会社名 | ビッグローブ株式会社 |
創業 | 1996年に「BIGLOBE」サービス提供開始 2014年に「ビッグローブ株式会社」としてNECから独立、2017年よりKDDIグループに |
従業員数 | 約500名 |
事業内容 | ISP、格安SIM/スマホなど インターネット等のネットワークを利用した情報サービスの提供および、これに付帯する一切の業務 |
ホームページ | https://www.biglobe.co.jp/ |
– 今回はビッグローブ株式会社の土生(はぶ)さんにお話を伺います。ビッグローブさんでは、ビジュアルIVR(以下、V-IVR)とAIチャットボットを導入したんですよね?
はい。昨年8月より、BIGLOBEの各種サービス(固定回線/モバイル回線/オプションサービス)についての問い合わせサポートをV-IVRとAIチャットボット、有人チャットサービスで対応しています。私のチームで運用しているため、今回はそちらの紹介をさせていただきますね。
– よろしくお願いします!ちなみに、土生さんはサポート業界歴が長いんですか?
いいえ、サポート部門であるカスタマサービス本部に異動してきたのは、昨年の4月です。今までサポートとは別の業務をしていて、異動直前の部署では商品企画やマーケティング、プロモーションを担当していました。
– えぇっ!?異動4カ月で導入したばかりのサポートチャネルを運用しているなんてすごい!
ありがとうございます!(笑)さらに、サービスインまでのプロジェクトも私が担当しました。以前の部署で、チャットサービスを1カ月ぐらいで立ち上げた経験があったので…。
私の異動前にV-IVRとAIチャットボットの導入は決まっていたんですが、実際にサービスインするまでの担当者が決まっていなかったので、私が担当することになりました。
時間 | 土生さん:マネージャー | |
9:00~10:00 | 各施策の進捗状況確認(定量)と、目標KPIとの差異チェックと原因確認 →この間に、メンバーによる集計とその報告を受ける |
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10:00~11:00 | 打ち合わせ 自グループへの共有事項と各担当の具体的な進捗確認&指示出し |
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11:00~12:00 | チャットボット担当者から出てきた前日のログデータをチェックし、気になるポイントを担当者へ指示 | |
13:00~14:00 | 打ち合わせ 本部長への進捗報告 |
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14:00~15:00 | 打ち合わせ 担当者から上がってきた対策案(回答案/言い回し案/遷移変更など)を確認&承認 |
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15:00以後 | その他業務 →適宜、AIチャットに関する相談対応 |
– 4月に異動されて、そこから4カ月でサービスインまで持っていったと…。8月のサービスインも、異動前から決まってたんですか?
いや、それは私が決めました!(笑)夏はコールセンターが多少落ち着くためその時期を狙ってサービスインを目指し、8~9月くらいでチューニングできればスムーズにいくと思ったので。コールセンターの知見があり、信頼関係が出来ていたベンダーさんと共に導入プロジェクトを進めたことも、短期稼働できた理由の一つです。
– 土生さんの思い切りと行動力が素晴らしい!!ところで、V-IVRとAIチャットボットを導入しようと思ったきっかけって何ですか?
お問い合わせ対応は電話とメールで行っていましたが、どうしても対応時間に縛りが出てきてしまいます。さらに、サービスの特性上繁閑期がはっきりしているため、繁忙期の際はお客様をお待たせしてしまうという課題があったんです。Web上でもっとお客様の自己解決を促進できれば、結果的に顧客満足の向上とコールセンターの入電数削減を実現できます。もともと弊社ではIVRを導入していたので、その中にSMS送信のメニューも組み込み、希望する方にはAIチャットボットに誘導する流れにしました。
– なるほど~。導入時のエピソードや、こだわりポイントなどあれば教えてください!
V-IVRは導線作りを意識しました。基本はAIチャットボットに誘導するのですが、よくある質問はV-IVRのTOP画面にボタンを配置し、FAQページに遷移できるようにしています。また、お客様がAIチャットボットでは解決できない場合は、同じ画面の中でチャットオペレーターにつながるように設計したのもこだわりポイントになります。細かいですが、AIチャットボットで回答しているときは「まりん」というサポートキャラクタのアイコンが表示され、チャットオペレーターにつながった場合は、キャラクターではなく写真が表示されるようにしてあるんです。
– AIチャットボットはどうですか?
AIチャットボットは、現在あるFAQの内容を学習データにしました。電話でなくても回答できるQAをピックアップし、ボット用のデータベースにどんどん登録していきました。ボット用のデータベースは約2カ月で構築しています。チャットオペレーターへのつなぎもスムーズにいくよう、オペレータ用の管理画面ではボットの履歴を見えるようにシステム連携させました。
当初、チャット画面はAIの学習データを多く集めるため、メニュー表示せずに入力欄だけ設ける予定でした。しかし、メニュー表示と入力欄の両パターンを用意し、お客様の検索性を上げることに重きを置いたんです。チャットって、いろんな言葉で話しかけられますよね?入力欄だけ設けた場合、最初の方は「分かりませんでした、見つかりませんでした」等の回答になってしまうケースが増えます。一度そんな体験をしてしまったら、お客様は二度とそのチャネルには来てくれないと思うんです。お客様の立場に立って、少しでも自己解決の導線を設けることを意識して構築しました。
<V-IVRからAIチャットボットへの流れ ビッグローブ様資料より>
– 素晴らしい!サービスインしてから半年くらい経ったと思いますが、効果は出ていますか?
V-IVRは当初の予定通り、入電数の約10%のお客様にご利用いただいています。サービスイン当初の自己解決率は約30%弱だったのですが、チューニングを繰り返すことで現在では40%以上にアップしました。ここで定義している自己解決率は「V-IVRに誘導したお客様の再入電が10日間なかったら解決済み」となります。V-IVR導入後の入電率も、4%近く削減できました。
– おぉ!ビッグローブさんぐらいの規模感だと、4%でもかなりのインパクトあるんじゃないですか?
はい。全体の入電数はお伝えできないのですが、かなりの数字になります。お客様アンケートでも「とても便利なサービスですね」「電話の問い合わせより早くて良い」「簡単に希望の答えが帰ってきて大変便利」など、嬉しいコメントをいただきました。
AIチャットボットは、サービスイン時の回答表示率は60%程度でしたが、チューニングすることで80%に近づいてきています。目標は95%です!
– こ、志高い…。着実に成果を上げるために、必要なことって何だと思いますか?
お客様がどれだけ、どんな風に使ってくれているのか、常にチェックすることですね。「こんな言い回しするの?」とか「なんでこの回答用意していたのにヒットしなかったんだろう?」などの気付きは、ログを見ないとやっぱり分からないんです。私も、日々ログをチェックするようにしています。
回答表示率の見える化も大事で、データの上がり下がりを見ながらのチューニング作業も必要です。表示率が上がるとメンバーのモチベーションアップにもつながります。
質問と回答を増やしていけば必ず数字は上がるので、地味かもしれませんがとても重要な作業だと思っています。回答表示率が目標に近付いてきたら、次のステップとして回答の質を上げていきたいです。
あと、社員やベンダーさん関わらず、チーム編成も功を奏していると思います。協力体制が整っているため、これからもチーム一丸となってより良いサポート環境を作っていきたいですね。
– 理想的なチーム…素敵!!最後に、今サポート業界で気になっていることがあれば教えください!
音声認識とチャットボットの連携方法などは、次のステップとして気になっています。また、チャットボットとFAQをどうシンクロさせていくかが課題です。本当はチャット上で完結するのがよいと思うのですが、チャットだと文章も多く表示できないため、FAQに誘導してしまう回答がほとんどになっています。お客様的には当然1つのチャネルで解決できた方がよいと思うので、そのあたりのベストな解決策を模索していきたいです。
あと、コールセンターのナレッジやノウハウを集約し、オペレータの教育やFAQに反映させていきたいと考えています。FAQとナレッジも私の担当なので、改善していきたいですね。
– 土生さん、FAQとナレッジも担当しているんですか?!すごすぎる…。ビッグローブさんのサポート、これからも目が離せません!今日はありがとうございました。
今回はビッグローブさんに登場いただきました。とても大変なプロジェクトだったはずなのに、サラっと軽快に話してくれた土生さん。AIチャットボットを導入したけど効果が上がらない…そんな方にはぜひ参考にしていただきたい内容です! 話を聞けば聞くほど、「あらゆる成功の条件を整えて、地に足の着いた運用をするからこそ、素敵な結果が伴ってくるんだな…」そう感じました。 ベンダーさんとのパートナーシップも抜群の様子。こんなチームで働いてみたいっ! ビッグローブの土生さん、ありがとうございました!!