公開日/2022.4.4 最終更新日/2022.05.17
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経済産業省が推進する「リスキリング」とは|DX・IT人材のスキル育成

リスキリングを表現するイラスト

産業のDX(デジタル・フォーメーション)化により、さまざまな業務プロセスが自動化されていきはじめています。業務のプロセス自体が大きく変わるなかで、これまでに存在しなかった仕事や課題に対処できる人材育成が企業に求められています

DX化に伴う新しい人材育成の手法として今注目されているのが「リスキリング」です。

リスキリングとは、デジタル技術の進展に伴って新しく生まれた「これまで誰も行ったことがない」業務に対応するスキルを身につけるために、人材の再教育や再開発を行う取り組みを指します。

今回は、DX時代に欠かせないリスキリングについて、基礎から実施時の注意点まで分かりやすく解説します。

リスキリングとは

リスキリング(re-skilling)とは、一言でいうと「人材の再教育や再開発を行う取り組み」です。

これまで企業が実施していた人材育成は、自分たちの持つノウハウを新人に伝えるという方法が主でした。しかし、デジタル技術の進展により、従来の人材育成では対応しきれない、新しい課題が生まれています。

新時代に対応した人材育成スキルであるリスキリングにはどのような特徴があるのでしょうか。

(1) リスキリングの目的・意味

近年は、デジタル技術の進展に伴い、これまで存在しなかった手段が各業務領域で生まれていっています。そうした新しい手段や領域を積極的に活用して、事業の成長や業務の効率化等を図っていくことがリスキリングの目的です。

自己啓発やスキルアップを目的とした従来の「リカレント教育」や「学び直し」とは異なるとされています。

具体的には、
一度職場を離れて「働く → 学ぶ → 働く」というサイクルを回すリカレント教育とは違い、現在の職場で働きながら必要なスキルを習得して順応していく、というイメージです。

また、個人の関心に基づいてさまざまな事柄を学んでいく一般的な「学び直し」とも異なり、その職業ひいてはその会社の事業・業務上での成果に繋げる、というアウトプットの視点がより強調されています。

(2) リスキリングがとくに求められる仕事とは

デジタル化によって業務フローや作業が大幅に変わる仕事が、リスキリングの主な対象となります。

例えば、手作業で行われている商品製造の自動化や、自動化プログラムの設計・管理・メンテナンスなどは、リスキリングの必要性が高い業務といえるでしょう。

また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による事務作業の自動化も進んでいることから、AIが業務を実施するうえで必要な処理手順の設定や変更ができる「RPAスキル」も、これからの時代に必要なスキルになりつつあります。

※出典:「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」(経済産業省/リクルートワークス研究所)

(3) リスキリングが重要視される2つの理由

① DX(デジタルトランスフォーメーション)の本格化

デジタルの導入によって事業活動の仕組み自体を変えていくような、いわゆるDXの推進が各業界で進んできています。

産業全体にDXが浸透すれば、作業の仕組みそのものが大きく変わり、従業員に求められるスキルも変化します。デジタル技術を活用して価値が創出できるよう、多くの従業員の能力やスキルの再開発が求められます。

リスキリングは、企業だけではなく従業員にとっても大きなメリットがあります。

今後、特定の専門知識である「ハードスキル」が必要な仕事は、徐々にAIに置き換わっていくといわれています。その中でAIの仕組みを設計するなど、人間にしか行えないスキルを身につけることで価値を生み出しやすくなります。

デジタル技術を駆使して価値を生み出せる従業員は企業にとって貴重な戦力となり、給与アップや昇進といったインセンティブに結びつきやすくなるでしょう。

② コロナ禍による商習慣、働き方の変化

コロナ禍の影響により、対面での営業などの事業活動はオンラインに切り替わり、テレワークも定着しつつあります。
働き方が変化したことで、新しい商習慣や労働環境に適応したスキルを身につける必要性が高まっています。

このように、DXの加速と事業のデジタル化が進む現代において、次世代に対応できる人材を育成するリスキリングを行うことは必須といえるでしょう。

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リスキリングの3つの誤解

リスキリングは比較的新しい概念で、同じ人材育成の手法であるOJTと混同されるなど、正しく理解されていないケースがあります。ここでは、リスキリングによくある3つの誤解を紹介します。

誤解①: リスキリングはOJTの延長線上である

「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」とリスキリングは、能力開発の仕組みが大きく異なります。

OJTは「連続系」の能力開発です。職場での実践を通じて、今ある仕事をこなすために必要なスキルや業務のやり方を習得します。

一方の「リスキリング」は、「非連続系」の能力開発です。これまでに存在しなかった仕事や、できる人がいない仕事に必要なスキルを獲得する目的で実施されます。

誤解②: リスキリングはデジタル・IT人材の領域の育成が目的である

リスキリングは産業のDX化に伴う能力開発というイメージがあり、デジタル人材・IT人材の領域の育成と思われがちです。
しかし、人材のスキルアップは手段や過程に過ぎません。前述した通り、取り組みの目的はあくまでも事業成長や業務効率化です。

リスキリングは、「デジタル技術等を活用して価値を生み出していくために、全ビジネスプロセスを見直していく取り組み」といえるでしょう。

誤解③: リスキリングのコンテンツは社内開発を中心にすべき

汎用的なデジタルスキルは業種を問わず共通であることも多いため、外部やプラットフォーマーといった外部コンテンツを活用した方が効率的に行えます。社内開発にこだわらず、外部コンテンツを積極的に活用しましょう。

リスキリングのメリットと注意点

リスキリングを一過性のブームで終わらせず、日々の業務に落とし込んでいくためには「仕組み化」が重要です。リスキリングのメリットと注意点を正しく理解し、持続可能な仕組みを整え、企業の変革につなげていきましょう。

(1) リスキリングのメリット

① 業務効率化

従業員のスキルを再開発し、業務プロセスそのものを変革することで業務効率化を図れます。また、スキル向上によって人材の再配置が可能になり、従業員は適材適所でコア業務に集中しやすくなります。
その結果、生産性の向上も期待できます。

② 柔軟な対応力の強化

従業員のスキルを再開発すれば、既存の人材で多種多様な課題の解決が可能になります。市場の変化や仕組みが転換される度に新しいスキルを持つ人材を確保する必要がなくなるため、手間と費用を節約でき、市場における先行者利益も確保しやすくなるでしょう。

(2) リスキリングの注意点

① 全社的に取り組む必要がある

リスキリングは、個々の従業員が行っても大きな成果は期待できません。個々の取り組みに留まってしまうと大きな業務変革が行いづらく、継続が困難で成果も見えづらくなるためです。

リスキリングは全社的に実施し、継続的な組織全体の能力の再開発につなげることが大切です。リスキリングを継続的な施策にするためには、インセンティブの付与や定期的な発表会といった施策が有効です。

② 会社に適したコンテンツを選ぶことが重要

リスキリングを実施する際は、会社の事業展開や現状の課題、今後の市場の変化などに適したコンテンツを選択しましょう。誤ったコンテンツを選ぶと非効率的になるリスクが高まり、思ったような成果が得られません。同業他社の導入事例を参考にしても良いでしょう。

リスキリングによって次世代を操る人材を育てよう

リスキリングは、現状の課題や今後の市場動向などを基に企業が舵取りを行い、従業員がメリットを理解して前向きに取り組めるような仕組みを作ることが重要です。

今後も加速していくデジタル技術の世界において、価値を生み出し続けられる次世代の従業員を育成することは、企業にとって重要な課題といえます。

外部のコンテンツを活用することも視野に入れ、目的に沿った取り組みを行っていきましょう。

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この記事の執筆者

CXジャーナル編集部

「顧客と向き合うすべての人の“よりどころ“」というタグラインのもと、顧客とのコミュニケーション・カスタマーサービスに関するあらゆる問いにお答えしていくことをミッションにしています。 (運営元:株式会社 PKSHA Communication)

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