2024年2月16日、株式会社PKSHA Communicationは、大阪にてユーザー会「PKSHA Communication Users’Conference 2024in 大阪」を開催いたしました。総勢50名以上の方々にご来場いただき、盛況に執り行うことができました。
本記事では、当カンファレンスの弊社コンテンツで発表させていただいたプレゼンの一部と、イベント風景をお届けいたします。
代表・佐藤は冒頭でPKSHAが掲げる「Weave Trust」という言葉の意味を説明しました。「信頼を紡ぐ、という意味であり、我々が皆さまと信頼を紡ぐだけでなく、皆さまの個人・企業のお客様まで含めて信頼を紡ぐ、ということを表現しています」(佐藤)。
次に、富士キメラ総研の「顧客接点・CX変革ソリューション市場分析2023年版」において、チャットボット(SaaS)、ボイスボット(SaaS)、FAQナレッジ管理(SaaS)の3分野でPKSHAの製品がシェアナンバー1を獲得したことを紹介しました。「おかげさまでFAQは58%、昨今非常に注目されているボイスボットにおいても約32%のシェアを獲得することができました。これからも皆さまからのフィードバックを生かして製品を開発していきます」(佐藤)。
PKSHAの新しい動きとして、米国の大手IT企業との関係強化を紹介しました。佐藤は「特に米マイクロソフト様との関係が深くなってきています。日本マイクロソフト様の『Partner of the Year 2023』も受賞することができました」と語りました。
マイクロソフトは米OpenAIと提携し、生成AIの取り組みを強化しています。「我々もマイクロソフト様との協業を通して、生成AIにしっかりと取り組んでいきます」(佐藤)。
ここで佐藤は、Exa Enterprise AIが実施した、日本企業における生成AIの活用状況についてのアンケート結果を紹介しました。
「2023年4月時点では日常的に使用している人は7.2%程度でしたが、同年12月には31.5%まで急増しています。時々使用する、という人も含めれば、約7割の方が生成AIを使用している、という結果になりました」(佐藤)。
ここで佐藤は、「Weave Trust」のコンセプトをまとめた映像を紹介しました。その上で、「Weave rustのビジョンに基づき、企業様とそのお客様の信頼関係の構築を、2つのポイントでご支援します」と言及しました。
ポイントの1つは、顧客側のUX向上です。「企業のサポートチャネルが多用化していますが、それを全てつなぐことで、お客様がよりスムーズに企業とコミュニケーションできるようご支援します」(佐藤)。
もう1つは企業サイドのUXの向上です。佐藤は「サポートチャネルの増加に伴って扱うツールが増えているため、オペレーターの方の負担が増しています」と指摘し、「既存のナレッジに、お客様との対話で得たナレッジをストックし・ブラッシュアップして上手く組み合わせられるようにすることで、オペレーターの方をサポートしていきます」と続けました。
カスタマーサクセス本部長の佐野は、PKSHA Communication Cloudについて、「Weave Trustのビジョンを実現し、コンタクトセンターの課題を解決するためのクラウドサービス群です」と説明し、構成するプロダクトごとにアップデートなどを紹介しました。
PKSHA FAQはFAQを効率的に管理するためのツールです。リリースから約20年が経過し、50%を超えるシェアを獲得しています。
今回新たに管理画面のデザインをリニューアルしました。「FAQ作成画面は情報量を減らし、可読性を高めました。例えば、自分が担当しているFAQの一覧から、対応が必要なものをハイライトで表示する機能を追加しました」(佐野)。承認フローの機能も、FAQ作成と同じ画面上に表示し、よりスムーズに使えるようにしました。
分岐型のFAQである「ウィザードFAQ」については、「より作成がしやすいよう、視覚的に分岐が見える形に変更しました」(佐野)。
近い将来のアップデートとして佐野が紹介したのが、FAQ作成エディタのUI改善です。「従来のエディタに比べ、直感的に操作しやすいUIに変更し、FAQの作成・編集の効率を高めます」(佐野)。具体的には、直感的に表組みを追加できるようにしたり、 ドラック&ドロップでファイルを添付できるようにしたりする計画です。
新たに追加した「FAQ校正アシスタント機能」は、生成AIを活用したオプション機能です。FAQの回答文を作成する際に簡潔な言い回しを提案することや回答文の要約、英訳などが可能です。
簡潔な言い回しを提案する機能について佐野は、「長く複雑なため読みにくい、敬語が過剰に使用されている、といったことを指摘し、修正案を提示します」と説明しました。更に「複数人がFAQ作成に関わると、どうしても説明の粒度や言い回しが変わってしまいます。そういった場合でも、AIに支援してもらうことで、一定のクオリティを保ちやすくなるはずです」(佐野)。
2-2.PKSHA Chatbot
PKSHA Chatbotは、4億回を超える対話実績を誇る、国内シェアナンバー1のAIチャットボットです。最大の特徴は運用性能の高さです。
本機能は2024年1月に追加しました。個人情報を聞いた際、「設定をチェックすると、管理者権限を持っている人以外は見られないよう、データをマスクします」(佐野)。保存してから一定期間以上過ぎた個人情報を自動で削除したり、任意のタイミングで削除する「削除機能」も備えています。
APIを使ってPKSHA Chatbotと基幹システムを接続すれば、個人情報の内容を確認しながら設定を変更することが可能です。例えば、「ECサイトで定期購買をしている方が、次回の購買日の設定をPKSHA Chatbotとのやり取りで変更することが可能です」(佐野)。
手続き業務の完結率を向上させるために、離脱した理由を容易に分析できるダッシュボードを追加しました。「手続き業務は何回かやり取りするため、どのやり取りで離脱しているかを把握して対策することが重要です」(佐野)。
従来お問い合わせいただいた際の回答は、PKSHA Chatbotに登録したFAQを検索していただくか、有人対応のチャットで対応するかのいずれかでした。
新たに追加したLLMを活用したドキュメント検索型Chatbotでは、回答を用意していない質問であっても、マニュアルやホームページなどから生成AIが質問の回答に当たるものを見つけた場合、「正解ではないかもしれない、という文言を添えた上で回答案をご提示します。100%の精度で回答することはできませんが、それでも役立つケースは多くあるはずです」(佐野)。
PKSHA Voicebotは電話でのお問い合わせに対し、オペレーターの代わりにAIが応答する仕組みです。コール削減や、窓口の24時間365日対応が可能になるなど様々なメリットがあります。
従来、顧客番号や住所など複数の項目をヒアリングする場合、一つひとつ質問していく必要がありました。新たに追加した「複数項目のまとめてヒアリング」を使うことで、ユーザーに複数項目を一度に回答してもらうことができるようになりました。ユーザーの回答を生成AIが処理し、内容を適切に切り分けてデータベースに格納します。これにより、「ユーザー体験向上やコール時間短縮が実現できます」(佐野)。
生成AIを用いた類似の新機能として、受電した際の要件分類機能も実装しています。ユーザーに最初にまとめて要件を話してもらい、その内容を生成AIが切り分けて、適切な部署・担当者に繋ぎます。「IVRを上手く使えないケースや、『その他』の要件にコールが集中し過ぎるといったことを防ぐことが可能です。お客様体験と対応効率の両方が向上します」(佐野)。
PKSHA Voicebotは、導入して終わりではなく、運用しながら使い方に手を加えていくことが重要です。それを支える機能として、2023年3月にダッシュボードに完結率を確認する機能を、同年10月には離脱箇所を確認するための機能を追加し、今回更に、離脱箇所を詳細に分析できる機能を追加しました。
CTI/PBXと連携し、待ち呼となったコールがオペレーターに繋がるまでの間、Voicebotで必要な質問を行う機能を追加しました。これにより、オペレーターの対応時間を短縮します。今後連携可能なCTI/PBXを増やしていきます。
PKSHA Speech Insightは、音声認識技術により通話をテキストに書き起こし、オペレーターの応対中や応対後の業務を支援します。書き起こしたテキストを自動で要約する機能なども備えています。
2024年中にPKSHA FAQと連携し、応対中の会話の内容に応じたFAQを自動で検索し、オペレーターをサポートする機能を追加する予定です。
佐野は「Weave Trustというビジョンを実現するうえで、今後は企業サイドのUXを高めるための、ナレッジ循環が肝になると考えています」と語りました。ナレッジ循環とは、コンタクトセンターの対応ログをはじめとしたナレッジを基に、FAQやChatbotを改善していく取り組みを指します。「従来、対応ログなどのナレッジの活用は簡単ではありませんでしたが、生成AIによって状況が大きく変わってきています」(佐野)
この1例として、ドキュメントからのFAQの自動生成があります。「マニュアルなどのPDFファイルを読んで、数秒でFAQを自動で生成します。数年前では考えられなかったことです」(佐野)。同様に、通話音声からFAQを自動生成することも可能です。
これらの機能は個別のソリューションとしては提供済みで、今後プロダクトの機能にも追加する予定です。将来的にはFAQだけでなく、Chatbotなど他のチャネルにもナレッジを展開できるようにする計画です。佐野は「しっかりステップを踏んで、長期的に取り組んで行きたいと考えています」と展望を語りました。