FAQサイトで大きな成果を上げるためには、掲載するFAQを最適化するための「FAQマネジメント」の実践が欠かせません

▼「FAQマネジメント」について詳しくはこちら


 

FAQマネジメントには「効率性」、「有効性」、「運用性」という3つの軸があります。本記事ではこのうちの「効率性」について取り上げます。

(1) 「効率性」の3つの要素

効率性は、「必要なFAQを探すことができるか」ということを指しています。効率性を細かく見ると「検索性」、「アクセス性」、「デザイン性」の3つの要素があります。

① 検索性

情報を検索できるか、また検索結果から情報が見つけやすいか、といった点になります。
ユーザーが望む情報をサイトに載せていたとしても、その情報に辿り着けなければ意味がありません。

② アクセス性

知りたい情報に辿り着くまでの導線が分かりやすいか、という点です。
FAQサイトにおいて中身のコンテンツの分かりやすさは当然重要ですが、それと並んでFAQサイト自体の“箱”としての導線設計が分かりやすいことも重要になります。

③ デザイン性

誰が見ても各ページの情報構造を理解できるか、という点です。
迷わず直感的にサイトの内容を理解でき、違和感を感じさせないことが大切です。

(2) HDI-Japanから高い評価を得ているサイトの共通点

HDIは、Webサポートを格付けする国際団体で、日本企業については日本支部であるHDI-Japanが評価をしています。
企業のWebサポートを三ツ星に分けて評価しており、その際とくに重視している評価項目が「見つけやすく使いやすいか」「複数のセルフヘルプの選択肢があるか」の2つです。

実際にHDI-Japanから三ツ星評価を得ている企業のサイトを見てみると、そこには共通点があります。それは「グローバルナビ」と呼ぶサイト上部のメニュー欄にFAQやサポートに関連したリンクを設置していることです。
提供しているサービスだけでなく、「困ったときにこちらを見てもらえれば情報がありますよ」と訴えるようなサイト構成になっています。

FAQサイトを開設しただけでは活用されない

FAQのアクセスについて考える際、常に意識していただきたいのは「FAQを『置いた』だけでは来てくれない、そこに情報があることをきちんと『営業』する必要がある」ということです。

【参考1】コンテンツに辿り着くまでの、イライラ体験

ある企業が過去に「コンテンツ探している時に最もイライラしてしまう体験は何か」というテーマで調査を行いました。その調査によると、上位は以下のような項目になっています。

● コンテンツを見つけるまでにページやスクリーンをたくさん見る必要がある
● 関係のないオファーを受ける(サイト内容と関係のないバナー広告が表示される)
● ページの読み込みが遅い

これらは、「分かりやすいFAQの導線」について考える上でもとても参考になると思います。

【参考2】FAQサイトに辿り着いた後の、失望体験

別の調査結果では、74.1%のユーザーが、電話問い合わせする前に企業のWebサイトやFAQページを見ている、というデータがあります。

この7割以上ものユーザーは、前述のようなイライラ体験を経てようやくの思いでFAQページへ辿り着いたとき、無事に自己解決することができたのでしょうか?
同調査では下記の回答が寄せられたそうです。

● 情報量が少なくて見つけられなかった
● 情報量が多すぎて辿り着けなかった
● 回答の説明が分かりにくい
● 分からない専門用語があった
● 企業サイトにそもそもFAQが無かった

こうした失望体験をユーザーに与えてしまうと、FAQサイトのデザインやコンテンツを改善したとしても、信頼や期待を回復するのは簡単なことではありません。当然、顧客満足度やサービス継続率・解約率などへもネガティブに影響しやすいでしょう。

「見てもらえない」理由を正しく理解する

お伝えしたいのは、「FAQを見てもらえない理由をただしく理解しましょう」ということです。代表的な理由は次の3つになります。

① 存在を知らない(探した経験がない)

そもそもFAQサイトを検索する習慣がなかったり、FAQサイトで解決できることを知らない、といった人がこれに当たります。

② 存在は知っていて、解決できるなら利用したい(探す意図がある)

これに当たる人は、FAQサイトに解決できる情報があることは知っています。しかし、何かしらの理由で探せていない、見ていない、という方です。

③ 知ってはいるが訪問しない、探す予定がない

FAQサイトに問題を解決できる情報があることは知っているのですが、探そうとは思っていない、という人を指しています。

こういった層は、どのサイトの利用者にも必ず存在します。FAQサイトを立ち上げて様々な策を講じたとしても、電話が0件にならないのにはこうした理由があります。

それぞれの層ごとにFAQを見ない理由が異なるので、採るべき対応も異なるということを理解しましょう。

導線(FAQまでのルート)の棚卸し・整理

アクセス強化を考える際、まず行うのはやはり導線の棚卸しです。
主な導線は以下の表で網羅できていると思うので、自社の環境と照らし合わせながら洗い出してみてください。

(1) 導線の整理

導線を整理する際、意識していただきたいのが「情報源(コンテンツ源)」、「管理部門(誰と)」、「経路(どこから)」、「経路元情報(どのくらい)」といったことです。

具体例には、「FAQに対し、広報部が管理しているコーポレイトサイトのトップページを介して、月間●件のユニークユーザーアクセスがある」といった内容になります。

アクセスを増やすための施策が成功している企業では、管理部門との連携が上手く行っているケースが多いです。チェックシートなどを作り、「ユーザー数の見込み」や「インシデントの量」など、管理部門と共有すべき情報を明確にしましょう。

(2) アクセス数を増やすための3つのポイント

では具体的な導線の整理方法を見て行きましょう。

まず導線ごとに導線元の名前、利用者数、遷移率を並べます。これによって全体を俯瞰して見られるようになります。

例えば、企業サイトのトップにあるグローバルナビには月間10万アクセスがあり、そのうち5%がFAQに遷移しているとします。この場合、FAQを見ているのは5,000人になります。一方でメルマガには登録者が2000人おり、記載のURLから10%がFAQに遷移しているとすると、この導線でFAQを見ているのは200人になります。

このケースを例にFAQへのアクセスを増加するためのポイントを考えると、

① 導線元

企業サイトトップへのアクセスを、現在の10万人から、倍の20万人に増やすことができれば、FAQの閲覧者も倍の1万人にすることができます。

② 遷移率

2つ目は遷移率です。企業サイトトップへのアクセス数が変わらなかったとしても、遷移率を10%にできれば、こちらもFAQの閲覧者を倍の1万人にすることができます。

③ 新たな導線

3つ目は新たな導線です。これまでなかったようなチャネルを新たに設置すれば、そのアクセスボリュームに遷移率を掛けた分をFAQに誘導できます。

この3つのうち最もおすすめな施策は、2番目の遷移率を増やすことです。
導線元のアクセスを増やすには広告が必要ですし、新たな導線を作るにもかなりの手間とコストが発生します。それに対して遷移率向上のための施策は、自社サイトのコンテンツの配置を変えるだけで実現できます。社内だけで取り組みを完結できるため、アクセスが増えないことに悩まれている方は、是非遷移率の改善に取り組んでいただけたらと思います。

今回の内容はここまでとなります。
本シリーズ最後となる次回記事では、「FAQの認知獲得や利用促進の打ち手」等について解説させていただきますので、是非ご期待ください。

▼「FAQの認知獲得や利用促進の打ち手」等についての記事


 

<補足>
PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。

■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/

※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」

 

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