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特別インタビュー:日本マイクロソフトが語る「サポート」とは【前編】 - CXジャーナル

作成者: Admin|Oct 23, 2019 3:00:00 PM

OS、ビジネスアプリケーション、ハードウェア、クラウドサービスと幅広いビジネスを展開する日本マイクロソフトは1986年に設立されたマイクロソフト コーポレーションの日本法人です。ビジネスパーソンの多くがユーザーになっているだけでなく、学生や趣味など家庭でパソコンを利用する人などユーザー層も多彩な中、そのサポート体制はどのようになっているのでしょうか。
前編となる今回はそんな日本マイクロソフトのカスタマーサポートの役割や体制について、日本マイクロソフト株式会社 カスタマーサービス&サポート本部 カスタマーサービス&サポート本部長 執行役員 金起成(きん たつなり)氏と日本マイクロソフト株式会社 カスタマーサービス&サポート本部 ビジネスエンゲージメント マネージャー 髙橋路加(たかはし るか)氏に伺いました。

 

企業ミッションを実現することがカスタマーサポートのミッション

「現在のカスタマーサポートのミッションは、マイクロソフトのミッションを実現することにあります。以前はカスタマーサポートにはカスタマーサポートのミッションや理念というものが存在したのですが、現在はグローバルで統一されました」と金氏。

ここで挙げられたマイクロソフトのミッションとは「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」というものです。2014年に打ち出したミッションステートメントであり、それ以来掲げ続けられているものでもあります。

以前のマイクロソフトはOSとしてのWindowsやアプリケーションとしてのMicrosoft Officeといったパッケージソフトウェアの開発・販売を行う企業という印象でした。それが現在は大きく変化しています。カスタマーサポートも、単に製品やサービスの使い方を案内したり問題解決をしたりするだけではなく、ミッションステートメントのようにお客様により多くのことを達成していただくための役割を担っているようです。

社内500人+協力会社で全体をカバー!社内スタッフは法人対応が中心

「サポート対象はマイクロソフトの全製品・サービス、全ユーザーになります。日本法人の場合は社内に約500名のサポート担当社員が日々対応している他、協力会社として外部スタッフがさらにおり、その数は数倍にもなります。対応件数は年間約200万件といったところで、これはメールや電話、チャットなど我々がなんらかの形で直接サポートした件数です。サイトに公開した情報等を利用してお客様に自己解決していただいた件数は含んでおりません」と髙橋氏。

コンシューマーユーザーからの、使い方がわからないというような問い合わせに対応するのは協力会社の担当になります。コンシューマー向けサポートの責任者は社内にいるため、全体としての動向は把握しているものの、1件ごとの対応には関わらない体制になっています。

一方、社内で活躍するサポート社員が担当するのは、主に法人向けサポートです。日本マイクロソフトでは法人向けにいくつかのサポートプログラムを提供していますが、こちらではシステム全体の安定稼働や最適化までをカバーするものなど複雑で高度なサポートを提供しているため、サポート現場の様子も外から想像しているものとは大分違っているようです。

「サポートというと電話がどんどんかかってきて鳴り響く中対応する、というイメージかもしれませんが、実際はお客様の問題を再現し、原因を特定するデバッグ作業なども多くあります。日本マイクロソフト全体では働き方改革の一環として座席のフリーアドレス化が進んでおり自由な席で日々作業をしている社員も多い中、サポート部門だけは各自の自席があります。お問い合わせいただいたお客様へ迅速に対応するために、大きなディスプレイを複数並べて作業するなど特殊な環境が必要ですし、日々業務するための環境を座る席に合わせて毎回作るよりも、固定席で関連する担当者が近くに座っていた方が効率的だからです」と金氏は現場の様子を教えてくれました。

自席の近くでお客様対応している他の社員の声を聞いて、もっといい伝え方があったのではないかと話し合ったり、作業でつまずいた時に隣の人に相談したりといったこともよくあるそうです。部署としての効率化を重視して、あえて全社的なものとは違った体制を作っているというのは興味深いお話しでした。

日本語でトータルサポートしてもらえる日本は特別?

グローバル企業では、サポートもグローバルな環境を有効活用していることが多くあります。電話をかけてみると日本語は話しているけれど外国人だったというような経験を持つ人も多いのではないでしょうか。時差を利用して24時間対応を無理なく行うための工夫でもあり、マイクロソフトもグローバルでは基本的にこの方針でサポートを行っているそうです。

しかし日本でマイクロソフトのサポートへ電話をかけた場合、基本的には日本人が対応してくれます。受付だけでなく、技術的なサポートも日本のエンジニアが行います。これは日本からの問い合わせを日本マイクロソフトが担当するという形をとっているからです。

「現地法人がある国の全てにおいて、現地法人がサポートを担当しているわけではありません。日本は特に日本語での対応が求められているということはありますが、ビジネス規模が大きいというのも理由ですね。日本語のできるエンジニアを確保しやすいのは当然日本ですから、日本法人が担当しているのです」と髙橋氏。

日本法人は米国本社に次いで2番目にできた現地法人でもあり、マイクロソフトの歴史的にも非常に重視されてきた市場だといいます。現地語での対応を求めるのはどの国でも同じはずです。実際、一次受付は現地語で対応しているという地域は多くあるようですが、難しい案件でエスカレーションされると英語対応になるという地域が少なくないそうです。日本の場合はエスカレーションしてもかなり上まで日本語対応だということで、ユーザーとしてはありがたいですが、サポート部門の苦労が感じられます。

「日本人で24時間対応を実現するために、非常に大きな投資をしています。ごく一部、日本人にアメリカに滞在してもらい対応している部分もありますが、基本的には国内対応です。日本のお客様のご期待に応えるために、かなり注力しています」と金氏は力強く語ってくれました。

独自のサポート体制を作っているが、グローバルとの交流は?

「実は私の上司はアメリカにいます。3年ほど前に体制が変わり、グローバルのWindowsサポートチーム、というように現地法人の社員も組み込まれた集団ができました。ですから私たちのレポート先が日本ではなくアメリカをはじめとする海外ということは少なくありません」と金氏。

「組織としてはグローバルチームの一員ですが、日本法人のカスタマーサポート自体は日々同じフロアに机を並べていますから、しっかり横の繋がりや情報共有はできていますよ」と髙橋氏も語ります。
新製品やバージョンアップ等でサポートに大きな影響が事前に想定される時には、リリースの担当者がグローバルの開発と密にやりとりをし、早い段階からサポートの育成も行われるといいます。

「リリースマネージャーという役割の社員が、新製品や新機能に対するサポートの準備を整えるプロジェクトマネージャーとなります。いつまでにどのような準備をしなくてはならないのか、というような全体の計画立案と管理を担当して、実際に必要なコンテンツやトレーニングを手配するなど支援してくれます」と髙橋氏。

金氏も「以前はこちらから調べるような形だったのですが、組織がグローバルの一員となったことでこういう動きができるようになりました。情報もプッシュで下りてくるようになったので、大分変わりました」と語ってくれました。

クラウド時代のサポートの役割は?

ソフトウェアのパッケージ販売からクラウドへとビジネスが大きく変化したことで、カスタマーサポートのミッションがマイクロソフト内部でも変わったということは最初に語られましたが、サポートに求められる役割の違いも大きなものだといいます。

「クラウド時代になってサポートの役割が変わったと感じるのは、どこまでがサポートで、どこからが営業かという区切りが曖昧になっているということです。今は製品の機能で際立った独自性を出すのは難しい時代なので、ご利用いただく方の日常のエクスペリエンスを向上させ、継続して弊社のクラウドサービスを使っていただけるように支援することが我々サポートの役割だと考えています」と金氏は語ってくれました。

年契約や月契約で利用しているユーザーは数年ごとのアップデートだったソフトウェア販売時代よりも簡単に他サービスへの乗り換えができてしまいます。それを防ぎ、ユーザーをつなぎとめるためにはサポート対応のよさというものが重要になってくるということです。

年契約や月契約でクラウドサービスを利用しているユーザーは、数年ごとのアップデートだったソフトウェア販売時代よりも簡単に他サービスへの乗り換えができてしまいます。それを防ぎ、ユーザーをつなぎとめるためにはサポート対応のよさというものが重要になってくるということです。

【後半へ続く】