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ビジネスにおけるエフォートレス体験とは?意味や注目されている理由 - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Jul 18, 2022 3:00:00 PM

「エフォートレス」は顧客満足度と関連した重要な考え方ですが、ビジネスにおけるエフォートレスを正しく理解している方は多くないのではないでしょうか。エフォートレスという観点は、顧客接点であるコンタクトセンター(コールセンター)やカスタマーサクセスの部門においてはとくに重要な考え方になるので担当者はしっかりと理解する必要があります。

当記事では、エフォートレスの意味と重要性について触れたうえで、実際の活用方法を解説します。

ビジネスにおけるエフォートレスの意味

顧客満足度の向上にはエフォートレスが大切です。ここではビジネスにおけるエフォートレスの意味と、「CES」というエフォートレス測定に活用する指標をご紹介します。指標の計算方法も解説しますので、ご参考ください。

(1) エフォートレスとは

エフォートレスは英語の「Effortless」が語源で、直訳すると「努力を要さない」という意味です。
つまり、顧客や消費者が製品やサービスを利用するときに費やす時間や労力を少なくすることです。「顧客が感じるストレスを最小限にする」という考え方と同義といえるでしょう。

「顧客に手間をかけさせない」考え方なので、主にサービス業で注目されています。とくにコールセンターは顧客と企業を結ぶ最初の接点になりやすいため、エフォートレス改善が重要視されています。

なお、手間をかけさせない顧客体験は「エフォートレス体験」とも呼ばれます。

(2) エフォートレスを測定する指標「CES」について

CESとは「Customer Effort Score(カスタマーエフォートスコア)」の略称で、直訳すると顧客努力指数になります。顧客が製品やサービスを利用する際に費やした労力を測る指標です。コールセンターで用いられる代表的なKPIとして知られています。

CESはエフォートレス体験の実現に向けて、効果測定のために用いられます。CESの数値が高いほど、顧客はストレスを感じているということ。

計算方法は、好意的な意見の数から否定的な意見の数を引いた差を求めます。

■CESの計算方法
・0~5の6段階または1~7の7段階で評価してもらう
・(好意的な意見の割合)-(批判的な意見の割合)で差し引く

CESについての詳しい情報は下記の記事をご確認ください。

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エフォートレス体験が重要な理由

エフォートレス体験を実現するには、企業の努力が欠かせません。業務フローの見直しや各種分析ツールの導入など、準備が必要だからです。

なぜそこまでして、エフォートレス体験が重要なのでしょうか。ここでは「顧客満足度(CS)」と「顧客生涯価値(LTV)」という2つの要素に注目し、エフォートレス体験の重要性を説明します。

(1) CS(顧客満足)の向上につ繋がる

CSとは「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」の略称で、直訳すると顧客満足、もしくは顧客満足度です(以下、CSという)。コンタクトセンター(コールセンター)を中心としたカスタマーセンターにおいてもマーケティング視点で重要視されることが多い用語です。

そしてエフォートレス体験はCSを向上させます。顧客の負担やストレスを最小限に抑えられるからです。例えば「無駄な操作はないか」、「操作画面はわかりづらくないか」などを測定することで、CSが改善され、商品購入やサービスへの登録などの行動に繋がるのです。

(2) LTV(顧客生涯価値)の向上が期待できる

LTVとは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略称で、直訳すると顧客生涯価値となります。これは、一人の顧客が生涯において自社にどれだけの利益をもたらすかについて表した数値です。

LTVとエフォートレス体験は、密接に関係しています。
エフォートレス体験は顧客のリピート率や継続率と強く相関するため、LTVの向上を目指すうえでエフォートレス体験は前提的な観点といえます。とくに、SaaSをはじめとしたサブスクリプション型モデルを採用している企業の場合、重要な経営指標の一つといえるでしょう。

顧客満足度とエフォートレス体験、向上のためにできること

(1) CES(カスタマーエフォートスコア)の計測と分析

CESを計測、分析することで顧客がどのようなところで時間や労力を費やしているかがわかります。アンケートによって、顧客自身が率直な感想を述べるからです。以下はCESの質問例です。

● サービスを利用するにあたってどれほどの負担があったか?
● 抱えていた課題を解決するお手伝いができたか?

エフォートレス体験の実現に有効な方法なので、コンタクトセンター(コールセンター)での対応後や商品の購入後などに回答してもらうと良いでしょう。

一方で、アンケート内容はシンプルで答えやすいものにしなければいけません。顧客が回答しづらく、深く考える必要がある質問は、それ自体が顧客の負担になりえるからです。
後工程のデータ集計をしやすくするためにも、シンプルな質問を意識しましょう。

(2) VOC(お客様の声)の分析

VOCとは「Voice Of Customer(ボイスオブカスタマー)」の略称で、直訳すると「お客様の声」という意味です。文字通り、商品やサービスを利用する顧客から生の声を集めることを指します。

VOCはエフォートレス体験や顧客満足度の向上に有効です。VOCを整理することで新しい課題や改善点を発見でき、それに応じて指標の見直しや新規導入を検討できるからです。これにより顧客が商品・サービスをストレスなく使える可能性が高くなります。

また、VOCは社内の業務効率化にも貢献します。
お問い合わせの多い“よくある質問”を把握し、FAQサイトのコンテンツとして反映していくことで、顧客の自己解決率を上げるのと同時に、コンタクトセンター(コールセンター)でのオペレーター負荷を軽減することにも繋がります。

ただし、VOC導入には注意点もあります。
以下の記事では、VOC導入に関するポイントと課題に加え、活用事例を解説しています。ぜひご覧ください。

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(3) CX(顧客視点での体験)の改善

CXとは「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称で、直訳すると「顧客視点での体験」です。常に顧客目線でニーズを受け止め、それに沿って改善する考え方です。

CXを向上するためには、エフォートレスの実施が重要です。顧客の手間を少なくすることで優れたCXを提供できるようになり、顧客満足度が上がるためです。

たとえば、顧客の行動習慣やそこからくるインサイト、ニーズに合わせて複数の顧客接点(いわゆるマルチチャネル)を確立することは、エフォートレスなCXを考えるうえで定番の施策といえるでしょう。

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以下、顧客接点となるチャネルの例を挙げます。

① 公式LINEアカウントの設置

コミュニケーションの手段に関して、若い世代は「電話やメールよりテキストを好む」というインサイト・ニーズがあります。
そのため、LINEの気軽さは大きな強みになります。またテキストでのやり取りなので、顧客が電車やバスなどの電話できない環境にいるときにも便利です。

② Webサイト内のコンタクトフォームの設置や最適化

Webサイトにコンタクトフォームを設置します。顧客にとってシンプルでわかりやすければ、コールセンターへ電話する必要もありません。
「入力項目を絞る」、「入力補助機能(※)をつける」などして、手間のかからないフォームを構築しましょう。

※入力補助機能とは、たとえば郵便番号を入力するだけで住所が表示されたり、入力エラーの際にそれまでの入力項目を保持したりする機能。

顧客の視点で不満やストレスの原因を見極め、問題を解決していきましょう。それがエフォートレス体験や顧客満足度の向上に繋がります。

エフォートレス体験で顧客満足度の向上を実現させよう

エフォートレスを実現するためには、2つの段階があります。現状の分析と、分析結果をもとにしたCXの改善です。
エフォートレスを通じた顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上を目指すなら、まずはCESとVOCの計測・分析から実践してみてはいかがでしょうか。

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