企業のコールセンターには、製品案内や顧客のサポート、注文の受付などさまざまな役割がありますが、その中でも重要なのがクレーム対応です。
クレームに対する電話オペレーターの対応ひとつで、顧客が企業に抱くイメージが全く変わります。一方で、クレームへの対応が良かったという理由で企業のファンになり、リピーターになってくれるケースもあるでしょう。
本記事では、クレーム対応の基本と、クレームを減らす方法について解説します。コールセンターの顧客対応品質向上に役立つツールもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
顧客から寄せられた不満や文句は「苦情」や「クレーム」と呼ばれ、最近では「コンプレイン」という用語も使われるようになっています。それぞれの用語にはどのような違いがあるのでしょうか。
苦情とは、自社サービスや商品によって感じた不満などを表明する行為のことで、英語では不満や不平という意味の「complain(コンプレイン)」にあたります。
クレームとは、自社サービスや商品によって生じた顧客の不利益への対応を要求することで、英語の「claim(クレーム)」が語源になっています。「claim」は本来、請求・要求・主張を意味する言葉で、日本語でいう「苦情」とはニュアンスが異なります。そのような背景があり、
ビジネスシーンでは「苦情・不満」を「complain」に置き換えるケースが増えてきています。
「苦情」と「クレーム」には明確な使い分けがあります。
苦情は、自社のサービス等に対する顕在化した不満のことです。
対してクレームは、顧客が企業からの対応を求めている状態のことです。
つまり、苦情がより深刻化し、最終的にクレームにつながるというわけです。
苦情とクレームは根本的な性質が異なるため、それぞれを区別してリスクマネジメントする必要がありますが、その違いを明確にしないまま対応しているケースも多いのが現状です。
コールセンターに寄せられるクレームは、原因と種類によって適切な対処法が異なります。クレームの内容と対処法を理解し、クレーム対応を顧客満足度向上のチャンスに変えましょう。
クレームの原因は「企業」「顧客」「認識の差異」に大別できます。
企業が原因のクレームは、サービスの品質や納期、接客態度などに起因します。
企業が原因で発生するクレームの場合は、顧客の要求に的確に応えることが重要です。社内ルールを押し付けると状況が悪化する可能性が高まるため、あくまでも顧客目線で話をする必要があります。
顧客が原因のクレームは、商品の規格や納期、説明書の内容の勘違いなどによって発生します。
この場合は、顧客の勘違いを明らかにしつつ、自社の負担も考えたうえで対応する必要があります。
認識の差異が原因のクレームは、企業と顧客の価値観や捉え方の違いに起因します。
このタイプのクレームは、待ち時間に対する人それぞれの感じ方など、認識の違いに起因します。企業は、まず認識違いがあったことを謝罪しましょう。その上で、顧客の要望に丁寧に耳を傾ける姿勢が必要です。
クレームの種類は「日常的なクレーム」「悪質なクレーム」「見当違いなクレーム」の3つに大別できます。
「日常的なクレーム」とは、商品やサービスに対して感じた不満に起因するものです。
頻繁に発生するクレームなので、データとして蓄積し、どのオペレーターでも的確に対応できる状態にしておくことが大切です。
「悪質なクレーム」は、金銭の要求や業務妨害を伴うクレームです。
企業に不利益をもたらす可能性があるため、リスクマネジメントとして適切なマニュアルを基にした対応が求められます。
「見当違いなクレーム」は、個人的な憂さ晴らしやストレスによるクレームです。
他のクレームとの区別を明確にして、毅然とした対応を取る必要があります。
コールセンターをはじめ、接客を担う部署にはクレーム対応が付きものです。ときには顧客から厳しい言葉を投げかけられて辛く感じてしまうこともあるかもしれませんが、クレーム対応のコツを押さえておくだけで気持ちにゆとりが生まれ、うまく対応できるようになります。
ここでは、コールセンターでのクレーム対応における5つのコツを紹介します。
クレームの原因や種類を問わず「聞く姿勢」を持つことがクレーム対応で最も重要なポイントです。
クレームの電話を掛けてくる顧客は感情的になっていることが多いので、まずは相手の話を聞くことで気持ちを落ち着かせてもらい、クレームの内容を確認し、要約して返答しましょう。顧客の要望を要約して返答することで、顧客が抱えている不満について共通認識を持つことができます。
また、聞く姿勢を持つことで、オペレーターは理解者であると顧客に認識してもらうことができ、応対時間の短縮化にも繋がります。
要求に対して的確な対応を行うことでクレームの深刻化を防ぐことができます。
即応的な対応は「的外れ」になりやすく、状況の悪化につながるおそれがあるので注意しましょう。
例えば「冷蔵庫が壊れた」というクレームに対して、「即交換」が必ずしも正しい対応とは限りません。なぜなら、顧客は「交換」ではなく、修理を求めている可能性があるからです。このような認識の違いを避けるためにも、やはり「聞く姿勢」が重要になります。
クレーム対応では、最初と最後に必ず「お詫び」の言葉を伝えましょう。
最初のお詫びは電話の待ち時間に対するものとクレームに対するもので、理不尽な要求であっても、顧客はクレームを入れるために時間と労力を割いているからです。
最後のお詫びは、顧客に良い気持ちで電話を切ってもらうためのものです。お詫びだけでなく、時間と労力を割いてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えられれば、企業に対して良い印象を持ってもらえる可能性があります。
顧客が強い口調でクレームを入れてきたり、要求が理不尽な内容であったりしても、冷静・客観的な視点で対応することを心がけましょう。
顧客は、オペレーター自身を責めているわけではありません。クレームの対象はあくまで企業やサービスであることを認識することにより、クレームを受ける際の強いストレスを緩和することができます。
また、この方法は、クレーマーへの対処法としても有効です。ときには激昂する顧客に対して辛抱強く要望を聞き、第三者的な視点で顧客の要求を的確に捉えることを意識しましょう。
効率的かつ的確なクレーム対応を行うため、組織的に顧客対応の品質を平準化することも重要なポイントです。クレームの原因と種類を区別してそれぞれの対応をマニュアルとしてまとめましょう。
ブラックボックス化している熟練スタッフのスキルやノウハウを掘り起こし、ケース別のクレーム対応としてFAQサイトや対応マニュアルにまとめることで、顧客対応品質の向上につながります。
コールセンターでは迅速な対応が求められるため、キーワードで知りたい情報をダイレクトに検索できるFAQサイトが多くの企業で活用されています。
顧客対応の中でもクレーム対応は頻度が多く、適切に対応することで顧客満足度を向上させるチャンスにもなります。
クレーム対応を適切に行うためには、従業員の心構えや聞く姿勢といったメンタル的な要素と、クレームのケース別に最適な対応を行うためのスキルが必要です。クレーム対応のスキルが高い従業員の対応をマニュアル化することで、コールセンター全体の顧客対応品質を向上させることができます。
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※出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2021年度版 クラウド型CRM市場編(第5版)」