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受電数50%減!中小企業だからこそのFAQシステム活用術とは【事例:工進様】 - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Dec 5, 2021 3:00:00 PM

企業が製品の幅を広げていくことで、利用するユーザー層が拡大すれば、カスタマーサポートも見直しを迫られます

ポンプをはじめとしたプロユース向け製品の製造・販売を手がける株式会社工進では、近年個人向けの製品ラインナップが拡大し、既存のカスタマーサポートだけではカバーしきれないという課題を抱えていました。

そこでFAQシステムを導入した同社では、驚くほどのスピードでカスタマーサポートが進化しています。
ユーザーのFAQ活用を促進しているのは、コールセンターで働くスタッフの方々自身が作成しているというFAQコンテンツ。FAQ公開後には「前年比で受電数が半減」という効果に繋がっているといいます。

中堅・中小企業だからこそFAQシステムを使い倒せるのではないか。

そう話す同社の露木氏と加藤氏に、現時点までの取り組みと手応えを伺いました。

<スピーカー情報>
株式会社工進
露木 規雄 氏 (品質・CS担当参与)
加藤 美奈子 氏 (カスタマーサポートセンター リーダー)

ユーザー層の拡大で気づいた「カスタマーサポートの重要性」

露木:
当社は「ポンプ」をはじめとして、農作業や工事に携わるプロフェッショナル向けの製品を主体に製造・販売を行ってきた会社です。日本、中国、タイの3ヶ所に工場を持ち世界160ヶ国で幅広く活用される製品を送り出してきたトップブランドとして、「すべてはお客様のため」を企業ポリシーとしたものづくりを行っています。
7年前からは一般ユーザー向けの製品として、電動草刈機や電動チェーンソー、高圧洗浄機などの商品展開も拡充しています。

プロユースの製品は、使ってくださるお客さまがプロであるだけに、その機能やメンテナンスについては自己解決する方が多い傾向にあります。そのため当社は3年ほど前まで、プロユースのお客様を中心とした対応をしておりました。

しかし、一般ユーザー向けの製品の売り上げが伸びていった結果、そうした体制ではお客さまへ商品の価値を十分に提供できないことが分かってきました。
電動草刈機などはガーデニングに使われることが多く、高齢のユーザーさまも多数いらっしゃいます。機械の操作やメンテナンスに不慣れなケースが多いため、メーカーである私たちのサポートが強く求められていたのです。

そこで私たちは「専門分野から簡単な使い方まで、お客さまの幅広い要望にお応えできるFAQのご提供」を目指して取り組みを開始しました。

コールセンターの人員を増やすも、「ナレッジ共有」の課題に直面

露木:
具体的な取り組みについてお伝えする前に、まずは以前の状況を説明できればと思います。

3年前の段階では、当社には数名の専門メンバーがいるだけの小規模なコールセンターがあり、フリーダイヤルでお問い合わせに対応していました。ところが、ある時期から「フリーダイヤルにかけているけどつながらない」というお客さまからの連絡が、各営業所へしょっちゅう寄せられるようになりました。

しかし、弊社にはコールセンター用のPBXがありませんので、電話回線会社に電話件数を調べていただくと、平均で1日に400件、多いときには1日900件、お客さまからお電話をいただいていることが分かったのです。当然数名の専門メンバーだけでは対応できないと考え、応答率80%を達成できるよう人員を増やしました。

加藤:
私自身もそのコールセンターでお客さま対応にあたってきた1人です。コールセンターの人員が増えたのはいいのですが、さらに新たな課題が明らかになりました。

私を含め、コールセンターのベテランスタッフはそれぞれが独自の紙資料を整え、お客さまからのお問い合わせに対応していたのですが、そうした知識が共有されていなかったのです。
新しいメンバーが入ってきても、すぐに提供できるのは簡単なマニュアルのみ。電話を取ることはできても、そのたびに資料を調べ直したり、自社の製品サイトを細かく確認しなければならなかったり……。お客さまに満足していただける対応とは程遠いものだったと思います。

この問題を解決するためにはまず、各自が持っているナレッジを共有し、誰でもすぐに必要なナレッジを検索できる仕組みを作る必要がありました。
そこで当社では、「PKSHA FAQ」を導入することとしました。

FAQシステム「PKSHA FAQ」に、「社内ポータル」としての機能を持たせる

加藤:
PKSHA FAQ活用の第一ステップは、社内でのナレッジ共有でした。
ここではコールセンタースタッフはもちろん、営業や営業事務、修理センターのスタッフにも情報共有できる体制を目指しました。商品情報や修理ナレッジ、部品ナレッジ、市場品質情報、部品構成表、商品研修資料など、それまで各個人が紙で持っていた情報をすべて社内のデータサーバーに取り込み、PKSHA FAQとサイト内検索ASPの「PROBO」を連携させて、一元的に検索できるようにしました。

これが実際に使用している画面です。左側はPKSHA FAQのコンテンツ検索結果画面(お客さま向け)を表示し、右側には社内で格納しているデータ(社内向け)を表示しています。

例えば、右側の画面では製品マニュアルを検索でき、修理や分解の仕方もすぐに調べられるようになっています。また、万が一製品に不具合があれば、その情報もすぐに社内で共有します。

目指していたのは、コールセンターのスタッフの紙資料を廃止し、誰でも一定レベルの回答ができる状態。実際に紙資料をすべて廃止できたわけではないのですが、ほぼ達成に近い状態まで持ってくることができました。

加えて、新製品に関する社内勉強会資料なども参照できるため、現在では新入社員研修にも活用しています。いわゆる社内ポータルとしての機能を持たせて、カスタマーサポートを超えた用途へと広がっていきました。

高齢ユーザーさまへ伝えるために生まれた「かんたん用語集」

露木:
これらのナレッジが順調に社内運用できるようになったことを契機に、第2ステップとして、お客さまに公開できるFAQの充実も図ってきました。

冒頭でも説明させていただいたように、当社ではプロユース製品中心の体制から、少しずつ一般ユーザー向け製品の販売を拡大する体制へと変化してきています。それに伴って女性ユーザー比率も高まっています。
プロから初心者まで、幅広く対応するFAQを作るにはどうすればいいのか。検討した結果、下記のように「分かりやすいアイコン」を中心としたサポートページを設けました。


工進さまのサポートページはこちら

左上にある「よくある質問(FAQ)」を選ぶと商品一覧が表示され、その先にはよく参照されている上位の質問が出てくるようにしました。プロユース向けには「取扱説明書」や「パーツリスト」をダウンロードできるようにして、多様なニーズに対応しています。

加藤:
お客さまにFAQを活用していただくためには、分かりやすいページ作りが重要なのは言うまでもありません。しかし当社の製品はもとがプロ向けということもあって、難解な専門用語がたくさん登場することがネックとなっていました。
そこで作ったのが「かんたん用語集」です。

工進さまの「かんたん用語集」はこちら

例えば上記のページでは、ポンプでトラブルが発生する原因の一つである「サイフォン現象」について説明しています。一般的にはサイフォン現象と言われてもピンと来ませんよね。こうした専門用語も、できる限り分かりやすく解説するようにしています。
かんたん用語集の制作にあたってイメージした対象は70代女性。当社会長の奥さまが70代なので、サンプルを実際に読んでもらいました。そうしたフィードバックから改善した部分もたくさんあります。「○○フィルター」といった名称の説明ではまだ分かりづらいので、「茶こしのようなもの」という説明を入れるなどの工夫です。

こうして用語集を充実させていきながら、2021年5月よりFAQをお客さま向けに公開しました。

受電数50%減の立役者は“コールセンタースタッフが作るFAQ”

露木:
FAQを公開してからは、驚くほどの効果が表れました。なんと受電数が前年比で約50%減になったのです。2021年のある日の受電数は129件でしたが、前年同月は254件でした。

現状、月間のFAQ訪問者は2500〜2600名、加えて電話のお問い合わせが月間3000件ほどとなっています。FAQ公開前の受電数は月間6000件ほどだったので、お問い合わせ総数としてはほぼ変わっていません。割合として、自己解決くださるお客さまが増えたのだと考えられます。
その要因は、「かんたん用語集」をはじめとした分かりやすいコンテンツにあると思われます。FAQも分かりやすさを意識して、現在では約3500という膨大な数のコンテンツとなりました。実はこれらのFAQは、加藤をはじめとしたカスタマーサポートのメンバー自身が作成してくれています。

加藤:
お客さまからコールセンターにいただいた質問内容を共有して、自分たちで回答を作ったり、難しい内容は設計メンバーに聞いたりしてコツコツとFAQを公開してきました。

また、準備を進めていた2020年は、新型コロナウィルスで出社できなくなってしまった時期でもあります。在宅勤務中のメンバーを中心にFAQの作成を分担していたこともありましたね。
FAQの作成時に強く意識していたのは、“分かりやすさ”です。

ガーデニングなどで当社製品を使ってくださる60〜70代の女性のお客さまからは、「基本操作」や「充電の仕方」などについての質問もたくさん寄せられます。そこでFAQには絵や写真を多用しています。


実際のFAQページはこちら

逆に、プロユースのお客さま向けに写真やイラストを多用してもあまり役に立ちません。製品によってコンテンツの構成を変え、言葉選びに工夫するなど、「その製品の主要客層に合わせたFAQ」を展開していくことが大切なのだと考えています。

露木:
こうした工夫ができるのは、普段コールセンターでお客さま対応をしているスタッフが自らFAQを作成しているからでしょう。
当社はコールセンター自体も外部に委託することなく、自分たちでお客さまの困りごとをキャッチして、FAQ作りに生かしてきました。当社のように自前・内製でカスタマーサポートを進める中堅・中小企業だからこそ、大企業以上にFAQシステムを活用できる面があるのかもしれません
今後もチャットボットの導入や海外のお客さまに向けた多言語対応などを進め、FAQシステムをさらに使い倒していきたいと考えています。

<補足>
PKSHA FAQ」は、11年連続国内シェアNo.1(※)のFAQシステムです。
世界最大のヘルプデスク業界団体HDIの日本法人HDI-Japanと共同で策定した「FAQ Management」に準拠し、独自の特許技術(特許第4512103号)を保有。
FAQサイト制作や更新作業をWebブラウザ上から簡単に行えるほか、AIによる支援機能を搭載し、平均30%のお問い合わせを削減する導入効果が出ています(自社調べ)。
金融、情報通信、製造、流通など様々な業界業種のエンタープライズ企業や、メガバンクをはじめとした大手金融機関、自治体等で利用。
2005-2006ではグッドデザイン賞(商品デザイン/ソフトウェア部門)を受賞しています。

■詳細はこちら:https://aisaas.pkshatech.com/faq/

※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(第6版)」

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PKSHA FAQ導入企業の【Before】【After】で学ぶ成功事例

本資料の概要

  • 業界・業種別の成功事例
  • 【Before】【After】で見る導入効果
  • 社内/社外などの利用シーンをご紹介