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企業が顧客ニーズを把握し、商品開発やサービス改善を行うために、顧客との接点を持てるカスタマーサポートの役割は非常に重要です。しかし、カスタマーサポートを充実させるためには人的コストがかかります。
労働人口が年々減少している日本社会において企業はどのようにこのジレンマを解決できるのでしょうか。ソリューションのひとつとして注目されているのがAIチャットボットです。
本記事ではAIチャットボットとは何か、導入するメリットとデメリット、具体的な導入の流れを説明します。
AIチャットボットとは、リアルタイムで自動的にテキストのやり取りができるシステムを指します。「チャット」とはオンラインのテキストコミュニケーション、「ボット」とはロボットの略称です。
AI(人工知能)を用いることで、人間の話し言葉(自然言語)の意図を理解して、会話をすることができます。
従来からシンプルなシナリオ型チャ ットボットはありましたが、AIは搭載されていませんでした。そのため、シナリオに登録されていない問いかけに対しては回答できませんでした。
それに対して、近年多くのコンタクトセンターで導入されるようになったAIチャットボットは、設定された基本データや蓄積されたログをベースに顧客からのメッセージを分析して、質問に対して適切な回答を返答できます。
それを可能にしているのがAIの「機械学習 」です。
機械学習とは、文字通り機械が学習し、データの背後にあるルールやパターンを発見する機能です。近年では、発見したパターンやルールベースで予測や判断もできるようになっています。
AIチャットボットはこの機械学習により、使用していくうちに精度の高い回答をできるように改善されていきます。質問に対して統計的に正解になる確率の高い回答を、アルゴリズムによって算出して答えているのです。
シナリオ型チャットボットは、事前に用意されたシナリオやルールに従って質問や回答を繰り返すタイプのチャットボットです。
AIチャットボットのように自由な受け答えはできないため、顧客が聞きたい質問をいくつかの候補から選択する形式が採用されます。
製品の使用方法に関する定型的な質問や、サービス内容の簡単な問合せに対する回答を提供するためには、シナリオ型チャットボットでも十分でしょう。
しかし、内容が複雑になると質問する側は満足のいく回答が得られず、チャットボットの使用から容易に離脱してしまいます。
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AIチャットボットの導入には当然コストがかかります。また、導入により人件費が削減できていたとしても、顧客満足度向上が実現できるのか不安もあるでしょう。
ここでは、AIチャットボットのメリットとデメリットを比較してみます。
AIチャットボットの強みは、すでに触れたように機械学習により幅広い回答ができることです。
機械学習により過去のデータが蓄積されることで、回答の精度が高まっていくため、コストがかかっても高い回答精度を求める場合に向いているといえるでしょう。
また、シナリオ型チャットボットと異なり、事前に決められた定型文で回答する訳ではないため、「表記のゆらぎ」にも対応できます。
例えば、「定休日」「休みはいつ?」「休みの日」などテキストベースでの表記の違いはシナリオ型チャットボットでは判別するのが難しいですが、AIチャットボットであれば、自然言語処理技術により対応可能です。
加えて、人間 が対応する場合、経験やスキル、その日の体調などによっても対応品質に違いが生じます。朝から晩までコールセンターで接客に追われれば疲労も蓄積されます。
この点、チャットボットは人間と異なり、プログラムに基づいて回答します。機械学習によって回答内容は効率化され、洗練されていくだけでなく、一定のサービス品質が保証されます。
当然ではありますが、機械は疲れ知らずのため24時間365日稼働し続けることが可能で、人間の負担を軽減し、業務効率の向上が見込めます。
AIチャットボットのデメリットは、導入前に準備期間が必要という点です。
機械学習といっても人間の手を全く不要で、自ら学習し続けるということではありません。特に初期設定の際にはより自然な会話にするためには、人間 の側で大量のデータを入力しなければなりません。
サービスを導入してすぐに稼働させられないことも多く、導入にはコストと時間がかかります。
また、別のデメリットとして、全ての質問に回答できる訳ではないということも覚えておきましょう。
AIチャットボットが機械学習によって回答の精度が高まるといっても、クレーム対応やイレギュラーな業務には向いていません。そのため、AIチャットボットが対応できない質問の場合は、オペレーターに繋ぐなど有人対応の導線を用意しておくことが必要です。
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AIチャットボットのメリットとデメリットを比較考慮し、導入するメリットが大きいと判断した場合の進め方について説明します。
一言にAIチャットボットといっても、さまざまな種類や機能があります。漠然と「コスト削減に有効だから」という理由ではなく、AIチャットボットの必要性について深掘りしましょう。
例えば、「なぜAIチャットボットが必要か」、「どのような事業、業務に活用するのか」を決めることで、適切なサービスを選びやすくなります。
明確にした目的達成のためにどのAIチャットボットが適切なのか、利用料金、初期費用など予算を考慮しながら、具体的に絞り込んでいきます。
その際に事前にAIチャットボットが自社の求めている機能や成果を出せるか、資料請求するなどして導入実績や活用事例を確認します。
もし、ベンダーが無料トライアルや無料プランを実施しているなら、本格的に導入する前に使ってみて操作性や効果を体感しておくといいでしょう。
AIチャットボットの導入にあたってはシナリオ構築が大切です。つまり、ユーザーとのやり取りにおいて、チャットボットをフローの中のどの位置に配置するのかということです。
一から構築しなくても、ベンダー側でテンプレートを導入している場合もあるので、適宜情報収集することをおすすめします。
AIチャットボットは導入するだけではなく、データ分析をし、調整して運用していくことが必要です。
担当者を決めて、チャットボットに寄せられる問い合わせ対応は顧客ニーズの分析ツールや社内のナレッジとして蓄積していきましょう。
AIチャットボットは用途を明確にして導入すれば、コスト削減やカスタマーサポートの質や生産性の向上が見込めます。
すでに多くのベンダーがAIチャットボットを提供しているため、多くの選択肢があります。ここで取り上げたポイントを踏まえて、自社の販売戦略や運用計画に合ったサービスを選ぶようにしましょう。
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